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一眼レフスタイルの高性能ミラーレスがさらに進化

5軸手ブレ補正&15コマ/秒連写を実現! 富士フイルム「X-T4」詳細レポート

富士フイルムは2020年2月26日、APS-Cサイズの撮像素子を採用するミラーレスの新モデル「X-T4」を発表した。ボディ内手ブレ補正を搭載するほか、AFや動画撮影なども「Xシリーズ」のAPS-Cミラーレスとして過去最高の性能を誇る、見どころの多いカメラだ。製品発表会で展示されていたベータ機の画像を交えて詳細な特徴をレポートしよう。

一眼レフスタイルのAPS-Cミラーレス「X-Tシリーズ」の新モデルX-T4。従来モデル「X-T3」と比べてグリップはより深い形状になった。ファインダー部の高さは少し低く抑えられている

一眼レフスタイルのAPS-Cミラーレス「X-Tシリーズ」の新モデルX-T4。従来モデル「X-T3」と比べてグリップはより深い形状になった。ファインダー部の高さは少し低く抑えられている

最大6.5段分の補正効果を実現したボディ内5軸手ブレ補正を搭載

X-T4の進化の中で特に注目したいのは、X-Tシリーズとして初めてボディ内手ブレ補正を搭載したことだ。富士フイルムのミラーレスとしては2018年3月発売の「X-H1」に続くボディ内手ブレ補正対応モデルになるが、X-H1と同じ5軸補正に対応しつつ、ラージフォーマットセンサー搭載のミラーレス「GFX100」の技術を活用することでユニットの小型・軽量化と性能向上を両立。補正効果はX-H1の最大5.5段分から最大6.5段分に向上している。

X-T4の手ブレ補正ユニットは、バネを使わずに磁力を駆使した新構造を採用。X-H1ではコイルスプリングを用いて姿勢制御と手ブレ補正を行っていたが、X-T4では磁力によるスプリングを採用した。さらに、X-H1ではセンサーの位置決めと補正制御をそれぞれ3つずつ計6つの磁石で行っていたのに対して、X-T4は位置決めと補正制御を3つの共通の磁石で制御するようになった。こうした工夫によってX-T4の手ブレ補正ユニットはX-H1比で約30%の小型化と約20%の軽量化を実現。X-H1比で約8倍の検出精度を誇る新開発のジャイロセンサーと組み合わせることで、交換レンズ「XFレンズ」29本のうち18本で最大6.5段分の補正効果を実現している。

左がX-T4、右がX-H1のボディ内手ブレ補正ユニット。X-T4では大幅な小型・軽量化を実現した

左がX-T4、右がX-H1のボディ内手ブレ補正ユニット。X-T4では大幅な小型・軽量化を実現した

X-T4では磁力を駆使した新構造の手ブレ補正ユニットを採用

X-T4では磁力を駆使した新構造の手ブレ補正ユニットを採用

手ブレ補正非搭載のXFレンズでは多くのレンズで最大6.5段分の手ブレ補正効果が得られる

手ブレ補正非搭載のXFレンズでは多くのレンズで最大6.5段分の手ブレ補正効果が得られる

手ブレ補正搭載のXFレンズでも最大6.5段分の手ブレ補正性能を実現した

手ブレ補正搭載のXFレンズでも最大6.5段分の手ブレ補正性能を実現した

シャッター衝撃吸収構造も新開発。X-H1では3種のスプリングを使って上下5か所のシャッターユニットを支えていたが、X-T4では4種のスプリングを使用し、上下左右の5か所でシャッターユニットを保持するようになった

連写やAFもXシリーズ最高性能を実現

X-T4は撮像素子に約2610万画素の裏面照射型「X-Trans CMOS 4」センサーを、画像処理エンジンに「X-Processor 4」を採用。基幹システムは従来モデルと同じ第4世代で変わらないが、メカやソフトの進歩によって連写やAFなどの性能が向上している。

