レビュー

小型・軽量ながら高画質! ニコンの超広角ズーム「NIKKOR Z 17-28mm f/2.8」レビュー

ラインアップが急速に拡充している、ニコン「Zシリーズ」用の交換レンズ「NIKKOR Zレンズ」。今回は、その中から、2022年10月28日に発売になった、新しい超広角ズームレンズ「NIKKOR Z 17-28mm f/2.8」をレビューしよう。小型・軽量で持ち運びやすく、それでいて高画質な良品だ。

小型・軽量と高画質を両立した「NIKKOR Z 17-28mm f/2.8」。「初めての超広角ズーム」にもぴったり

小型・軽量と高画質を両立した「NIKKOR Z 17-28mm f/2.8」。「初めての超広角ズーム」にもぴったり

広角17mm対応ながら手のひらサイズのコンパクトさを実現

「NIKKOR Zレンズ」は、最高画質を目指して設計される「S-Line」と、それ以外の「非S-Line」の大きく2種類に分けられる。S-Lineは、コーティングや光学性能など最高レベルを追求している半面、サイズも大きくなりがちで価格も高い。対して非 S-Lineは、S-Lineほどの光学性能ではないものの、コストパフォーマンスにすぐれ、小型・軽量なものが多い。

今回紹介する「NIKKOR Z 17-28mm f/2.8」は非S-Lineの製品。コンパクトさが魅力の、フルサイズ対応の超広角ズームレンズだ。焦点距離は超広角17mmから広角28mmに対応している。

まずは、本レンズのコンパクトさを詳しく紹介していこう。全長は101mm(レンズマウント面から先端まで)で、「手の平サイズ」と言っていいサイズ感に収まっている。最大径も75mmと小さく、350ml缶と比べてひと回り太い程度だ。重量も450gで超広角ズームとしては軽量。どのカメラに装着しても良質なバランスが得られるレンズだ。

さらに、このコンパクトなサイズながらインナーズームを採用しており、ズーミングしても長さが変わらないのがポイント。フィルター径は67mmで超広角ズームとしてはそれほど大きくないので、コストパフォーマンスにすぐれたC-PLフィルターやNDフィルターを装着できる。前玉も出ていないので、フィルターワークも楽々だ。使い勝手は抜群によい

約75(最大径)×101mm(全長)mmの手のひらサイズを実現。重量も450gと軽量だ

約75(最大径)×101mm(全長)mmの手のひらサイズを実現。重量も450gと軽量だ

操作系はシンプルで、AF/MFの切り替えスイッチやレンズファンクションボタンなどはなく、ズームリングとコントロールリングのみ。コントロールリングはクリックレスで、フォーカスや絞り値、露出補正、感度などを割り当てられる。ユーザーの好みに合わせて機能をカスタマイズして使えるのは魅力だ。

非S-Lineの製品ながら、レンズ鏡筒はサテン調の塗装で高級感があり、「Zシリーズ」のカメラと相性はよさそう。効果的なシーリングによる防塵・防滴に配慮した設計を採用するほか、レンズの表面には防汚コーティングを施している。ニコンクオリティーの防塵・防滴・防汚性能が備わっていると言えるだろう。

フォーカスや絞り値、露出補正、感度などを割り当てられるコントロールリングを装備

フォーカスや絞り値、露出補正、感度などを割り当てられるコントロールリングを装備

S-Lineレンズに引けを取らないような高画質

今回、「NIKKOR Z 17-28mm f/2.8」でさまざまなシーンを撮影してみたが、その画質には驚かされた。非S-Lineのレンズということで、コストパフォーマンスを重視した小型・軽量モデルだと思っていたが、結果は違った。「NIKKOR Zレンズ」らしくクリアでヌケがよく、S-Lineにも引けを取らないほどしっかりと写る。逆光性能も驚くほど優秀で、フレアやゴーストは最小限の印象を受けた。

もちろん、S-Lineと比べると絞り開放時のキレ感や線の細さなどでは負けるかもしれないが、解像感は十分。遠景から近景までシャープな画質だ。超広角ズームながらボケもナチュラルな印象で、近接時の前ボケや後ボケが大きく流れるようなこともない。

こうした高画質を実現しているのが、本レンズの充実したレンズ構成だ。11群13枚の構成に、スーパーEDレンズ1枚、EDレンズ2枚、非球面レンズ3枚を含めることで諸収差を低減している。EDレンズを豊富に使うことによって色収差をばっちり補正している印象だ。

画面の端に太陽を入れてみたが、ゴーストや派手なフレアは出ていないようだ。逆光耐性は非常に高いと言えるだろうZ 9、NIKKOR Z 17-28mm f/2.8、17mm、F18、1/60秒、ISO64、WB:オート0、ピクチャーコントロール:風景、アクティブD-ライティング:標準撮影写真(8256×5504、15.7MB)

