キヤノンのフルサイズミラーレスカメラ「EOS R6 Mark II」が2022年12月中旬に発売される。従来モデルの「EOS R6」は、私が使い倒しているカメラだけに、個人的にも注目度の高い新製品だ。今回幸運にも「EOS R6 Mark II」をいち早く試す機会を得たので、従来モデルからの進化点を交えながら、その使用感をお伝えしよう。
※本記事は発売前の試作機を使用して作成しています。製品版では仕様が変更される場合がありますのでご了承ください。
標準ズームレンズ「RF24-105mm F4 L IS USM」を取り付けた状態の「EOS R6 Mark II」。このLズームレンズと「RF24-105mmF4-7.1 IS STM」がキットレンズとして用意されている
最初に「EOS R6 Mark II」の特徴を確認しておこう。特徴の詳細については、製品発表時の速報記事も参考にしてほしい。
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「EOS R6 Mark II」の主な特徴
・撮像素子:有効最大約2420万画素の35mmフルサイズCMOSセンサー
・映像エンジン:「DIGIC X」
・連写性能:最高約40コマ/秒(電子シャッター時)、最高約12コマ/秒(メカシャッター、電子先幕時)
・約30コマ/秒でのAF追従プリ撮影が可能な「RAWバーストモード」
・ディープラーニング技術を活用した高精度なトラッキング機能
・被写体検出AFに「馬」「鉄道・飛行機」を追加
・低輝度合焦限界:EV -6.5
・最大8.0段の効果を発揮するボディ内5軸手ブレ補正機能
・HDRモードに「動体優先」を追加
・6Kオーバーサンプリングによる高画質な4K/60p動画撮影
・サイズ:約138.4(幅)×98.4(高さ)×88.4mm(奥行)mm
・重量:約670g(バッテリー、SDカード含む)/約588g(本体のみ)
・価格.com最安価格356,400円(税込、2022年11月25日現在)
2020年8月に発売された「EOS R6」からわずかに2年半。「EOS R6 Mark II」の発表・発売のニュースを見て、「もうMark IIが出るのか」と驚いた人もいるのではないだろうか。リニューアルの期間は短いものの内容は充実しており、ここに列記した特徴を見るだけでも興味深い進化が感じられるはずだ。
従来モデルの「EOS R6」は、キヤノンのラインアップの中ではハイアマチュアモデルに位置付けられていて、アマチュアからプロの写真家まで幅広く利用できる万能カメラとして人気を集めた。事実、私も「EOS R6」のヘビーユーザーのひとりである。
「EOS R6」の魅力は、よりシンプルに撮影に没頭できることだと思っている。上位機種の「EOS R5」と比べると有効画素数が抑えられていて扱いやすく(「EOS R5が最大約4500万画素に対し「EOS R6」は最大約2010万画素」)、ボディは50gほど軽い。操作性もシンプルで、高画素を必要としない、むしろ高感度側に強いほうがありがたい撮影にピタリと付合するカメラである。そんな汎用性の高いカメラが早々にリニューアルするのである。興味をそそられないわけがない。
「EOS R6 Mark II」のサイズは約138.4(幅)×98.4(高さ)×88.4(奥行)mmで、重量は約670g(バッテリー、SDカードを含む)。従来モデル「EOS R6」とほぼ同じサイズで、10gほど軽くなった
では、実際に「EOS R6 Mark II」を使ってみた印象を率直に語っていきたい。
外観では操作性に直結する大きな変化が2つある。ひとつは電源スイッチの位置が変わったこと。従来モデル「EOS R6」は上面左手側に位置していたが、「EOS R6 Mark II」では右手側に移設されている。これによって、撮影中の動作が右手でほぼ完結できる仕様になった。
また、電源スイッチの形状がレバー式になったのも、細かいが大きな改善点。従来モデルは電源スイッチが小さく操作しにくいところがあったが、すっきりと解消された。
電源スイッチはレバー式で、「サブ電子ダイヤル2」の上側に移設された。OFF、LOCK、ONを切り替えられる
