毎年春恒例のカメラ・写真イベント「CP+2022」(開催期間:2022年2月22〜27日)は、コロナ禍の影響により、昨年に引き続き今年もオンラインのみでの開催となった。今年はリコーイメージングが出展を見合わせるなど、イベント自体がやや盛り上がりに欠けるところがあるが、それでも、注目の新製品に関する情報がいろいろと発表になっているほか、写真家によるオンラインセミナーも配信されており、情報収集の場として有益なイベントであることに変わりはない。本記事では、そんな「CP+2022」で特に注目を集めている新製品をピックアップして紹介しよう。
この春に登場する新しいミラーレスカメラの中で最も注目度が高いと言っても過言ではないのが、OMデジタルソリューションズのマイクロフォーサーズ機「OM SYSTEM OM-1」(以下、OM-1)だ。新ブランド「OM SYSTEM」の第1弾モデル、かつ新フラッグシップモデルということで、出し惜しみ感のないハイエンド向けのカメラに仕上がっている。
2022年3月の発売が予定されている、「OM SYSTEM」ブランドの第1弾製品「OM-1」
スペックで注目なのは、撮像素子に新開発の積層型センサー(有効約2037万画素の裏面照射積層型Live MOSセンサー)を採用したこと。このセンサーに、こちらも新開発の画像処理エンジン「TruePic X」を組み合わせることで、画質やAF、連写、撮影機能などあらゆる点で大幅な進化を実現している。
画質は常用で最高ISO25600に対応するようになるなど、ノイズ耐性が改善。解像感とダイナミックレンジもよくなっており、従来から大幅な画質向上を実現している。AFは、縦・横の両方向で位相差情報を取得できる新開発の「1053点オールクロス像面位相差クアッドピクセルAF方式」。従来以上の合焦速度・精度、追従性で、動物 (犬、猫)の検出にも新たに対応した。さらに連写性能は、AF・AE追従で最高約50コマ/秒、AF・AE固定で最高約120コマ/秒(いずれも電子シャッター時)という驚きのコマ速を実現。独自の画像合成機能「コンピュテーショナル撮影機能」は、画像処理時間の短縮や、「ライブND」のND64(6段分)対応、「ライブコンポジット」の手ぶれ補正対応などを実現している。
発売は2022年3月の予定で、2022年2月25日時点での価格.com最安価格は245,520円(税込)。
「OM-1」と同じタイミングで、「M.ZUIKO PROレンズ」の新モデル「M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PRO II」(左)と「M.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F4.0 PRO」(右)も発売になる。特に注目なのは「M.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F4.0 PRO」で、F値固定の300mm相当(35mm判換算)対応の望遠ズームレンズとして世界最小・最軽量を実現している
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パナソニックからは同社マイクフォーサーズミラーレスの最上位モデル「LUMIX GH6」がこの春に登場する。小型・軽量で充実した動画撮影機能を搭載する「LUMIX GHシリーズ」の特徴を拡張したモデルで、基幹デバイスを刷新することで静止画撮影、動画撮影の両方が進化したハイブリッド機となっている。
2022年3月25日に発売になる「LUMIX GH6」。パナソニックのマイクロフォーサイズ機の最上位モデルだ
撮像素子には、従来から約20%以上の高画素化となる有効2521万画素のLive MOSセンサー(ローパスフィルターレス設計)を採用。画像処理エンジンは、処理能力が約2倍に向上した新世代の「ヴィーナスエンジン」だ。「低ISO回路」と「高ISO回路」からの画像を1画素ごとに光量に応じた比率で組み合わせることで、低ノイズと高飽和の特性を持った階調性にすぐれるHDR映像を合成する新機能「ダイナミックレンジブースト」も搭載している。
