レビュー

超広角レンズを生かす2つの撮影テクニックとは? 小型の「LEICA DGレンズ」を使って解説

パナソニックのコンパクトな超広角・単焦点レンズ「LEICA DG SUMMILUX 9mm / F1.7 ASPH.」(組み合わせているボディは「LUMIX G100」)

パナソニックのコンパクトな超広角・単焦点レンズ「LEICA DG SUMMILUX 9mm / F1.7 ASPH.」(組み合わせているボディは「LUMIX G100」)

超広角レンズとは一般的に、35mm判換算の焦点距離が24mmより短いレンズのことを指す。驚くほど広く撮影できたり、遠近感を生かしたダイナミックな表現ができたりと、標準域のレンズとはまったく違った表現を得られるのが面白い。

ただ、超広角レンズは、使いこなしが難しいところがある。「効果的」な使い方をしないと、ただ単に広く写っていて主題が明確でなく、何を撮ったのかわかりにくい「散漫な写真」になりがち。そこで今回は、パナソニックのマイクロフォーサーズ用レンズ「LEICA DG SUMMILUX 9mm / F1.7 ASPH.」を使って「超広角レンズを生かすテクニック」を紹介しよう。

テクニック1 アングルを付けて広い画角を生かす

超広角レンズの特徴は2つある。ひとつは「広い画角を生かした表現が得られる」ことで、もうひとつは「強烈な遠近感を生かしたダイナミックな表現ができる」ことだ。この2つの特徴を生かすには、それぞれに必要なテクニックがある。

1つ目の特徴「広い画角を生かした表現が得られる」を引き出すテクニックは、ずばり「アングル」だ。超広角レンズは何をしなくても広く撮影できるが、それだけではよさを生かし切れているとは言えない。「広い画角を生かす」には「アングル」がとても重要なのだ。

「アングル」とはレンズを向ける角度のこと。レンズが上を向くことは「ローアングル」、レンズが水平を向くことは「水平アングル」、レンズが下を向くことは「ハイアングル」と言う。超広角レンズならではのダイナミックな表現を得るには、角度を付けたローアングルとハイアングルで撮ることを意識してみてほしい。

ローアングルを活用してダイナミックな印象に仕上げる

東京都庁をローアングルで撮影した。アングルを付けることでダイナミックな印象に仕上がった。使用したレンズ「LEICA DG SUMMILUX 9mm / F1.7 ASPH.」は解像感が高く、周辺までしっかりと描写しているLUMIX G100、LEICA DG SUMMILUX 9mm / F1.7 ASPH.、9mm(35mm判換算18mm)、F4、1/1600秒、ISO200、WB:晴天、フォトスタイル:スタンダード撮影写真(5184×3888、9.6MB)

東京都庁をローアングルで撮影した。アングルを付けることでダイナミックな印象に仕上がった。使用したレンズ「LEICA DG SUMMILUX 9mm / F1.7 ASPH.」は解像感が高く、周辺までしっかりと描写している
LUMIX G100、LEICA DG SUMMILUX 9mm / F1.7 ASPH.、9mm(35mm判換算18mm)、F4、1/1600秒、ISO200、WB:晴天、フォトスタイル:スタンダード
撮影写真(5184×3888、9.6MB)

なお、水平アングルで撮る場合は、迫力はなくなるが歪みが少なく安定感のある絵が得られる。超広角レンズの特徴を生かすにはアングルを付けるのがおすすめだが、狙いによっては水平アングルも効果的ではある。

安定感があって自然な印象の水平アングル

アングルを付けずに目線の高さから水平アングルで撮影。ダイナミックさはないが、安定感があって自然な印象になった。なお、この写真は、撮影場所の雰囲気を出すために、仕上がり設定「フォトスタイル」に「L.モノクローム」を設定したLUMIX G100、LEICA DG SUMMILUX 9mm / F1.7 ASPH.、9mm(35mm判換算18mm)、F1.7、1/3200秒、ISO100、WB:晴天、フォトスタイル:L.モノクローム撮影写真(5184×3888、13.8MB)

アングルを付けずに目線の高さから水平アングルで撮影。ダイナミックさはないが、安定感があって自然な印象になった。なお、この写真は、撮影場所の雰囲気を出すために、仕上がり設定「フォトスタイル」に「L.モノクローム」を設定した
LUMIX G100、LEICA DG SUMMILUX 9mm / F1.7 ASPH.、9mm(35mm判換算18mm)、F1.7、1/3200秒、ISO100、WB:晴天、フォトスタイル:L.モノクローム
撮影写真(5184×3888、13.8MB)