もうひとつの変化は、静止画撮影と動画撮影の切り替えスイッチが左手側に新設されたこと。「EOS R6 Mark II」は、6Kオーバーサンプリングによる高画質な4K/60p記録に対応するなど動画撮影もハイレベルで、より本格的な動画撮影に対応できるカメラだ。スイッチひとつで静止画と動画の撮影モードを素早く切り替えられるようになったのは、使い勝手のうえで大きな改善点である。
左手側に新設された静止画と動画の切り替えスイッチ。従来モデルは、この位置に電源スイッチがあった。スイッチ自体の大きさは、従来の電源スイッチと同じくらいだ
左が「EOS R6」で右が「EOS R6 Mark II」。並べて比較すると、上面左手側のスイッチの形状が似ていることがよくわかる
さらに、「EOS R6 Mark II」は、ファインダー右横のマルチコントローラーの形状など細かいところの操作感を改善。ダイヤルファンクション機能も強化されており、メイン電子ダイヤル左横のマルチファンクション(M.Fn)ボタンと、メイン電子ダイヤル/サブ電子ダイヤル1の2つダイヤルを使って、さまざまな機能を2軸で変更できるようになった。
左が「EOS R6」で右が「EOS R6 Mark II」。背面ボタンに大きな変化はないが、マルチコントローラーの形状が改良され、操作性が向上。ファインダーから目を離さずに操作がしやすくなった。ここも特筆すべき変更点だ
ダイヤルファンクション機能は、2つのダイヤルを使った操作・設定が可能に。割り当てる機能のカスタマイズも可能だ。従来モデルはひとつずつしか変更できなかったので利便性が増した
ライブビューやファインダー内の映像を撮影結果に近い明るさで表示できるSimulation機能も進化。露出だけでなく被写界深度も反映して表示できるようになった。絞り込みボタンを押す作業が不要になったのは大きい
従来モデルとの違いはホットシュー部分にも。次世代のインターフェイスとなるマルチアクセサリーシューを搭載し、ストロボのコントロールや音声のデジタル入力などの機能拡張に対応した。従来のアクセサリーもそのまま使用可能だ。異物や水滴などの侵入を防止するためのシューカバーが付属する
「EOS R6 Mark II」の操作性は、従来モデルのシンプルな操作性を継承しつつ、より使いやすく快適な操作が可能になったという印象を受けた。作り手の強いこだわりが感じられる仕上がりで、特に3つのダイヤル操作がさまざまな機能と直感的に連携できるように整えられているのがよい。
ただし、「EOS R6」のユーザーにとっては、いくつか慣れが必要な点もある。特に、上面右手側に移動した電源スイッチには注意してほしい。私は「EOS R6」を常用しているユーザーだが、「EOS R6 Mark II」の使い始めは、電源を切ろうとした際に、誤って何度も左手側の切り替えスイッチを操作してしまった。電源を切ったつもりが、気付いたら動画撮影モードになっているのだ。1日使ったが最後まで慣れなかったので、「EOS R6」や「EOS R5」から乗り換えるユーザーは、最初のうちはとまどうかもしれない。
また、「EOS R6 Mark II」は、電源レバーの操作でLOCKに切り替えられるようになったが、ここも操作ミスが発生しやすいので注意したい。電源をオンにしたつもりがLOCKの位置でスイッチを止めてしまうと、ダイヤル操作が意図せず無効となってしまうからだ。個人的にはこの機能を利用することはそれほど多くないので、従来モデルと同様にLOCKボタンを個別に用意してほしかったというのが正直な感想だ。
「EOS R6 Mark II」は、ディープラーニング技術を活用することで、キヤノン独自の被写体認識と自動追尾に関わる技術「EOS iTR AF X」が大きくが進化している。
具体的な進歩としては、人物の瞳検出性能が向上したほか、検出できる被写体の数が増加。動物優先にはこれまでの「犬」「猫」「鳥」に加えて「馬」が、乗り物優先にはこれまでの「車」「バイク」に加えて「鉄道/飛行機」が新たにその対象となった。
今回「EOS R6 Mark II」を使ってみて最も印象深かったのが、この強化されたAFだ。速度と正確性が大幅に向上しており、“ここにピントを合わせてほしい”という直感的なリクエストに対して、的確にそして瞬時にカメラ側が応えてくれるようになった。従来モデルも十分な性能ではあったが、確実性がより高まったように思う。