「LUMIX GHシリーズ」が得意とする動画撮影機能は、“コーデックモンスター”を開発キーワードとし、非常に多彩な記録モードを搭載。5.7K/60p、C4K/120p、4K/120p 60p、フルHD/240pといった動画をクロップレスで記録できる。VFRのフルHD記録では300fpsハイフレームレート記録も可能となっている。記録モードによって異なるが、カラーサンプリング・ビット深度は4:2:0 10bitと4:2:2 10bitに対応。C4K/60pは最大800Mbpsの高ビットレートで時間無制限の記録が可能だ。ProRes 422 HQ/ProRes 422の5.7K/30p内部記録にも対応している。さらに、「LUMIX Gシリーズ」として初めて、広ダイナミックレンジかつ広色域な記録が可能なV-Log/V-Gamutに対応するのも見逃せない。
2022年2月25日時点での価格.com最安価格はボディ単体が263,340円(税込)、「LEICA DG VARIO-ELMARIT 12-60mm/F2.8-4.0 ASPH./POWER O.I.S.」が付属する標準ズームレンズキットが336,600円(税込)。2022年3月25日の発売が予定されている。
レンズ交換式カメラ「EOS」と、交換レンズ「RF/EFレンズ」をはじめとする各種アクセサリーで構成する「EOS SYSTEM」が2022年3月に35周年を迎えるキヤノン。それを記念するような新しいミラーレスの登場が期待されているが、残念ながら「CP+2022」の開催のタイミングでの新モデルの発表はなかった。
「CP+2022」の開催にあわせて発表になったのは、「RF800mm F5.6 L IS USM」と「RF1200mm F8 L IS USM」の2本。ミラーレス用の交換レンズ「RFレンズ」の大口径・超望遠レンズだ。
大口径の超望遠レンズながら小型・軽量な「RF800mm F5.6 L IS USM」(上)と「RF1200mm F8 L IS USM」(下)。2022年5月下旬の発売予定
「RF800mm F5.6 L IS USM」は「RF400mm F2.8 L IS USM」の光学系を、「RF1200mm F8 L IS USM」は「RF600mm F4 L IS USM」の光学系をベースに、本体後部にエクステンダーに相当する拡大光学系を配置することで、小型・軽量化と高画質を両立。重量はベースとなるレンズから250gの増加にとどまっており、「RF800mm F5.6 L IS USM」は約3140g、「RF1200mm F8 L IS USM」は約3340gと、いずれも3kg台に抑えられている。
さらに、両レンズとも「エクステンダー RF1.4×」「エクステンダー RF2×」の装着に対応しており、「RF800mm F5.6 L IS USM」は最大1600mm相当、「RF1200mm F8 L IS USM」は最大2400mmでの超望遠撮影が可能。エクステンダー装着時もAFや手ブレ補正機能に対応する。高性能な「L(Luxury)」レンズで、炎天下での長時間の使用でも温度上昇を抑制する遮熱塗料を採用するほか、マウント部やスイッチ部、フォーカスリングなどは防塵・防滴構造となっている。
両レンズとも発売は2022年5月下旬の予定。2022年2月25日時点での価格.com最安価格は「RF800mm F5.6 L IS USM」が2,266,000円(税込)、「RF1200mm F8 L IS USM」が2,662,000円(税込)。
フラッグシップミラーレス「Z 9」が好調のニコンからは、「CP+2022」の開催にあわせての新製品の発表はなかった。ただ、直近の2022年1〜2月は、ミラーレス用の交換レンズ「NIKKOR Zレンズ」を続けてリリースしている。その中で特に注目を集めているのが、2022年2月18日に発売になった、大口径・超望遠レンズ「NIKKOR Z 400mm f/2.8 TC VR S」だ。
「NIKKOR Z 400mm f/2.8 TC VR S」は高性能な「S-Line」に属する大口径・超望遠レンズ。2022年2月18日に発売された最新モデルだ
