交換レンズ図鑑

50mmスタートの超望遠ズーム! 正式発表前のタムロン「50-400mm F/4.5-6.3 Di III VC VXD」をいち早く試した

ほかにはない個性的な特徴を持つズームレンズを次々とリリースするタムロンから、この秋に、またユニークな新製品が登場する。2022年7月28日に開発を発表した、ソニーEマウント用の「50-400mm F/4.5-6.3 Di III VC VXD (Model A067)」は、広角端の焦点距離が50mmの超望遠ズームレンズ。正式発表はまだだが、2022年秋の発売が予定されている注目製品だ。開発中の試作機をいち早く試すことができたので、外観画像や実写作例を掲載しながら、現時点でわかっている特徴を紹介しよう。

※本記事では、開発中の試作機を使用しています。発表前の製品のため、仕様、外観、性能などは変更になる場合があります。

※2022年8月11日 AFのインプレッションを追加しました。
※2022年8月12日 <標準と中望遠の違いから見る「50-400mm F/4.5-6.3 Di III VC VXD」の便利さ>を追加しました。

超望遠ズームレンズ「50-400mm F/4.5-6.3 Di III VC VXD」の試作機(カメラボディは「α7 III」)。発売予定は2022年秋

超望遠ズームレンズ「50-400mm F/4.5-6.3 Di III VC VXD」の試作機(カメラボディは「α7 III」)。発売予定は2022年秋

50mm対応の超望遠ズームはミラーレス初。タムロンらしく高画質と小型・軽量を両立

フルサイズ対応の超望遠ズームレンズ(望遠端の焦点距離が400mmを超えるズームレンズ)は一般的に、広角端の焦点距離が中望遠域の100mm前後というものが多い。ズーム倍率、光学性能、鏡筒のサイズ・重量のバランスを考えると、「超望遠ズーム=中望遠スタート」というのがレンズ設計上の“落としどころ”になっている。

「50-400mm F/4.5-6.3 Di III VC VXD」は、焦点距離400mmの超望遠撮影が可能なフルサイズ対応の超望遠ズームレンズながら、焦点距離50mmの標準画角にも対応する、タムロンの新製品。一眼レフ用のフルサイズ対応・超望遠ズームレンズでは過去に焦点距離50mmスタートのものがあったが、ミラーレス用としては、調べた限り本レンズが初。レンズ交換の手間なく、標準から中望遠、望遠、超望遠までの広い画角を1本でカバーできるのが何よりの魅力だ。

まだ開発段階の製品のため詳細なスペックは発表されていないが、主な特徴は以下のとおり。

「50-400mm F/4.5-6.3 Di III VC VXD」の主な特徴
・標準50mmから超望遠400mmを1本でカバー(ズーム倍率8倍)
・開放絞り値:広角端F4.5、望遠端F6.3
・全長183.4mm、重量1155gのコンパクト設計
・ズーム全域で妥協のない高画質
・広角端で最大撮影倍率1:2のハーフマクロ撮影が可能
・高速・高精度AFを実現するリニアモーターフォーカス機構「VXD」
・タムロン独自の手ブレ補正機構「VC」
・ズームリングの回転角度75°
・タムロン製ミラーレス用レンズの多くと共通のフィルター径67mm
・専用のPCソフト「TAMRON Lens Utility」でレンズのカスタマイズが可能
・別売オプションの三脚座(Model A035TM)の使用が可能
・質感、耐擦傷性を向上させた新デザイン
・簡易防滴構造、防汚コート
・ズームロックスイッチを搭載
・各種カメラ機能に対応

本レンズは焦点距離50mmスタートのため、ズーム倍率は8倍に達する。一般的な超望遠ズームレンズと比べてズーム倍率が高いため、「光学性能や鏡筒のサイズ感が犠牲になっているのでは?」と考えたくなるが、そこは高画質かつコンパクトなレンズの開発に定評のあるタムロン。

