レビュー
YouTuber目線で最新フルサイズミラーレスカメラをチェック!

キヤノン「EOS R」動画性能をレビュー! フルサイズセンサーと新マウントの実力は?

2018年10月25日に発売されたキヤノンの「EOS R」は、同社初の35mmフルサイズCMOSセンサー搭載のミラーレスカメラです。レンズマウントも新開発の「RFマウント」に一新された次世代機という位置付けで、キヤノンがフルサイズのミラーレスカメラ市場に打って出るにあたり尖兵を務めるモデルでもあるため、大きな注目を集めています。

今回は、YouTuberでもある筆者が、「EOS R」の動画撮影機能にフォーカスして使い勝手をチェックしてみることにしました。「スマホで動画を撮るだけでは物足りないけれど、映像制作会社やプロのビデオグラファーほどお金も手間もかけたくない」というレベル感のユーザーとして実機をレビューしていきたいと思います。

なお、写真(静止画)撮影機能については、下記の記事で詳細が掲載されていますので、あわせてご覧ください。

まもなく発売! キヤノン「EOS R」ファーストインプレッション

キヤノン「EOS R」の動画性能をレビュー!

キヤノン「EOS R」の動画性能をレビュー!

「EOS R」を動画でチェック

今回は高層ビルが立ち並ぶ街並みや夜景などの動画を横浜で撮影してきました。まずは、フルHDと4K映像の撮り比べや電子式ブレ補正、広いダイナミックレンジがプロからも支持を集める記録方式「Canon Log」で撮影した映像などを以下の動画から確認してみてください。

YouTuber目線のキヤノン「EOS R」フォトレビュー

「EOS R」の使い勝手をチェックするにあたり、まずお伝えしておきたいのはこのカメラが「中位モデル」であり、決してハイエンド機ではないという点です。一眼レフ(ミラーあり)カメラのラインアップで言えば、「EOS 6D」と同等か少しだけ上に位置するモデルであり、「EOS 5D」や「EOS 1DX」のようなプロ向けカメラとはターゲットも設計思想も異なる製品だという前提で、以下の内容を読み進めていただければと思います。

カメラ本体のサイズは135.8(幅)×98.3(高さ)×84.4(厚さ)mmで、バッテリーと記録メディアを含む公称重量は約660gです。ちなみに、同じくフルサイズセンサー搭載のミラーレスカメラであるソニーの「α7 III」は、公称重量約650gで、ニコンの「Z6」は約675gとなっています。

今回は「EOS R」にズームレンズ「RF24-105mm F4L IS USM」を装着して撮影を行いました

今回は「EOS R」にズームレンズ「RF24-105mm F4L IS USM」を装着して撮影を行いました

「EOS R」はバリアングル・ディスプレイを搭載し、レンズ側にディスプレイを向けられるため、自撮り撮影に便利。なお、現時点で市販されているフルサイズミラーレスカメラで“自撮りディスプレイ”を搭載するカメラは「EOS R」のみ

レンズ込みの重量は実測で1370gでした。手持ち撮影の際にバランスの悪さを感じることはありませんでしたが、ジンバル(スタビライザー)に装着する際にはフロントがヘビーな構成であることを感じさせられました。なお、今回はZhiyunのジンバル「Weebill Lab」とセットで使用

録画開始/停止ボタンは軍艦部分のちょうど中央にあります。筆者の場合、動画撮影時は背面のディスプレイを見ていることが多いため、録画ボタンはディスプレイ脇にあったほうが操作しやすいと感じますが、この位置でも慣れれば問題ありません

左肩にあるダイヤルは電源のオン/オフのみ

左肩にあるダイヤルは電源のオン/オフのみ

SDXCメモリーカードスロットはひとつ。2枚のカードを使ってのバックアップができないため「仕事に使うカメラ」としてみた場合には、少し不安を感じる仕様です

バッテリーは1865mAhで、公称では常温で合計約2時間20分の動画撮影が可能とのこと。もちろん、撮影する動画の画質や気温、撮影スタイルなどによって大きく変動があると思いますが、12月の寒空の下で撮影を行った筆者の場合は、設定変更や構図の確認、フォーカス合わせなどを含めて、バッテリー1本で約1時間の動画撮影ができた、という結果でした。

キヤノン「EOS R」は最強のカジュアル動画撮影用カメラなのか?

