レビュー
Vlog特化のコンデジはどこまで使えるか? 美肌モードや背景ボケ機能を使ってみた!

ソニー「VLOGCAM ZV-1」レビュー。現役Vloggerがイイ点とイマイチな点を解説

YouTubeやインスタグラム、TikTokなどで盛り上がりを見せる「Vlog(ブイログ)」。このVlogに特化したコンデジ「VLOGCAM ZV-1」が、ソニーから発売されました。特にカメラに詳しくない人でもVlogを手軽に、かつ、キレイに撮影できるように開発されたカメラとのことで、今回の記事ではその実機をソニーかお借りし、現役Vloggerの筆者が実際に撮影を行い、隅々までチェックした結果をレポートします。

Vlogとは?

「Vlog(ブイログ)」は、ザックリ言ってしまえば「動画版Blog」のことです。英語では「ヴログ」と発音されることからも、なんとなく「ブログ」との親和性が感じられるのではないでしょうか?

Blogが主に写真とテキストで構成されるのに対して、Vlogは動画で構成されています。なかでも、自撮りや「B-Roll(ビーロール)」と呼ばれるオシャレな映像で構成されるパターンが多いのが特徴です。コンテンツのジャンルは多岐に渡り、旅行やフード、ガジェットレビュー、メイクアップなどの王道に加えて、「Prank(プランク)」といういたずらやドッキリ、日常系Vlogなど、多種多様なスタイルのコンテンツが存在しています。

ソニー「VLOGCAM ZV-1」の特徴

ここのところマイナーチェンジが多かった印象のソニーのコンデジですが、「VLOGCAM ZV-1」は久々の新モデルとして発表されました。「サイバーショット DSC-RX100」シリーズと共通する点も少なくありませんが、デザインやターゲットユーザーが大きく異なっており 、“動画に特化したコンデジ” という意味では“ 業界初 ”の画期的な製品です。

そのため、「VLOGCAM ZV-1」には一般的なコンデジにはない、Vlogに特化した機能がたくさんあります。その一覧は以下からご確認ください。

ソニー「VLOGCAM ZV-1」のVlogger向け機能

・自撮りに便利な ”バリアングル・ディスプレイ” 搭載
・ノーメイクでもキレイに撮れる ”美肌” モード
・デジイチっぽく撮れるワンプッシュ “背景ぼけ切り換え”
・グッズ紹介動画に便利な ”商品レビュー” 設定
・屋外撮影で風切り音を減らす ”ウィンドスクリーン” (付属)
・自撮りの際の録画ミスを防ぐ ”前面録画ランプ”
・シネマライクな動画に欠かせない “ビルトインND”
・無線接続の専用 “シューティンググリップ” (別売り)

ソニー「VLOGCAM ZV-1」を実際に使ってわかった
イイところ、イマイチなところ

ここからは、「VLOGCAM ZV-1」を筆者が実際に使用して、よかった点、イマイチだと感じた点をピックアップしていきます。なお、筆者が動画を専門としていることから、この記事の内容も動画機能にフォーカスしており、静止画写真撮影についてのレビューは行っていません。また、今回はメーカーからの貸し出し時の制限で「屋外での使用が禁止」となっていたため、テスト撮影などは屋内で行っています。以上、ご了承のうえ、読み進めていただければと思います。

Vlogger目線でチェック!
ソニー「VLOGCAM ZV-1」のイイところ

「VLOGCAM ZV-1」で撮影を開始すると、カメラ前面にあるランプが赤く点灯し、「録画ができている」ことが目で確認できます。ほかのカメラでもモニター上で録画中であることを確認できますが、表示が小さく、操作ミスで録画が開始されていない場合に見逃してしまうことがあります。「あ、カメラ回ってなかった!」という“ Vloggerあるある “ なミスが、このランプにより予防できるというわけです。