「EOS R6 Mark II」では8種類のAFエリアが用意されている。これまでの「顔+追尾優先AF」がなくなり、それぞれ自分の好きなサイズに調整できる「フレキシブルゾーンAF」の「1」から「3」が加わった。AFエリアは、背面の専用ボタンで呼び出す「クイック設定」から簡単に変更可能だ
「検出する被写体」も「クイック設定」から変更できるようになった。これが意外と便利。たとえば、人物とペットが同時に画面にいるような場合にも、ピントを合わせたい被写体をスムーズに切り替えられる。また、「検出する被写体」には、追尾する被写体をカメラ側が選択してくれる「自動」が加わった
瞳検出は右目と左目の優先順位を設定できるようになった。メニュー内のAFタブから設定する
「サーボAF中の全域トラッキング」を「する」に設定すると、AFエリアの設定によらず、全域で追尾を続けてくれる。大きく動く被写体を捉える際に有効にしておきたい機能だ。1053分割のAFエリアを最大限に活用して追尾を実行してくれる
AF動作には、シーンに合わせて「ONE SHOT」と「SERVO」が自動で切り替わる「AI FOCUS」が追加された。
さらに、「EOS R6 Mark II」は、AF機能と連動して利用することが多い連写性能も向上しており、電子シャッターで最高約40コマ/秒を実現。メカシャッターもしくは電子先幕では従来モデルと同じ最高約12コマ/秒の速度を維持している。電子シャッター利用時に生じやすいローリングシャッター歪み(動く像が歪んで写ってしまう現象)については、従来モデルとほぼ同等か、やや軽減されているという。
続いて、「EOS R6 Mark II」で撮影した写真を見ていこう。まずはバージョンアップしたAF性能と連写機能を、実例を通じて確認していく。
「EOS R6 Mark II」に標準ズームレンズ「RF24-105mm F4 L IS USM」を組み合わせて、JPEG形式(最高画質)で撮影している。すべての作例で、周辺光量補正:オン、歪曲収差補正:オフ、デジタルレンズオプティマイザ:標準に設定している。なお、今回は、詳細な性能評価が不可の試作機を使用しているため、写真は縦横50%にリサイズして掲載する。
EOS R6 Mark II、RF24-105mm F4 L IS USM、105mm、F4、1/1000秒、ISO800、ホワイトバランス:太陽光、ピクチャースタイル:ポートレート
電子シャッターでの最高約40コマ/秒の「高速連続撮影+」を使用し、子どもがシャボン玉で遊ぶシーンを撮影した。AFエリアは「全域AF」に、検出する被写体は「人物」、瞳検出は「自動」に設定。AF動作は前後の動きがないため「ワンショットAF」を選択している。当然のごとく、瞬時に瞳にピントが合ってシャボン玉が飛び交う様子と子どもの表情をつぶさに記録できた。この合焦のスピード、正確性には目を見張る。最高約40コマ/秒の高速連写もさすがである。
EOS R6 Mark II、RF24-105mm F4 L IS USM、105mm、F4、1/1250秒、ISO800、ホワイトバランス:太陽光、ピクチャースタイル:風景
縮小写真(3000×2000、6.4MB)
電車を撮ってみた。AFエリアは「フレキシブルゾーンAF1」、検出する被写体は「乗り物優先」、AF動作は「サーボAF」に設定。電子シャッターによる「高速連続撮影+」で連写した。手前にピント合わせの妨げになりそうなものが並ぶ場所をあえて選んで狙ってみたが、追尾フレームがしっかり電車の正面をつかみ続けてくれた。
EOS R6 Mark II、RF24-105mm F4 L IS USM、61mm、F6.3、1/640秒、ISO1250、ホワイトバランス:太陽光、ピクチャースタイル:風景
縮小写真(3000×2000、6.7MB)
レアな貨物列車を撮影。こういうときこそピントは絶対外せない。AFエリアは「全域AF」、検出する被写体は「乗り物優先」、AF動作は「AIフォーカスAF」に設定。電子シャッターによる「高速連続撮影+」で連写した。偶然ハトが横切り、ドラマチックな描写になった。
EOS R6 Mark II、RF24-105mm F4 L IS USM、105mm、F4、1/250秒、ISO800、ホワイトバランス:太陽光、ピクチャースタイル:ポートレート
