特別企画
夏ではなくて冬がチャンス!

知ってるようで知らない「虹の法則」を学んで、人工虹を撮影してみた

虹を“意図的に“写真に撮る方法を考察します

虹を“意図的に“写真に撮る方法を考察します

まずは天然の虹が現れる条件を学ぶ

担当編集と話をしていて、「人工虹」を撮る企画を提案したところ、GOが出ました。そこで「人工虹」を作るにはある程度「虹の法則」についての知識がないと……と考え、人工虹の撮影の前に「天然虹」のことを調べてみることにしました。

ところが、その内容は私の知らないことだらけで愕然とします……。むむむ、まずは「虹の法則」を自分のものにせねば……。そこで自分の知識を整理するために「虹が観察できる条件」というのを、私なりに整理してまとめてみました。みなさまにも知っていただけるようにわかりやすくしておりますので、まずは、そちらをご覧ください(決して私が発見したものでも編みだしたものでもなく、すべて調べた受け売りの知識です)。

【 虹が観察できる条件 】

【1】空気中に水蒸気などの水滴が存在すること
虹は光の屈折現象なので、水滴がないと現れない。自然虹を発現させる水滴は、主に「雨」である。

【2】直射の太陽(晴天)
くっきりと影の出る太陽の直射日光が必須。つまり、雨と晴天の境界に現れやすいということ。

【3】太陽と反対の方向に現れる
太陽と観察者を結んだ線の延長方向のことを「対日点」という(観察者の影の方向上の点)。虹の弧の中心は、必ず対日点である。

【4】「対日点」から「42°」の角度(観察者からみて)の周りに円形で現れる
正確には、虹の一番外側「赤色」が「42°」。一番内側「紫色」は「40°」。

【5】太陽高度(水平から太陽の角度)が「50°より低い」のときのみ虹が現れる
太陽高度が、1年の平均値の「秋分の日(9/22頃)」を例に説明します。15時には太陽高度がおおよそ30°なので虹観測が可能。16時をすぎると「15°」になるため、観測できる虹の高さが高くなります。(立派な虹を見ることが期待できる)

秋分の日の13時の太陽高度は50°。「対日点」から42°の方向は、水平線の下なので虹をみることはできません(秋分の日は、10時〜13時15分は高度が50°を超えるため虹が現れることはない)

さらに加えると、太陽高度が高い夏至(6/22頃)の場合、虹の見えない時間帯がさらに伸び「8時30分〜15時」。夏場は、早朝、あるいは15時以降しか虹は現れないと考えていいでしょう。

逆に太陽高度の低い冬至(12/22頃)には、50°を超える時間帯がないため、1日中観察できる可能性があるのです。

おいおい。学校でこんなこと習わなかったぞー!!
もちろん「【1】水滴」「【2】晴天」「【3】太陽と反対方向」はなんとなく知っていましたが、「【4】光の延長線の42°」「【5】太陽高度が50°以下」ってのは、全く知りませんでした……。

【4】と【5】は、つまり「夏場の真昼には、虹は絶対出ない」「冬場のほうが虹の観察チャンスが多い」ってことでしょう。虹の本場は「夏」ってイメージだっただけに、軽く打ちのめされた気分です。

人工虹を作るための条件をそろえてみる

「人工虹」の撮影に挑むには、先にまとめた「虹が観測できる条件」を揃える必要があります。

【1】について
「雨」に替わる水滴としてまずは「霧吹き」を用意しました。実際の撮影では、さらに強力に連続噴霧が可能な、園芸などで使う「蓄圧式噴霧機」を使うことにしました。

霧吹きと噴霧器を用意

霧吹きと噴霧器を用意

【2】について
安定的に直射日光が照る日を選んで撮影を行いました。

日差し十分の日に撮影を

日差し十分の日に撮影を

【3】について
太陽と逆の方向に虹は現れます。言い換えると観察者(撮影者)の影の方向に出ることになります。

自分の影の方向に虹が出ます

自分の影の方向に虹が出ます

【5】について
撮影日は8月20日。撮影時間は、太陽高度が50°より低くなる夕方を選択。なるべく長時間撮影できるように、西側が開けた河原で撮影することにしました。

