レビュー

人気沸騰中のキヤノン「EOS R7」、 購入検討時に気になるポイントを徹底レビュー

キヤノンの新型ミラーレスカメラ「EOS R7」(2022年6月下旬発売予定)の人気が高い。発売前にもかかわらず、2022年6月10日時点での価格.com「デジタル一眼カメラ」カテゴリーの売れ筋ランキングは1位と、ハイアマチュアユーザーを中心に支持を集めている。基本的な特徴は製品発表時のレポート「EOS R7/R10ファーストインプレッション」をご覧いただくとして、本記事では、「購入検討時に気になるポイント」をテーマに、この注目製品をじっくりとレビューしよう。

※本記事では、製品版と機能面で違いのない試作機(評価可能機)を使用しています。

2022年6月下旬発売の「EOS R7」。APS-Cサイズの撮像素子を採用し、クラス最高の高速AFと高速連写を実現したのが最大の特徴だ(レンズはキットレンズとして用意される「RF-S18-150mm F3.5-6.3 IS STM」)

2022年6月下旬発売の「EOS R7」。APS-Cサイズの撮像素子を採用し、クラス最高の高速AFと高速連写を実現したのが最大の特徴だ(レンズはキットレンズとして用意される「RF-S18-150mm F3.5-6.3 IS STM」)

気になるポイント1:AF 「EOS R3」ゆずりの実力は?

「EOS R7」は、キヤノンの一眼カメラのラインアップの中ではミドルクラスモデルに位置する、ハイアマチュア向けの高性能なミラーレスだ。同時発表の下位モデル「EOS R10」と並んで、キヤノンのミラーレス「EOS Rシリーズ」としては初となるAPS-Cサイズの撮像素子を採用するモデルとなっている。ボディ単体の価格.com最安価格は178,002円(2022年6月10日時点)。特に、野鳥や動物、飛行機、鉄道、スポーツといった、本格的な動体撮影に適したカメラとして注目されている。

「EOS R7」(画像左)のサイズは約132.0(幅)×90.4(高さ)×91.7(奥行)mmで、重量は約612g(バッテリー、カードを含む)。中級一眼レフ「EOS 90D」(画像右)と比べるとひと回りコンパクトで、重量は約89g軽くなっている

「EOS R7」(画像左)のサイズは約132.0(幅)×90.4(高さ)×91.7(奥行)mmで、重量は約612g(バッテリー、カードを含む)。中級一眼レフ「EOS 90D」(画像右)と比べるとひと回りコンパクトで、重量は約89g軽くなっている

「EOS R7」(画像左)に「RF-S18-150mm F3.5-6.3 IS STM」を、「EOS 90D」(画像右)に「EF-S18-135mm F3.5-5.6 IS USM」を装着しての比較。いずれもキットレンズとして用意されている高倍率ズームレンズだ。レンズを組み合わせた重量を比較すると、「EOS R7」+「RF-S18-150mm F3.5-6.3 IS STM」は、「EOS 90D」+「EF-S18-135mm F3.5-5.6 IS USM」よりも約294g軽い

「EOS R7」(画像左)に「RF-S18-150mm F3.5-6.3 IS STM」を、「EOS 90D」(画像右)に「EF-S18-135mm F3.5-5.6 IS USM」を装着しての比較。いずれもキットレンズとして用意されている高倍率ズームレンズだ。レンズを組み合わせた重量を比較すると、「EOS R7」+「RF-S18-150mm F3.5-6.3 IS STM」は、「EOS 90D」+「EF-S18-135mm F3.5-5.6 IS USM」よりも約294g軽い

動体撮影用カメラとして最も気になるのはAFの性能だろう。「EOS R7」のAFは、高性能なフルサイズミラーレス「EOS R3」ゆずりの「デュアルピクセルCMOS AF II」システムを採用し、独立した「被写体追尾(トラッキング)」と、高度な被写体検出(「人物」「動物優先(犬/猫/鳥)」「乗り物優先」に対応)によって、画面全域で動体を追尾しながら撮影できるようになっている。8種類のAFエリアやサーボAF特性などの機能や設定も「EOS R3」と共通で、基本的な使い方は「EOS R3」と同じと言っていい。

「EOS R3」と同様、AF方式から独立した形で「被写体追尾(トラッキング)」を選択できる

「EOS R3」と同様、AF方式から独立した形で「被写体追尾(トラッキング)」を選択できる

「人物」「動物優先(犬/猫/鳥)」「乗り物優先」の被写体検出に対応。「被写体追尾(トラッキング)」と組み合わせることで、一度とらえた被写体を画面全域で精度よく追尾してくれる