レンズに向かって左上にある赤いランプが点灯していることが録画中のサイン。ディスプレイ上の表示よりもハッキリとわかるのがVlogger的にありがたいところ

「VLOGCAM ZV-1」には標準でウィンドスクリーンが付属します。このパーツは屋外での撮影時などにマイクに風が当たり発生する「風切音」を低減するためのものです。これが無いと屋外撮影の際に常に「ボボボー」というようなノイズが入ってしまうので大問題。屋外撮影が多いVloggerたちは、マイクを覆うサードパーティー製のウィンドスクリーンシールや外付けのショットガン・マイクを別途購入するケースが多かったのですが、これが不要になるのはうれしいですね。

日本語だと「モフモフ」という人がいますが、英語圏のVloggerは「デッドキャット(死んだ猫)」と言うことも。なんというブラックジョーク的表現でしょう!(苦笑)

数ある新機能の中でも、「ビルトインND」が搭載されたことに小生は大喜びしております。この点は少し前提のお話をしっかりさせていただかないと、魅力が伝わらないと思いますので、まず、Vloggerの一部(筆者含む)が好むシネマライク(シネマティック・映画のような)な表現について書かせていただきたいと思います。

動画は1秒間のコマ数(フレームレート)とシャッタースピード(シャッターアングル)によって印象が大きく変わります。伝統的に、近代映画の多くは秒間24コマで上映されており、テレビは秒間30コマ、スポーツなど動きが速い映像は秒間60コマと相場が決まっています。

こういった映像の印象は、視聴者である私たちに刷り込まれていますので、フレームレートの理屈なんて知らない人でも、24コマだと「なんか、映画っぽいな」、あるいは「いつも見ているテレビとはちがうな」と感じるわけです。

また、動画撮影のセオリーとしてシャッタースピードをフレームレートの倍にする、という基本があります。つまり、秒間24コマならシャッタースピードは1/50です。フリッカー(蛍光灯などのチラつき)によって1/60などにすることはありますが、シネマライクな動画撮影の場合「24fps、1/50」が基本です

それに加えて、映画的な雰囲気を醸し出すには、レンズの絞りを開けて、背景をボカすことで映像の主題を際立たせる手法があります。レンズによってまちまちですが「F2.8〜5.6」くらいが平均的ではないでしょうか。

そろそろ、写真や動画を撮影されていらっしゃる人ならピンとくるかもしれませんが、この設定にこだわると場合によっては映像が完全に白飛びします。写真でも同じだと思いますが、日中の太陽光の下で「1/50、F2.8」でシャッターを切ればISO100でもハイライトは真っ白になってしまうはずです。

写真の場合はシャッタースピードを上げることで対処できますが、映像の場合はシャッタースピードを上げると動画の滑らかさを生む自然な被写体ブレが消えてしまい、パラパラ漫画のようになってしまいます。もちろん、レンズを絞りこめば明るさは調整できますが、そうするとこんどは背景のボケがなくなるという問題が発生します。

ずいぶんと前置きが長くなりましたが、そこで、登場するのが「NDフィルター」や「ビルトインND」です。「NDフィルター」はレンズに取り付けるフィルターにより、「ビルトインND」は内蔵の物理NDにより、カメラが取り込む光量を減らすことでハイライトが飛んでしまうことを防ぐと同時に、シャッタースピード、絞り、ISOを維持しながらシネマライクな動画が撮影できるというわけです。

訂正:2020年6月30日
掲載時は「NDフィルターはデジタル処理」としていましたが、正しくは「内蔵の物理NDフィルター」でした。訂正してお詫び申し上げます。

“Vloggerあるある” その2は「日中の撮影にNDフィルターを忘れる」です。これをやらかすとせっかく気合いを入れてカメラとレンズを持っていても、背景までパキパキにピンのあった被写界深度の深い動画や、パラパラ漫画のような滑らかさのない動画しか撮れず悲しい思いをします。「ビルトインND」があれば、そんな涙とはもうオサラバです

