特別企画
フルサイズミラーレスを中心に多彩なモデルが登場した2019年

一眼カメラ&コンデジ「2019年の振り返り」と「2020年への期待」


国内メーカーから登場した注目度の高いカメラを中心に、2019年のカメラ市場を振り返る年末企画。「フルサイズミラーレス」「APS-Cミラーレス」「マイクロフォーサーズ」「一眼レフ」「コンパクトデジカメ」のカテゴリー別に話題となったモデルを紹介し、最後に2020年に期待したい点をまとめて締めくくりたい。

フルサイズミラーレス 高性能モデルから小型・軽量モデルまで多彩なカメラが登場

低迷が続く現在のカメラ市場の中で、唯一堅調に推移していると言えるのがフルサイズミラーレスだ。“フルサイズミラーレス元年”となった2018年から2019年にかけて、先行していたソニーに加えて、キヤノン、ニコン、パナソニック、シグマといったメーカーが参入したことで一気に製品数が増えている。

市場をけん引しているソニーからは2019年に、高画素モデル「α7R IV」(9月発売)と、プロフェッショナルモデル「α9 II」(11月発売)が登場。α7R IVは有効約6100万画素の高画素を実現し、大きな話題となった。フルサイズ機としては初めての6000万画素オーバーで、APS-Cクロップでも有効約2620万画素で撮影が可能。画素数が向上したにもかかわらず、従来モデル「α7R III」と同様、AF・AE追従で最高約10コマ/秒の連写が可能など、ソニーの撮像素子の性能、ならびに画像処理技術の高さを感じるカメラである。α9 IIは電子シャッターで最高約20コマ/秒の超高速連写はそのままに、操作性やインターフェイス、メカ連写のコマ速などを強化したマイナーチェンジモデルで、プロ用としての立ち位置を強めたのが特徴だ。

有効約6100万画素の高画素センサーを採用したα7R IV

有効約6100万画素の高画素センサーを採用したα7R IV

α9 IIはプロ向けモデルとしての機能が強化された

α9 IIはプロ向けモデルとしての機能が強化された

新規参入メーカーでは、3月にパナソニックから同社初となるフルサイズミラーレス「LUMIX S1R」「LUMIX S1」が登場。有効4730万画素の上位機と有効2420万画素の下位機という組み合わせで、一眼レフ並みの大きくて堅ろうなボディに、フルサイズミラーレスでは初となる4K/60p動画記録などの高性能を実現して話題を集めた。プロ向けの要素が強いモデルではあるが、LUMIX S1Rは「カメラグランプリ2019」の大賞を受賞している。さらにパナソニックは、世界初の6K/24p記録を実現した動画機能強化モデル「LUMIX S1H」も9月にリリースし、積極的な動きを見せた。

有パナソニック初のフルサイズミラーレスとして登場したLUMIX S1R(左)とLUMIX S1(右)

パナソニック初のフルサイズミラーレスとして登場したLUMIX S1R(左)とLUMIX S1(右)

LUMIX S1をベースに動画機能を強化したLUMIX S1H

LUMIX S1をベースに動画機能を強化したLUMIX S1H

2019年は小型・軽量なフルサイズミラーレスも登場して注目を集めた。

キヤノンはフルサイズミラーレス第2弾として「EOS RP」を3月に発売。約485g(バッテリー、メモリーカードを含む)の小型・軽量ボディに第1弾モデル「EOS R」と同等の基本性能を搭載しながらも、実売16万円前後というコストパフォーマンスの高さで話題となった。第1弾モデル「EOS R」の発売から約4か月後という異例のスピードでの発表となり、キヤノンが本気でシェアを取りに来た戦略的なモデルであることをうかがわせた。

小型・軽量モデルとしては、シグマ初のフルサイズミラーレス「SIGMA fp」(10月発売)も写真愛好家から注目された製品だ。完全電子シャッターという思い切った仕様を採用し、フルサイズミラーレスとして世界最小・最軽量となる重量422g(バッテリー、メモリーカードを含む)のコンパクトボディを実現。動画RAWデータの記録に対応するなど、静止画だけでなく動画撮影にもこだわったカメラに仕上がっている。