連写は、高トルクのコアレスDCモーターを採用した新開発のフォーカルプレーンシャッターを搭載することで、メカニカルシャッターのコマ速が従来の約11コマ/秒から約15コマ/秒に向上(※ひとつ前のレリーズの撮影画像が表示されるポストビュー方式)。2020年2月時時点では、APS-C以上のサイズのセンサーを搭載するミラーレスのメカシャッターとしては世界最速の連写速度となっている。約15コマ/秒連写時の連続記録枚数はJPEGで110枚、ロスレス圧縮RAW/圧縮RAWで38枚、非圧縮RAWで35枚。また、電子シャッター時はX-T3と同じく最高約20コマ/秒連写に対応。1.25倍クロップでの最高約30コマ/秒の高速連写も可能だ。

さらに、表示タイムラグを抑えたライブビュー連写もX-T3の約5.7コマ/秒から約8コマ/秒に向上。ブラックアウト時間はX-T3の0.096秒から0.075秒に、レリーズタイムラグは0.045秒から0.035秒に短縮しており、従来モデル以上のハイレスポンスで撮影ができるようになった。

メカシャッターで約15コマ/秒の高速連写を達成。約8コマ/秒のライブビュー連写も可能だ

メカシャッターで約15コマ/秒の高速連写を達成。約8コマ/秒のライブビュー連写も可能だ

シャッターユニットは、構造や材質を見直すことで耐久性能がX-T3の2倍となる30万回に向上し、シャッター音もX-T3比で約30%の静音化を実現。X-T4のベータ機で連写を試してみたが、大幅に音が小さくなっているうえ、新開発のシャッター衝撃吸収構造によってレリーズ時の衝撃も抑えられていた。シャッターフィーリングも変更になっており、半押しまでが深く、そこから全押しまでが浅いフィーリングになっていた。好みの分かれるところかもしれないが、よりクイックに半押しと全押しの切り替えができる印象を受けた。

新開発のシャッターユニット。X-T3と比べて約30%の静音化を実現している

新開発のシャッターユニット。X-T3と比べて約30%の静音化を実現している

AFは新しいアルゴリズムの採用によって、2020年2月時点でAPS-Cミラーレスとして最速となる0.02秒の高速合焦を実現。被写体の色に加えて形も検知するようにアルゴリズムを一新することでトラッキング性能はX-T3比で約2倍になり、遠ざかる被写体への追従性も向上しているという。顔・瞳AFを使用した連写時の検出精度もX-T3比で約2倍になった。低輝度限界は-6EV(XF35mmF1.4 R装着時)にまで向上している。

トラッキング性能の進化によって遠ざかる被写体への追従性も向上しているという

トラッキング性能の進化によって遠ざかる被写体への追従性も向上しているという

フィルムシミュレーションには、銀残しのフィルム現像技法を再現した「ETERNAブリーチバイパス」を新たに追加。-2〜+4までのハイライト/シャドウのトーン設定は0.5段刻みでの細かい調整が可能に。オートホワイトバランスは「ホワイト優先」「雰囲気優先」「オート」の3種類を選べるようになった。ロスレス圧縮RAWよりも容量を抑える圧縮RAW記録にも新たに対応する。このほか、「X-Pro3」と同じく、高コントラストで低彩度なフィルムシミュレーション「クラシックネガ」や、青空などブルー系の被写体に対して深みのある色再現が可能な「カラークロームブルー」も追加されている。

新しいフィルムシミュレーションとしてETERNAブリーチバイパスを搭載

新しいフィルムシミュレーションとしてETERNAブリーチバイパスを搭載

トーン設定は0.5段刻みで調整可能

トーン設定は0.5段刻みで調整可能

オートホワイトバランスは状況にあわせて3種類を選択できる

オートホワイトバランスは状況にあわせて3種類を選択できる

動画撮影を意識し、バリアングル液晶を採用。細かい操作性もブラッシュアップ

X-T4の操作性では横開きのバリアングル液晶モニター(3型タッチパネル対応、162万ドット)を採用したのが大きなトピック。従来はチルト液晶を搭載していたが、X-T4ではこれまで以上に動画撮影との親和性を高めるためにバリアングル液晶に変更したとのことだ。

1桁型番のX-Tシリーズとしては初めてバリアングル液晶モニターを搭載。 高級コンデジ「X100V」のチルト液晶と同じような考えのデザインで、モニター収納時によりフラットな形状になるようにモニターが背面と底面に収まる構造を実現。 可動部も奥行を抑えた形状になっている