レンズ構成などは未発表だが、画質面では、特殊硝材を効果的に配置することで、ズーム全域で高画質を達成しているとのこと。鏡筒は広角端(レンズ収納時)の全長が183.4mm、重量が1155gと、焦点距離100mm前後スタートの超望遠ズームレンズとして見てもコンパクトな部類に入るサイズ感だ。別売オプションの三脚座(Model A035TM)を組み合わせた場合でも、総重量は1250gに収まる。

また、前玉が比較的小さい設計で、タムロンのほかの多くのミラーレス用レンズと同様、フィルター径が67mmに設計されていてフィルターを共用できるのもうれしい点だ。

光学設計的には、タムロンのズームレンズらしく、マクロに強いのも特徴。広角端(焦点距離50mm)では最短撮影距離0.25m、最大撮影倍率1:2のハーフマクロ撮影が行える。

望遠端(焦点距離400mm)時の全長は約258mm。外装の塗装は、ほかのタムロンの最新レンズと同じく、光沢感と艶があるブラック塗装。耐擦傷性にすぐれる塗装のためキズが付きにくく、指紋も目立ちににくい。簡易防滴構造や防汚コートも備わっている

望遠端(焦点距離400mm)時の全長は約258mm。外装の塗装は、ほかのタムロンの最新レンズと同じく、光沢感と艶があるブラック塗装。耐擦傷性にすぐれる塗装のためキズが付きにくく、指紋も目立ちにくい。簡易防滴構造や防汚コートも備わっている

このほかのスペックも充実しており、AF駆動には独自のリニアモーターフォーカス機構「VXD」を採用。独自の手ブレ補正機構「VC」も搭載している。

さらに、鏡筒に通信用のコネクターポート(USB-C端子)が備わっており、「28-75mm F/2.8 Di III VXD G2」や「35-150mm F/2-2.8 Di III VXD」と同様、専用のPCソフト「TAMRON Lens Utility」を使うことで、カスタムスイッチ(1〜3の3ポジションを選択可能)への機能割り当てや、フォーカスリングの回転方向・レスポンスの設定などが可能。本レンズからは、新たに、超望遠撮影時に便利なフォーカスリミッター機能を設定できるようになるとのことだ。

鏡筒の中央部付近にボタン・スイッチ類を搭載。カメラ本体のカスタムキー設定で各種機能を割り当てられるフォーカスセットボタン、手ブレ補正モードを選択できるVCスイッチ、専用のPCソフト「TAMRON Lens Utility」で機能を設定できるカスタムスイッチ(1〜3)が備わっている

鏡筒の中央部付近にボタン・スイッチ類を搭載。カメラ本体のカスタムキー設定で各種機能を割り当てられるフォーカスセットボタン、手ブレ補正モードを選択できるVCスイッチ、専用のPCソフト「TAMRON Lens Utility」で機能を設定できるカスタムスイッチ(1〜3)が備わっている

鏡筒左手側のマウント部近くにPC接続用のコネクターポート(USB-C端子)が用意されている

鏡筒左手側のマウント部近くにPC接続用のコネクターポート(USB-C端子)が用意されている

鏡筒右手側に、広角端(焦点距離50mm)でズームを固定するズームロックスイッチを搭載

鏡筒右手側に、広角端(焦点距離50mm)でズームを固定するズームロックスイッチを搭載

付属のフードを装着したイメージ

付属のフードを装着したイメージ

別売オプションの三脚座(Model A035TM)を装着したイメージ。三脚座装着時の総重量は1250g

別売オプションの三脚座(Model A035TM)を装着したイメージ。三脚座装着時の総重量は1250g

実写作例(参考)

以下に掲載する作例は、フルサイズミラーレス「α7 III」に「50-400mm F/4.5-6.3 Di III VC VXD」の試作機を組み合わせてJPEG形式で撮影したもの(JPEG撮って出し)になる。すべての作例で、歪曲収差補正:オート、倍率色収差補正:オート、周辺減光補正:オート、の設定にしている。