小型・軽量なフルサイズミラーレスとして登場したEOS RP

小型・軽量なフルサイズミラーレスとして登場したEOS RP

世界最小・最軽量ボディを実現したSIGMA fp

世界最小・最軽量ボディを実現したSIGMA fp

このほか、フルサイズを超える大型センサー機では、富士フイルムの「GFX100」が有効約1億200万画素の超高画素を実現し、話題を集めた。民生用ミラーレスとしては2019年12月時点で世界最高の画素数を誇る。

有効約1億200万画素のラージフォーマットセンサーを採用したGFX100

有効約1億200万画素のラージフォーマットセンサーを採用したGFX100

APS-Cミラーレス 中上級機が続々とリリース。ニコン「Z 50」が人気

APS-Cミラーレスのリリースが盛況だった点も2019年のトピックとして紹介しておきたい。フルサイズミラーレスの影に隠れがちだが、2019年は充実したスペックの中上級機が続々と登場した

なかでも人気を集めたのが、11月に発売になったばかりのニコンの「Z 50」だ。同社のフルサイズミラーレス「Z 7」「Z 6」のスタイルを継承したコンパクトボディに、すぐれた操作性と画質性能を搭載。新しいキットレンズの評判もよく、同社初のAPS-Cミラーレスとして注目を集めたことを差し引いてもよく売れているようで、2019年12月27日時点の価格.com「デジタル一眼カメラ」カテゴリーではダブルズームキットが売れ筋ランキング1位に位置している。

発売から人気を集めているニコン初のAPS-Cミラーレス、Z 50

発売から人気を集めているニコン初のAPS-Cミラーレス、Z 50

積極的に製品を展開したのはソニー。長らくAPS-Cミラーレスのリリースがなかったこともあったが、2019年は「α6000」シリーズを一気にリニューアルし、「α6600」(11月発売)、「α6400」(2月発売)、「α6100」(10月発売)の3モデルを投入した。いずれも「リアルタイムトラッキング」や「リアルタイム瞳AF」が可能なAFシステムと、AF・AE追従で最高約11コマ/秒の連写を実現したのが特徴。最上位のα6600は、ボディ内手ブレ補正機能や高容量のZバッテリー「NP-FZ100」を採用するほか、動画撮影時のリアルタイム瞳AF(人物のみ)にも対応している。

ボディ内手ブレ補正機能などを搭載するハイエンドモデルα6600

ボディ内手ブレ補正機能などを搭載するハイエンドモデルα6600

富士フイルムも2019年に3モデルのAPS-Cミラーレスをリリースした。一眼レフスタイルの下位モデル「X-T30」を3月に、エントリーモデルの「X-A7」を10月に、そしてレンジファインダースタイルの「X-Pro3」を11月に発売。小型・軽量ながら、第4世代の裏面照射型2610万画素「X-Trans CMOS 4」センサーと画像処理エンジンを「X-Processor 4」搭載し、上位モデル「X-T3」に匹敵する性能を実現したX-T30も人気モデルとなったが、最も話題を集めたのはX-Pro3だ。液晶画面を裏側に配置した斬新な「Hidden LCD」を採用することで、あえてモニター撮影をやりにくくし、ファインダーでの撮影に徹底的に集中できるカメラに仕上げた。

Hidden LCDという斬新な構造を採用したX-Pro3

Hidden LCDという斬新な構造を採用したX-Pro3

キヤノンからは、大幅なスペックアップを果たした「EOS M6 Mark II」が9月に登場。有効約3250万画素センサーや、最新の「デュアルピクセルCMOS AF」を搭載するほか、APS-Cミラーレスではクラス最速となる、AF・AE追従で最高約14コマ/秒の連写にも対応している。AF追従で最高約30コマ/秒の高速連写撮影が可能な「RAWバーストモード」も搭載しており、従来と比べて高速性が大きく向上したモデルだ。なお、キヤノンはエントリーモデルの「EOS M200」も10月にリリースしている。

