レビュー
日常を面白く撮影したいすべての人へ

小型ジンバルカメラ「Osmo Pocket」レビュー、毎日持ち歩いても苦にならない新ジャンルのカメラ

昨年末に発売されたDJIのスタビライザー搭載のハンドヘルドカメラ「Osmo Pocket」。高さ121.9mmのコンパクトなボディに1/2.3型センサーを備え、4K/60pの動画撮影に対応する。どんな動画が撮影できるのか、カメラマンの吉村永氏にレビューしてもらった。

Osmo Pocket の本体サイズは36.9(幅)×121.9(高さ)×28.6(奥行)mm、重量116g。この小型ボディに強力な「3軸アクティブジンバル」を備える

ポケットサイズなのに単独撮影できるのがうれしい

Osmo Pocketはドローンなどでおなじみの中国DJIの“超小型ジンバルカメラ”だ。

ジンバルというのは、ひとことで言ってしまえば強力な動画用の手ぶれ防止装置。主に撮影者が歩いたり走ったりしながら撮影する時に使うもので、まるで見えないレールの上をカメラがホバークラフトのようにスムーズに進んでいくかのような映像を撮影できる。カメラ内の手ぶれ補正機能と違い、カメラそのものを取り付けて揺れを吸収してしまうものだ。

古くは映画用のSTEADICAMというカメラをやじろべえのような重量バランスをとったアームに載せて撮影するものだったが、本モデルを含む最近のものは「アクティブ・ジンバル」と呼ばれ、リアルタイムでセンサーが揺れを感知し、それをキャンセルするように電子アクチュエーターでカメラを動かして揺れを吸収する。Osmo Pocketはパン軸/チルト軸/ロール軸、つまり左右/上下/水平方向回転を補正してくれる「3軸アクティブジンバル」を備える。特別な訓練なしでもそれなりに美しい“ムービングカメラ”撮影ができると言っていいだろう。

これまでもジンバルカメラは業務用・家庭用を含めてたくさんリリースされてきたが、このOsmo Pocketが画期的と言えるのは、何といってもこのサイズ。高さ121.9mm、重量わずか116g。「ポケット」「ミニ」といった名前を冠したガジェットは多いが、間違いなくポケットに入るサイズだと言える。

タッチ操作対応の1型液晶を搭載。スマホライクな直感的な操作が可能

タッチ操作対応の1型液晶を搭載。スマホライクな直感的な操作が可能

それにもましてうれしいのは、この小さな本体だけで単独撮影ができること。多くのジンバルカメラは、映像のモニターとしてスマートフォン(スマホ)を組み合わせて使わなくてはいけないのだが、咄嗟(とっさ)の撮影の時にこのセッティングが面倒なのだ。また、多くのモデルはスマホとの映像インターフェイスがWi-Fiなどの無線となっているため、撮影中にモニター映像が乱れることやセットアップに時間がかかることも多かった。

ところがOsmo Pocketは本体に切手サイズよりも小さい(実測20×18mmほど)のタッチ液晶パネルを搭載。電源ボタンを押したら、ものの5秒で撮影を開始できる。

本体にはボタンが2つしかなく、左が撮影のスタート&ストップを操作する「シャッター/録画ボタン」、そして右側が電源と動画/写真のモード切り替えの「電源/ファンクションボタン」だ。それ以外の設定はほとんどがタッチ液晶で行える。画面が小さいのでメニュー操作が大変ではないかと思ったのだが、ほとんどの項目は1画面1アイコンの大きな表示で、タップとスワイプで快適に行える。

スマホとドッキングでさらに便利に使える

実際の撮影も簡単だ。電源ボタンを2秒間押して電源を入れたら、あとは撮影スタートボタンを押すだけ。カメラで特定の被写体を追うのもとても簡単。画面上で撮影したい被写体を指でドラッグすると、その中の被写体をパターン認識していつも画面の中心あたりにくるようにカメラが追いかけてくれる。残念なのは、この便利な追従機能が4K撮影時には使えないこと。小型カメラとしてはまだ珍しい、秒間60コマの本格的な4K撮影機能を搭載しているだけに、ここで便利な機能が生かせないのは惜しい。

街などを歩きながらさまざまなものを写したい場合、ジンバルはカメラを左右に振ってもこれをブレとみなして思う方向に向きにくかったりするものだが、こういう場合にはFPVモードに切り替えれば、敢えて速い動きをキャンセルせずに素早い動きでもカメラが思う方向に向きやすくなる。

それでもあちこちにカメラを向けているうちにだんだんとカメラの向きがセンターからずれてしまったと感じた時には右ボタンをダブルクリックすればすぐさま上下左右ちょうど真ん中の初期位置に戻る。そしてタッチ画面右端を指で上下にスライドすれば、カメラの上下向きも調整可能だ。

大きなジンバルでは本体にジョイスティックが装備されていて、これを動かせばカメラの向きが自由に微調整できるものがある。Osmo Pocketにこれがないのは残念だが、スマホを組み合わせると可能になる点には唸らされた。

本体には付け替え式の「USB Type-C/Lightning」端子が搭載されているのだが、専用アプリ「DJI MIMO」をダウンロードしたスマホにこの端子をつなげればOsmo Pocketとスマホがドッキングし、スマホの画面で撮影中の映像をモニターしたり、細かなセッティングも画面で行うことができる。この時、スマホ画面にバーチャルジョイスティックが表示されるので好きな方向に指をスライドさせればカメラの向きがどの方向にでも微調整できてとても便利だった。