ソニー製のカメラは「α」シリーズなどのデジイチ、ミラーレスカメラから、「サイバーショット」シリーズなどのコンデジまで、階調表現や発色を設定できる「ピクチャープロファイル(PP)」 と呼ばれる機能が搭載されており、異なるカメラ間でもこの設定を統一することで映像の質感を近づけられます。たとえば、メインカメラは「α7 III 」、サブカメラは「VLOGCAM ZV-1」という組み合わせにした場合に、同じピクチャープロファイルに設定しておけば、後からカラーグレーディング(色味の調整)などを行う際に統一感を持たせられます。

Vlogger諸兄に小生がおすすめしたいのは「PP10」(ピクチャープロファイル10番)に設定されている「HLG2」です。ダイナミックレンジが広いため、少々白飛びや黒つぶれがあっても編集時にきれいに補正できるすぐれもの。屋外の撮影で細かく設定が詰められないような場合に重宝します

オーバーヒートによる故障を防ぐために自動で電源をオフにする自動電源オフ機能。「標準」と「高」の2段階で設定が可能です。この設定を「高」にしてテストしたところ、撮影用のライトを点灯した初夏の汗ばむような温度の室内で10分以上連続撮影しても問題は起こりませんでした。「VLOGCAM ZV-1」はオーバーヒート耐性のあるコンデジと言えそうです。

短時間のテストのため、自動電源オフ機能がカメラの寿命にどう影響するかは不明ですが、「高」に設定した場合でも、本体が触れないほど熱くなることはありませんでした

カメラ本体ではありませんが、別売りのシューティンググリップのイイ点もひとつご紹介します。このグリップは通常カメラの下に付けて使用するものですが、Bluetoothによる無線接続のため、離れた場所からリモコンのように使うことも可能です

録画の開始や停止だけでなく、ズームもリモートで操作可能

録画の開始や停止だけでなく、ズームもリモートで操作可能

Volgで人気のグッズ紹介動画では、商品をカメラの前にかざして見せるシーンが多くあります。そのような際に顔ではなく、かざした商品に素早くフォーカスが合わせられる「商品レビューモード」が「VLOGCAM ZV-1」には搭載されています。このモードのフォーカス精度と速度は驚くほど高く、カメラの前に商品が出てくると一瞬でピントが合います。

ジュエリーやメイク道具などの比較的サイズが小さい製品のレビューを撮ることが多い人には非常に魅力的な機能です

自撮りが多いVlogger向けに、ノーメイクや薄めのメイクでも顔がキレイに映る「美肌モード」が「VLOGCAM ZV-1」には搭載されています。これはスマートフォンではすでにおなじみとなった機能ですね。「美肌モード」をオンにすると毛穴やシミが隠せますが、スマホの加工アプリにありがちな不自然さがないのはよいですね。

オンとオフの差は明確でしたが、オンにした状態での低/中/高の間にはそれほど大きな違いはないように感じられました

背景のボケは、写真の場合は絞りで調整できますが、動画で好みのボケを表現するにはシャッタースピードやビルトインNDフィルターなど少し複雑な設定をしなければならず、初心者の人はある程度の知識が必要になります。それを簡単な操作で実現するために、「VLOGCAM ZV-1」は背景ボケを設定する専用ボタンが搭載されています。もちろん、センサーサイズが大きなデジタル一眼カメラほどキレイにはボケませんが、効果はしっかりと確認できました。

わかりにくい場合は、画像をクリック/タップしていただくと拡大画像が表示されます。こちらをご覧いただくと、背景ボケの差が明確におわかりいただけるはずです

Vlogger目線でチェック!
ソニー「VLOGCAM ZV-1」のイマイチなところ

さて、これまでは「VLOGCAM ZV-1」の特徴やいい点について書いてきましたが、ここからはイマイチだった点についてご紹介したいと思います。

ひとつは、充電やデータ転送に使用するポートが旧世代の規格であるmicroUSBポートであることです。USBType-Cポートであれば、充電時間の短縮や高速なデータ通信ができるなどのメリットがありますし、スマートフォンやノートPCなどのケーブルとも共用ができたのにと思うと残念。外出先でカメラを使う機会が多いトラベル系Vloggerなどは荷物が増えることを嫌うので、「カメラのためだけにmicroUSBケーブルが必要」「パッキングの際に忘れないように神経を使う」という状況はとてもフラストレーションがたまります。
「たかがケーブル1本でしょ?」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、「これがなければ充電できない」という重要なパーツが互換性に乏しいことにユーザーのメリットはないでしょう。AndroidスマートフォンやノートPC、ドローン、360°カメラ、ヘッドフォン、モバイルバッテリーなど、現在多くのデバイスがUSB Type-Cポートを搭載しており、そのケーブルを同梱しています。

充電、データ転送用のポートがmicroUSBなのは残念!