西側が開けた河原に行きました

西側が開けた河原に行きました

条件の1、2、3、5はそろいました!
【4】の「対日点(太陽の光が進む方向)から42°に虹!」は、このあと実際の「人工虹」撮影現場でご説明することにします。

人工虹の撮影現場の引き絵。太陽との関係がわかると思います

人工虹の撮影現場の引き絵。太陽との関係がわかると思います

少し寄ってみました。ちなみにこの写真の虹は合成。理論的には、このあたりに現れるはずです

少し寄ってみました。ちなみにこの写真の虹は合成。理論的には、このあたりに現れるはずです

撮影カメラは「iPhone X」。すぐ脇から噴霧器を使い、連続噴霧します

撮影カメラは「iPhone X」。すぐ脇から噴霧器を使い、連続噴霧します

 決して釣りをしているのではありません。人工虹の撮影を試みている姿です

決して釣りをしているのではありません。人工虹の撮影を試みている姿です

準備万端!いよいよ、実践!

論理武装と周到な準備は完璧です! 
さてさて、iPhoneで「人工虹」は、本当に撮影できたのか!? 気になる結果をごらんください。(iPhoneのバースト撮影で高速連写しています)

思っていたヤツと全然ちがーーう!!
ご大層なロジックと計画の割には、結果はものすごくしょぼかった……!
そもそも下のほう(地面方向)にだったら、昼間でも簡単に「人工虹」は見えるんだし、こんなことではいかーん!!

そして、濃度が濃い背景でないと虹が観察できないことを知ることになります。











と、大いに落胆していたのですが、
このあと、念のために回していた「iPhone動画」が奇跡をとらえていたのです!!

動画には、空に天然虹のごとくアーチを描いた虹が映っているではないですか!?
これは、予想以上の成果でしょう!!
しかも、断片的ながらも理論通り円形に虹ができることもわかりましたし(撮影時には映っていることを確認できなかった……)。

動画から抜き出してみました

動画から抜き出してみました

部分的にしか水滴を撒くことができない手動の噴霧器で、ここまで見事な虹をとらえられたのって「実はものすごいこと」のような気がするのですが……いかがでしょう?

それでは、今回の人工虹チャレンジで得たことをまとめてみましょう!

ズバリ!「人工虹」を地平線より上に作る方法!!

チャンスは晴天(直射日光)の夕方(低い太陽)、
自分の頭の影(対日点)を中心とした42°の上方の半円に向け、
霧吹き(水滴)をすると、地平線より上に虹が観察できる。
このとき、背景はできるだけ暗いほうがよい(背景が明るいと観察できない)。

※風が強いと霧が流されてしまうので、無風時がベスト!
※とはいえ、地平線より下になら太陽が高い昼間でも「人工虹」を作ることができます。

この「人工虹」は太陽高度の高い昼間に「霧吹き」を使って撮りました。地面方向に観察されることになります。コツとしては、太陽直射と木陰などのキワが現れやすいです(背景が暗いから)。ただ、この程度の短い虹が限界です

この「人工虹」は太陽高度の高い昼間に「霧吹き」を使って撮りました。地面方向に観察されることになります。コツとしては、太陽直射と木陰などのキワが現れやすいです(背景が暗いから)。ただ、この程度の短い虹が限界です

太陽が低くなる冬が“虹撮影“のチャンス

夏が虹のシーズンと勝手に思っていましたが、実は太陽高度が低くなる冬場こそ、虹が観測しやすいということがわかりました。つまり、これからが虹のシーズンと言えるでしょう(執筆時は9月)。10月、11月は晴天率が高いですしね。

皆様も、この記事を参考に「人工虹」を作って撮影してみてはいかがでしょうか!?(原理さえ覚えておけば、天然虹の発見のヒントにもなりますよ)。

※筆者の中居は撮影の専門家ではありますが、サイエンス(自然科学)の専門家ではありませんので、そちらの分野のツッコミにお答えできる能力がございませんことを、あらかじめお断りしておきます……。



有限会社パンプロダクト代表 
中居中也(なかい・なかや)のショップとブログ
「使える機材のセレクトショップ」
「使える機材Blog!」

中居中也

中居中也

銀塩カメラマンとして広告や雑誌でキャリア開始。2010年より「唯一無二の撮影機材通販」にも参入。写真が上手になると定評があるブログを参考にするカメラマン続出中!

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