レビュー
2月22日発売の最新モデル。価格.comでの評価も上々

オリンパスのプロ向けミラーレス「OM-D E-M1X」レビュー、注目の新機能を試した!

オリンパスのプロフェッショナル向けミラーレスカメラ「OM-D E-M1X」(以下、E-M1X)が2019年2月22日に発売になった。価格.comのユーザーレビューには、この新しいプロ機をいち早く購入した方からの書き込みがあり、評価も上々だ。ここでは、「インテリジェント被写体認識AF」や「手持ちハイレゾショット」など、E-M1Xに搭載された注目の新機能をレビューしよう。

高性能なプロ機としてオリンパスのラインアップに加わったE-M1X。装着レンズは高倍率ズームレンズ「M.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mm F4.0 IS PRO」

「インテリジェント被写体認識AF」の認識・追尾性能がすごい

E-M1Xの新機能で最もインパクトがあったのが「インテリジェント被写体認識AF」だ。平たく言えば、被写体自動検出と特定の被写体を追尾し続けるロックオンAFを組み合わせたような機能。モータースポーツ(フォーミュラカー、ラリーカー、バイク)、航空機(飛行機、ヘリコプター)、鉄道(新幹線、電車、汽車)の3つの被写体を設定でき、それぞれの被写体を認識したうえで最適なポイント(ドライバーのヘルメット、飛行機のコックピット、鉄道の運転席)に自動的にフォーカス・追尾するという機能だ。

インテリジェント被写体認識AFは「C-AF+TR」時に有効な機能。追尾する被写体としてモータースポーツ、航空機、鉄道を選べる。このメニューで被写体を設定しておかないと機能がオンにならいので注意

今回、鉄道と飛行機を被写体に試してみたが、その検出・追尾精度の高さに驚かされた。鉄道は新幹線を被写体に、駅を高速で通過する場合や、ゆっくりと侵入してくる場合でテスト。C-AFの性能自体が飛躍的に向上していることもあるのだが、高速で通過する場合でも完全にカメラまかせのAFで運転席にピンポイントでAFが追尾してくれた。

離着陸する飛行機を遠くから撮影する場合は、広角であろうが望遠であろうが被写体をしっかりと認識。手前に被写体がある場合は誤認識もあったが、逆光であってもコックピットの認識率は高く、従来以上にAFエリア全体を使いながらの撮影がしやすく、かなり実用的だと感じた。

具体的には、あらかじめ構図を決めたうえで「被写体が画面に入ってくるのを待ってシャッターを切る」ような撮り方をする場合に、被写体を追いながらのフレーミングがとてもやりやすい。動く被写体を見ながら瞬間的に構図を微調整する場合でも、ピント位置をいったんロックする必要がなく、そのままシャッターを切ればいいだけで撮れる。他メーカーも含めてこれまでの被写体認識とは比べ物にならないというと大げさかもしれないが、本当にそれくらいの違いを感じた。

その動作については、以下の動画をご覧いただきたい。HDMI経由で画面表示を記録したものなので、カメラのモニターに表示される内容とは異なっている部分があるが、AF性能の高さは感じていただけるはずだ。

新幹線を被写体にAFを検証している最中に偶然ドクターイエローが現れたため、あわてて画角を調整してレンズを向けた様子を収めた動画。デフォーカスの状態から高速で通過する車両を狙ったが、車両を素早く認識してピントを合わせてくれた。遠ざかっていっても見えなくなるギリギリまで認識しているのもポイント。

「M.ZUIKO DIGITAL ED 300mm F4.0 IS PRO」を使って、駅を通過する新幹線をインテリジェント被写体認識AFで追尾している様子を収めた動画。車両ならびに運転席をしっかりと追尾しているのがわかるはずだ。

駅を発車する新幹線をズーミングしながら追いかけている様子を収めた動画。運転席にピンポイントでピントを合わせているのがわかる。いったんAFが運転席から外れてからの復帰も速い。

インテリジェント被写体認識AF作例
E-M1X、M.ZUIKO DIGITAL ED 300mm F4.0 IS PRO、300mm(35mm判換算600mm)、ISO200、F4、1/1000秒、ホワイトバランス:オート、ピクチャーモード:Natural、階調:標準、JPEG
撮影写真(5184×3888、7.95MB)

