新製品レポート
キヤノンが本気でシェアを取りにきた普及機

実売16万円前後! キヤノンから低価格フルサイズミラーレス「EOS RP」が登場

キヤノンは2019年2月14日、フルサイズミラーレスの第2弾モデル「EOS RP」を発表した。「EOS R」の下位に位置するモデルだが、驚きなのは価格で、フルサイズ機ながらボディ単体で160,500円(税別、キヤノンオンラインショップでの販売価格)という低価格を実現している。その特徴を速報でお伝えしよう。

※記事内の写真を2019年2月14日に開催された発表会で撮影したものに変更しました。その他の写真も追加しました(2019年2月14日 17:22)

実売16万円前後という驚きの低価格を実現したフルサイズミラーレスEOS RP。高さが抑えられたフォルムが印象的なデザインだ。広角・単焦点レンズ「RF35mm F1.8 マクロ IS STM」がキットレンズとして用意される

約485gの小型・軽量ボディ。EOSシリーズのフルサイズ機として最軽量

EOS RPは、第1弾モデルEOS Rと同じく、新設計のカメラシステム「EOS Rシステム」を採用するフルサイズミラーレス。マウントシステムは、54mm径でショートバックフォーカス(フランジバック20mm)の「RFマウント」で、交換レンズ群は、従来以上に自由度の高い光学設計が可能な新しい「RFレンズ」となっている。

最大の特徴は、電子ビューファインダー(EVF)やバリアングル液晶モニターを搭載しながらも大幅な小型・軽量化を実現したこと。軽量かつ高剛性のマグネシウム合金をシャーシの基本部に採用しつつ、外装カバーなどにポリカーボネート樹脂を採用するなどして重量の増加を抑えており、サイズは132.3(幅)×85.0(高さ)×70.0(奥行)mmで、重量は約485g(バッテリー、メモリーカードを含む)に収まっている。撮影時の重量はEOS Rより約180gも軽く、「EOSシリーズ」のフルサイズ機では最軽量だ。フルサイズミラーレス全体としては2013年発売のソニー「α7」が約474gで最軽量となっているが、それとほぼ同じサイズ感のコンパクトボディとなっている。

うれしいのは、接眼部周囲やマイク穴部にシーリングを組み込むなどして防塵・防滴構造を実現していること。バッテリー室やカードスロットカバー開閉部にはシーリングが施されていないので、EOS Rに比べるとスペックは落ちるものの信頼性の高い小型・軽量ボディに仕上がっている。

EOS Rとは異なり、ボディ上面に撮影モードダイヤルを搭載

EOS Rとは異なり、ボディ上面に撮影モードダイヤルを搭載

背面のボタンのレイアウトはEOS Rとほぼ同じ。バリアングル液晶モニターを採用している

背面のボタンのレイアウトはEOS Rとほぼ同じ。バリアングル液晶モニターを採用している

EOS RPの底面

EOS RPの底面

試作機に触れてみたが、小型・軽量を追求しながらも操作性は犠牲になっていない印象。グリップは指がかりがよく、しっかりと握ってカメラをホールドできる。EOS Rより小さくなっているものの、キットレンズ「RF35mm F1.8 マクロ IS STM」を装着した際の重量バランスはEOS Rよりもよく、軽快に撮影できると感じた。ダイヤルやボタン類のレイアウトはEOS Rとほぼ同じだが、EOS Rとは異なり、上面の表示パネルはなく、撮影モードダイヤルが備わっている。タッチ操作のマルチファンクションバーもなく、オーソドックスで使いやすい操作系にまとまっている。

EOS RPはフルサイズ一眼レフ「EOS 6D Mark II」と比べてひと回り以上コンパクトなボディだ

EOS RPはフルサイズ一眼レフ「EOS 6D Mark II」と比べてひと回り以上コンパクトなボディだ

EOS 6D Mark IIと比べると重量は約280gも軽い

EOS 6D Mark IIと比べると重量は約280gも軽い

APS-C一眼レフ「EOS Kiss X9i」と比較しても約47g軽い

APS-C一眼レフ「EOS Kiss X9i」と比較しても約47g軽い

2620万画素センサー&DIGIC 8を採用し、高画質を実現

EOS RPは、撮像素子に、フルサイズ一眼レフEOS 6D Mark IIと同画素となる有効約2620万画素のフルサイズCMOSセンサーを採用。映像エンジンは最新の映像エンジン「DIGIC 8」で、感度はEOS Rと同様、ISO100〜40000に対応している(拡張でISO50相当、ISO51200相当、ISO102400相当が可能)。EOS Rの約3030万画素と比べると画素数は減るものの画質スペックは申し分ない。