「人物」「動物優先(犬/猫/鳥)」「乗り物優先」の被写体検出に対応。「被写体追尾(トラッキング)」と組み合わせることで、一度とらえた被写体を画面全域で精度よく追尾してくれる

AFエリアは「EOS R3」と同じく8種類。選択項目に表示するAFエリアを限定する機能も備わっている

AFエリアは「EOS R3」と同じく8種類。選択項目に表示するAFエリアを限定する機能も備わっている

「EOS R7」では、マルチコントローラーの初期設定が「AFフレームダイレクト選択」になった。使い始めからマルチコントローラーでAFフレームをダイレクトに移動することができる

「EOS R7」では、マルチコントローラーの初期設定が「AFフレームダイレクト選択」になった。使い始めからマルチコントローラーでAFフレームをダイレクトに移動することができる

「EOS R3ゆずりのAF」ということで、否応なしに期待は高まるというものだが、実機はその期待を裏切らない仕上がりになっている。以下に、「EOS R7」で野鳥を追尾している様子を記録した動画を掲載するが、素早く移動する被写体にAFがしっかりと反応できていることと、障害物がある状況でも被写体をとらえて離さないことがわかるはずだ。

移動する鳥を被写体に、「EOS R7」の「被写体追尾(トラッキング)」と被写体検出の動作を収めた動画(音声なし)。使用したレンズは望遠ズームレンズ「RF100-500mm F4.5-7.1 L IS USM」
※HDMI出力で撮影画面をキャプチャーした動画になります。カメラのモニター画面と比べると、AFフレームの表示は同じですが、各種撮影情報の表示位置が異なっています

「EOS R3とまったく同等か?」と問われると、さすがに「EOS R3」のほうが、被写体への一瞬の食いつきなどで、レスポンスにすぐれるように感じた。このあたりの差は、「EOS R3」は高速読み出しが可能な裏面照射積層CMOSセンサーで、「EOS R7」は従来のCMOSセンサーという、撮像素子の処理性能によるところが大きいのかもしれない。

とはいうものの、「EOS R7」のAFは「EOS R3」に匹敵する性能なのは間違いなく、かなりハイレベル。2022年6月時点ではAPS-Cミラーレスとして最高性能と言っても過言ではない。

EOS R7、RF100-500mm F4.5-7.1 L IS USM+EXTENDER RF2x、1000mm(35mm判換算1600mm)、ISO2000、F16、1/2500秒、ホワイトバランス:オート(雰囲気優先)、ピクチャースタイル:スタンダード、オートライティングオプティマイザ:標準、デジタルレンズオプティマイザ:する(標準)、周辺光量補正:する、歪曲収差補正:する、JPEG

EOS R7、RF100-500mm F4.5-7.1 L IS USM+EXTENDER RF2x、1000mm(35mm判換算1600mm)、ISO2000、F16、1/2500秒、ホワイトバランス:オート(雰囲気優先)、ピクチャースタイル:スタンダード、オートライティングオプティマイザ:標準、デジタルレンズオプティマイザ:する(標準)、周辺光量補正:する、歪曲収差補正:する、JPEG
撮影写真(6960×4640、9.7MB)

119.88fpsの表示フレームレートに対応する「なめらかさ優先」設定が用意されている。119.88fps表示になるのはファインダー撮影時の撮影待機中で、AF中や、シャッターボタン半押し中、連写中は最高約59.94fpsとなる

119.88fpsの表示フレームレートに対応する「なめらかさ優先」設定が用意されている。119.88fps表示になるのはファインダー撮影時の撮影待機中で、AF中や、シャッターボタン半押し中、連写中は最高約59.94fpsとなる

気になるポイント2:連写 連写の持続性は?

動体撮影用としてカメラを選ぶ場合に、AFとあわせて気になるのが連写性能だ。「EOS R7」は、メカシャッター/電子先幕時に「EOS Rシリーズ」で最速となるAF/AE追従で最高約15コマ/秒、電子シャッター時には「EOS R3」と同等となるAF/AE追従で最高約30コマ/秒の高速連写が可能となっている。

「高速連続撮影+」設定時に、メカシャッター/電子先幕で最高約15コマ/秒、電子シャッターで最高約30コマ/秒の高速連写が可能

「高速連続撮影+」設定時に、メカシャッター/電子先幕で最高約15コマ/秒、電子シャッターで最高約30コマ/秒の高速連写が可能

電子シャッター時の最速シャッタースピードは1/16000秒

電子シャッター時の最速シャッタースピードは1/16000秒

「EOS R7」の連写性能で注意したいのは「連写の持続性」だ。「EOS R7」のカタログスペックによると、最高約15コマ/秒連写時の撮影可能枚数は、UHS-II対応SDメモリーカード使用時でJPEGラージが約224枚、HEIFラージが約190枚、RAWが約59枚、RAW+JPEGラージならびにRAW+HEIFラージが約51枚。JPEG/HEIFは十分だが、RAWやRAW+JPEGだとやや心もとない。