インテリジェント被写体認識AF作例
E-M1X、M.ZUIKO DIGITAL ED 300mm F4.0 IS PRO、300mm(35mm判換算600mm)、ISO200、F7.1、1/1250秒、ホワイトバランス:オート、ピクチャーモード:Natural、階調:標準、JPEG
撮影写真(5184×3888、7.74MB)

手持ちで50M相当の高精細画像を撮れる「手持ちハイレゾショット」

E-M1Xの新機能の中では「手持ちハイレゾショット」も注目度が高い。従来のハイレゾショットを手持ちで実現する機能で、16回撮影した画像をもとに50M相当の画像を生成してくれる。

晴天下の屋外でこの機能を試したところ、パンフォーカスで遠景を撮る場合に最も効果を発揮するが、比較的近く(2〜3m程度)の被写体を撮る場合でも、ブレのない高精細な画像を記録できた。手持ちで50M相当の画像を手軽に得られるのは利便性が高く、たとえば、登山などできる限り荷物を減らしたい場合に三脚がなくてもいいのはありがたい。撮影の携帯性を向上する便利機能と言えるだろう。

三脚ハイレゾショットとの違いはRAWの記録画素数で、手持ちはJPEGと同じ50M相当、三脚は80M相当。また、三脚ハイレゾショットは最速1/50秒までであればフラッシュを利用できるが、手持ちでは不可となっている。

手持ちハイレゾショットは、三脚時と同様、絞りは開放からF8まで、感度はISO1600まで設定することができる

手持ちハイレゾショットは、三脚時と同様、絞りは開放からF8まで、感度はISO1600まで設定することができる

手持ちハイレゾショット作例
E-M1X、M.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mm F4.0 IS PRO、12mm(35mm判換算24mm)、ISO200、F8、1/400秒、ホワイトバランス:オート、ピクチャーモード:Natural、階調:標準、JPEG
撮影写真(8160×6120、22.5MB)

「ライブND」は使い方に注意が必要だが便利な機能

「ライブND」は、オリンパスらしいユニークな新機能だ。複数の画像を合成して疑似的に露光時間を延ばし、NDフィルターを使わなくてもスローシャッター効果を使った表現が得られるというもの。効果の段数はND2(1段分)〜ND32(5段分)の5段階から選択可能で、露出のシミュレーションにも対応。フィルター装着による色被りがない、レンズごとにフィルターを付け替える手間が省ける、というだけでなく、魚眼レンズなどフィルター装着が難しいレンズを使う場合にも便利だ。

ND2〜ND32の5段階で効果を選べる

ND2〜ND32の5段階で効果を選べる

スローシャッターの効果を画面で確認することも可能

スローシャッターの効果を画面で確認することも可能

ただし、使用上の制限がいくつかある。フラッシュ利用は不可で、感度の上限はISO800、最長シャッタースピードは60秒。ND効果の段数によって最速シャッタースピードも決まっており、ND2では1/30秒、ND3では1/15秒と1段ずつ遅くなり、ND32では1/2秒となる。利用可能な撮影モードはシャッタースピード優先とマニュアル露出で、バルブ撮影には対応していない。

さらに、周囲の明るさや被写体の動き方・速度にも気を付けたいところ。自動車の光線を残す長秒撮影では、あまり暗くない状況でライブNDを使用すると合成用画像を撮影する1回のシャッター速度が速くなってしまい、光線がきれいに残らない。直線や曲線などの光の軌跡を残す場合は、シャッター速度が遅くなる状況(暗い状況)で行ったほうがよい結果が得られるだろう。

また、露出のシミュレーションは便利な機能ではあるが、シャッタースピードが遅い状態だと画面への反映が遅くなり、手持ちでフレーミングをすると効果がわかりにくくなる。三脚にカメラを固定し、構図を決めたうえでオンにするといいだろう。

ライブND作例
E-M1X、M.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mm F4.0 IS PRO、14mm(35mm判換算28mm)、ISO64、F14、1/2秒、ホワイトバランス:オート、ピクチャーモード:Natural、階調:標準、JPEG
撮影写真(5184×3888、9.75MB)

最高約7.5段分の手ブレ補正。長秒撮影時の補正力はE-M1 Mark IIと同等

オリンパス製ミラーレスは、他を圧倒する高性能なボディ内手ブレ補正を搭載しているのも特徴。E-M1Xでは、従来比で5倍相当の手ブレ検出精度を持つ新開発のジャイロセンサーを搭載し、カメラボディのみで最高7.0段分、M.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mm F4.0 IS PRO使用時で世界最高となる最高約7.5段分の補正性能を達成している。

