選び方・特集

フルサイズミラーレスカメラ“定番モデル”徹底比較! 選んで間違いない4機種

左からソニー「α7 IV」、キヤノン「EOS R8」、ニコン「Z 6II」、パナソニック「LUMIX S5II」

左からソニー「α7 IV」、キヤノン「EOS R8」、ニコン「Z 6II」、パナソニック「LUMIX S5II」

フルサイズミラーレスカメラは、35mmフルサイズの大きな撮像素子(イメージセンサー)を搭載し、高画質な撮影を楽しめるのが魅力。写真好き、カメラ好きなら誰でも「いつかは手に入れたい」と思うカメラなのではないでしょうか?

本特集では、数ある最新のフルサイズミラーレスの中から、ソニー「α7 IV」、キヤノン「EOS R8」、ニコン「Z 6II」、パナソニック「LUMIX S5II」という、価格.comでも人気の高い定番モデルを厳選し、多角的に比較してみました。いずれも、ボディ単体の価格.com最安価格が20万円台(2023年7月27日時点)の、スタンダードクラスもしくはミドルクラスの売れ筋製品です。

各モデルの基本特徴

まずは、各モデルの基本的な特徴をまとめます。

ソニー「α7 IV」 静止画と動画を高いレベルでこなせるスタンダードモデル

ソニーのフルサイズミラーレスのスタンダードモデル「α7 IV」

ソニーのフルサイズミラーレスのスタンダードモデル「α7 IV」

「α7 IV」は2021年12月発売のモデルで、「IV」のナンバリングからもわかるとおり、2013年11月発売の初代「α7」から数えて4世代目にあたります。

ソニーのフルサイズミラーレスの中ではスタンダードモデルに位置していますが、フルサイズミラーレスをいち早く商品化したソニーの“スタンダード”だけあって基本性能が非常に充実。前モデルから動画撮影機能も向上し、静止画と動画の両方を高いレベルでこなせる「ハイブリッド機」を標榜しています。

搭載する撮像素子は、有効約3300万画素のフルサイズ裏面照射型CMOSセンサー。センサーベンダーでもあるソニーのカメラだけに、撮像素子の性能が高いのも魅力のひとつと言えるでしょう。最大で約5.5段分の補正効果を持つボディ内5軸手ブレ補正機能も備わっています。

有効約3300万画素のフルサイズ裏面照射型CMOSセンサーを搭載

有効約3300万画素のフルサイズ裏面照射型CMOSセンサーを搭載

ソニーのフルサイズミラーレスは、世代を重ねていく中で、フラッグシップモデル「α1」を始めとした高性能な上位モデルが続々と誕生し、そこで培われた技術が下位モデルにフィードバックされているのがポイントです。

「α7 IV」も上記モデルゆずりのスペックをいくつも搭載していて、たとえば、記録メディアには高速なCFexpress Type Aメモリーカードを採用しています。これによって書き込み速度が向上し、静止画撮影と動画撮影の両方でよりハイレベルな撮影が可能になりました。

スタンダードモデルながらCFexpress Type Aメモリーカードに対応。SDメモリーカードと併用できるすぐれものです

スタンダードモデルながらCFexpress Type Aメモリーカードに対応。SDメモリーカードと併用できるすぐれものです

キヤノン「EOS R8」 小型・軽量ながら上位モデルゆずりのAFを搭載

「EOS Rシリーズ」のフルサイズ機として最小・最軽量(2023年7月27日時点)を実現した「EOS R8」

「EOS Rシリーズ」のフルサイズ機として最小・最軽量(2023年7月27日時点)を実現した「EOS R8」

「EOS R8」は2023年4月に発売されたモデルで、約461g(バッテリー、メモリーカードを含む)という、キヤノンのフルサイズミラーレスとして最小・最軽量(2023年7月27日時点)の小型・軽量ボディを実現したのが特徴です。それでいて、上位モデルに匹敵する画質やAF性能を持っていることに新しさを感じます。

2019年3月発売の小型・軽量モデル「EOS RP」よりも約24g軽いため、フルサイズミラーレスの入門機かと思いきや、キヤノンのラインアップの中では、ミドルクラスに位置付けられています。ある意味、多くの人がミラーレスカメラに望む「軽いけど高性能なやつ」を具現化したカメラなのかもしれません。