有効約2620万画素のフルサイズCMOSセンサーを搭載。なお、EOS Rとは異なり、電源オフ時にシャッター幕が閉まる仕様ではない

また、EOS RPと同様、各種収差を高度に補正する「デジタルレンズオプティマイザ」を後処理ではなく撮影しながら利用できるほか、通常のRAW記録に加えて、ファイルサイズを軽量化できるC-RAW記録も可能。解像感補正、ボケシフト、ゴースト低減の後処理機能を利用できるDPRAW(デュアルピクセルRAW)には非対応だが、画質周りの機能も充実している。

EOS Rと同様、ボディ内手ブレ補正は非搭載だが、レンズのジャイロセンサーに加えて、カメラのCMOSセンサーの画像情報も活用する「デュアルセンシングIS」に対応。手ブレ補正対応のレンズと組み合わせて最大5段分の補正効果を発揮する。

第1弾モデルEOS Rは、RFレンズのすぐれた光学性能とボディの画像処理によって、画面の周辺まで高い描写を発揮する高い評価を得ている。スペックだけではわからないが、EOS RPもRFレンズのポテンシャルを生かした高画質撮影が可能なフルサイズミラーレスと考えていいだろう。

「EOS R」と同等の世界最速0.05秒AFを達成

AFシステムには、EOS Rなどと同様、1つ1つの画素が撮像と位相差AFの両方を兼ねる「デュアルピクセルCMOS AF」を採用している。AFスピードはEOS Rと同様、フルサイズカメラとして世界最速の0.05秒を実現しており、細かいところでスペックは異なるものの、EOS Rと同等の高速AF撮影が可能だ。

測距可能エリアもEOS Rと同様、フルサイズ領域で最大の約88%(横)×約100%(縦)に対応するほか、顔+追尾優先AFでの自動選択AF時は、EOSシリーズのライブビューAFとしては最大となる143分割で被写体を捉える。測距エリア全域でF11光束にも対応している。

さらに、人物の瞳をとらえて追尾する「瞳サーボAF」を新たに搭載。AFを動作させると、左右の瞳からカメラに近いほうを自動的に選択して追尾し、瞳までの距離が左右で同程度なら画面中央に近いほうの瞳を自動選択する仕様になっている。タッチ操作やボタンと十字キー操作で左右の瞳の選択を手動で切り替えることも可能だ。なお、瞳サーボAFはファームウェアアップデートでEOS Rにも搭載される予定となっている。

人物の瞳を検出して自動的に追尾する瞳サーボAFを搭載

人物の瞳を検出して自動的に追尾する瞳サーボAFを搭載

選択できるAFフレームの細かさはEOS Rとは異なり、EOS Rは横87×縦65の最大5655ポジションだが、EOS RPは横81×縦59の最大4779ポジションとなっている。低照度限界性能もEV-5で、EOS RのEV-6と比べると1段分劣る。AF方式は、より小さなポイントでAFを動作できるスポット1点が加わって、代わりに、ラージゾーンAFがなくなった。

AF方式はEOS Rから一部変更となり、新たにスポット1点が追加された。ラージゾーンAFは非搭載となる

AF方式はEOS Rから一部変更となり、新たにスポット1点が追加された。ラージゾーンAFは非搭載となる

このほか、EOS RPにはフォーカスブラケット機能が搭載されているのも見逃せない。設定可能枚数2〜999枚/ステップ幅10段階に対応し、1回のレリーズで自動的にピント位置を変えながら連続撮影が可能だ。撮影後に「Digital Photo Professional」の深度合成機能を使用すれば、被写界深度の深い画像の生成できる。EOS Rもファームウェアのアップデートで対応するのかもしれないが、発表時点ではEOS RPのみの機能となっている。

シャッターユニットの耐久性や連写性能などはEOS Rに劣る

EOS RPは小型・軽量化を追求したフルサイズミラーレスの普及機。上位モデルEOS Pと比べると基本的な性能が劣っている部分もあるので、その点をしっかりと押さえたうえで選びたい。

大きなところではシャッターユニットが異なっており、EOS Rが耐久20万回のユニットだが、EOS RPは10万回となっている。最速シャッタースピードもEOS Rは1/8000秒に対応するが、EOS RPは1/4000秒にとどまる。また、EOS RPは先幕シャッターが非搭載で電子先幕シャッターでの動作となっている。

電子ビューファインダーはEOS R が0.5型/約369万ドット/倍率約0.76倍で、EOS PRが0.39型/約236万ドット/倍率約0.70倍。比べると見え方が少し狭くなるものの、フレームレートはEOS R と同じ60fps対応で必要十分な性能は確保していると言える。液晶モニターはタッチパネル対応のバリアングルタイプで共通しており、EOS Rは3.15型・約210万ドット、EOS RPは3.0型・約104万ドットと、こちらも上下モデルで差別化が図られている。

連写性能は、EOS Rが最高約8.0コマ/秒、最高約EOS RPが最高約5.0コマ/秒(いずれもワンショットAF時)。サイレント撮影への対応も異なっており、EOS Rはサイレントシャッターを選択するメニューがあり、マニュアル露出でもサイレント撮影を利用できる。先のファームウェアアップデートでサイレント撮影での連写にも対応した。いっぽうのEOS RPは、シーンモードに「サイレントモード」が用意されているが、こちらはプログラムAEで単写のみとなっている。

