旅とカメラは人生を彩るスパイスのようなもの。そして、旅とカメラは相性も抜群。旅を楽しむ、カメラを楽しむことをコンセプトに、フォトグラファーの河野鉄平(通称テッピー)が、カメラ片手に旅に出る連載企画。今回は、芝桜を撮りに埼玉県秩父市の羊山公園へ。せっかくなので三峯神社にもお参りしてきました。
今回の旅のお供はキヤノン「EOS R10」。有効最大約2420万画素の撮像素子(APS-Cサイズ)を搭載するミラーレスカメラです。重量は約429g(バッテリー、カードを含む)と軽量で、気軽なスナップに最適です
掲載する写真作例について
JPEG形式(最高画質)で撮影。すべての作例で、周辺光量補正:オン、歪曲収差補正:オート、デジタルレンズオプティマイザ:標準に設定しています。
こんにちは、テッピーです。
だいぶ暖かくなってきました。皆さまどのようにお過ごしでしょうか? そろそろ全国的に梅雨入りとのことですが、雨にも負けず、ぜひ撮影の旅に出かけたいものです!
今回の「旅カメラ」のお目当ては、埼玉県秩父市の羊山公園の芝桜です。ちょうど桜が散るのと入れ替わるように公園内を埋める色とりどりの芝桜は、5月の風物詩。秩父有数の観光スポットで、私もこれまで何度か足を運んできました。
今回秩父へは西武鉄道の「特急ラビュー」に乗って向かいました。ラビューに初めて乗りましたが、車内が広い! 車窓も大きく、外の風景がよく見えました。この日の天候は、午前中から少しずつ曇る予報だったため、終点の西武秩父駅に到着してすぐに羊山公園へと向かいました。
羊山公園自体は、ひとつ手前の横瀬駅から向かう方法もありますが、今回は西武秩父駅から秩父駅周辺のレトロな街並みを撮影しながら向かいます。ゆっくり歩いて30分くらいの距離です。
丸みのあるフォルムが特徴的な「特急ラビュー」
EOS R10、RF-S18-45mm F4.5-6.3 IS STM、18mm(35mm判換算29mm相当)、F5、1/400秒、ISO100、ホワイトバランス:太陽光、ピクチャースタイル:風景
撮影写真(6000×4000、9.9MB)
駅改札横では、「特急ちちぶ」がお出迎え
EOS R10、RF-S18-45mm F4.5-6.3 IS STM、18mm(35mm判換算29mm相当)、F5、1/60秒、ISO1000、ホワイトバランス:太陽光、ピクチャースタイル:風景撮影
写真(6000×4000、8.7MB)
しばらく来ないうちに西武秩父駅周辺はきれいになっていました。朝の早い時間だったので閑散としていますが、フードコートや日帰りの温泉施設もあって大変な充実ぶりです
EOS R10、RF-S18-45mm F4.5-6.3 IS STM、18mm(35mm判換算29mm相当)、F5、1/800秒、ISO100、ホワイトバランス:太陽光、ピクチャースタイル:風景
撮影写真(4000×6000、12.7MB)
今回の旅で使用したミラーレスカメラ「EOS R10」について少し説明したいと思います。
「EOS R10」は、上位機「EOS R7」とほぼ同時期(2022年7月)に発売されたモデルです。「EOS R10」と「EOS R7」はどちらもAPS-Cサイズの撮像素子を搭載していますが、よりハイスペックな「EOS R7」に対し、「EOS R10」は普段使いを意識した小型・軽量なエントリー向けという位置づけです。
「EOS R10」の特徴は、ずばり3点に集約されます。
1つ目の特徴は、レンズを含めてコンパクトなシステムに収まることです。前述のとおり、本機は重量約429g(バッテリー、SDカードを含む)と小型・軽量で、APS-C用の「RF-Sレンズ」と組み合わせると非常に高い携帯性を発揮します。たとえば、今回の旅に携行したキットレンズ「RF-S18-45mm F4.5-6.3 IS STM」は重量が約130gで、「EOS R10」に装着した際の総重量は約559gしかありません。「EOS R10」はフルサイズ対応レンズも利用できますが、身軽なスナップには「RF-Sレンズ」をうまく活用するとよいでしょう。