「NIKKOR Zレンズ」初となる大口径・超望遠レンズで、光学性能の高さに加えて、「NIKKORレンズ」史上最高の反射防止効果を持つ新開発のコーティング「メソアモルファスコート」や、新開発のAF駆動用モーター「シルキースウィフトVCM」といった新技術を採用することでも話題となっている。さらに、焦点距離を1.4倍に拡大するテレコンバーターを内蔵しており、焦点距離560mmでの撮影にも対応。レンズにピント位置を登録した状態でFnリングを回すと、登録したピント位置に瞬時に合わせることが可能な「メモリーリコール」機能も新たに搭載している。また、テレコンバーター「Z TELECONVERTER TC-1.4x」「Z TELECONVERTER TC-2.0x」の使用も可能だ。
2022年2月25日時点での価格.com最安価格は1,628,550円(税込)。
富士フイルムは「CP+2022」の開催期間中(2022年2月24日)に、Xマウント用の新しいレンズ「XF23mmF1.4 R LM WR」の発売を開始した。発表当初は2021年11月の発売を予定していたが、部品調達の遅延の影響で発売を延期していた製品だ。
発売が延期になっていた大口径・準広角レンズ「XF23mmF1.4 R LM WR」。2022年2月24日に発売となった
23mm(35mm判換算で35mm相当)の焦点距離を持つ準広角の大口径・単焦点レンズで、従来モデル「XF23mmF1.4 R」の開放F1.4の明るさはそのままに光学設計を刷新。非球面レンズ2枚とEDレンズ3枚を含む10群15枚のレンズ構成によって解像性能を向上させている。さらに、新搭載のリニアモーターと、小型・軽量なフォーカス群によるインナーフォーカス方式を採用することで、高速・高精度AFも実現。防塵・防滴・-10℃の耐低温構造も採用した。
2022年2月25日時点での価格.com最安価格は108,900円(税込)。
シグマは、「CP+2022」の開催前日の2022年2月21日に、ミラーレス用の交換レンズのラインアップに、富士フイルムXマウント用を追加することを発表。シグマレンズのネイティブマウント化を待ち望んでいた富士フイルムユーザーから注目を集めている。
第1弾製品として登場するのは、現在Lマウント用、ソニーEマウント用、マイクロフォーサーズ用、キヤノンEF-Mマウント用の4マウントで展開している、「Contemporary」ラインの単焦点レンズ「16mm F1.4 DC DN」「30mm F1.4 DC DN」「56mm F1.4 DC DN」の3本。いずれも2022年4月8日の発売が予定されている。2022年2月25日時点での価格.com最安価格は、「16mm F1.4 DC DN」が44,550円(税込)、「30mm F1.4 DC DN」が36,135円(税込)、「56mm F1.4 DC DN」が44,550円(税込)。
左からXマウント用の「16mm F1.4 DC DN」「30mm F1.4 DC DN」「56mm F1.4 DC DN」。発売は2022年4月8日の予定
シグマの最新レンズでは、2022年2月5日に超広角レンズ「20mm F2 DG DN」も発売になっている。「Contemporary」ラインの「Iシリーズ」に属するコンパクトなモデルだ。Lマウント用とソニーEマウント用が用意されている
また、シグマ本社主導のもと国内の研究機関と連携して開発を進めている「3層イメージセンサー」(フルサイズFoveonセンサー)の開発状況についても最新の進捗が発表になった。
設計シミュレーションを重ね、狙い通りに機能するかの確認を行う「ステージ1」、製品仕様と同一の画素サイズで総画素数を減らした小サイズのイメージセンサーによって試作評価を行う「ステージ2」、フルサイズのイメージセンサーで、ADコンバーターなども含めた量産仕様で試作評価を行う「ステージ3」の大きく3つのステージに分けて開発を進めているとし、現在は「ステージ2」の面積の小さい試作センサーを作成している段階にあるとのこと。まだイメージセンサー量産化の具体的な日程をアナウンスできる段階ではないが、今後は、「ステージ2」の試作センサーの評価結果をもとに、フルサイズの面積で評価を行う「ステージ3」に進むか、「ステージ2」をやり直すかを判断する予定。「ステージ3」に進んだ場合、量産性の検証を行ったうえで、最終的なイメージセンサーの量産可否を判断するとのことだ。