クラス最速となる最高約14コマ/秒の高速連写を実現したEOS M6 Mark II

クラス最速となる最高約14コマ/秒の高速連写を実現したEOS M6 Mark II

マイクロフォーサーズ 「OM-D E-M1X」などオリンパスが積極的に製品を展開

オリンパスとパナソニックが展開している、マイクロフォーサーズ規格のミラーレス。2019年はオリンパスが積極的なリリースを見せた。

まず、画像処理エンジン「TruePic VIII」2基を装備するプロ向けの高性能モデル「OM-D E-M1X」を2月に発売。カメラボディのみで最高7.0段分、「M.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mm F4.0 IS PRO」使用時で世界最高となる最高約7.5段分という、驚異的な手ブレ補正機能を実現したほか、ミラーレスとして初めて縦位置グリップ一体型構造を採用するなど、プロ向けとして操作性や信頼性にもこだわったフラッグシップモデルだ。さらに、「OM-D」シリーズの中級機「OM-D E-M5 Mark III」と、エントリーモデル「PEN E-PL10」も11月にリリース。海外での生産拠点の再編もあって2017年から2018年にかけては中上位機のリリースがなく残念だったが、2019年はそれを巻き返す展開となった。

手ブレ補正機能などのさらなる性能向上を実現したOM-D E-M1X

手ブレ補正機能などのさらなる性能向上を実現したOM-D E-M1X

コンパクトボディに高性能を搭載する中級機OM-D E-M5 Mark III

コンパクトボディに高性能を搭載する中級機OM-D E-M5 Mark III

パナソニックからは「LUMIX G9 PRO」の絵作りを継承した「LUMIX G99」が5月に登場。4K/60p記録には非対応だが、新機能「ライブビューコンポジット」を搭載した中級機だ。

上位モデルの画質や機能を継承した中級機LUMIX G99

上位モデルの画質や機能を継承した中級機LUMIX G99

一眼レフ キヤノンの中級機「EOS 90D」が人気

新モデルが続々と登場するミラーレスとは対照的なのが一眼レフだ。リコーイメージングのファクトリーカスタムモデル「PENTAX KP J limited」以外で、一眼レフの新モデルとして2019年に登場したのはキヤノンの「EOS 90D」「EOS Kiss X10」の2モデルのみ。プロ向けの上位機も含めて、いよいよミラーレスへの完全シフトを予感させる1年となった。

そんな中、キヤノンが9月に発売した「EOS 90D」が人気を集めている。有効約3250万画素センサーを採用しているうえ、従来モデル「EOS 80D」のAFシステムを継承しつつ、光学ファインダー撮影時にAF・AE追従で最高約10コマ/秒を実現したのがポイント。中級一眼レフの完成形と評したい出来栄えで人気なのも納得のカメラだ。

画質と連写でAPS-C一眼レフとして最高レベルを実現したEOS 90D

画質と連写でAPS-C一眼レフとして最高レベルを実現したEOS 90D

コンパクトデジカメ 満を持してリコー「GR III」が登場

2019年に登場したコンパクトデジカメの中で最も話題となったのは、間違いなくリコーの「GR III」(3月発売)だ。約4年ぶりのモデルチェンジということで、画質や機能が大幅に向上しており、特にボディ内手ブレ補正「SR」を搭載しながらも従来と変わらないコンパクトボディを実現したのが魅力。スナップ撮影に最適なハイエンドコンデジとして写真愛好家から支持を集めている。

ボディ内手ブレ補正を搭載した高級コンデジの新モデルGR III

ボディ内手ブレ補正を搭載した高級コンデジの新モデルGR III

1インチコンデジでは、ソニーから、4K/30p動画の本体内記録に対応した超小型モデル「RX0 II」が4月に、ブラックアウトフリーでの最高約20コマ/秒のAF・AE追従連写を実現した「RX100 VII」が8月に登場。キヤノンからは、ポップアップ式のEVFを採用した「PowerShot G5 X Mark II」と、カメラだけでYouTubeのライブ配信が可能な「PowerShot G7 X Mark III」が8月に発売になった。厳密には1インチコンデジのカテゴリーではないかもしれないが、リコーから1インチセンサー搭載の360度カメラ「THETA Z1」も5月に登場している。