搭載する撮像素子は、有効約2420万画素のフルサイズCMOSセンサー。上位モデル「EOS R6 Mark II」と同等のAFシステム「デュアルピクセルCMOS AF II」に対応するなど多彩な特徴を備えています。ただし、ボディ内手ブレ補正機能は非搭載です。

有効約2420万画素のフルサイズCMOSセンサーを搭載

有効約2420万画素のフルサイズCMOSセンサーを搭載

対応する記録メディアはSD/SDHC/SDXCメモリーカード(UHS-II対応)で、バッテリー室と同居のシングルスロット仕様。今回比較するほかの3モデルがすべてダブルスロット仕様なことを考えると、やや心もとなさを感じますが、ここは小型・軽量化を優先したための措置なのだと思います。

小型・軽量化を優先しているためかSDメモリーカードスロットはバッテリー室同居のシングルタイプです

小型・軽量化を優先しているためかSDメモリーカードスロットはバッテリー室同居のシングルタイプです

ニコン「Z 6II」 大口径マウントを採用した質実剛健モデル

デュアル「EXPEED 6」を採用し、着実な進化を遂げた「Z 6II」

デュアル「EXPEED 6」を採用し、着実な進化を遂げた「Z 6II」

「Z 6II」は2020年11月に発売された、ニコンのスタンダードモデル。2018年11月発売の「Z 6」の後継機で、実際のところ、目覚ましいほどの性能向上を実現しているわけではありませんが、画像処理エンジンをデュアルで搭載したことによるレスポンスや連写速度、AF性能の向上など、随所でニーズに合わせた着実な進化を遂げたモデルなのは確かです。

最大の魅力は、光学設計に余裕のある55mm径の大口径「Zマウント」を採用した、ニコンらしい質実剛健なボディ。フラッグシップモデル「Z 9」や、「Z 9」の性能を継承したハイエンドモデル「Z 8」など最新機種ほどのハイスペックではありませんが、しっかりとしたボディの作りは魅力的です。

搭載する撮像素子は、有効約2450万画素のニコンFXフォーマット(フルサイズ)の裏面照射型CMOSセンサーで、これは前モデル「Z 6」と同じ仕様。フルサイズセンサーを余裕で収める大口径な「Zマウント」は、何とも言えない安心感を覚えます。最大5.0段分の補正効果を発揮する、ボディ内5軸手ブレ補正機能も搭載しています。

有効2450万画素のニコンFXフォーマット(フルサイズ)の裏面照射型CMOSセンサーを搭載

有効2450万画素のニコンFXフォーマット(フルサイズ)の裏面照射型CMOSセンサーを搭載

さらに、本モデルの進化点として押さえておきたいのが、メモリーカードスロットがCFexpress Type BとSD(SD/SDHC/SDXC、UHS-II対応)のダブルスロットになったこと。前モデル「Z 6」はXQDメモリーカードのシングルスロットでした。

メモリーカードスロットは、CFexpress Type BとSDのダブルスロット仕様

メモリーカードスロットは、CFexpress Type BとSDのダブルスロット仕様

パナソニック「LUMIX S5II」 AFや動画撮影などが向上した正統進化モデル

従来モデルから全方位で進化を遂げた「LUMIX S5II」

従来モデルから全方位で進化を遂げた「LUMIX S5II」

「LUMIX S5II」は、2023年2月に発売された、パナソニックのスタンダードモデル。2020年9月発売の「LUMIX S5」の後継機で、それまでパナソニックがこだわっていたコントラストAFによる「空間認識AF」に加えて、同社のミラーレスとして初めて像面位相差AFを採用したことで話題になりました。

AFの進化に注目がいきがちですが、本モデルの本当の価値は、静止画撮影と動画撮影の両方が大きく向上したことにあると思います。詳細は後述しますが、動画撮影は、今回比較する4モデルの中で唯一、6K動画記録に対応しています。全方位で進化を遂げた正統進化モデルと言えると思います。

搭載する撮像素子は、有効2420万画素のフルサイズCMOSセンサー。画素数こそ前モデルと同じですが、新たに779点の像面位相差センサーが追加されました。最大5.0段分の補正効果を発揮する、ボディ内5軸手ブレ補正機能も搭載しています。

有効2420万画素のフルサイズCMOSセンサーを搭載

有効2420万画素のフルサイズCMOSセンサーを搭載

メモリーカードスロットはSDメモリーカードのダブルスロットで、両スロットともにSD/SDHC/SDXCとUHS-IIに対応します。前モデルは片方のスロットのみがUHS-II対応でした。