コシナは、「CP+2022」の開催にあわせて、今後発売を予定している製品として、MF単焦点レンズ「フォクトレンダー」ブランドの新モデルの情報を公開した。明らかになったのはニコンZマウント用と富士フイルムXマウント用で、Zマウント用は「NOKTON D23mm F1.2 Aspherical」「APO-LANTHAR 35mm F2 Aspherical」「APO-LANTHAR 50mm F2 Aspherical」の3本、Xマウント用は「NOKTON 23mm F1.2 Aspherical X-mount」の1本。ニコンZマウント用については、2022年2月15日に第1弾製品「NOKTON D35mm F1.2」(2022年3月発売予定)を発表したばかり。それから10日あまりで早くも第2弾モデルの詳細がリリースされたことになる。
Zマウント用の「NOKTON D23mm F1.2 Aspherical」は両面非球面レンズ1枚、異常部分分散ガラス2枚を使用する最新の光学系を採用した、APS-C用の準広角レンズ。開放F1.2の大口径ながら全長43.8mm、重量214gのコンパクトなサイズを実現している。先に発表になった「NOKTON D35mm F1.2」と同様、オールドニッコールレンズのようなデザインを採用するのも特徴だ。
オールドニッコールレンズのようなデザインの「NOKTON D23mm F1.2 Aspherical」
「APO-LANTHAR 35mm F2 Aspherical」と「APO-LANTHAR 50mm F2 Aspherical」は、フォクトレンダー至上最高性能を謳う「APO-LANTHAR」シリーズの製品で、ソニーEマウント版の光学系をベースに最適化したもの。いずれのレンズも電子接点を搭載し、Exif情報の記録、ボディ内手ブレ補正(3軸)、3種類のピント合わせサポート機能(フォーカスポイント枠色変化によるピント合わせ、ピーキングによるピント合わせ、拡大ボタンによるピント合わせ)に対応している。
左が「APO-LANTHAR 35mm F2 Aspherical」で、右が「APO-LANTHAR 50mm F2 Aspherical」。フォクトレンダー至上最高性能の「APO-LANTHAR」シリーズがついにZマウントでも登場する
Xマウント用の「NOKTON 23mm F1.2 Aspherical X-mount」は、Zマウント用の「NOKTON D23mm F1.2 Aspherical」と光学設計を共通にするモデル。電子接点を搭載し、Exif情報の記録、フォーカスチェック、撮影距離連動表示、ボディ内手ブレ補正、「X-Pro3」のパララックス補正に対応している。「NOKTON 35mm F1.2」と同様、Xマウント用とZマウント用でデザインが異なっており、フォーカスリングと絞りリングの配置、ならびにフォーカスリングの回転方向が逆になっている。
Xマウント用の「NOKTON 23mm F1.2 Aspherical X-mount」。Zマウント用と同じ光学設計で、「Xシリーズ」のミラーレスに合わせたデザインになっている
「フォクトレンダー」ブランドのマウンドアダプター製品として「VM-E Close Focus Adapter II」も発表になった。VM/ZMレンズをEマウントカメラに装着するためのアダプターで、2022年2月24日に発売になった「VM-X Close Focus Adapter II」と同様に、繰り出し量の拡大(4.0mmから4.3mm)、ダイヤパターンのローレット加工の採用、軽量化(約50g)といった改善が施されている
いずれの製品も発売時期・価格は未定になっているが、新しい製品カタログ(フォクトレンダー総合カタログ2022年版)にすでに掲載されているので、近いうちに正式に発売日と価格が発表になりそうだ。
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