テクニック2 高さポジションを工夫して遠近感を増す

超広角レンズのもうひとつの特徴「強烈な遠近感を生かしたダイナミックな表現ができる」を生かすために意識してほしいのが「高さポジション」だ。

遠近感は「テクニック1」で紹介したアングルを付けるだけでも得られるが、カメラの「高さポジション」を変えると、さらに迫力が増す。超広角域で特に効果的なのがローポジション(低い位置)で、地面すれすれの高さがおすすめだ。

具体的な例は以下の写真を見てほしい。同じシーンで撮り分けたものになるが、目線の高さで撮った写真は安定感があるが、ローポジションかつローアングルで撮った写真は、強烈な遠近感によってダイナミックな印象の写真に仕上がっている。

目線の高さで撮影

LUMIX G100、LEICA DG SUMMILUX 9mm / F1.7 ASPH.、9mm(35mm判換算18mm)、F5.6、1/1300秒、ISO200、WB:晴天、フォトスタイル:風景撮影写真(5184×3888、10.0MB)

LUMIX G100、LEICA DG SUMMILUX 9mm / F1.7 ASPH.、9mm(35mm判換算18mm)、F5.6、1/1300秒、ISO200、WB:晴天、フォトスタイル:風景
撮影写真(5184×3888、10.0MB)

ローポジション+ローアングルで撮影

LUMIX G100、LEICA DG SUMMILUX 9mm / F1.7 ASPH.、9mm(35mm判換算18mm)、F5.6、1/1300秒、ISO200、WB:晴天、フォトスタイル:風景撮影写真(5184×3888、7.7MB)

LUMIX G100、LEICA DG SUMMILUX 9mm / F1.7 ASPH.、9mm(35mm判換算18mm)、F5.6、1/1300秒、ISO200、WB:晴天、フォトスタイル:風景
撮影写真(5184×3888、7.7MB)

さらに、超広角レンズで遠近感を強調するには主被写体に近づくことも重要だ。被写体によってはデフォルメ効果(歪曲効果)を得られるのが面白いので、ぜひ挑戦してみてほしい。

超広角レンズを使っていて「思い通りの写真が撮れない……」という悩みを持っている人も少なくないはずだ。今回紹介した2つのテクニックを使うと驚くほど写真が変化するので、ぜひ実践してもらえればと思う。

被写体に寄ってローアングルで撮影し、遠近感を強調

アーティスティックな建築物を撮影。建物にグッと寄ってローアングルで撮影することで遠近感が強調され、ダイナミックな印象になったLUMIX G100、LEICA DG SUMMILUX 9mm / F1.7 ASPH.、9mm(35mm判換算18mm)、F5.6、1/1300秒、ISO200、WB:晴天、フォトスタイル:スタンダード撮影写真(5184×3888、7.6MB)

アーティスティックな建築物を撮影。建物にグッと寄ってローアングルで撮影することで遠近感が強調され、ダイナミックな印象になった
LUMIX G100、LEICA DG SUMMILUX 9mm / F1.7 ASPH.、9mm(35mm判換算18mm)、F5.6、1/1300秒、ISO200、WB:晴天、フォトスタイル:スタンダード
撮影写真(5184×3888、7.6MB)

構図を工夫することで、遠近感と奥行き感を表現できる

この写真は目線の高さで撮っている。広くは写っているが、「広く撮っただけの写真」でダイナミックさが足りないLUMIX G100、LEICA DG SUMMILUX 9mm / F1.7 ASPH.、9mm(35mm判換算18mm)、F3.5、1/320秒、ISO100、WB:晴天、フォトスタイル:スタンダード

この写真は目線の高さで撮っている。広くは写っているが、「広く撮っただけの写真」でダイナミックさが足りない
LUMIX G100、LEICA DG SUMMILUX 9mm / F1.7 ASPH.、9mm(35mm判換算18mm)、F3.5、1/320秒、ISO100、WB:晴天、フォトスタイル:スタンダード

