GoProは2022年9月14日、アクションカムの新製品「HERO11 Black」を発表しました。アクションカム大手GoProの最新モデルの詳細をお届けするほか、事前にレビューする機会をいただいたので、新機能を中心に解説します。また、まさかのコンパクトモデル「GoPro HERO11 Black mini」も発表されました。
「HERO11 Black」のレビュー動画は以下からご確認ください。新しいイメージセンサーによる8:7の撮影モードや「HYPERSMOOTH 5.0」など、新機能周りを中心に検証しています。従来機「HERO10 Black」との比較もありますので、参考にしてみてください。
「HERO11 Black」が従来機「HERO10 Black」からアップデートされた点は、新型のイメージセンサー、10bitカラー対応、手振れ補正「HYPERSMOOTH 5.0」、360°の水平ロック、2700万画素の静止画、最大5.3Kで撮影可能な「TIMEWARP 3.0」(手振れ補正が加わったタイムラプス)、ナイトエフェクト、「ENDUROバッテリー」など。それぞれについて詳しく解説しましょう。
GoPro「HERO11 Black」
イメージセンサーは新型の1/1.9インチセンサーへと一新され、これにより記録できる映像の範囲が拡大。これまでの16:9や4:3というアスペクト比に加えて、フルセンサービデオモードとして8:7のアスペクト比が利用できるようになっています。
フルセンサーモードの8:7のアスペクト比で撮影した場合は、縦方向の視野角が「HERO10 Black」と比較して16%広くなります。このモードで撮影し、後から専用アプリ「Quik」で4:3、16:9、9:16にクロップすれば、画質を損なうことなく切り出すことが可能。YouTubeにアップする場合は16:9で、TikTokにアップする場合は9:16で、という風に、ひとつのアスペクト比で、さまざまなSNSに対応できるというわけです。
ひとつのアスペクト比で、さまざまな動画配信サービスやSNSに対応
また、「HERO11 Black」は10億色超の表示が可能になる10ビットカラーの動画撮影に対応。ポストプロダクションでカラーコレクションやカラーグレーディングなどを行うクリエイターの方には刺さるモードでしょう。GoProによれば、アクションカムで10ビットカラーに対応するのは初めてとのことです。
10ビットカラーの動画撮影に対応
おなじみの手振れ補正「HYPERSMOOTH」は、バージョンが5.0へと進化しました。「HERO10 Black」の「HYPERSMOOTH 4.0」も非常に強力でしたが、新しい「HYPERSMOOTH 5.0」は、新型の手振れ補正技術が高度化され、特に4:3のアスペクト比で手振れ補正が向上しているとのことです。
動画では、「HYPERSMOOTH 5.0」のそれぞれのモードを比較しています。やっぱり手ブレ補正は超強力です
また、5.3K60/4K120/2.7K240/1080p240を除く、すべての解像度とフレームレートで360°の水平維持と「HYPERSMOOTH」が使えるようになっています。
加えて、「HYPERSMOOTH 5.0」では、従来の標準とブーストに加えて、自動ブーストというモードが追加されました。従来の2モードでは手振れ補正が強力なモードほどクロップの範囲が大きくなるのですが、自動ブーストでは手振れが小さいときにクロップ範囲も小さくし、手振れが大きいときにはクロップ範囲を大きくするように調節してくれます。
バッテリーは、新しく「Enduroバッテリー」を採用。撮影モードによりますが、バッテリー駆動時間は、「HERO10 Black」と比較して最大38%長くなっています。詳しくは、以下のとおりです。
撮影モード:駆動時間 HERO11 Black(左)、HERO10 Black(右)
・5.3K30:80分、73分
・4K120:54分、39分
・4K60:70分、57分
・4K30:88分、77分
・2.7K60:83分、67分
・1080p60:89分、80分
・1080p30:137分、123分
新しいタイムラプスの撮影モードとして、低照度の環境でも撮影ボタンを押すだけで印象的なタイムラプスが撮影できるナイトエフェクトが追加されています。「ライトペインティング」は、暗い環境で長時間露出し、動く光を表現した映像が撮影できるモードです。
