レビュー
シネマ用カメラに匹敵する動画撮影機能に注目のフルサイズミラーレス

世界初の6K/24p記録を実現! パナソニック「LUMIX S1H」特徴レポート

パナソニックは、Lマウントを採用するフルサイズミラーレス「LUMIX Sシリーズ」の新モデルとして、「LUMIX S1H(DC-S1H)」を2019年9月25日に発売する。コンシューマー向けのデジタル一眼カメラとしては世界で初めて6K動画記録に対応するなど、シネマ用カメラに匹敵する充実した動画撮影機能を実現したことで話題を集めている。ここでは、発売前の試作機を用いて詳しい特徴を紹介しよう。

9月25日発売のLUMIX S1H。装着しているレンズは9月25日発売の大口径・標準ズームレンズ「LUMIX S PRO 24-70mm F2.8」

プロのニーズに応えられる多彩な記録モードを搭載。デュアルネイティブISOテクノロジーにも対応

LUMIX S1Hの充実した動画撮影機能の中でも特に注目なのは、6K動画記録を実現したこと。フルフレームでの「6K/24p記録(3:2比率)」のほか、フルフレームでの「5.9K/30p記録(3:2比率)」「5.9K/30p記録(16:9比率)」といった高解像記録モードを選択することが可能だ。プロの多様なニーズに応えられるように、フルフレームでの「Cinema4K/30p 4:2:2 10bit記録」やスーパー35mm画角での「Cinema4K/60p 4:2:0 10bit記録」など多彩な記録モードが用意されているのも特徴となっている。

さらに、音声付きスローモーション動画の制作用として、Cinema4Kならびに4Kでは48p、フルHDでは119.88pでの音声付きの撮影が可能な記録モードも新たに用意。動画記録中のHDMI映像出力にも対応しており、新たに、カメラ本体内にてCinema4K/60p 10bitならびに4K/60p 10bitで記録中であっても、HDMI端子からCinema4K/60pならびに4K/60pの4:2:2 10bit同時出力が可能になった。4Kでは60fps、FHDでは180fpsまで記録でき、スローモーション/クイックモーションでの再生が可能なVFR(バリアブルフレームレート)機能も搭載している。

また、発売後のファームウェアアップデートによって、LUMIX S1HからATOMOS社のApple ProRes RAW対応レコーダー「NINJA V」にHDMI経由で最大5.9K/29.97p、Cinema4K/59.94pの動画RAWデータ出力が可能になることも発表された。このファームウェアは2020年春を目途に提供される予定だ。

「6K/24p記録(3:2比率)」や「Cinema4K/30p 4:2:2 10bit記録」など多彩な記録モードが用意されている

「6K/24p記録(3:2比率)」や「Cinema4K/30p 4:2:2 10bit記録」など多彩な記録モードが用意されている

音声付きスローモーション動画の制作用としてCinema4K/48pなどの動画記録が可能(左)。VFR機能も利用できる(右)

Log撮影機能は、パナソニックのデジタルシネマカメラ「VARICAM」と同水準となる14+ストップの性能を実現した「V-Log/V-Gamut」に対応。VARICAMなどパナソニック製デジタルシネマカメラの絵作りの再現に注力した設計になっており、そうしたシネマ用カメラで撮影した映像と組み合わせる場合でも一貫した絵作りでカラーグレーディング作業を行えるという。また、LUT(ルックアップテーブル)のプロファイルをコピーすることで、映像編集後のイメージを確認しながら撮影できる「V-Logビューアシスト機能」も搭載。仕上がり設定の「フォトスタイル」には、グレーディングなしでもシネマライクな映像が撮影できる「シネライクD2」と「シネライクV2」を新たに追加した。

映像編集後のイメージを確認できるV-Logビューアシスト機能を搭載

映像編集後のイメージを確認できるV-Logビューアシスト機能を搭載

このほかの動画撮影機能ではアナモフィック撮影に対応。4:3アスペクトのアナモフィックレンズを使った場合に、シネマスコープサイズ相当に引き伸ばした状態をモニターにデスクイーズ表示できる。2.0倍、1.33倍に加えて、1.8倍、1.5倍、1.3倍のデスクイーズ表示にも対応するようになった。

