ニュース
開放での美しいボケ味にこだわったポートレートレンズ

世界初! 富士フイルムから“開放F1.0”のAFレンズ「XF50mmF1.0 R WR」が登場

富士フイルムは2020年9月3日、APS-Cミラーレスカメラ用「Xマウントレンズ」の新モデル「XF50mmF1.0 R WR」を発表した。ミラーレス用のAFレンズとしては世界初となる「開放F1.0」を実現した大口径の中望遠・単焦点レンズだ。同日にオンラインで開催されたメディアセッションで得た情報を交えながら、その特徴を紹介しよう。

開放F1.0の大口径を実現したXF50mmF1.0 R WR

開放F1.0の大口径を実現したXF50mmF1.0 R WR

標準レンズから中望遠レンズに設計を変更し、小型・軽量化を実現

XF50mmF1.0 R WRは、35mm判換算で焦点距離76mm相当の画角となる中望遠・単焦点レンズ。MFレンズの中には開放F1.0を切るものがあるが、ミラーレス用のAFレンズとして「開放F1.0」の明るさを実現したのは世界初。ミラーレス用のAFレンズとしては2020年9月3日現在、最も明るいレンズとなっている。

その開発の歴史を振り返ると、決して順調に商品化にこぎつけたわけではない。もともとは、今から約2年前の2018年7月、富士フイルムは「大口径プライム」シリーズのレンズとして、35mm判換算で50mm相当の画角となる大口径・標準レンズ「XF33mmF1 R WR」の開発を発表した。このレンズは、フルサイズ換算でF1.4相当のボケを楽しめる標準レンズとして注目を集めたが、2019年9月20日に開催されたライブ配信イベント「X Summit SHIBUYA 2019」にて、焦点距離を33mmから50mmに変更し、中望遠レンズXF50mmF1.0 R WRとして2020年内の商品化を目指すと予告した。

標準レンズから中望遠レンズに変更になったのは、33mmの焦点距離では三脚座が必要になるレベルにまで筐体が大型化するのが最大の理由。交換レンズの商品企画を担当する富士フイルム光学・電子映像事業部の曽我氏によると、XF33mmF1 R WRは「開発を進めるうちにサイズがどんどん大きくなっていった」という。開放F値をF1.4からF1.0にするのは「指数関数的に難しくなる」とのことで、最終的に全長140mm、重量1.3kgにまで大型化。三脚座込みだと、超望遠ズームレンズ「XF100-400mmF4.5-5.6 R LM OIS WR」並みの重量1.4kgとなり、ここまで大きな標準レンズはコンパクトな「Xシリーズ」にマッチしないとのことで焦点距離の変更を決定。小型化できる焦点距離を探り、開放F1.0を成立させるのに最適な焦点距離として50mmを導き出したという。

結果として、XF50mmF1.0 R WRは全長103.5mm、重量845gにまで小型・軽量化を実現。XF33mmF1 R WRと比べると35%の軽量化を達成している。決して軽いレンズではないが、大口径の中望遠・単焦点レンズの中には1kgを超えるものもあるので、妥当なサイズ感ではないだろうか。

XF50mmF1.0 R WR はXF33mmF1 R WRと比べて35%軽くなっている

XF50mmF1.0 R WR はXF33mmF1 R WRと比べて35%軽くなっている

描写や使い勝手の特徴

続いて、XF50mmF1.0 R WRの特徴を細かく見ていこう。最も注目したいのは描写傾向で、XF33mmF1 R WRは絞り開放から高い解像力を発揮する設計だったが、XF50mmF1.0 R WRは開放ではボケ味優先の設計に変更になっている。

サイズは87(最大径)×103.5mm(全長)で、重量は845g。フィルター径は77mm

サイズは87(最大径)×103.5mm(全長)で、重量は845g。フィルター径は77mm

幅の広いフォーカスリングを採用している。鏡筒にスイッチ類はない

幅の広いフォーカスリングを採用している。鏡筒にスイッチ類はない

開放ではボケ重視の設計
レンズ構成は非球面レンズ1枚、EDレンズ2枚を含む9群12枚。非球面レンズの金型に超精密加工を施すことで、ボケの中に発生しがちな同心円状の模様(いわゆる年輪ボケ)を徹底的に抑制している。また、動画撮影にも考慮し、ブリージングの発生は0.047%にまで抑えたとのこと。最短撮影距離は0.7m(最大撮影倍率0.08倍)。絞り羽根枚数9枚(円形絞り)。