※サムネイル画像をクリックすると、撮影写真を長辺900ピクセルに縮小した画像が開きます。リサイズを行っていない撮影写真は、サムネイル画像下のテキストリンクをクリックすると開きます。なお、撮影写真は開くのに時間がかかる場合があります。

α7 III、50-400mm F/4.5-6.3 Di III VC VXD(試作機)、400mm、F6.3、1/320秒、ISO200、ホワイトバランス:オート(優先設定:標準)、クリエイティブスタイル:スタンダード、Dレンジオプティマイザー:オート、JPEG撮影写真(6000×4000、15.9MB)

α7 III、50-400mm F/4.5-6.3 Di III VC VXD(試作機)、400mm、F6.3、1/320秒、ISO200、ホワイトバランス:オート(優先設定:標準)、クリエイティブスタイル:スタンダード、Dレンジオプティマイザー:オート、JPEG
撮影写真(6000×4000、15.9MB)

α7 III、50-400mm F/4.5-6.3 Di III VC VXD(試作機)、300mm、F6.3、1/400秒、ISO800、ホワイトバランス:オート(優先設定:標準)、クリエイティブスタイル:スタンダード、Dレンジオプティマイザー:切、JPEG撮影写真(4000×6000、12.4MB)

α7 III、50-400mm F/4.5-6.3 Di III VC VXD(試作機)、300mm、F6.3、1/400秒、ISO800、ホワイトバランス:オート(優先設定:標準)、クリエイティブスタイル:スタンダード、Dレンジオプティマイザー:切、JPEG
撮影写真(4000×6000、12.4MB)

α7 III、50-400mm F/4.5-6.3 Di III VC VXD(試作機)、400mm、F6.3、1/320秒、ISO1600、ホワイトバランス:オート(優先設定:標準)、クリエイティブスタイル:スタンダード、Dレンジオプティマイザー:オート、JPEG撮影写真(6000×4000、14.1MB)

α7 III、50-400mm F/4.5-6.3 Di III VC VXD(試作機)、400mm、F6.3、1/320秒、ISO1600、ホワイトバランス:オート(優先設定:標準)、クリエイティブスタイル:スタンダード、Dレンジオプティマイザー:オート、JPEG
撮影写真(6000×4000、14.1MB)

α7 III、50-400mm F/4.5-6.3 Di III VC VXD(試作機)、236mm、F6.3、1/500秒、ISO100、ホワイトバランス:オート(優先設定:標準)、クリエイティブスタイル:スタンダード、Dレンジオプティマイザー:切、JPEG撮影写真(4000×6000、8.3MB)

α7 III、50-400mm F/4.5-6.3 Di III VC VXD(試作機)、236mm、F6.3、1/500秒、ISO100、ホワイトバランス:オート(優先設定:標準)、クリエイティブスタイル:スタンダード、Dレンジオプティマイザー:切、JPEG
撮影写真(4000×6000、8.3MB)

α7 III、50-400mm F/4.5-6.3 Di III VC VXD(試作機)、68mm、F13、1/125秒、ISO100、ホワイトバランス:オート(優先設定:標準)、クリエイティブスタイル:スタンダード、Dレンジオプティマイザー:切、JPEG撮影写真(6000×4000、11.5MB)

α7 III、50-400mm F/4.5-6.3 Di III VC VXD(試作機)、68mm、F13、1/125秒、ISO100、ホワイトバランス:オート(優先設定:標準)、クリエイティブスタイル:スタンダード、Dレンジオプティマイザー:切、JPEG
撮影写真(6000×4000、11.5MB)

α7 III、50-400mm F/4.5-6.3 Di III VC VXD(試作機)、227mm、F6.3、1/1600秒、ISO1000、ホワイトバランス:オート(優先設定:標準)、クリエイティブスタイル:スタンダード、Dレンジオプティマイザー:切、JPEG撮影写真(6000×4000、11.9MB)