2つ目の特徴は、上位モデルから引き継いだ高い機能性です。AFは高精度な被写体検出と追尾機能を備えていますし、連写はメカシャッター・電子先幕時で最高約15コマ/秒、電子シャッター時で最高約23コマ/秒と高速。画質も当然ながら申し分ありません。さらに、カメラ任せできれいに撮れる「シーンインテリジェントオート」や15種類の「スペシャルシーンモード」、10種類の「クリエイティブフィルター」機能など、初心者にも扱いやすいオート撮影機能が充実しているのも見逃せません。
そして、3つ目の特徴として押さえておきたいのがリーズナブルな価格帯です。ボディ単体の価格.com最安価格は117,500円(税込、2023年5月29日現在)。高性能な被写体検出AFと高速連写を搭載しながらこの価格はコストパフォーマンスが高いと言えるでしょう。
「EOS R10」にキットレンズ「RF-S18-45mm F4.5-6.3 IS STM」を取り付けたところ。35mm判換算で焦点距離29〜72mm相当をカバーする、沈胴式の標準ズームレンズで、「EOS R10」と組み合わせての重量は約559gです。今回はこのセットで多くのシーンを撮影しました
もうひとつのキットレンズとして用意されている高倍率ズームレンズ「RF-S18-150mm F3.5-6.3 IS STM」も併用しました。35mm判換算で焦点距離29〜240mm相当をカバーします。「EOS R10」との組み合わせの重量は約739g
「EOS R10」の上部。右側にメイン電子ダイヤル(1)とサブ電子ダイヤル(2)を搭載し、右手で多くの操作が完結できる仕様です。電源ON/OFFはスイッチ(3)で簡単に行えます
主要機能はモニター右横のクイック設定ボタンや上下左右ボタン(1)で調整できます。マルチコントローラー(2)も搭載
搭載されているボタンやダイヤルの操作系統を見ると、キヤノンのデジタル一眼カメラをある程度扱い慣れている人や、集中して撮影を行いたい人向けに作られていることがよくわかります。これは撮影機能を見ても感じる部分です。
内蔵フラッシュも搭載しています
では、実際の旅と移動の様子をお伝えしていきます。
羊山公園へは駅から案内図にしたがって進んでいきます。秩父駅周辺はレトロな雰囲気の駅舎や街並みが広がり、秩父神社など見どころも満載です。
向かう途中に見つけた店先。焼き鳥屋さん? のようです
EOS R10、RF-S18-45mm F4.5-6.3 IS STM、18mm(35mm判換算29mm相当)、F5、1/250秒、ISO100、ホワイトバランス:太陽光、ピクチャースタイル:風景
撮影写真(6000×4000、12.5MB)
EOS R10、RF-S18-150mm F3.5-6.3 IS STM、40mm(35mm判換算64mm相当)、F5.6、1/40秒、ISO400、ホワイトバランス:日陰、ピクチャースタイル:風景
撮影写真(6000×4000、7.0MB)
EOS R10、RF-S18-45mm F4.5-6.3 IS STM、24mm(35mm判換算38mm相当)、F5、1/1250秒、ISO100、ホワイトバランス:太陽光、ピクチャースタイル:モノクロ
撮影写真(4000×6000、9.6MB)
EOS R10、RF-S18-45mm F4.5-6.3 IS STM、24mm(35mm判換算38mm相当)、F5、1/250秒、ISO100、ホワイトバランス:太陽光、ピクチャースタイル:モノクロ
撮影写真(4000×6000、10.2MB)
羊山公園内にある「牧水の滝」。歌人の若山牧水がこの地で歌を詠んだことを記念して作られた人工の滝です。ここでは水流をぶらすためシャッタースピードを1/5秒の低速に設定しましたが、手ブレの影響を抑えて撮影できました。「EOS R10」本体には手ブレ補正機構が搭載されていませんが、「RF-S18-45mm F4.5-6.3 IS STM」には補正効果4段分の手ブレ補正機構が備わっています
EOS R10、RF-S18-45mm F4.5-6.3 IS STM、35mm(35mm判換算56mm相当)、F10、1/5秒、ISO100、ホワイトバランス:太陽光、ピクチャースタイル:風景