発表会では、ライトペインティングクリエイターのk0-jiさんによる実演が行われました。真っ暗な室内で、ライトだけを使って動画を撮影しており、撮影時は何をやっているかわからなかったものの、完成した映像を見るとめちゃくちゃかっこいい! 初心者の方がここまでうまくできるのかはちょっと疑問に残るものの、普通のカメラでは難しいライトペインティングが、GoProだと撮影ボタンを押すだけで撮れるのがスゴいですね。
このほかにも、地球の自転を利用して夜空に描かれる星の軌跡を表現する「スタートレイル」や移動する車のライトの跡を表現する「ライトトレイル」という2つのタイムラプス撮影モードも搭載されています。
「HERO11 Black」の大きな特徴となるのが、クリエイターだけではなく、アクションカムを触ったことのない初心者に配慮した機能です。これまでどおりに、すべての撮影設定を調節できる「プロコントロール」に加えて、初心者向けに「イージーコントロール」というモードが追加されています。
「イージーコントロール」は、初心者でもわかりやすいUIで撮影が行えるモードです。設定できる撮影モードが、やさしい言葉で書かれているので、スマートフォンでしか写真や動画を撮ったことがない人でも、直感的に使えると思います。
「イージーコントロール」(右)は、通常の「プロコントロール」よりもUIがシンプルで、初心者でも扱いやすい仕様
初心者という目線では非常にうれしいのが、スマートフォン向けアプリ「Quik」を使った編集機能でしょう。撮影から自宅に戻り、ケーブルを「HERO11 Black」に接続して充電が開始されると、その日に撮影した動画が自動でクラウドにアップされます。
そして、AIが撮影した素材からハイライトビデオを作成して「Quik」に送信。つまり、撮影した動画をPCやスマートフォンに取り込んで編集して、という手間が省けるというわけ。ハイライトビデオは、作成した後からでも「Quik」で自分好みに編集することができます。
ただし、上記のサービスを利用するには「GoProサブスクリプション」に加入する必要があります。「サブスクはちょっと……」と思われる方もいるかもしれませんが、「GoProサブスクリプション」に加入すると、割引価格で「HERO11 Black」を購入できるほか、容量無制限のクラウドが利用できるため、スマートフォンで動画を編集してYouTubeやTikTokにアップするという人には、むしろお得感があります。ぜひ、チェックしてみてください。
「HERO11 Black」には、標準セットのほかに、メディアモジュラーとライトモジュラー、そしてバッテリー搭載のグリップ「Volta」が同梱された「HERO11 Black Creator Edition」も登場。「Volta」は、GoProのバッテリー駆動時間を約4時間に延長することができる、お役立ちのアクセサリーです。以前にレビュー動画を作成しているので、そちらもご覧ください。
「HERO11 Black」の公式サイト実売価格は、以下のとおり。サブスク加入あり、なしで価格が異なります。表示価格はいずれも税込みです。
・「HERO11 Black」(9月14日発売)
62,000円(サブスク加入)、72,000円(サブスク加入なし)
・「HERO11 Black Creator Edition」
89,000円(サブスク加入)、101,000円(サブスク加入なし)
また、ちょっと驚きですが、「HERO11 Black」からディスプレイなどを省いたコンパクトモデル「HERO11 Black MINI」が発表されました。こちらは、「HERO11 Black」とほぼ同等の機能が使える性能を備えながら、背面と前面のディスプレイ、GPS、HDMIポートを取り払い、バッテリーを小型化することで軽量、コンパクト化が図られたモデルです。
本体で細かな設定は行えませんが、小型のボディを生かしてさまざまな場所に設置したり、取り付けたりすることが可能。実売価格も「HERO11 Black」より安くなっています。
「HERO11 Black MINI」
希望小売価格は48,000円(サブスク加入)、58,000円(サブスク加入なし)。発売日は、「HERO11 Black」から少し遅れた10月25日となっています。
最新ガジェットとゲームに目がない雑食系ライター。最近メタボ気味になってきたので健康管理グッズにも興味あり。休日はゲームをしたり映画を見たりしています。