また、小型・軽量化とのトレードオフなので致し方ないが、ボディ周りで若干気になるのはバッテリーだ。EOS Rは一眼レフの中上位モデルと同じ「LP-E6N/LP-E6」を継承しているが、EOS RPはAPS-Cミラーレス「EOS M6」などと同じ「LP-E17」だ。EOS Rの撮影可能枚数の目安は約370枚で、EOS RPは約250枚。CIPAの基準と実際に撮れる枚数には差があるとはいうものの、EOS Rよりもバッテリーは持たないと考えていいだろう。

動画撮影は、EOS Rが約480Mbps での4K/30p記録対応で、EOS RPが約120Mbpsでの4K/24p記録対応。EOS RPはログ撮影(Canon Log)に標準で対応するほか、ハイビジョン120p記録なども搭載している。また、EOS RPは動画のデュアルピクセルCMOS AF対応がフルHD撮影時にとどまっている(4K撮影時は非対応)のもEOS Rとの違いだ。

EOS RPはシーンモードに「流し撮り」を搭載

EOS RPはシーンモードに「流し撮り」を搭載

サイレント撮影もシーンモードでの対応となる。プログラムAEで単写に限定される

サイレント撮影もシーンモードでの対応となる。プログラムAEで単写に限定される

EOS RPはインターバルタイマー撮影に対応している。EOS Rには搭載されていない機能だ

EOS RPはインターバルタイマー撮影に対応している。EOS Rには搭載されていない機能だ

EOS RPには、ボディ下部に装着する専用の「エクステンショングリップ EG-E1」(以下、EG-E1)を別売オプションで用意。ブラック、レッド、ブルーの3色のカラーバリエーションを選べる

レッドカラーのEG-E1を装着したイメージ

レッドカラーのEG-E1を装着したイメージ

EG-E1はボディに装着した状態でバッテリーカバーが開閉できるようになっている

EG-E1はボディに装着した状態でバッテリーカバーが開閉できるようになっている

5000台限定販売のEOS RPゴールドモデルも用意されている。ボディやレンズなどとあわせて、ゴールドカラーのEG-E1も付属する

新たにRFレンズ6本の開発も発表された。内訳は、ズーム全域で開放F2.8の大口径ズームレンズ3本(RF15-35mm F2.8 L IS USM、RF24-70mm F2.8 L IS USM、RF70-200mm F2.8 L IS USM)、開放F1.2の大口径・中望遠単焦点レンズ2本(RF85mm F1.2 L USM、RF85mm F1.2 L USM DS)、高倍率ズームレンズ1本(RF24-240mm F4-6.3 IS USM)となっている

キヤノンが戦略的にリリースした低価格モデル。幅広い層から支持を集めそう

EOS RPは、一眼レフも含めたEOSシリーズの中では、フルサイズ機としてはもっとも下位に位置付けられるモデルだ。普及機ではあるが、クラス最軽量の小型・軽量ボディに高画質と高速AFを搭載しており、スペックは十分。実売16万円前後という価格は非常にコストパフォーマンスが高く、フルサイズミラーレス市場に大きなインパクトを与えるモデルになるのは間違いない。

EOS Rの発売から約4か月しか経過していない中での発表は戦略的なうえ、発売時の価格としては一眼レフを含めてこれまで登場したどのフルサイズ機よりも安い。キヤノンが本気でフルサイズミラーレスのシェアを取りにきたモデルと言ってもいいだろう。ハイアマチュア向けの一眼レフ中上位機からの買い替えや、エントリー向けのミラーレス・一眼レフからのステップアップなど、幅広い層から支持を集めるフルサイズミラーレスになりそうだ。

ちなみに、モデル名RPの“P”の由来は、1959年発売のレンジファインダーカメラ「P型(Populaire)」となっている。Populaire(ポピュレール)はフランス語で「人気のある」「評判のよい」「大衆向け」といった意味で、P型はその名のとおり一般向けの普及機として登場。普及機ながら、完全等倍ファインダーやステンレス製薄膜シャッターを搭載したほか、当時の高級機にしか搭載されていなかった最高1/1000秒のシャッター速度も実現し、コストパフォーマンスの高いカメラとして大ヒットを記録した。EOS RPは、そのP型と同じように「コストパフォーマンスにすぐれた普及機」をコンセプトにしていることから、RにPをつけたRPというモデル名にしたとのことだ。

真柄利行

真柄利行

カメラとAV家電が大好物のライター/レビュアー。雑誌編集や価格.comマガジン編集部デスクを経てフリーランスに。価格.comではこれまでに1000製品以上をレビュー。現在、自宅リビングに移動式の撮影スタジオを構築中です。

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