2023年3月17日、キヤノンのミラーレスカメラ「EOS Rシリーズ」に新しい仲間が加わりました。今回ラインアップに追加された「EOS R50」は、「EOS Rシリーズ」最小・最軽量のコンパクトボディに、高画質性能と上位モデルゆずりのAF性能を兼ね備えた、注目のエントリーモデルです。このカメラで撮影してみて感じたことをレポートします。
「EOS R50」のカラーバリエーションは、エントリーモデル「EOS Kissシリーズ」ではおなじみのホワイトとブラックの2色。軽やかな印象のホワイトボディは、コンパクトなサイズ感も含めて街スナップや旅先で持ち歩く楽しさがありますね
「EOS R50」のカラーバリエーションと同じ、ホワイトとブラックに服を着た釣り人を記念に1枚
EOS R50、RF-S55-210mm F5-7.1 IS STM、55mm(35mm判換算88mm相当)、F5.6、1/400秒、ISO1000、ホワイトバランス:オート、ピクチャースタイル:スタンダード
撮影写真(6000×4000、8.7MB)
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「EOS R50」はエントリーモデルの立ち位置ですが、最新の映像エンジン「DIGIC X」と、上位機種「EOS R10」ゆずりのAFシステム「デュアルピクセルCMOS AF II」を採用しており、より正確なピント合わせが可能です。ピントを合わせた被写体を追従するトラッキング機能も画面のほぼ全域をカバー。画面の端に被写体をフレーミングしながら、簡単にピントを合わせて撮影できます。
さらに、「人物」「動物」「乗り物」といった日常で撮影する頻度の高い被写体を検出する機能も充実。「EOS R50」はこの被写体検出機能に「自動」が加わったのがポイントで、被写体の特徴から自動で被写体を判別・検出し続けてくれます。思いがけない被写体と遭遇したときにシャッターチャンスを逃しにくくなりました。
「EOS R50」は電子先幕シャッター時で最高1/4000秒、電子シャッター時で最高1/8000秒のシャッタースピードに対応。この写真は、波が砕ける瞬間を1/4000秒の高速シャッターで写し止めました
EOS R50、RF-S55-210mm F5-7.1 IS STM、55mm(35mm判換算88mm相当)、F5、1/4000秒、ISO640、ホワイトバランス:オート、ピクチャースタイル:スタンダード
撮影写真(6000×4000、10.0MB)
望遠側の焦点距離で飛び散る飛沫を狙いました。肉眼ではとらえられない水の形状の面白さが印象的でした
EOS R50、RF-S55-210mm F5-7.1 IS STM、121mm(35mm判換算194mm相当)、F7.1、1/4000秒、ISO800、ホワイトバランス:オート、ピクチャースタイル:スタンダード
撮影写真(6000×4000、9.7MB)
波を撮っていてふと横を見ると防波堤の上を歩く女性たちを発見。被写体検出を「自動」にしていたため、設定を変えることなく、画面の端ギリギリの位置にいる被写体をカメラが瞬時に認識・捕捉してくれました。おかげで、シャッターを切るタイミングに集中して撮れました
EOS R50、RF-S55-210mm F5-7.1 IS STM、55mm、F5.6、1/4000秒、+2/3、ISO500、ホワイトバランス:オート、ピクチャースタイル:スタンダード
撮影写真(6000×4000、10.5MB)
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「EOS R50」は、有効最大約2420万画素のAPS-CサイズのCMOSセンサーを搭載しています。エントリーモデルとしては十分な解像度で、被写体の細部や質感の再現性にすぐれています。映像エンジン「DIGIC X」は高感度時のノイズもしっかりと抑えてくれるので、ボディ側に手ブレ補正が搭載されていない「EOS R50」でも安心して高感度での撮影に臨めます。
また、「RFレンズ」はどれも描写性能が高く、やわらかなボケ味も魅力のひとつです。絞りを絞り込んだときの四隅まで隙のない描写も好印象でした。
サイドからの光に縁取られた水仙のピンとした葉の質感と、絞り値F1.8が見せるやわらかなボケ味が気持ちのよい1枚に仕上がりました
EOS R50、RF50mm F1.8 STM、50mm(35mm判換算80mm相当)、F1.8、1/2500秒、ISO100、ホワイトバランス:オート、ピクチャースタイル:スタンダード
撮影写真(6000×4000、5.1MB)
招き猫の置物に迫って撮影。絞りを絞り込んだことで四隅の猫までくっきりとクリアな描写で再現できました
EOS R50、RF16mm F2.8 STM、16mm(35mm判換算26mm相当)、F18、1/80秒、ISO1600、ホワイトバランス:オート、ピクチャースタイル:スタンダード
撮影写真(6000×4000、9.6MB)
速めのシャッタースピードでお線香の煙をキャッチしました。やわらかく立ち昇る煙の描写が気持ちよく、また、手前側のシャドウ部もノイズ感のないスッキリとした描写で好印象です
EOS R50、RF-S55-210mm F5-7.1 IS STM、158mm(35mm判換算253mm相当)、F7.1、1/320秒、ISO2500、ホワイトバランス:オート、ピクチャースタイル:スタンダード