AFエリアは「全域AF」に、検出する被写体は「人物」、瞳検出は「自動」にして撮影した1枚。AF動作は「サーボAF」に設定し、低速設定で連写している。ポートレートでは被写体が動かなくても自分が動きながら撮ることも多い。こういうときは「サーボAF」が便利。手前に障害物を置き、自分も動きながら撮影したが、しっかり瞳にピントを合わせ続けてくれた。
人物を撮る機会の多い私にとっては、シンプルに瞳へのピント合わせの速度と精度が格段に上がっていることに感動した。「EOS R6 Mark II」は、画面の中に小さく入り込んだ顔や瞳にも、まるでピラニアが餌に食らいつくかのように高速にピントを合わせてくれる。これは電車も同様。小さく入り込んだ段階から電車を認識し、追尾フレームがつかみ続ける。この実感はいくら言葉で説明してもしつくせない。ぜひ実機で体感してほしい。
「RAWバーストモード」は、「EOSシリーズ」のフルサイズ機としては「EOS R6 Mark II」で初めて搭載された、RAW画像の高速連写機能。約30コマ/秒で連写でき、シャッターボタンを押す直前(約0.5秒前)から記録を開始できるプリ撮影機能も利用できる。なお、撮影は電子シャッターで行われる。
このモードはちょっと特殊で、撮った画像はひとつのロールとして扱われる。写真画像として利用する場合は、このロールから好みのRAW画像を切り出す必要がある。切り出しはカメラ内、または純正のRAW現像ソフト「Digital Photo Professional」で行う。
「RAWバーストモード」はメニュー内の撮影タブから設定できる。プリ撮影もここから設定する
「RAWバーストモード」で撮影した画像をモニターに表示している状態。画面の中心にRAW画像が重なったマークが出る
画像を選択するとロールが表示され、各コマを選択できるようになる。切り出したい部分で「Qボタン」を押すと、JPEG、RAW、HEIFでの出力を選択できる
EOS R6、RF24-105mm F4 L IS USM、絞り優先オート、F4、1/1250秒、ISO100、ホワイトバランス:太陽光、ピクチャースタイル:風景、105mm
縮小写真(3000×2000、3.1MB)
上に掲載した写真は、「RAWバーストモード」で撮った画像を、カメラ内でJPEGに出力したものになる。「RAWバーストモード」が有益なのは、プリ撮影機能と一緒に利用することで、予測できない動きをする被写体の“一瞬”の動きをより確実に記録できること。単に連写をしたい場合は通常の最高約40コマ/秒で、プリ撮影を行いたい場合は「RAWバーストモード」で、といったように、シーンや被写体に合わせて連写機能を使い分けられるのが便利だ。
「EOS R6 Mark II」は手持ち撮影に強いのも魅力だ。感度が常用設定でISO102400に対応するうえ、ボディ内5軸手ブレ補正機能も最大8段もの効果を誇る。夜の気軽なスナップ撮影にも使いやすいカメラだ。ここでは、日が暮れてからの横浜中華街近辺を手持ちで撮影した写真を掲載しよう。
EOS R6 Mark II、RF24-105mm F4 L IS USM、56mm、F20、1/13秒、ISO1600、ホワイトバランス:オート(雰囲気優先)、ピクチャースタイル:風景
縮小写真(2000×3000、4.3MB)
1/13秒の遅いシャッタースピードで撮影。この程度の低速シャッターはこのカメラであれば、まったく手ブレの心配がないレベルだ。絞り込んで奥までシャープに描写した。
EOS R6 Mark II、RF24-105mm F4 L IS USM、24mm、F11、1/1000秒、ISO102400、ホワイトバランス:オート(雰囲気優先)、ピクチャースタイル:風景
縮小写真(3000×2000、4.1MB)
常用感度の上限であるISO102400で撮影。このくらいの感度になると、夜でも絞りながら高速シャッターが切れる。
EOS R6 Mark II、RF24-105mm F4 L IS USM、27mm、F4、1/50秒、ISO102400、ホワイトバランス:オート(雰囲気優先)、ピクチャースタイル:風景
縮小写真(3000×2000、4.2MB)
ISO102400の高感度で撮影。肉眼ではほぼ何も見えない状態だ。本カメラのAFの低輝度合焦限界はEV-6.5。暗所でもしっかりAFが作動してくれた。ファインダーからも像をしっかりと確認できた。