画面の端に太陽を入れてみたが、ゴーストや派手なフレアは出ていないようだ。逆光耐性は非常に高いと言えるだろう
Z 9、NIKKOR Z 17-28mm f/2.8、17mm、F18、1/60秒、ISO64、WB:オート0、ピクチャーコントロール:風景、アクティブD-ライティング:標準
撮影写真(8256×5504、15.7MB)

少し絞って全体を写してみた。画像の端は少し流れているものの、全体的な解像感は十分に高いZ 9、NIKKOR Z 17-28mm f/2.8、17mm、F4.5、1/800秒、ISO64、WB:自然光オート、ピクチャーコントロール:風景、アクティブD-ライティング:標準撮影写真(8256×5504、26.1MB)

少し絞って全体を写してみた。画像の端は少し流れているものの、全体的な解像感は十分に高い
Z 9、NIKKOR Z 17-28mm f/2.8、17mm、F4.5、1/800秒、ISO64、WB:自然光オート、ピクチャーコントロール:風景、アクティブD-ライティング:標準
撮影写真(8256×5504、26.1MB

前ボケを生かしながら海の風景を撮影した。ボケが素直でしっかりと視線誘導効果を得られた。水平線も歪んでいないZ 9、NIKKOR Z 17-28mm f/2.8、28mm、F2.8、1/1250秒、ISO64、WB:自然光オート、ピクチャーコントロール:オート、アクティブD-ライティング:より強め1撮影写真(8256×5504、21.0MB)

前ボケを生かしながら海の風景を撮影した。ボケが素直でしっかりと視線誘導効果を得られた。水平線も歪んでいない
Z 9、NIKKOR Z 17-28mm f/2.8、28mm、F2.8、1/1250秒、ISO64、WB:自然光オート、ピクチャーコントロール:オート、アクティブD-ライティング:より強め1
撮影写真(8256×5504、21.0MB)

本レンズの最短撮影距離は19cmで、近接撮影に強いのも特徴だ。広角レンズを効果的に使いこなすには被写体に寄ることが重要だが、19cmまで寄れるとなると非常に好印象。グッと寄って遠近感を強調することで、ダイナミックな写真が撮れる。

最短かつ逆光という難しいシーンでもしっかりとピントを合わせることができた。収差は最小限に抑えられているZ 9、NIKKOR Z 17-28mm f/2.8、28mm、F2.8、1/1600秒、ISO64、WB:オート0、ピクチャーコントロール:風景、アクティブD-ライティング:標準撮影写真(8256×5504、16.0MB)

最短かつ逆光という難しいシーンでもしっかりとピントを合わせることができた。収差は最小限に抑えられている
Z 9、NIKKOR Z 17-28mm f/2.8、28mm、F2.8、1/1600秒、ISO64、WB:オート0、ピクチャーコントロール:風景、アクティブD-ライティング:標準
撮影写真(8256×5504、16.0MB)

本レンズのAFについては、超広角ズームレンズということもあるが、まったくと言っていいほどストレスを感じなかった。STM(ステッピングモーター)を採用していることで静音性にすぐれており、静止画だけでなく動画でも重宝しそうだ。

輝度差のある難しいシーンだが、背景に引っ張られることなく電球のフィラメントにピントが合ったZ 9、NIKKOR Z 17-28mm f/2.8、27mm、F2.8、1/1600秒、ISO64、WB:自然光オート、ピクチャーコントロール:ポートレート、アクティブD-ライティング:標準撮影写真(8256×5504、14.8MB)

輝度差のある難しいシーンだが、背景に引っ張られることなく電球のフィラメントにピントが合った
Z 9、NIKKOR Z 17-28mm f/2.8、27mm、F2.8、1/1600秒、ISO64、WB:自然光オート、ピクチャーコントロール:ポートレート、アクティブD-ライティング:標準
撮影写真(8256×5504、14.8MB)

本レンズがカバーする焦点距離は17mmから28mm。14〜24mmに対応するモデルなどと比べると広角端の焦点距離は少し長めだが、使い勝手はとてもよい。以下に掲載する作例を見てもわかるように、17mmと28mmでは写りが大きく変わることがわかるだろう。

焦点距離17mm

Z 9、NIKKOR Z 17-28mm f/2.8、17mm、F5.6、1/320秒、ISO64、WB:オート0、ピクチャーコントロール:風景、アクティブD-ライティング:標準撮影写真(8256×5504、17.7MB)

Z 9、NIKKOR Z 17-28mm f/2.8、17mm、F5.6、1/320秒、ISO64、WB:オート0、ピクチャーコントロール:風景、アクティブD-ライティング:標準
撮影写真(8256×5504、17.7MB)

