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メカシャッターレスでベイヤーセンサー。思い切った仕様にも注目

シグマ初のフルサイズミラーレス「SIGMA fp」が突如発表! 世界最小・最軽量を実現!

Lマウントのフルサイズミラーレスの開発を発表していたシグマから大きなニュースが届いた。2019年7月11日、世界最小・最軽量を謳うフルサイズミラーレス「SIGMA fp」が突如発表になったのだ。発売日(今秋以降を予定)や価格は未定だが、思い切った仕様を採用することで、フルサイズながら手のひらサイズのコンパクトボディを実現した、注目度の高いカメラとなっている。今回発表になった情報をもとに特徴を紹介しよう。

SIGMA fpは、ライカ、パナソニック、シグマの3社による「Lマウントアライアンス」に基づいて開発されたフルサイズミラーレス。Lマウントを採用し、ライカやパナソニックのLマウントレンズも使用することができる

ユーザー本位で開発された「まったく新しいシステムカメラ」

まず、今回発表になったSIGMA fpのコンセプトを見ていこう。シグマ初のフルサイズミラーレスということで「高性能・高機能を追求したカメラ」を想像するかもしれないが、SIGMA fpは、これまでのフルサイズミラーレスにはなかったようなコンセプトで開発されたカメラとなっている。

シグマは、用途やシーンに応じて高性能なレンズ交換式カメラとスマートフォンを使い分けるようになった現在の撮影や表現をとりまく環境から、「デジタルカメラそのものの本質的な価値」を問い直すことを考えてSIGMA fpを開発。メーカー発想のカテゴリーやヒエラルキーに合わせるのではなく、より柔軟でリアルな「カメラのありかた」を反映した、「使うひと本位のデジタルカメラ」を目指したという。「ポケッタブル・フルフレーム」「変幻自在の拡張性」「本格的で自在な撮影性能」という3つのコンセプトを掲げ、本当に必要な要素や機構だけを吟味し、「今シグマが提案できるまったく新しいシステムカメラ」になっているという。

「ポケッタブル・フルフレーム」のコンセプトを特に具体的に示しているのが、驚くような小型・軽量ボディを実現していること。発売日が決まっていない製品ではあるが、SIGMA fpは2019年7月現在でフルサイズミラーレスとして世界最小・最軽量を達成している。そのサイズは112.6(幅)×69.9(高さ)×45.3(奥行)mmで、重量は422g(バッテリー、SDメモリーカードを含む)。キヤノン「EOS RP」(幅132.5×高さ85.0×奥行70.0mm、約485g)、ソニー「α7」(幅126.9×高さ94.4×奥行54.8mm、約474g)と比べてもひとまわり小さくて軽く、コンパクトなAPS-Cミラーレスと変わらないサイズ感なのは驚きだ。

約210万ドットの3.13型モニター(タッチパネル対応)を採用。ダイヤルやQS(クイックセット)ボタンを使ったシグマ独自の操作性を継承しつつ、トーンコントロールとカラーモードに素早く移行できるように、「TONE」ボタンと「COLOR」ボタンを新たに搭載している

底面に、UHS-II対応のSD/SDHC/SDXCメモリーカードスロットを装備。バッテリーはレンズ一体型の「dp Quattro」シリーズと同じ「BP-51」。カメラ電源OFF時は、USB給電による本体内充電が可能だ

小型・軽量化を追求しながら筐体がしっかりとした作りになっているのも特徴。ボディの前後カバーにアルミニウムダイカストを使用し、堅牢性・放熱性の確保と軽量化を両立した。さらに、カメラ本体の42か所に防塵防滴用シーリングも採用している。ここまで小さなボディだと放熱処理が気になるところだが、SIGMA fpは大型のヒートシンクをモニターとボディの間に搭載することで高い放熱性を実現。高気温下や長時間の撮影でもオーバーヒートを抑制し、安定した撮影が可能とのことだ。

左側面に、USB端子(USB3.1 Gen1 TypeC)、HDMI端子(Type D)、外部マイク端子(リモート端子兼用)を装備。USB端子はポータブルSSD(バスパワー対応)への外部記録に対応する