今回は約2日間に渡ってキヤノン「EOS R」を横浜や紅葉の撮影に持ち出して、動画撮影メインのテストを行なってきました。その印象をひと言で表すなら「リスクをとって最高点を狙うより、確実に合格点をとることに徹したカメラ」というもの。よく言えば手堅くまとめた安定のクオリティであり、悪く言えば出し惜しみを感じさせ進取の気概を欠く、という感じです。

上品な色味とフォーカスの速さが強み

まず、よい点は何も手を加えない“撮って出し”でもキレイな影像が撮れること。大口径のレンズとフルサイズのセンサーでとらえた十分な光をナチュラルに処理した映像はキヤノンらしさが感じられる秀逸なもの。スキントーンを筆頭に、おとなしめだけどキレイな色味は、昨今のスマホに多いドギツい補正が効いた映像とは一線を画すクオリティです。肉眼で見た印象に近い仕上がりの映像がキチッとでき上がっているのはさすがキヤノンといったところです。

フルHD画質の標準(IPB)で撮影した、無加工の影像。当たり前ですが、スマホの写真や動画にありがちな過度な補正はなく、目で見た印象に近いナチュラル仕上がり。特別な雰囲気作りがいらない場合は、撮って出しでも満足ができる色味だと感じました

また、オートフォーカスがとても安定しており、意図せず背景にピントがあってしまうようなこともなくキビキビと作動していました。映像エンジン「DIGIC 8」内部の専用回路を拡張することで処理能力を向上させたというデュアルピクセルCMOS AFの精度と速度は「EOS R」の大きな魅力です。特に、動き回りながら動画を撮ることが多いVlogger目線で見ると非常にありがたいポイントとなっています。

センサーシフト式手ブレ補正がなく、4K撮影時にはクロップが発生

いっぽうで筆者が不満に感じた点は以下の通りです。

まず、ボディ内手ブレ補正が搭載されていないのは動画撮影には大きなマイナスです。電子式の手ブレ補正は搭載されてはいるものの、補正をオンにすると同じレンズでも画角が変わってしまうことがあり使いづらく感じました。フルサイズミラーレス機の普及機として機能を削ってもできるだけ安く市場に投入したかったというメーカーの意図もうかがえますが、動画撮影をメインに考えるユーザーとしては不満を感じた点です。

また、4K撮影時はフルHDと比べてクロップされた状態になるため、レンズの広角側では本来の画角が使いきれず寄った状態になってしまうのも残念なところ。風景を撮ろうとしたらビルや木の先が切れてしまい、後ろに下がれない場所でどうにもならないという状況に実際に出くわしたことがあったので、この点には使い勝手の悪さを感じました。また、クロップの影響で被写体となる人を遠目に配置しなければならなくなるため、話している声がマイクで拾いづらくなるのも難点です。ピンマイクで音別撮りをしたりレンズを変えたりすればよいのですが、スピーディーに撮り進めければならない映像制作の場面では、そのひと手間すら省きたいところ。クロップがあると影像だけでなく音にもマイナスの影響があるのが残念です。

同一地点から撮影しても4K動画だと約1.6倍のクロップになる

同一地点から撮影しても4K動画だと約1.6倍のクロップになる

また、120fpsのスローモーション撮影時には720pのHD画質になってしまい、オートフォーカスがきかないのも物足りなさを感じるところ。「ジンバルに載せたカメラでスローモーション撮影した映像を編集ソフトでスピードランプ加工する」というスタイリッシュ系映像の王道パターンが使えなくなるのはツラいところでした。

フルHD撮影のみの撮って出しで楽しむなら優秀

「EOS R」はフルHDでの撮影をメインにする場合は大きな不満を感じることがないすぐれたカメラだと思います。一方で4Kやスローモーション撮影、映像がブレてしまいやすい移動しながらの撮影の際には不満を感じるはずなので、そのような撮影をする人は、ショールームや店頭などで1度しっかりと試しておいたほうがいいでしょう。

Mr.TATE(Masahira TATE)

Mr.TATE(Masahira TATE)

世界50カ国以上を旅したバックパッカー。週間アスキー編集部などを経て、AppBankに入社。「バイヤーたてさん」として仕入れとYouTubeを活用したコンテンツコマースに取り組み、上場時は広報として企業PRを担当。現在はフリーランスで活動中。

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