焦点距離28mm

Z 9、NIKKOR Z 17-28mm f/2.8、28mm、F5.6、1/320秒、ISO64、WB:オート0、ピクチャーコントロール:風景、アクティブD-ライティング:標準撮影写真(8256×5504、17.7MB)

Z 9、NIKKOR Z 17-28mm f/2.8、28mm、F5.6、1/320秒、ISO64、WB:オート0、ピクチャーコントロール:風景、アクティブD-ライティング:標準
撮影写真(8256×5504、17.7MB)

まとめ 気軽に超広角撮影を楽しめる1本。S-Lineレンズユーザーのサブレンズとしてもおすすめ

今回、「NIKKOR Z 17-28mm f/2.8」を使ってみて、本当に気軽に撮影できる超広角ズームレンズだと感じた。重量450gという軽さはとても楽で、撮影していてとても楽しかった。日常使いのレンズや旅行に使用するレンズは、本レンズのように、機動力があって、しっかりと写るレンズが好ましいと感じた次第だ。

「Z 9」と「Z 6II」で使ってみたが、どちらのカメラとも相性はよい。これから超広角ズームレンズに挑戦する人の「初めての超広角ズーム」としてだけでなく、すでにS-Lineを持っている人のサブレンズとしてもおすすめできる1本だ。

非S-Lineのズームレンズでは、先に発売されていた標準ズームレンズ「NIKKOR Z 28-75mm f/2.8」と本レンズを組み合わせることで、17mmから75mmまでの焦点距離を開放F2.8でカバーできることになる。携帯性を重視して撮影したい場合、これら非S-Lineのズームレンズ2本にぜひ注目してほしい。

アメリカンビレッジのオシャレなお店を撮影した。看板の文字なども立体的かつシャープに写せているのがわかるZ 9、NIKKOR Z 17-28mm f/2.8、28mm、F5.6、1/400秒、ISO64、WB:自然光オート、ピクチャーコントロール:風景、アクティブD-ライティング:標準撮影写真(8256×5504、19.1MB)

アメリカンビレッジのオシャレなお店を撮影した。看板の文字なども立体的かつシャープに写せているのがわかる
Z 9、NIKKOR Z 17-28mm f/2.8、28mm、F5.6、1/400秒、ISO64、WB:自然光オート、ピクチャーコントロール:風景、アクティブD-ライティング:標準
撮影写真(8256×5504、19.1MB)

ズーム域の中間くらいに位置する焦点距離 24mm相当の絞り開放で撮影。24mmくらいでもFXフォーマットなら適度にぼかすことができるZ 9、NIKKOR Z 17-28mm f/2.8、24.5mm、F2.8、1/1000秒、ISO64、WB:自然光オート、ピクチャーコントロール:風景、アクティブD-ライティング:標準撮影写真(8256×5504、23.0MB)

ズーム域の中間くらいに位置する焦点距離 24mm相当の絞り開放で撮影。24mmくらいでもFXフォーマットなら適度にぼかすことができる
Z 9、NIKKOR Z 17-28mm f/2.8、24.5mm、F2.8、1/1000秒、ISO64、WB:自然光オート、ピクチャーコントロール:風景、アクティブD-ライティング:標準
撮影写真(8256×5504、23.0MB)

海と橋、島を撮影した。超広角ズームレンズでは散漫になりやすいので、ローポジションにして波打ち際をダイナミックに表現したZ 9、NIKKOR Z 17-28mm f/2.8、17mm、F8、1/60秒、ISO64、WB:晴天、ピクチャーコントロール:風景、アクティブD-ライティング:標準撮影写真(8256×5504、20.9MB)

海と橋、島を撮影した。超広角ズームレンズでは散漫になりやすいので、ローポジションにして波打ち際をダイナミックに表現した
Z 9、NIKKOR Z 17-28mm f/2.8、17mm、F8、1/60秒、ISO64、WB:晴天、ピクチャーコントロール:風景、アクティブD-ライティング:標準
撮影写真(8256×5504、20.9MB)

上田晃司

上田晃司

米国サンフランシスコに留学し、写真と映像を学び、CMやドキュメンタリーを撮影。帰国後、写真家塙真一氏のアシスタントを経て、フォトグラファー/映像作家として活動開始。ドローンなど新しい技術をいち早く取り入れ、写真や映像表現に生かしている。現在は、雑誌、広告を中心に、ライフワークとして世界中の街や風景を撮影。講演や執筆活動も行っている。YouTubeチャンネル「写真家夫婦上田家」でカメラや旅について情報を発信中。ニコンカレッジ講師、LUMIXアカデミー講師、Hasselbladアンバサダー2015、プロフォトトレーナー。

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