こちらは手前に木の幹を入れて撮影したもの。こうすることで遠近感が強調され、奥行き感も表現できているLUMIX G100、LEICA DG SUMMILUX 9mm / F1.7 ASPH.、9mm(35mm判換算18mm)、F3.5、1/320秒、ISO100、WB:晴天、フォトスタイル:スタンダード

こちらは手前に木の幹を入れて撮影したもの。こうすることで遠近感が強調され、奥行き感も表現できている
LUMIX G100、LEICA DG SUMMILUX 9mm / F1.7 ASPH.、9mm(35mm判換算18mm)、F3.5、1/320秒、ISO100、WB:晴天、フォトスタイル:スタンダード

「LEICA DG SUMMILUX 9mm / F1.7 ASPH.」の特徴をチェック

2022年6月23日に発売された「LEICA DG SUMMILUX 9mm / F1.7 ASPH.」。コンパクなマイクロフォーサーズ機「LUMIX G100」と組み合わせると驚くほどコンパクトに収まる

2022年6月23日に発売された「LEICA DG SUMMILUX 9mm / F1.7 ASPH.」。コンパクなマイクロフォーサーズ機「LUMIX G100」と組み合わせると驚くほどコンパクトに収まる

最後に、超広角の世界を気軽に体感できる、パナソニックの「LEICA DG SUMMILUX 9mm / F1.7 ASPH.」の特徴をレビューしよう。

本レンズは、35mm判換算で焦点距離18mm相当の画角を持つ、マイクロフォーサーズ用の超広角レンズ。全長約6cm/重量130gという手のひらサイズの軽量コンパクトさで、どのマイクロフォーサーズカメラにも合うサイズ感とデザインを実現している。

驚くのは、このサイズ感で開放絞り値がF1.7と明るい点。星空などの撮影はもちろん、広角レンズながら大きなボケを得やすいのが魅力だ。さらに、最短撮影距離が0.095mと短く、近距離撮影に強いのも押さえておきたい。最大撮影倍率は、なんとハーフマクロ相当の35mm判換算で0.5倍。強烈な遠近感を生かした広角マクロ写真も楽しめる。

超広角レンズとは思えないほど被写体に近づける

海岸に落ちていた貝を最短撮影距離で撮影。超広角レンズとは思えないほど寄れて、大きな背景のボケを堪能できたLUMIX G100、LEICA DG SUMMILUX 9mm / F1.7 ASPH.、9mm(35mm判換算18mm)、F1.7、1/13000秒、ISO200、WB:晴天、フォトスタイル:スタンダード撮影写真(5184×3888、5.8MB)

海岸に落ちていた貝を最短撮影距離で撮影。超広角レンズとは思えないほど寄れて、大きな背景のボケを堪能できた
LUMIX G100、LEICA DG SUMMILUX 9mm / F1.7 ASPH.、9mm(35mm判換算18mm)、F1.7、1/13000秒、ISO200、WB:晴天、フォトスタイル:スタンダード
撮影写真(5184×3888、5.8MB)

背景を広く入れた表現を楽しめる

こちらも近距離で撮影。ハイビスカスのシベにピントを合わせ、背景を広く入れて表現した。この表現ができるのも超広角レンズならではだLUMIX G100、LEICA DG SUMMILUX 9mm / F1.7 ASPH.、9mm(35mm判換算18mm)、F1.7、1/16000秒、ISO200、WB:晴天、フォトスタイル:風景撮影写真(5184×3888、6.7MB)

こちらも近距離で撮影。ハイビスカスのシベにピントを合わせ、背景を広く入れて表現した。この表現ができるのも超広角レンズならではだ
LUMIX G100、LEICA DG SUMMILUX 9mm / F1.7 ASPH.、9mm(35mm判換算18mm)、F1.7、1/16000秒、ISO200、WB:晴天、フォトスタイル:風景
撮影写真(5184×3888、6.7MB)

超広角レンズは開放絞り値が明るくなるとどうしてもサイズが大きくなる。だが、本レンズは、コンパクトな設計が可能なマイクロフォーサーズのメリットを生かし、大口径とサイズ感を両立しているのである。

さらに見逃せないのは、LEICAの名を冠した「LEICA DG」シリーズのレンズにもかかわらず、コストパフォーマンスにすぐれていること。価格は、2022年10月28日時点の価格.com最安価格で54,846円(税込)と、スペックを考慮するとお買い得だ。