非常にコンパクトなボディなので、フルサイズミラーレス用の新しい単焦点レンズ「SIGMA 45mm F2.8 DG DN」との相性もよさそうだ

ボディにホットシューは備わっておらず、専用ホットシューユニット「HU-11」が付属する。HU-11はストラップ部分を取り外して装着するようになっているため、外部ストロボ装着時はこのようなスタイルになる

専用LCDビューファインダー「LVF-11」を別売アクセサリーとして用意。3/8インチネジを使用することで一般的な映像撮影用アクセサリーを接続できるベースプレート「BPL-11」を使うことで取り付けられる。このほかの別売アクセサリーでは、専用のハンドグリップやケーブルレリーズなどを選べるが、外付けのEVFは用意されていないようだ

シグマのデジタルカメラとしては初めてベイヤーセンサーを採用

圧倒的な小型・軽量化に加えてSIGMA fpで驚きなのは、撮像素子に、一般的なデジタルカメラに搭載されるベイヤー配列のセンサーを採用することだ。シグマのデジタルカメラといえば3層構造のFoveonセンサーが代名詞だが、SIGMA fpは同社のデジタルカメラとしては初めてのベイヤーセンサーモデルとなる。ローパスフィルターレス仕様で有効2460万画素の裏面照射型フルサイズセンサー(35.9×23.9mm)を搭載した。

ベイヤーセンサーの採用によって、画質面では、間違いなく従来よりも高感度に強くなる。常用設定でISO100からISO25600に対応することからも、Foveonセンサー機と比べて高感度画質が大幅によくなっていると見ていい。拡張感度で高感度側はISO51200とISO102400が用意されているほか、低感度側はISO6、ISO12、ISO25、ISO50と細かく設定できるのも興味深い。さらに、ベイヤーセンサーでは処理速度向上によるスムーズな撮影や、より安定した動作も実現できる。Foveonセンサーを採用するミラーレス「sd Quattro」シリーズは炎天下で使用しているとオーバーヒートすることがあるが、SIGMA fp ではそれが解消されることを期待しよう。

さらに、ボディのコンパクト化にも寄与している部分だと思われるが、メカシャッターをなくし、電子シャッターのみの構造を採用したのもほかのフルサイズミラーレスにはない点だ。電子シャッターは無音撮影が可能で機構ブレを抑えて撮れるのがメリット。高速連写と高速シャッタースピードを実現しやすく、SIGMA fpは最高18コマ/秒の高速連写を実現している(最大撮影コマ数は12コマ)。シャッタースピードは最速1/8000秒で、sd Quattroシリーズの最速1/4000秒よりも速い。

いっぽうで、電子シャッターはローリングシャッターによる動体歪みとフリッカー光源下での縞模様現象が発生しやすいのがデメリット。SIGMA fpの撮像素子の詳細はまだ不明だが、1/30秒以下(14bit RAW時は1/15秒以下)というフラッシュの同調速度からは、スキャン速度は一般的なフルサイズセンサーと同レベルか、それよりも少し速い程度と予想できる。さすがにソニーの「α9」のようなアンチティストーション仕様ではないので、動きの速い被写体を撮影した際は歪みが発生するほか、フリッカー光源下ではシャッタースピードを工夫して使う必要があると思われる。

画質に関する機能では、トーンコントロールメニューにマニュアル設定を追加。カラーモードメニューは各効果の強調具合を±5の11段階から設定できるようになった。カラーモードには、ハリウッド映画などで人気の高いカラーグレーディング手法に着想を得た「ティールアンドオレンジ」が追加されている。さらに、RAW現像ソフト「SIGMA Photo Pro」で利用できるFill Light機能をカメラ本体に搭載。Fill Light機能は、明るい部分の露出を変えることなく、暗い部分にライトを追加するように明るさを調整できるのが特徴で、カメラ側でコントロールできるようになったのは大きい。調整範囲も従来の±2.0から±5.0に拡張されている。カメラ内で細かく画質を設定できるようになったことで、従来よりもJPEG撮って出しが使いやすくなりそうだ。