実際に最大書き込み速度299MB/sのUHS-IIカードでRAW+JPEG連写を試してみたが、ほぼカタログスペックどおりといったところで、メカシャッター・電子シャッターでの15コマ/秒連写時は3秒程度、電子シャッターでの30コマ/秒連写時は1〜2秒で連写がストップした。バッファー容量がいっぱいになってからの復旧もそれほど速いわけではなく、特に30コマ/秒連写時はバッファーの詰まりでストレスを感じることもあった。また、RAW記録だと15コマ/秒連写時に4秒程度まで時間が延びるものの、体感的にはRAW+JPEG記録とそれほど変わらないという印象。このカメラで高速連写を続けたいのであれば、まずは15コマ/秒に連写速度を落として試してみて、満足できないようならJPEG/HEIF記録を選択する必要があるだろう。

UHS-II対応のSDメモリーカードスロットを2基搭載するデュアルスロットを採用

UHS-II対応のSDメモリーカードスロットを2基搭載するデュアルスロットを採用

また、電子シャッターでの高速連写時にカメラを振りながら撮影して気になったのが、ローリングシャッターによる歪みだ。「EOS R3」と比べるとセンサーの読み出し速度がそれほど速くなく、カメラを動かした際に被写体の歪みが発生することがある。カメラを固定して撮る場合はほぼ問題なかったが、野鳥や航空機など移動する被写体を追いながら撮影する際は、メカシャッターを選択するのが無難だろう。

EOS R7、RF100-500mm F4.5-7.1 L IS USM、270mm(35mm判換算432mm)、ISO2000、F5.6、1/1250秒、ホワイトバランス:オート(雰囲気優先)、ピクチャースタイル:スタンダード、オートライティングオプティマイザ:標準、デジタルレンズオプティマイザ:する(標準)、周辺光量補正:する、歪曲収差補正:する、JPEG

EOS R7、RF100-500mm F4.5-7.1 L IS USM、270mm(35mm判換算432mm)、ISO2000、F5.6、1/1250秒、ホワイトバランス:オート(雰囲気優先)、ピクチャースタイル:スタンダード、オートライティングオプティマイザ:標準、デジタルレンズオプティマイザ:する(標準)、周辺光量補正:する、歪曲収差補正:する、JPEG
撮影写真(6960×4640、11.6MB)

このほか、連写関連の機能では、電子シャッターによるRAW画像の連続撮影機能「RAWバーストモード」が便利。「EOS M6 Mark II」などが搭載していた機能で、「EOS R7」では、クロップなしの最大約3250万画素のまま最高約30コマ/秒連写とプリ撮影が可能だ。一連の連写撮影はひとつのRAWファイルでまとめられ、カメラ内で各コマをRAW/JPEGに出力できるようになっている(※「EOS M6 Mark II」などと同じ仕様であれば、RAW現像ソフト「Digital Photo Professional」では、任意の範囲にカットして保存したり、各コマをRAWに出力したりすることができる)。特にプリ撮影が便利で、鳥の飛翔の瞬間など、被写体の動きに対して反応する前の状態を記録できるのが使いやすいところだ。

「RAWバーストモード」の設定画面。シャッターボタンを全押しする約0.5秒前から記録が開始されるプリ撮影に対応している

「RAWバーストモード」の設定画面。シャッターボタンを全押しする約0.5秒前から記録が開始されるプリ撮影に対応している

「RAWバーストモード」のプリ撮影の作例

EOS R7、RF100-500mm F4.5-7.1 L IS USM、500mm(35mm判換算800mm)、ISO3200、F7.1、1/4000秒、ホワイトバランス:オート(雰囲気優先)、ピクチャースタイル:スタンダード、オートライティングオプティマイザ:標準、デジタルレンズオプティマイザ:する(標準)、周辺光量補正:する、歪曲収差補正:する、RAWバーストモード

鳥の捕食の瞬間をプリ撮影で記録した写真。動いた瞬間にシャッターボタンを押しているが、反応前の動きを収めることができた
EOS R7、RF100-500mm F4.5-7.1 L IS USM、500mm(35mm判換算800mm)、ISO3200、F7.1、1/4000秒、ホワイトバランス:オート(雰囲気優先)、ピクチャースタイル:スタンダード、オートライティングオプティマイザ:標準、デジタルレンズオプティマイザ:する(標準)、周辺光量補正:する、歪曲収差補正:する、RAWバーストモード
撮影写真(6960×4640、12.9MB)

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