α7 III、50-400mm F/4.5-6.3 Di III VC VXD(試作機)、227mm、F6.3、1/1600秒、ISO1000、ホワイトバランス:オート(優先設定:標準)、クリエイティブスタイル:スタンダード、Dレンジオプティマイザー:切、JPEG
撮影写真(6000×4000、11.9MB)

α7 III、50-400mm F/4.5-6.3 Di III VC VXD(試作機)、69mm、F8、1/250秒、ISO100、ホワイトバランス:オート(優先設定:標準)、クリエイティブスタイル:スタンダード、Dレンジオプティマイザー:切、JPEG撮影写真(6000×4000、20.0MB)

α7 III、50-400mm F/4.5-6.3 Di III VC VXD(試作機)、69mm、F8、1/250秒、ISO100、ホワイトバランス:オート(優先設定:標準)、クリエイティブスタイル:スタンダード、Dレンジオプティマイザー:切、JPEG
撮影写真(6000×4000、20.0MB)

α7 III、50-400mm F/4.5-6.3 Di III VC VXD(試作機)、99mm、F6.3、1/500秒、ISO125、ホワイトバランス:オート(優先設定:標準)、クリエイティブスタイル:スタンダード、Dレンジオプティマイザー:切、JPEG撮影写真(6000×4000、10.2MB)

α7 III、50-400mm F/4.5-6.3 Di III VC VXD(試作機)、99mm、F6.3、1/500秒、ISO125、ホワイトバランス:オート(優先設定:標準)、クリエイティブスタイル:スタンダード、Dレンジオプティマイザー:切、JPEG
撮影写真(6000×4000、10.2MB)

α7 III、50-400mm F/4.5-6.3 Di III VC VXD(試作機)、400mm、F6.3、1/500秒、ISO1600、ホワイトバランス:オート(優先設定:標準)、クリエイティブスタイル:スタンダード、Dレンジオプティマイザー:オート、JPEG撮影写真(6000×4000、14.2MB)

α7 III、50-400mm F/4.5-6.3 Di III VC VXD(試作機)、400mm、F6.3、1/500秒、ISO1600、ホワイトバランス:オート(優先設定:標準)、クリエイティブスタイル:スタンダード、Dレンジオプティマイザー:オート、JPEG
撮影写真(6000×4000、14.2MB)

α7 III、50-400mm F/4.5-6.3 Di III VC VXD(試作機)、132mm、F8、1/320秒、ISO100、ホワイトバランス:太陽光、クリエイティブスタイル:スタンダード、Dレンジオプティマイザー:オート、JPEG撮影写真(6000×4000、15.3MB)

α7 III、50-400mm F/4.5-6.3 Di III VC VXD(試作機)、132mm、F8、1/320秒、ISO100、ホワイトバランス:太陽光、クリエイティブスタイル:スタンダード、Dレンジオプティマイザー:オート、JPEG
撮影写真(6000×4000、15.3MB)

α7 III、50-400mm F/4.5-6.3 Di III VC VXD(試作機)、117mm、F5.6、1/1600秒、ISO200、ホワイトバランス:オート(優先設定:標準)、クリエイティブスタイル:スタンダード、Dレンジオプティマイザー:オート、JPEG撮影写真(6000×4000、17.4MB)

α7 III、50-400mm F/4.5-6.3 Di III VC VXD(試作機)、117mm、F5.6、1/1600秒、ISO200、ホワイトバランス:オート(優先設定:標準)、クリエイティブスタイル:スタンダード、Dレンジオプティマイザー:オート、JPEG
撮影写真(6000×4000、17.4MB)

α7 III、50-400mm F/4.5-6.3 Di III VC VXD(試作機)、50mm、F8、1/60秒、ISO100、ホワイトバランス:太陽光、クリエイティブスタイル:スタンダード、Dレンジオプティマイザー:オート、JPEG撮影写真(6000×4000、15.2MB)