本体中央部は着脱式コネクターになっている。iPhone用のLightning端子(写真)とAndroid用のUSB Type-C端子が付属しており、普段は端子を右向きにして収納しておき、スマホ接続の時は反転させるとスマホに直結できる

アップルの「iPhone XS Max」に取り付けた例。Lightning端子だけで接続し、ドッキングする形なので強度が不安になったが、本体が小さく、軽量なこともあって撮影を始めると外れたりすることもなく快適だった。なお、スタンドは「Joby スマートフォン用ミニ三脚 グリップタイトONEマイクロスタンド ブラック JB01492-0WW」を使用した

動画画質をチェック

さて、肝心の動画画質はどうだろう。センサーは1/2.3型、レンズは80度画角のF2.0ということなので、実質的な画角は35mm判カメラ換算で26〜27mmといったところ。スペック的には、ほぼスマホのカメラといった感じだ。

実際に撮影すると、輪郭がくっきりとシャープな描写で、スマホ的な画質というよりはもっと高画質で、家庭用ビデオカメラ的。単体のビデオカメラと考えてもがっかりすることのないレベルと言える。ただし、暗い場面にはあまり強いとは言えず、屋内撮影や夜間の撮影では色がくすみ、解像度が低くなる印象。写真であれば感度を低くしてシャッター速度を遅くすることで画質が稼げるが、コマ数の関係でシャッター速度を遅くできない動画では、このあたりがスマホカメラから大きく性能アップできないセンサーサイズからくるジレンマを感じるところ。

肝心のジンバルによる揺れの補正効果は強力。ただし、カメラの軽さも手伝って歩きながらの撮影では上下ブレが目立ちやすい。これは映画用の大型ジンバルであれば上下ブレを吸収するスプリング付きのハンドルアームで軽減させられるのだが、超小型モデルでは忍者のようにすり足気味で歩き、Osmo Pocketを垂直に立てて持つのではなく、ペンライトのように前に倒して差し出す形でのホールディングにするなど使い方で軽減するしかない。

山道を登りながら撮影。ちょっとした上下動は残っているものの、大きな画面の乱れや揺れを感じることなくスムーズな動きが撮影できている。

YouTuber的な使い方で気になるのは自分にカメラを向けた撮り方だが、Osmo Pocketは右ボタンをトリプルクリックすればいつでもカメラが撮影者の方向を向くようになっている。この時、顔認識のフェイストラック機能で画面から顔がフレームアウトしにくくすることも可能。レンズ画角は前述の通り26〜27mm相当なので、かなり手を伸ばした状態で撮影することになる。音声は、かなり明瞭に録音できるので、ひとり中継であれば別途マイクを用意しなくても多くのシーンでセリフの収録は行えそうだ。

この音声関係では、マイクの位置に注意したい。マイクは2か所で、録画ボタンの上あたりとボディ底面にある。どちらも本体グリップ部分なので、手でふさがないように注意したい。また、別売アクセサリー「3.5mmアダプター」をUSB Type-C端子に装着すればマイク入力も可能になる。

モデルに自撮りしながら歩いたり、その場で回転してもらったものを4K撮影。内蔵マイクだが声は明瞭に録れ、レポート動画などの撮影にも持ってこい。
モデル:山口奈々美

マイクは2か所。録画ボタンの右上と、底面USB Type-C端子の左側にある小さな横長の穴がそれだ

マイクは2か所。録画ボタンの右上と、底面USB Type-C端子の左側にある小さな横長の穴がそれだ

本体サイド部にmicroSDメモリーカードスロットを、底面にUSB Type-C端子を装備している。給電/充電もここから行う

まとめ

Osmo Pocketは毎日、カバンに入れて持ち歩けるほどに小さく、シンプルでありながら動画も写真も撮影でき、タイムラプス撮影やパノラマ写真撮影など機能豊富。そして最大140分の内蔵バッテリーの寿命が足りなければUSB Type-C端子に汎用のモバイルバッテリーを装着し、給電しながら撮影が可能。乗り物や、自分の体にマウントして撮影したい場合は「GoPro」などの専用マウントを流用できる。そして水深60mでの撮影が可能になる防水ケースも発売予定、とアクセサリーなどによる機能アップにも対応する。

スマホカメラの高性能化により、多くの人が単体のカメラを持ち歩く必要がなくなっている。だが、その中でこのOsmo Pocketはスマホではできない撮影が楽しめ、毎日持ち歩いても苦にならない新しいジャンルのカメラと言える。日常を面白く撮影したいすべての人にすすめられるガジェットだ。

タイムラプス撮影の「モーションラプス」モードで夜の街道を撮影。3秒ごとに自動撮影を繰り返し、5分間を6秒ほどの動画にしてみた。面白いのは、ただのタイムラプスではなく、カメラを自動で動かしながらの撮影が楽しめること。カメラヘッド部分を指で好きな方向に向けて画面にタッチをすると向きを記憶。さらに動かしてタッチして位置を記憶すると、複雑な動きも簡単に覚えさせられて再現して撮影してくれる。

■関連記事
・超絶コンパクトな4K対応ジンバル一体型カメラ「Osmo Pocket」がデビュー

吉村 永

吉村 永

テレビ番組制作から雑誌編集を経てフリーランスに。音楽ものVideoClipの撮影から雑誌、新聞などの取材、芸能誌でのタレント、アーティストなどの撮影を中心とする人物写真のカメラマン。カメラグランプリ2018選考委員。最近はドローンも飛ばしてます!

記事で紹介した製品・サービスなどの詳細をチェック
関連記事
価格.comマガジン タイムセール
「価格.comマガジン」プレゼントマンデー
ページトップへ戻る