さらに、業務用カムコーダーやシネマ用カメラで搭載されている、BNC端子によるTC IN/OUT機能拡張にも対応。同梱のBNC変換ケーブルをシンクロ端子に接続することで、マスターカメラが出力するタイムコードと同期する「TC IN」機能と、LUMIX S1H自身がマスターカメラとなる「TC OUT」機能を利用できる。別売のXLRマイクロホンアダプターを使用すれば、高性能なXLRマイクを装着することも可能となっている。

アナモフィック撮影時のデスクイーズ表示が可能

アナモフィック撮影時のデスクイーズ表示が可能

画質関連のスペックでは、撮像素子に、1画素ごとに専用回路を2系統備えた「デュアルネイティブISOテクノロジー」対応のフルサイズCMOSセンサー(有効2420万画素、ローパスフィルター搭載)を採用したのがトピック。「低ISO感度回路」と「低ノイズ・高ISO感度回路」の2系統の切り替えが可能となっており、高感度時に従来よりもノイズを抑えた撮影が可能だ。

デュアルネイティブISOは低感度と高感度を選択できるほか、自動的に切り替えて使うことも可能

デュアルネイティブISOは低感度と高感度を選択できるほか、自動的に切り替えて使うことも可能

ボディ内手ブレ補正は5軸対応で、高精度ジャイロセンサーと制御アルゴリズムの進化によって6段分の補正効果を実現。さらに、Lマウント規格のSシリーズレンズを使用した場合には、ボディ内手ブレ補正とレンズ内手ブレ補正を連動させる「Dual I.S. 2」によって6.5段分という高い補正効果を発揮する。

AFは、人の顔や瞳を認識して自動でピントを合わせる「顔・瞳認識AF」や、ディープラーニングを応用することで人物や動物に対する高精度なAF性能を実現した「人体・動物認識AF」を搭載している。

新構造の可動式モニターやステータスLCD、冷却ファンを搭載

LUMIX S1Hのサイズは約151.0(幅)×114.2(高さ)×110.4(奥行)mmで、重量は約1164g(バッテリー、SDメモリーカード1枚含む)。「LUMIX S1」と比べるとひと回り大きく、重量も150g程度重い。フルサイズミラーレスとしては最大・最重量のボディだ。マイクロフォーサーズ機の「LUMIX GH5」などと同じように、従来のデジタル一眼カメラのデザインを踏襲しつつ、より動画撮影に適した操作性を採用しているのが特徴だ。スチール用カメラとしての使い勝手はそのままに、動画撮影にも配慮したスタイルのカメラとなっている。

液晶モニターは約233万ドットの3.2型タッチパネル液晶で、新開発のチルトフリーアングル構造を採用。チルトとバリアングルを組み合わせたような新構造によって、HDMIケーブルやUSBケーブルを接続した状態でも干渉しないようになっている。また、屋外撮影での視認性に配慮し、モニターの最高輝度は従来比で約150%向上している。

背面のボタン・ダイヤル類のレイアウトは「LUMIX S1」とほぼ同じ

背面のボタン・ダイヤル類のレイアウトはLUMIX S1とほぼ同じ

側面に接続したケーブル類と干渉せずにアングルを調整できる新構造の液晶モニターを採用

側面に接続したケーブル類と干渉せずにアングルを調整できる新構造の液晶モニターを採用

ボディ上面には、1.8型のモノクロステータスLCDを搭載。静止画用と動画用のステータス表示が可能で、動画用ステータス表示では、記録フレームレートやシャッタースピード、絞り値、ホワイトバランス、感度などの各種設定を確認できる表示と、タイムコードや録音レベル、動画記録時間などリアルタイムに変化するステータスを確認できる表示を切り替えて使用できる。液晶の色はブラックとホワイトの2色から選択することが可能だ。