α7 III、50-400mm F/4.5-6.3 Di III VC VXD(試作機)、50mm、F8、1/60秒、ISO100、ホワイトバランス:太陽光、クリエイティブスタイル:スタンダード、Dレンジオプティマイザー:オート、JPEG
撮影写真(6000×4000、15.2MB)

α7 III、50-400mm F/4.5-6.3 Di III VC VXD(試作機)、50mm、F4.5、1/1000秒、ISO100、ホワイトバランス:オート(優先設定:標準)、クリエイティブスタイル:スタンダード、Dレンジオプティマイザー:オート、JPEG撮影写真(6000×4000、9.4MB)

α7 III、50-400mm F/4.5-6.3 Di III VC VXD(試作機)、50mm、F4.5、1/1000秒、ISO100、ホワイトバランス:オート(優先設定:標準)、クリエイティブスタイル:スタンダード、Dレンジオプティマイザー:オート、JPEG
撮影写真(6000×4000、9.4MB)

α7 III、50-400mm F/4.5-6.3 Di III VC VXD(試作機)、50mm、F4.5、1/1250秒、ISO400、ホワイトバランス:オート(優先設定:標準)、クリエイティブスタイル:スタンダード、Dレンジオプティマイザー:切、JPEG撮影写真(6000×4000、9.1MB)

α7 III、50-400mm F/4.5-6.3 Di III VC VXD(試作機)、50mm、F4.5、1/1250秒、ISO400、ホワイトバランス:オート(優先設定:標準)、クリエイティブスタイル:スタンダード、Dレンジオプティマイザー:切、JPEG
撮影写真(6000×4000、9.1MB)

α7 III、50-400mm F/4.5-6.3 Di III VC VXD(試作機)、50mm、F8、1/120秒、ISO100、ホワイトバランス:オート(優先設定:標準)、クリエイティブスタイル:スタンダード、Dレンジオプティマイザー:オート、JPEG撮影写真(6000×4000、14.5MB)

α7 III、50-400mm F/4.5-6.3 Di III VC VXD(試作機)、50mm、F8、1/120秒、ISO100、ホワイトバランス:オート(優先設定:標準)、クリエイティブスタイル:スタンダード、Dレンジオプティマイザー:オート、JPEG
撮影写真(6000×4000、14.5MB)

試作機ということで画質の詳細はレビューしないが、上の作例を見てもらえれば、ズーム全域で高い解像力を発揮するレンズなのはわかっていただけることだろう。近接でもソフトになる感じが抑えられており、撮影を通じて、タムロンのレンズらしい、確かな光学性能を感じることができた。

使い勝手では、ズームリングの回転角度が75°に設計されているので、広角端から望遠端(もしくはその逆)まで一気に焦点距離を変えたい場合にスムーズに操作できるのがポイント。開発発表のニュースリリースでは「各種カメラ機能に対応」と書かれているが、「α7 III」で試した限り、カメラ側のレンズ補正(歪曲収差補正、倍率色収差補正、周辺減光補正)に対応しているほか、「瞳AF」の利用も可能だった。なお、開放絞り値は、焦点距離61mm以降がF5、84mm以降がF5.6、151mm以降がF6.3と変化するようだ。

【2022年8月11日追加】AFについては、まだ開発段階なので参考程度にとどめてほしいが、リニアモーターフォーカス機構「VXD」の採用によって、思った以上に静粛かつ高速な動作を実現していると感じた。さすがに遠景から近景(もしくはその逆)に大きくフォーカスを移動する際はレスポンスが少し落ちるものの、超望遠域を含めてズーム全域でスピーディーにピントが合う。同社のズームレンズの中では、最新の望遠ズームレンズ「35-150mm F/2-2.8 Di III VXD」と同じレベルとまでは言えないものの、それに近い感覚で快適なAF撮影が可能な超望遠ズームレンズという印象を受けた。