撮影写真(4000×6000、16.4MB)
羊山公園の芝桜の丘に到着! 訪れたのは4月中旬で、満開の一歩手前くらいの印象でした。若干の薄曇り空でしたが、秩父のシンボル武甲山を目の前に望みながら、咲き誇る芝桜を撮影できました
EOS R10、RF-S18-45mm F4.5-6.3 IS STM、35mm(35mm判換算56mm相当)、F10、1/5秒、ISO100、ホワイトバランス:太陽光、ピクチャースタイル:風景
撮影写真(6000×4000、20.1MB)
春先から初夏にかけては花々が見頃を迎え、撮影する機会も多いです。ここでは、簡単に見栄えよく花畑が撮影できるテクニックを紹介していきます。
白っぽい空を省くことで、芝桜のピンクと樹木のグリーンのコントラストが強調され、すっきりとした画面構成にしてみました。縦位置で左右を詰めているのもポイントです。こうした場所はどうしても広く風景をとらえたくなりがちですが、あえて狭く切り取ることで、安定感のある構図で撮影できます
EOS R10、RF-S18-45mm F4.5-6.3 IS STM、45mm(35mm判換算72mm相当)、F8、1/500秒、ISO200、ホワイトバランス:太陽光、ピクチャースタイル:風景
撮影写真(4000×6000、19.9MB)
アングルを下げると、奥行きが強調されてボケが演出しやすくなります。ここでは特定の花に寄って後ろをボカして芝桜をドラマチックに描写。「RF-S18-45mm F4.5-6.3 IS STM」は開放値も大きく、それほど明るいレンズではありませんが、撮影の仕方によって、これだけ大きな背景ボケを演出できます
EOS R10、RF-S18-45mm F4.5-6.3 IS STM、21mm(35mm判換算34mm相当)、F4.5、1/500秒、ISO100、ホワイトバランス:太陽光、ピクチャースタイル:風景
撮影写真(6000×4000、6.9MB)
花畑は望遠で撮るのもおすすめ。密集感が強調されて空間が詰まり、花々の咲き誇る様子をとても印象的に表現できるようになります
EOS R10、RF-S18-150mm F3.5-6.3 IS STM、86mm(35mm判換算138mm相当)、F6.3、1/320秒、ISO100、ホワイトバランス:太陽光、ピクチャースタイル:風景
撮影写真(4000×6000、11.6MB)
花はカラフルなので、ホワイトバランスで色味を変えてみるのも面白いです。特に白い花はホワイトバランスの効果が出やすいです。ここでは白熱電球モードを利用することで、白い花々が青みの強い幻想的な仕上がりになりました
EOS R10、RF-S18-45mm F4.5-6.3 IS STM、45mm(35mm判換算72mm相当)、F6.3、1/320秒、ISO100、ホワイトバランス:白熱電球、ピクチャースタイル:スタンダード
撮影写真(6000×4000、6.2MB)
こちらはホワイトバランスをオートにして撮影。印象がだいぶ違います
EOS R10、RF-S18-45mm F4.5-6.3 IS STM、45mm(35mm判換算72mm相当)、F6.3、1/320秒、ISO100、ホワイトバランス:オート(雰囲気優先)、ピクチャースタイル:スタンダード
撮影写真(6000×4000、6.2MB)
花畑はカラフルで目立つため、手前に別の要素が入ると、花々の色みを引き立たせながら撮影できます。今回は樹木の間から覗き見るような視点で撮影できました
EOS R10、RF-S18-150mm F3.5-6.3 IS STM、45mm(35mm判換算72mm相当)、F6.3、1/250秒、ISO125、ホワイトバランス:太陽光、ピクチャースタイル:風景
撮影写真(4000×6000、12.0MB)
カメラ内のフィルター機能を使って画作りを楽しむのもおすすめです。ここでは「油彩風」で、カラフルな色合いを強調しながら、狭い画角で切り取りました
EOS R10、RF-S18-150mm F3.5-6.3 IS STM、150mm(35mm判換算240mm相当)、F6.3、1/250秒、ISO125、ホワイトバランス:太陽光、ピクチャースタイル:風景、クリエイティブフィルター:油彩風