上面右側。1.8型のモノクロステータスLCDを搭載するほか、赤色で大きな形状の動画ボタンも備わっている

上面右側。1.8型のモノクロステータスLCDを搭載するほか、赤色で大きな形状の動画ボタンも備わっている

上面左側。モードダイヤルとドライブモードダイヤルを同軸に配置する

上面左側。モードダイヤルとドライブモードダイヤルを同軸に配置する

動画撮影時のモノクロステータスLCDの表示例。2種類の表示を切り替えられるほか、液晶の色(ブラックとホワイト)も選択できる

EVFは約576万ドットのOLEDファインダーで、倍率は約0.78倍。自然な明るさで、周辺までのゆがみやコントラストの低下を抑えた描写を実現した。最高フレームレート120fps、最短表示タイムラグ約0.005秒の高速表示にも対応している。

約576万ドット/倍率約0.78倍の高性能なEVFを採用

約576万ドット/倍率約0.78倍の高性能なEVFを採用

ボディの内部構造では、冷却ファンとヒートシンクによる放熱構造を採用したのが見逃せない特徴。これにより、動作保証温度内において時間無制限の動画記録を実現している。気になるのはファンの動作音だが、試作機を試した限りではまったく音がせず、撮影した動画にもノイズ音が入ることはなかった。さらに、マグネシウム合金フレームを採用したほか、防水ファンの採用やヒートシンク構造の防塵・防滴化によって、ファンを搭載しながらカメラ全体の防塵・防滴性とマイナス10℃の耐低温性も実現。シャッターの耐久回数は40万回を達成した。

冷却ファンやヒートシンクを内蔵しているため、液晶モニター部に段差のある構造となっている

冷却ファンやヒートシンクを内蔵しているため、液晶モニター部に段差のある構造となっている

SDメモリーカードのデュアルスロットを採用。両スロットともUHS-IIに対応している

SDメモリーカードのデュアルスロットを採用。両スロットともUHS-IIに対応している

左側面のインターフェイス部。USB端子はUSB Type-CでUSB PDでの充電・給電に対応する

左側面のインターフェイス部。USB端子はUSB Type-CでUSB PDでの充電・給電に対応する

前面と背面それぞれにカメラの動作を知らせるタリーランプを搭載。それぞれ機能をオフにすることもできる

前面と背面それぞれにカメラの動作を知らせるタリーランプを搭載。それぞれ機能をオフにすることもできる

まとめ プロ用のムービーカメラとしてはコストパフォーマンスが高い

LUMIX S1Hは6K/24p記録だけでなく多彩な記録モードや機能を搭載しており、デジタル一眼カメラとしては、2019年9月現在、最も充実した動画撮影機能を持つモデルだ。映像制作のプロフェッショナル向けであり、シネマ用カメラとしても活用できるフルサイズミラーレスとなっている。発売前ではあるが2019年9月14時点での価格.com最安価格は540,000円程度(ボディのみ、税込)。国内メーカーが手がけるフルサイズミラーレスとしては最も高額でニッチなモデルではあるが、プロ用のムービーカメラとして見るとコストパフォーマンスは高い。「100〜200万円以上するシネマ用カメラは予算的に難しいが、この価格(50万円程度)なら購入を検討できる」という、スチールもムービーも撮影するプロカメラマンから注目を集めそうだ。

興味深いのは、シネマ用カメラに匹敵する機能性を持ちながら、ボディは従来のデジタル一眼カメラのスタイルを継承していること。大規模な映像制作の現場ではサブカメラとして導入される製品だと思うが、ムービーとスチールの両方を個人で撮影するプロカメラマンにとってはこのスタイルのほうが取り回しがよく、メインで使いやすいカメラとなっている。

真柄利行

真柄利行

カメラとAV家電が大好物のライター/レビュアー。雑誌編集や価格.comマガジン編集部デスクを経てフリーランスに。価格.comではこれまでに1000製品以上をレビュー。現在、自宅リビングに移動式の撮影スタジオを構築中です。

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