実際に使用してみて、軽くて本当に使いやすいレンズという印象を受けた。撮影中に装着していることを忘れてしまうくらいの軽さだ。画質についてはそのサイズ感から心配なところがあったが、抜かりない。各種色収差や諸収差を補正する「EDレンズ」や「UHRレンズ」、非球面レンズを多く使用し、画像の中心から周辺までしっかりとシャープな描写を実現している。ボケ感も超広角レンズとしては滑らかでとても自然だ。

AFも高速で、毎秒240回のAF制御によって、コントラスAFながら素早くピントを合わせられる。動画撮影でも試してみたが、静音かつ高精度なAF制御が印象的だった。軽量コンパクトなので動画撮影時の自分撮りで使いやすいことも付け加えておこう。

このように、「LEICA DG SUMMILUX 9mm / F1.7 ASPH.」は、驚くほどコンパクトで使い勝手がよく、ダイナミックな表現を気軽に堪能できる超広角レンズに仕上がっている。このレンズがあれば写真が大きく変化する。「初めての超広角レンズ」に挑戦する人にぜひ手に取っていただきたい1本だ。

近接でも絞り開放からシャープ

おみくじに近づいて迫力を出し、超広角レンズの魅力である背景を広く入れながら表現した。絞り開放からピント位置はシャープに描写しているLUMIX G100、LEICA DG SUMMILUX 9mm / F1.7 ASPH.、9mm(35mm判換算18mm)、F1.7、1/5000秒、ISO100、WB:晴天、フォトスタイル:L.モノクローム撮影写真(5184×3888、14.3MB)

おみくじに近づいて迫力を出し、超広角レンズの魅力である背景を広く入れながら表現した。絞り開放からピント位置はシャープに描写している
LUMIX G100、LEICA DG SUMMILUX 9mm / F1.7 ASPH.、9mm(35mm判換算18mm)、F1.7、1/5000秒、ISO100、WB:晴天、フォトスタイル:L.モノクローム
撮影写真(5184×3888、14.3MB)

デフォルメ効果を生かして撮影

超広角レンズのデフォルメ効果を生かして撮影した1枚。被写体に寄ることで漁船の船首が大きくなり、迫力を表現できたLUMIX G100、LEICA DG SUMMILUX 9mm / F1.7 ASPH.、9mm(35mm判換算18mm)、F1.7、1/13000秒、ISO200、WB:晴天、フォトスタイル:スタンダード撮影写真(5184×3888、7.3MB)

超広角レンズのデフォルメ効果を生かして撮影した1枚。被写体に寄ることで漁船の船首が大きくなり、迫力を表現できた
LUMIX G100、LEICA DG SUMMILUX 9mm / F1.7 ASPH.、9mm(35mm判換算18mm)、F1.7、1/13000秒、ISO200、WB:晴天、フォトスタイル:スタンダード
撮影写真(5184×3888、7.3MB)

背景を意識すると写真が変わる

オシャレなカフェの看板を撮影。ローアングルで撮影することで、背景が生きるように(背景のヤシの木や空が入るように)工夫したLUMIX G100、LEICA DG SUMMILUX 9mm / F1.7 ASPH.、9mm(35mm判換算18mm)、F1.7、1/16000秒、ISO200、WB:晴天、フォトスタイル:風景撮影写真(5184×3888、7.7MB)

オシャレなカフェの看板を撮影。ローアングルで撮影することで、背景が生きるように(背景のヤシの木や空が入るように)工夫した
LUMIX G100、LEICA DG SUMMILUX 9mm / F1.7 ASPH.、9mm(35mm判換算18mm)、F1.7、1/16000秒、ISO200、WB:晴天、フォトスタイル:風景
撮影写真(5184×3888、7.7MB)

上田晃司

上田晃司

米国サンフランシスコに留学し、写真と映像を学び、CMやドキュメンタリーを撮影。帰国後、写真家塙真一氏のアシスタントを経て、フォトグラファー/映像作家として活動開始。ドローンなど新しい技術をいち早く取り入れ、写真や映像表現に生かしている。現在は、雑誌、広告を中心に、ライフワークとして世界中の街や風景を撮影。講演や執筆活動も行っている。YouTubeチャンネル「写真家夫婦上田家」でカメラや旅について情報を発信中。ニコンカレッジ講師、LUMIXアカデミー講師、Hasselbladアンバサダー2015、プロフォトトレーナー。

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