AFは49点のコントラストAFで、動体予測機能付きのコンティニュアスAFに対応。低輝度限界は-5EV(F1.4時)。顔/瞳優先AFやフォーカスピーキング機能も備わっている。さらに、ユニークな撮影機能として、異なる露出の3コマを撮影・合成することで広いダイナミックレンジを実現するHDR撮影と、写真の一部が動き続けるGIFアニメーションを生成する「Cinemagraph」機能も搭載している(※Cinemagraphは発売後のファームアップで実装予定)。

12bitの動画RAWデータの記録に対応

SIGMA fpは、ベイヤーセンサーを採用したことで動画撮影機能が大幅に進化している。他メーカーに先駆けて動画RAWデータの記録を実現しており、業務用を除いたミラーレスでは初めて12bit CinemaDNGフォーマットの外部記録に対応。12bitでの4K UHD/24fps動画の収録が可能となっている。10bit/8bit時は4K UHD/30p動画の記録が可能だ(※CinemaDNGデータのカメラ内再生は発売後のファームアップで実装予定)。

さらに、フルHD記録では最大120fpsでのハイスピード撮影が可能。パソコンとUSB接続をするだけで、Webカメラと同じように使用できるUVC (USB Video Class) 規格にも対応している(※UVC接続時のメニュー設定は発売後のファームアップで実装予定)。

なお、SIGMA fpはHDMIスルー出力での外部レコーダー記録に加えて、USB端子(USB3.1 Gen1 TypeC)経由での外部SSDへの記録にも対応しているが、どの記録媒体(本体内のSDメモリーカード、外部レコーダー、外部SSD)がどの動画記録方式に対応するかの詳細は現時点では決まっていないようだ。

上面に、静止画撮影と動画撮影を切り替えられるスイッチを用意する

上面に、静止画撮影と動画撮影を切り替えられるスイッチを用意する

機能面でも、シャッター角度表示や、露出や色情報の波形表示機能、ゼブラパターン表示機能など、本格的な映像制作に必要な機能を搭載。動画でも、異なる露出の2コマを合成するHDR撮影にも対応する(※発売後のファームアップで実装予定)。さらに、シネマカメラによる画角や見え方をシミュレーションできるディレクターズビューファインダー機能も搭載。シネマカメラで使用されるアクセサリーとの互換性も確保しているとのことだ。

このようにSIGMA fpは、本格的な動画制作に対応できるポテンシャルを持つフルサイズミラーレスとなっている。「シグマのデジタルカメラ=静止画専用」という印象の方も多いと思うが、その印象を覆す、充実した動画撮影機能を持つカメラだ。

映像制作の現場で使用しやすいように、シネマカメラライクなユーザーインターフェイスに対応している

映像制作の現場で使用しやすいように、シネマカメラライクなユーザーインターフェイスに対応している

まとめ スナップ用として熱狂的な人気を集める可能性がある

SIGMA fpは、新しいコンセプトに基づいてかなり思い切った仕様を採用したフルサイズミラーレスだ。特にメカシャッターレス仕様にしたのは驚き。電子シャッターのみの動作になるのでけっしてオールマイティーに使えるわけではないが、フルサイズミラーレスとしては圧倒的な小型・軽量なのは魅力で、静止画撮影ではスナップ用として熱狂的な人気を集めるカメラになる可能性がある。画質面でも、シグマがベイヤーセンサーでどこまで高画質を実現できるのかにも注目したい。さらに、ベイヤーセンサーによって安定した動作が可能になると思われるが、撮影のレスポンスがどのくらい向上するのかも見どころだ。

なお、Foveonセンサーを搭載するフルサイズミラーレスは、SIGMA fp発売後、2020年のリリースが予定されている(※Lマウントアライアンスの発表当初は2019年リリースだったが、CP+2019にて、センサー開発の遅れから2020年に延期することを発表している)。SIGMA fpとあわせて、Foveonセンサー機の動向にも注目していきたい。

真柄利行

真柄利行

カメラとAV家電が大好物のライター/レビュアー。雑誌編集や価格.comマガジン編集部デスクを経てフリーランスに。価格.comではこれまでに1000製品以上をレビュー。現在、自宅リビングに移動式の撮影スタジオを構築中です。

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