充電、データ転送用のポートがmicroUSBなのは残念!

ここで書くのはイマイチというよりは、好みが分かれる点です。それはモニター展開構造の変化です。「RX100」シリーズや「α6400/6600」などのカメラは、上下のみチルトするモニターを備えていますが、「VLOGCAM ZV-1」は横方向に展開し、前後が回転する機構になりました。

背面に収納した状態では上下に角度調整ができません

背面に収納した状態では上下に角度調整ができません

横方向に展開すれば角度調整ができますが、レンズの中心とモニターの中心が大きくズレてしまうのが難点

横方向に展開すれば角度調整ができますが、レンズの中心とモニターの中心が大きくズレてしまうのが難点

「VLOGCAM ZV-1」は、三脚穴の位置がレンズの中心から大きくズレています。一般的なデジイチのカメラは、必ずと言っていいほどレンズの中心と三脚穴の位置が一致しているので、「VLOGCAM ZV-1」に三脚に装着し、カメラの後方から撮影をすると強い違和感を覚えました。

レンズの中心から三脚穴をズラすることで、カメラの高さを抑えられるなどのメリットがあるので、その点とのトレードオフにはなりますが、カメラの中心の感覚は体に染み込んだものでもあるので、購入時に注意が必要な点だと感じました。

三脚穴はレンズの中心からズレた位置にある

三脚穴はレンズの中心からズレた位置にある

「VLOGCAM ZV-1」のレンズはワイド側で24mm(35mm換算)です。手持ちで自撮りも可能な画角ではありますが、被写体が2人になると画角が狭く感じるでしょう。後からワイドコンバーターなどが発売されればうれしいですね。

実際に「VLOGCAM ZV-1」を手持ちで撮影した画角です。スマホでは超広角カメラがトレンドになっているため、もう少しワイドであってほしかったというのが正直なところ

そのほかの少し気になる点

詳細は記事冒頭の動画でご覧いただけますが、「VLOGCAM ZV-1」は録画中にズーム操作をするとモーターの駆動音を内蔵マイクが拾ってしまいます。構造上やむをえないとは思いますが、ズームイン/ズームアウトを多用する撮影スタイルの方は注意が必要です。

なお、バッテリー駆動時間は公称45分と、もの足りなさを感じる長さです。テスト撮影後に料理Vlogを1本撮影してみようとしたところ、途中でバッテリーが切れてしまいました。ただし、モバイルバッテリーなどから充電をしながらの撮影が可能なので、うまく運用でカバーすれば問題はありません。

ソニー「VLOGCAM ZV-1」で撮影を行った感想とまとめ

「VLOGCAM ZV-1」がすごい点は、なんと言っても日本のカメラメーカーとして初の「Vlog用」を前面に打ち出した製品ということ。2014年からVlogを続けている筆者としては実にうれしいところです。製品としての完成度も高く、これからVlogを始めてみようという人やスマートフォンからステップアップしたい人に適したモデルであることは間違いありません。また、すでにミラーレスカメラなどでVlogを撮影している人のサブ機としても頼れるカメラとなっています。自撮りを多用するVlogスタイルの動画を撮りたいなら「コレが買い!」と力強く言える1台です。

Mr.TATE(Masahira TATE)

Mr.TATE(Masahira TATE)

世界50カ国以上を旅したバックパッカー。週刊アスキー編集部などを経て、AppBankに入社。「バイヤーたてさん」として仕入れとYouTubeを活用したコンテンツコマースに取り組み、上場時は広報として企業PRを担当。現在はフリーランスで活動中。

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