EOS R6 Mark II、RF24-105mm F4 L IS USM、24mm、F16、1/200秒、ホワイトバランス:オート(雰囲気優先)、ピクチャースタイル:風景
縮小写真(2000×3000、5.5MB)
こちらもISO102400で撮影したもの。被写界深度を深くして手前から奥までしっかり見せていく。試作機でのテスト撮影だが、この高感度でこれだけ描写できるのだからすばらしい。
今回撮影したそのほかの写真もお見せしよう。
EOS R6 Mark II、RF24-105mm F4 L IS USM、58mm、F4、1/2000秒、ISO400、ホワイトバランス:太陽光、ピクチャースタイル:風景
縮小写真(3000×2000、5.5MB)
AFエリアは「全域AF」、検出する被写体は「乗り物優先」、AF動作は「AIフォーカスAF」に設定して撮ってみたが、電車撮影時と同じように、シーバスの前面にしっかりと追尾フレームが表示されて、ピントを合わせ続けてくれた。ピントを気にすることなく構図が追い込めた。
EOS R6 Mark II、RF24-105mm F4 L IS USM、58mm、F5.6、1/2500秒、ISO200、ホワイトバランス:太陽光、ピクチャースタイル:風景
縮小写真(3000×2000、3.5MB)
AFエリアは「全域AF」、検出する被写体は「動物優先」、AF動作は「AIフォーカスAF」で撮影。このカメラは鳥にも高精度にAFが追従する。追尾フレームが鳥の小さな瞳にも反応するのが気持ちいい。
EOS R6 Mark II、RF24-105mm F4 L IS USM、70mm、F5.6、1/500秒、ISO100、ホワイトバランス:太陽光、ピクチャースタイル:風景
縮小写真(2000×3000、3.4MB)
「RAWバーストモード」で撮影したロールからの切り出し画像。やや逆光気味だったが、しっかりピントを合わせながら連写できた。電車も突然現れることが多い被写体のひとつ。「RAWバーストモード」が威力を発揮しそうだ。
今回、「EOS R6 Mark II」を使ってみて、兎にも角にもAF機能の充実ぶりに驚かされた。操作性もよくなっていて、どのカメラも同じだとは思うが、新モデルに慣れてしまうと旧モデルには戻れないと実感した次第だ。
試作機ということで、画質に関わる詳細なテストは行っていないが、約2420万画素の新センサーは従来モデルよりも解像感が増している。新開発のシャープネス処理により、約3040万画素のデジタル一眼レフ「EOS 5D Mark W」を凌ぐ解像性能を実現しているという。
さらに、「EOS R6 Mark II」は、動画性能が大きく飛躍していることも述べておきたい。6Kオーバーサンプリングによる高画質な4K/60p記録が可能で、1回あたりの動画記録時間も最大6時間まで延びている。AF性能も動画サーボAFが進化し、静止画撮影と同様に使い勝手がよくなった。
「EOS R6 Mark II」に新たに搭載された機能や仕様のいくつかは、今夏に発売された「EOS R7」や「EOS R10」にも採用されている。特にAF機能は、今後登場するモデルも含めてスタンダードな仕様として踏襲されていくことだろう。「ミラーレスEOS」の快進撃はこの先も続きそうだ。
ちなみに、私は最近、今さらながら「EOS R6」の上位モデル「EOS R5」を購入した。メインで使う機種をもう1台ミラーレスで揃えたく、「どうせ購入するなら上位モデルに」と考えたからだ。今回、「EOS R6 Mark II」に触れてみて、「こっちでよかった!」と正直に思ってしまって、動揺している。「EOS R5は高画素が必要なときに使うから……」 と自分に言い聞かせている今日この頃である。そのくらい「EOS R6 Mark II」の性能はインパクト大だった。間違いなく、いいカメラである。
フォトグラファー。写真家テラウチマサト氏に師事後、2003年独立。ポートレートを中心に活動。2022年1月に新著『上手い写真は構図が9割』(玄光社)発売。ポーラミュージアムアネックス(2015年/銀座)など写真展も多数。Profoto公認トレーナー。
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