撮影写真(4000×6000、26.9MB)
EOS R10、RF-S18-45mm F4.5-6.3 IS STM、29mm(35mm判換算46mm相当)、F6.3、1/320秒、ISO100、ホワイトバランス:太陽光(B2、G2)、ピクチャースタイル:スタンダード
撮影写真(6000×4000、6.7MB)
EOS R10、RF-S18-150mm F3.5-6.3 IS STM、150mm(35mm判換算240mm相当)、F6.3、1/640秒、ISO100、ホワイトバランス:太陽光(B2、G2)、ピクチャースタイル:風景
撮影写真(4000×6000、7.9MB)
EOS R10、RF-S18-150mm F3.5-6.3 IS STM、150mm(35mm判換算240mm相当)、F6.3、1/250秒、ISO125、ホワイトバランス:太陽光(B2、G2)、ピクチャースタイル:風景
EOS R10、RF-S18-150mm F3.5-6.3 IS STM、150mm(35mm判換算240mm相当)、F8、1/250秒、ISO100、ホワイトバランス:太陽光、ピクチャースタイル:モノクロ
撮影写真(6000×4000、11.1MB)
EOS R10、RF-S18-150mm F3.5-6.3 IS STM、150mm(35mm判換算240mm相当)、F6.3、1/320秒、ISO200、ホワイトバランス:太陽光、ピクチャースタイル:風景
秩父市のイメージキャラクター「ポテくまくん」が割れていて、味があったので1枚パシャリ
EOS R10、RF-S18-45mm F4.5-6.3 IS STM、45mm(72mm相当)、F6.3、1/125秒、ISO100、ホワイトバランス:太陽光、ピクチャースタイル:風景
撮影写真(6000×4000、10.3MB)
芝桜の丘には「ポテくまくん」の家がありました
EOS R10、RF-S18-150mm F3.5-6.3 IS STM、150mm(35mm判換算240mm相当)、F6.3、1/320秒、ISO500、ホワイトバランス:太陽光、ピクチャースタイル:風景
EOS R10、RF-S18-150mm F3.5-6.3 IS STM、62mm(35mm判換算99mm相当)、F6.3、1/500秒、ISO100、ホワイトバランス:太陽光、ピクチャースタイル:風景
撮影写真(4000×6000、8.7MB)
EOS R10、RF-S18-150mm F3.5-6.3 IS STM、18mm(35mm判換算29mm相当)、F3.5、1/1000秒、ISO100、ホワイトバランス:太陽光、ピクチャースタイル:風景
撮影写真(6000×4000、7.9MB)
高倍率ズームレンズ「RF-S18-150mm F3.5-6.3 IS STM」で接写。本レンズの最大撮影倍率はAF時が0.44倍(50mm時)、MF時が0.59倍(35mm時)とかなり接写に強いです。ここでは望遠端で接写。たんぽぽの綿毛もここまで大きく写せました。ちなみに、標準ズームレンズ「RF-S18-45mm F4.5-6.3 IS STM」の最大撮影倍率はAF時0.16倍(45mm時)、MF時0.26倍(45mm時)です
EOS R10、RF-S18-150mm F3.5-6.3 IS STM、150mm(240mm相当)、F6.3、1/200秒、ISO400、ホワイトバランス:太陽光、ピクチャースタイル:スタンダード
撮影写真(6000×4000、6.1MB)
羊山公園で放牧されていた羊。AFの被写体検出を動物優先にし、電子先幕で最高約15コマ/秒の高速連写で撮影。きっちり瞳にピントを合わせ続けながら撮影できました。「EOS R10」は動体撮影もバッチリのカメラです
EOS R10、RF-S18-150mm F3.5-6.3 IS STM、150mm(35mm判換算240mm相当)、F6.3、1/320秒、ISO400、ホワイトバランス:太陽光、ピクチャースタイル:スタンダード
撮影写真(6000×4000、9.0MB)