今回、M.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mm F4.0 IS PROを利用して手ブレ補正をテストしてみたが、確かに、その性能は非常に高い。回転ブレによる周辺部の画質低下はあるものの、12mmでは2〜3秒程度、100mm近辺では1/2秒程度のシャッタースピードが確保できれば、高い確率で手ブレを抑えることができた。

ただし、極端な長秒撮影において「E-M1 Mark II」を大きく凌駕するほどの補正性能を発揮するわけではなかった。E-M1 Mark IIは数秒のシャッタースピードでも手ブレを抑えて撮れることで話題となったが、E-M1Xも長秒撮影での成功率はそれと同じくらいと考えてもらっていい。発表会では、M.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mm F4.0 IS PROを使って100mm(35mm判換算200mm)で遠景を手持ち撮影した場合に、4秒のシャッタースピードでも手ブレを抑えられることをアピールしていたが、100mmで4秒の成功率はかなり低いという印象だ。

これはE-M1Xのボディの重さも影響していると思われる。縦位置グリップ一体構造でボディが重くなっているため、望遠レンズ撮影時のホールド性は高いのだが、手持ちでの長秒時に安定した構えを続けるのは難しい。夜景などを長秒撮影で手持ち撮影したいのであれば、機動力の高いE-M1 Mark II(※縦位置グリップを付けない状態)のほうが向いているように思う。

E-M1X は、M.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mm F4.0 IS PRO使用時で最高約7.5段分の補正効果を発揮する

E-M1X は、M.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mm F4.0 IS PRO使用時で最高約7.5段分の補正効果を発揮する

手ブレ補正検証作例
E-M1X、M.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mm F4.0 IS PRO、14mm(35mm判換算28mm)、ISO200、F8、2.5秒、ホワイトバランス:オート、ピクチャーモード:Natural、階調:標準、JPEG
撮影写真(5184×3888、11.8MB)

手ブレ補正検証作例
E-M1X、M.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mm F4.0 IS PRO、92mm(35mm判換算184mm)、ISO200、F4、1/2秒、ホワイトバランス:オート、ピクチャーモード:Natural、階調:標準、JPEG
撮影写真(3888×5184、7.85MB)

E-M1Xのシャッターボタンのストロークは非常に浅い。レスポンスよく撮影することができる

E-M1Xのシャッターボタンのストロークは非常に浅い。レスポンスよく撮影することができる

プロ機らしく、ボタンのレイアウトや操作感もよく考えられている。1点気になったのはメニューボタンが左下にレイアウトされていて、特にモニターを開いた状態だと、カメラをホールドしながら押すのに少し手間取ったこと。使い慣れれば問題ないが、E-M1 Mark IIユーザーは使い始めに少し気になるかもしれない

まとめ E-M1 Mark IIユーザーにこそ選んでほしい高性能モデル

E-M1Xは、画像処理エンジン「TruvePic VIII」を2基搭載するなどして、E-M1 Mark IIとはまったく別物の高性能モデルに進化を遂げたと言っても言い過ぎではない。ここで紹介した新機能だけを取っても、E-M1Xの性能の高さを感じていただけるはずだ。カード書き込み中でも画像再生や設定変更が可能になるなど、細かいところの利便性も向上している。

価格は価格.com最安価格(2019年2月25日時点)で33万円程度。AFや連写、手ブレ補正、信頼性などの高さを考慮するとこの価格はけっして高くはない。特にE-M1 Mark IIユーザーで、ネイチャー系やスポーツなどで本格的な撮影を行っている方であれば、その進化を強く実感できるだろう。E-M1 Mark IIユーザーでオリンパスのカメラを使い倒している方にこそ選んでほしいカメラだ。E-M1X はフィールドでの本格的な撮影用に、E-M1 Mark IIはスナップや旅行用に、という贅沢な使い分けもいいだろう。

真柄利行

真柄利行

カメラとAV家電が大好物のライター/レビュアー。雑誌編集や価格.comマガジン編集部デスクを経てフリーランスに。価格.comではこれまでに1000製品以上をレビュー。現在、自宅リビングに移動式の撮影スタジオを構築中です。

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