1桁型番のX-Tシリーズとしては初めてバリアングル液晶モニターを搭載。 高級コンデジ「X100V」のチルト液晶と同じような考えのデザインで、モニター収納時によりフラットな形状になるようにモニターが背面と底面に収まる構造を実現。 可動部も奥行を抑えた形状になっている

電子ビューファインダー(EVF)はX-T3と同じく、倍率0.75倍の0.5型有機ELファインダー(約369万ドット)を採用。感度、シャッタースピード、露出補正の3個のダイヤルを上面に装備するなど基本的な操作性は変わらないが、測光ダイヤルが静止画/動画の切り替えダイヤルに変更になるなど、細かいところがブラッシュアップされている。

また、被写体やシーンにあわせて最適な表示モードを選択できるように3種類のブーストモードを用意。暗所での視認性を向上する「低照度優先」、ピントのピークを掴みやすくする「解像度優先」、100fps(EVF)で滑らかに表示する「フレームレート優先」を選択できる。

ブーストモードは低照度優先、解像度優先、フレームレート優先の3種類から選べる

ブーストモードは低照度優先、解像度優先、フレームレート優先の3種類から選べる

バッテリーは大容量の新規バッテリー「NP-W235」で、撮影可能枚数はエコノミーモード時で約600枚、ノーマルモード時で約500枚に向上。NP-W235を2個装填できる、防塵・防滴・耐低温仕様の縦位置バッテリーグリップ「VG-XT4」(別売)を装着した場合は、エコノミーモード時で約1700枚、ノーマルモード時で約1100枚にまで向上する。

X-T4の本体サイズは134.6(幅)×92.8(高さ)×63.8(奥行)mmで、重量は約607g(バッテリー、SDメモリーカード含む)。全63か所にシーリングを施すことで、従来モデルと同様の防塵・防滴・耐低温性能を実現している。X-T3と比べると幅が2.1mm、奥行が5mm、重量が68g大きくなっているが、高性能なボディ内手ブレ補正や大容量バッテリーを搭載したことを考慮するとコンパクトなサイズに収まっていると言えよう。

背面のボタンレイアウトでは、ファインダーを覗きながら押しやすいように、リアコマンドダイヤルの近くにAF-ON ボタンを配置。あわせてQメニューボタンとAE-Lボタンの位置も変更になっている

シャッタースピードダイヤルと同軸に配置されていた測光ダイヤルは静止画/動画の切り替えダイヤルに変更になった

ドライブダイヤルはモードの並び順を変更

ドライブダイヤルはモードの並び順を変更

側面のインターフェイスは3.5mmステレオミニジャック(マイク用)、リモートレリーズ端子、HDMIマイクロ端子(Type D)、USB Type-Cを装備。本体にヘッドホン端子は備わっておらず、ヘッドホンを利用するには、同梱のヘッドホン用アダプターをUSB Type-Cに装着するか、ヘッドホン端子付きの縦位置バッテリーグリップ「VG-XT4」(別売)を利用する必要がある

底面。X-T3と比べると三脚用のねじ穴の位置がわずかに背面側になった

底面。X-T3と比べると三脚用のねじ穴の位置がわずかに背面側になった

大容量の新バッテリーNP-W235を採用

大容量の新バッテリーNP-W235を採用

両スロットともUHS-II対応のデュアルSDメモリーカードスロット。リグ装着時でもカードを交換しやすいようにスロットのフタは取り外せるようになった

アイカップは側面のロック機構を押しながら取り外す仕様に変更になった

アイカップは側面のロック機構を押しながら取り外す仕様に変更になった

ストラップリングにはキズ付き防止用のプラスチックカバーが追加された。出荷時はこのカバーが付いた状態になるとのこと

フルHD/240pのハイスピード動画に対応。動画撮影専用のメニューも用意

動画撮影はDCI4K(4096×2160)/60p、4K(3840×2160)/60p記録に対応。DCI4K/DK動画はカメラ内SDカードに4:2:0 10bitで記録できるほか、4:2:2 10bitのHDMI出力にも対応している。加えて、最大10倍のスローモーション効果を得られるフルHD/240pでのハイスピード動画撮影機能を搭載するのもトピック。ファイル記録形式はMOVに加えて汎用性の高いMP4も選択できるようになった。

