天体望遠鏡は、安いものは5万円以下から高いものは50万円以上までと価格帯が幅広いですが、それらの違いはいったい何なのでしょうか?ここでは、価格差が出やすい3つのポイントについて解説します。
「単凸レンズ<アクロマートレンズ<EDレンズ(アポクロマート)<フローライトレンズ」のように、高級モデルになればなるほど高品質なレンズにシフトしていき、色収差がなくシャープな像を得やすくなります。
一般的に「経緯台」よりも天体を追尾しやすい「赤道儀」のほうが高価に。さらに、電動モーター駆動の「自動導入」や「自動追尾」などの機能などが備わると、その分だけ価格は高くなります。
安価なモデルはプラスチックがメインで使われていることが多いですが、上位モデルには頑丈な金属や鋳物などの素材が使われています。
ここでは、少し価格は高くなりますが入門機よりも高性能なモデルで観測をしたい人や本格的に天体観測を始めたい人向けのステップアップモデルを3選ご紹介します。
口径203mmの屈折反射式(シュミットカセグレン)と自動導入赤道儀のセット。星雲・星団から惑星まで小口径とは違った見え方の天体を楽しめます。観測を快適に楽しむために、別途フードやポータブル電源なども用意しましょう。
補正レンズやオートガイダーの追加で本格的な天体写真を楽しめる、200mmの大口径反射式+自動導入赤道儀のセットです。抜群の明るさで大きな星雲から銀河まで、カメラや補正レンズの組み合わせ次第で1年を通して使用できるスタンダード機。
手軽に天体撮影を楽しみたい人向けのモデルで、電子の目(カメラ)で天体を楽しめます。難しい設置や設定の手間がなく、手軽に見ている天体を写真としてスマホに保存可能。
>>初心者にも扱いやすいおすすめ12選を見る(1ページ目に戻る)
焦点距離が同じであれば写る範囲は似たようになりますが、一般的には「天体望遠鏡」にカメラを取り付けて撮影した場合と、「カメラレンズ」で撮影した場合では以下のような違いがあります。
中心の解像度が高く、隅にいくほどボケていくので、通常は補正レンズを使用します。アストログラフ(天体写真用望遠鏡)は初めから補正レンズが組み込まれたもの。レンズ枚数が少なく同口径、同焦点距離のカメラレンズに比べると軽量で光の透過率がよく、絞り羽もないためキレイな星像を得られます。また、干渉フィルターの使用ができるため、最近では都市部でも星雲や銀河の撮影が可能。
補正レンズが使用できないため、周辺まで良像を得るには周辺像性能がいいレンズを使用するか、絞り込むことによって改善します。レンズは近接〜望遠までピントを合わせてもレンズの長さが変わらないように小型化を優先しなければならないうえ、手ブレ補正やズームなどを実装するためにレンズ枚数が10枚以上で構成されているため、望遠鏡よりも像が暗くなりがち。また、明るいレンズでは絞ることによって周辺減光を改善できるほか、ズームで自由な画角を得ることもできます。
キヤノンの「EOS Ra」のように「天体撮影専用」として製造されたカメラも存在します。これらは、画素数や明るさが天体撮影用に最適化されており、バラ星雲のように肉眼では見ることのできない赤みのある光も、鮮やかに写し出すことが可能(通常のカメラは、肉眼では見えない光をカットするフィルターを入れて、意図的に人間の眼の感覚に合わせている)。ただし、天体撮影専用カメラで一般の被写体を撮影した場合、実際より赤みの強い画像となり、適切なカラーバランスが得られないことがあるので、天体写真専用として使用するのがいいでしょう。
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