撮影写真(6000×4000、11.9MB)
浜辺へと続くトンネルの中から打ち寄せる波を狙いました。トンネルの先からの光に照らされた壁のグラデーションが滑らか。ホワイトバランスを「白熱電球」にしたことで幻想的なイメージもプラスできました
EOS R50、RF50mm F1.8 STM、50mm(35mm判換算80mm相当)、F1.8、1/1600秒、ISO100、ホワイトバランス:白熱電球、ピクチャースタイル:スタンダード
撮影写真(6000×4000、9.2MB)
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「EOS R50」の購入を検討する人の中には「こんなシーンを撮ってみたいけれど、カメラの設定はどうすればいいの?」といった疑問を持つ人も少なくないでしょう。
そんな人向けに、「EOS R50」はさまざまなシチュエーションに対応できる撮影モードを搭載しています。撮影するシーンや被写体に応じてカメラが最適な設定をセレクトしてくれる「シーンインテリジェントオート」のほか、夜景や料理、少し難易度の高い動く被写体を撮るのに適したモードを備えた「スペシャルシーン(SCN)」、静止画と同時に撮影直前の動画を記録できる「プラスムービーオート」、10種類の個性的なフィルター効果を選べる「クリエイティブフィルター」など、写真撮影の楽しさを広げてくれるモードがたくさん用意されています。
さらに、「クリエイティブフィルター」の一部は、通常の撮影モードにプラスして使うことも可能。「クリエイティブフィルターモード」では非対応のホワイトバランスの変更や露出補正などもできるので、自分の撮影スタイルに合わせて使い分けてみるのもおすすめです。
「スペシャルシーン」の「料理」で撮影。サーモンの色味が鮮やかに再現され、見た目にも美味しそうな1枚です
EOS R50、RF-S18-45mm F4.5-6.3 IS STM、42mm(35mm判換算68mm相当)、F6.3、1/160秒、ISO400、ホワイトバランス:オート、ピクチャースタイル:オート、撮影モード:料理
撮影写真(6000×4000、9.7MB)
「スペシャルシーン」の「流し撮り」で撮影。本来はゆっくりと走っている路面電車に疾走感が加わり、とぼけた表情とのギャップが面白い1枚に仕上がりました
EOS R50、RF-S18-45mm F4.5-6.3 IS STM、18mm(35mm判換算29mm相当)、F20、1/30秒、ISO100、ホワイトバランス:オート、ピクチャースタイル:オート、撮影モード:流し撮り
撮影写真(6000×4000、9.4MB)
「クリエイティブフィルター」の「ラフモノクロ」で撮影。フィルター効果でザラリとした椿の質感とハイライトの木漏れ日の白さがモノクロの世界観を引き立ててくれています
EOS R50、RF-S18-45mm F4.5-6.3 IS STM、45mm(35mm判換算72mm相当)、F6.3、1/160秒、ISO100、ホワイトバランス:オート、ピクチャースタイル:オート、撮影モード:ラフモノクロ
撮影写真(6000×4000、11.8MB)
ゼリーの金魚が乗ったお菓子を、「クリエイティブフィルター」の「水彩風」をプラスして撮影。ホワイトバランスを「白熱電球」にして青味を強くすることで水のイメージを強調する効果を狙いました
EOS R50、RF50mm F1.8 STM、50mm(35mm判換算80mm相当)、F4.0、1/250秒、ISO400、ホワイトバランス:白熱電球、ピクチャースタイル:スタンダード、撮影モード:絞り優先AE+水彩風
撮影写真(6000×4000、6.6MB)
静止画とともに撮影直前のシーンを動画として記録し、それらをまとめた1日のダイジェスト動画も生成できる「プラスムービーオート」を使って撮影したフルHD動画です。カラスが飛び立つ瞬間を収めることができました
※ダイジェスト動画から一部を切り出した動画です
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今回「EOS R50」を使ってみて、エントリーモデルとは思えないほどの画質のよさやAF性能の高さに驚かされました。それと同時に、初めてミラーレスカメラを使うユーザーに向けたモニター上での機能説明表示や、カメラまかせでもきれいに撮影できる撮影モードなど、カメラの操作や設定に不安を感じる人をしっかりとサポートする機能が充実しているのもうれしいポイント。多彩な世界観を楽しめる「クリエイティブフィルター」もあって、写真を楽しむ工夫が詰まった1台に仕上がっています。
また、専用アプリ「Camera Connect」を使えば、撮影後にシームレスにスマートフォンに画像を転送できるのも押さえておきたいです。スマートフォンでSNSに写真をシェアして楽しんでいる人にもきっと満足してもらえるカメラだと思います。
金森玲奈 SNSアカウント
Instagram:kanamorireina
Twitter:@kanamorireina
写真家。東京工芸大学芸術学部写真学科卒業。東京藝術大学美術学部附属写真センター勤務などを経て2011年からフリーランスとして活動を開始。怪我と障害がきっかけで引き取った2匹の飼い猫との日々を撮り続けている。