最大で10倍のスローモーション効果が得られるハイスピード動画を撮影できる

最大で10倍のスローモーション効果が得られるハイスピード動画を撮影できる

また、ボディ内手ブレ補正に加えて、より強力な手ブレ補正効果が得られる動画用の電子手ブレ補正も用意(※電子手ブレ補正は画面が10%クロップされる)。さらに、「ブレ防止モードブースト」という新機能も搭載。この機能は動画撮影時のボディ内手ブレ補正の可動域を静止画撮影と同等にすることで、手持ちで構図を固定して撮る場合により強力なブレ補正効果が得られるというもの。手持ちでの定点撮影時に威力を発揮する機能だ。

操作性では静止画/動画の切り替えダイヤルを天面に装備し、静止画撮影と動画撮影を素早く切り替えられるようになった。また、静止画撮影と動画撮影でメニューとQメニューが独立するようになったほか、タッチパネルもしくはコマンドダイヤルで各種設定が行える動画専用の操作モードも追加。このモードを有効にしておけば、レンズ側の絞りリングの位置に関わらず絞り値をタッチパネル上で設定できるようになるうえ、静止画撮影とは異なる設定を独立して記憶しておける。

左が静止画撮影時、右が動画撮影時のメニュー。それぞれ専用のメニュー体系となった

左が静止画撮影時、右が動画撮影時のメニュー。それぞれ専用のメニュー体系となった

動画専用の操作モード。シャッタースピードや絞り値などをタッチパネル上で設定できる

動画専用の操作モード。シャッタースピードや絞り値などをタッチパネル上で設定できる

このほか動画撮影では、スルー画表示をBT.709相当に変換して表示するF-Logビューアシスト、クロップ率を1.29倍に固定することで複数モードを組み合わせた撮影でも画角変動が発生しない倍率固定モード(※クロップ率を1.29倍に固定)、同一フォーマットの動画を2枚のSDメモリーカードに同時記録するバックアップ記録、動画撮影開始後もピント拡大位置をキープするフォーカスチェックロックなどの新機能を搭載。3.5mmステレオミニジャックへの音声入力もマイクレベル入力、もしくはラインレベル入力から選択できるようになった。

倍率固定モードを設定すればクロップ率が1.29倍に固定され、どのモードでも同じ画角で撮影できる

倍率固定モードを設定すればクロップ率が1.29倍に固定され、どのモードでも同じ画角で撮影できる

X-T4とX-T3の性能比較。なお、X-T4では従来は同梱品だったクリップオンフラッシュ「EF-X8」が別売になった。また、デュアルバッテリーチャージャー「BC-W235」を別売オプションで用意するものの、バッテリーチャージャーも同梱されていない(※充電は付属のACアダプターとUSBケーブルを使って本体内で行う)

まとめ ほぼ完ぺきなスペックを実現したAPS-Cミラーレス最高性能モデル

X-T4は、最大6.5段分の補正性能を持つボディ内手ブレ補正に代表されるように、従来モデルX-T3と比べて大幅な性能向上を実現している。ボディ内手ブレ補正以外でも、メカシャッターで約15コマ/秒の高速連写や、4K/60p記録とフルHD/240p記録対応の動画撮影なども注目点で、2020年2月時点では、APS-Cミラーレスとして最高性能を誇るモデルのひとつだ。市場想定価格はボディ単体が204,500円前後、「XF16-80mmF4 R OIS WR」が付属するレンズキットが264,500円前後(いずれも税別)となっているが、性能を考慮するとコストパフォーマンスは十分に高いと言えるだろう。発売は4月が予定されている。

なお、富士フイルムは、予約宣言のうえでX-T4を購入した方を対象に、デュアルバッテリーチャージャーBC-W235をプレゼントする発売記念キャンペーンを実施する。予約宣言期間は2020年2月28日から発売日前日までとなっている。詳細はX-T4発売記念キャンペーンページをご覧いただきたい。

真柄利行

真柄利行

カメラとAV家電が大好物のライター/レビュアー。雑誌編集や価格.comマガジン編集部デスクを経てフリーランスに。価格.comではこれまでに1000製品以上をレビュー。現在、自宅リビングに移動式の撮影スタジオを構築中です。

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