曽我氏の説明よると、大口径レンズならではのボケ表現を楽しめるように、開放F1.0では球面収差を意図的に若干残すことで、ボケのエッジ部分がやわらかく溶けるような後ボケを実現しているという。F1.2では「XF56mmF1.2 R」と同等レベルの解像性能になり、シャープな描写が可能。F2くらいまで絞ると、「XF90mmF2 R LM WR」のように、周辺まで口径食が少ない丸ボケが得られるとのことだ。

レンズ構成は9群12枚。絞りを挟んで後ろの5枚がフォーカス用レンズとなっている

レンズ構成は9群12枚。絞りを挟んで後ろの5枚がフォーカス用レンズとなっている

XF50mmF1.0 R WR のMTF曲線(縦軸がコントラスト、横軸が画面中央からの距離)

XF50mmF1.0 R WR のMTF曲線(縦軸がコントラスト、横軸が画面中央からの距離)

高精度なAF機構
リアフォーカス方式を採用し、フォーカスレンズを軽量化することで、絞り値F1.0でのAFを実現。さらに、高分解能GMRセンサーによる高精度なレンズ位置検出とカムのガタ取り機構を採用し、フォーカスレンズの停止位置精度も向上。レンズ駆動はDCモーター。「X-Pro3」「X-T4」と組み合わせた際のAF低輝度限界は-7EVとなる。

MF操作性の改善
フォーカスリングの分解能を従来比で8倍に向上したうえ、最短撮影距離から無限遠までの回転角を約120°にすることで、小さな動きでも正確なリング操作が可能となっている。

防塵・防滴・耐低温-10℃
鏡筒の11か所にシーリングを施し、防塵・防滴・-10℃の耐低温構造を実現。小雨や土埃が舞うアウトドア環境下でも安心して使用できるとのこと。

専用フードが付属

専用フードが付属

X-T4に装着したイメージ。X-T4との組み合わせでは、ボディ内手ブレ補正によって最大6.5段分の手ブレ補正効果が得られる

X-T4に装着した際のシステム全体の全長は16cm程度。手持ちでハンドリングしやすいサイズ感だ

X-T4に装着した際のシステム全体の全長は16cm程度。手持ちでハンドリングしやすいサイズ感だ

X-Pro3に装着したイメージ

X-Pro3に装着したイメージ

まとめ フジユーザーにとってポートレート用として見逃せない存在

XF50mmF1.0 R WRは、もともとは焦点距離33mmの標準レンズとして開発が進められていて、焦点距離50mmへの設計変更が発表された際に残念に感じた方も少なくないはずだ。だが、設計変更によって誕生したXF50mmF1.0 R WRは、開放から解像力を出すのではなく、ボケ味にこだわった描写になっているなど、ポートレート用としてチューニングされているのがとても魅力的。Xマウントレンズの大口径・中望遠レンズとしてはXF56mmF1.2 Rという銘玉があるが、このレンズとXF50mmF1.0 R WRでどのくらい描写が異なるのかも気になるところだ。

希望小売価格は20万円(税別)。決して安い製品ではないが、富士フイルムのAPS-Cミラーレスを使ってポートレートを撮っている人にとっては見逃せない存在だ。価格は2020年9月24日の予定となっている。

真柄利行

真柄利行

カメラとAV家電が大好物のライター/レビュアー。雑誌編集や価格.comマガジン編集部デスクを経てフリーランスに。価格.comではこれまでに1000製品以上をレビュー。現在、自宅リビングに移動式の撮影スタジオを構築中です。

記事で紹介した製品・サービスなどの詳細をチェック
関連記事
価格.comマガジン プレゼントマンデー
ページトップへ戻る