標準と中望遠の違いから見る「50-400mm F/4.5-6.3 Di III VC VXD」の便利さ【2022年8月12日追加】

最後に、標準(焦点距離50mm)と中望遠(焦点距離70mm/100mm)の画角の違いを簡単に紹介し、焦点距離50mmに対応する「50-400mm F/4.5-6.3 Di III VC VXD」の便利さをお伝えしたい。以下に、同じ被写体を3つの焦点距離(50mm/70mm/100mm)で撮り比べた作例を掲載する。

作例1(遠景)

同じ位置から焦点距離を変えて遠景を撮影。被写体までの距離は50m程度。

作例2(近景)

これ以上後ろに下がれない位置で、焦点距離を変えて撮影。被写体(銅像)までの距離は5m程度。

作例3(被写体の大きさを一定にして撮影)

被写体(石のオブジェ)が画面の中でできる限り同じ大きさになるように、被写体までの距離を調整して撮影。被写体までの距離は、焦点距離50mmが約9m、70mmが約13m、100mmが約20m。広角域ほどではなないものの、撮影距離の違いによって焦点距離50mm/70mm/100mmでパースペクティブ(遠近感)に違いが出ていることがわかるはずだ。

焦点距離50mmは、標準と呼ばれている画角で、より自然な視野とパースが得られるのが特徴。撮影のジャンルを問わずに押さえておきたい焦点距離だ。超望遠ズームレンズで撮影をする際は、「作例1(遠景)」のように、風景を少し広く撮ることで切り取っている感覚を抑えたい場合や、「作例2(近景)」ように、これ以上後ろに下がれない状況において周りの景色を入れた人物写真を押さえておきたい場合に、焦点距離50mmを選択できるのはとても便利。こうした特徴を踏まえると、「50-400mm F/4.5-6.3 Di III VC VXD」は、風景や動物などの撮影に加えて、スポーツや運動会など撮影場所や移動範囲が限られる撮影で威力を発揮する超望遠ズームレンズと言えそうだ。

まとめ 個性的なズームレンズを続々と発売するタムロンの新機軸。「もう少し広く撮りたい」に応える超望遠ズーム

タムロンはここ1〜2年の間に、ミラーレス用のズームレンズを積極的にリリースしている。2021年以降だと、150〜500mmの焦点距離をカバーする超望遠ズームレンズ「150-500mm F/5-6.7 Di III VC VXD (Model A057)」、APS-Cミラーレス用の大口径・超広角ズームレンズ「11-20mm F/2.8 Di III-A RXD (Model B060)」、APS-Cミラーレス用の高倍率ズームレンズ「18-300mm F/3.5-6.3 Di III-A VC VXD (Model B061)」、焦点距離35mmスタートの大口径・望遠ズームレンズ「35-150mm F/2-2.8 Di III VXD (Model A058)」、大口径・標準ズームレンズのリニューアルモデル「28-75mm F/2.8 Di III VXD G2 (Model A063)」といった製品を発売。いずれも、ほかにはないような画角をカバーしていたり、コンパクトながら明るい設計だったりと、個性的な特徴を持つレンズだ。

今回紹介した「50-400mm F/4.5-6.3 Di III VC VXD」も、焦点距離50mmスタートというユニークなスペックを実現した1本。普段、超望遠ズームレンズを使っていて、「もう少し広く撮りたいけど、これ以上ワイドにならない(もしくは、これ以上後ろに下がれない)から撮れない」という経験をした人も少なくないはずで、「広角側の画角がもう少し広くなればさらに便利になるのに・・・・・・」と感じている超望遠ズームユーザーにフィットするレンズになりそう。まだ開発段階の製品ではあるが、この秋の登場が楽しみだ。

真柄利行(編集部)

真柄利行(編集部)

フリーランスから価格.comマガジン編集部に舞い戻った、カメラが大好物のライター/編集者。夜、眠りに落ちる瞬間まで、カメラやレンズのことを考えながら生きています。

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