フルサイズミラーレス「α9」と同等のスピード性能を実現したRX100 VII

フルサイズミラーレス「α9」と同等のスピード性能を実現したRX100 VII

キヤノンからはPowerShot G5 X Mark II(左)とPowerShot G7 X Mark III(右)の2モデルが登場した

キヤノンからはPowerShot G5 X Mark II(左)とPowerShot G7 X Mark III(右)の2モデルが登場した

1インチセンサーを採用した360°カメラTHETA Z1

1インチセンサーを採用した360°カメラTHETA Z1

このほかの製品では、オリンパスがタフネスコンデジの新モデル「Tough TG-6」を7月に発売。12月20日に発売になったばかりの、キヤノンの新コンセプトカメラ「iNSPiC REC」も話題の製品となっている。

タフネスコンデジの新モデルTough TG-6

タフネスコンデジの新モデルTough TG-6

カラビナデザインがユニークなiNSPiC REC

カラビナデザインがユニークなiNSPiC REC

まとめ 多彩なカメラが登場した2019年。2020年は特にキヤノンとニコンの動きに注目

低迷が続くカメラ市場だが、2019年はミラーレスでさまざまなカメラが登場した1年となった。ソニーのα7R IVや、パナソニックのLUMIX S1R/S1といった高性能なモデルだけでなく、シグマのSIGMA fpや、富士フイルムのX-Pro3など、これまでにはなかったようなコンセプトで開発されたユニークなカメラが製品化されたのが印象的だ。

全体的にはAFや連写などでミラーレスの完成度がさらに上がった印象を受けた1年だったが、そのいっぽうで、キヤノンの中級一眼レフEOS 90Dがヒットしているのも押さえておきたい。価格.comでは、価格がこなれてきたこともあってキヤノンのEOS 5D Mark IVや、ニコンのD850が売れ筋ランキングの上位をキープし続けており、まだまだ一眼レフの需要があることを感じた1年でもあった。

来年2020年には、キヤノンとニコンのフラッグシップ一眼レフが登場するのは間違いない。キヤノンは「EOS-1D X Mark III」、ニコンは「D6」という製品名ですでに開発を発表している。EOS-1D X Mark IIIは一部仕様が公開されていて、光学ファインダー撮影で最高約16コマ/秒、ライブビュー撮影で最高約20コマ/秒(いずれもAF・AE追従)が可能なモンスターマシンになるようだ。

2020年は、カメラ市場の中心になりつつあるフルサイズミラーレスに引き続き注目が集まる1年になるだろう。特に期待したいのはキヤノンとニコンのさらなる積極的な動き。全体的なスペックで比較すると、フルサイズミラーレスはソニーが頭ひとつ抜けた存在になっているのは間違いなく、2020年は、キヤノンとニコンからソニーに肉薄するような高性能モデルの登場に期待したい。開発中の製品では、シグマが2020年にリリースを予定しているFoveonセンサーのフルサイズミラーレスにも注目だ。

また、もう少し先の話になるのかもしれないが、2020年は「撮像素子の本格的なブレイクスルー」にも期待したいところ。画素数や処理性能の向上による画質、AF、連写のスペックアップは見られるものの、撮像素子の基本的な技術はここ数年劇的な進化が見られない。具体的には、グローバルシャッター搭載センサーや、湾曲センサーなどを民生用カメラでいち早く実用化できたら市場に大きなインパクトを与えるはずだ。

真柄利行

真柄利行

カメラとAV家電が大好物のライター/レビュアー。雑誌編集や価格.comマガジン編集部デスクを経てフリーランスに。価格.comではこれまでに1000製品以上をレビュー。現在、自宅リビングに移動式の撮影スタジオを構築中です。

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