両スロットがUHS-IIに対応するSDメモリーカードのダブルスロットを採用

両スロットがUHS-IIに対応するSDメモリーカードのダブルスロットを採用

操作性

それでは、各モデルの特徴をレビューしていきます。最初に操作性を見ていきましょう。

ソニー「α7 IV」 使いやすくなった操作性。バリアングル液晶を採用

「α7 IV」のボタン・スイッチ類は、従来モデルから配列を大きく変えることなく、全体的にサイズが大型化されています。ボタンの指がかりもよくなっており、ハッキリと使いやすくなったと言えるでしょう。

「α7シリーズ」の1世代目や2世代目は、フルサイズミラーレス登場以前のAPS-Cミラーレスの操作性を踏襲していたこともあって、ボタン・スイッチ類の1つひとつが小さく操作しにくかったのですが、「α7 IV」はそういうことはありません。

ボディのサイズは約131.3(幅)×96.4(高さ)×79.8(奥行)mmで、重量は約658g(バッテリー、メモリーカードを含む)。使っていて過不足はなく、フルサイズミラーレスの標準として受け入れられるサイズ感だと思います。

より大きなサイズのボタン類を採用。従来よりも使いやすくなりました

より大きなサイズのボタン類を採用。従来よりも使いやすくなりました

背面モニターは、横に開くバリアングル式の3.0型液晶が採用されています。前モデル「α7 III」までの上下方向に動くチルト式からバリアングル式に変更されたのは、動画撮影に対する配慮だと思われますが、約104万ドットというのは同クラスの他モデルと比べると、やや詳細感に欠ける印象です。

バリアングル式の3.0型液晶(約104万ドット)を採用

バリアングル式の3.0型液晶(約104万ドット)を採用

ファインダーは、倍率が約0.78倍で、ドット数は約369万ドット。スタンダードクラスのフルサイズミラーレスとしては標準的で過不足はありません。と言いたいところですが、前モデル「α7 III」が約236万ドットという低い仕様だったので、ようやくの進化といったほうが正しいような気がします。

倍率約0.78倍/約369万ドットのファインダー

倍率約0.78倍/約369万ドットのファインダー

キヤノン「EOS R8」 小型ボディにシンプルでわかりやすい操作性を採用

「EOS R8」は小型・軽量化を優先しているためか、ボタン・スイッチ類の配列は上位モデルと比べるといくぶん簡素化されていますが、シンプルでわかりやすい操作性が好印象です。

上面は上位モデル「EOS R6 Mark II」と同様、左肩に静止画撮影/動画撮影の切り替えスイッチを、右肩にマルチ電子ロック付きの電源スイッチを搭載。背面は「EOS RP」とほぼ同じ内容です。個人的には、背面のマルチコントローラーが非搭載なのが少し残念ですが、キヤノンのミドルクラスとしてはそれほど珍しいことでもありません。

ボディのサイズは約132.5(幅)×86.1(高さ)×70.0(奥行)mmで、重量は約461g(バッテリー、メモリーカードを含む)。持ってみると素直に小さくて軽いことを実感でき、使っていても軽快そのものです。小型ながらグリップは握りやすくホールディング性も十分なので、初心者だけでなく、カメラの扱いに慣れた上級者でも満足できるのではないかと思います。

上面は「EOS R6 Mark II」、背面は「EOS RP」の操作性を踏襲。親指で操作する背面のマルチコントローラーは非搭載です

上面は「EOS R6 Mark II」、背面は「EOS RP」の操作性を踏襲。親指で操作する背面のマルチコントローラーは非搭載です

背面モニターはバリアングル式の3.0型液晶で、ドット数は約162万ドット。小型・軽量なフルサイズミラーレスとしては十分な性能と言えると思います。ライブビュー撮影をするにしても、撮影画像を再生して確認するにしても不満を感じることはほとんどありません。

バリアングル式の3.0型液晶(約162万ドット)を採用

バリアングル式の3.0型液晶(約162万ドット)を採用

ファインダーは倍率約0.7倍/約236万ドットと、やや物足りないスペックです。決して視認性が悪いということはありませんが、スペック上は「EOS RP」と同じですので、2023年発売の新製品としてはもう少し頑張ってほしいところでした。

倍率約0.7倍/約236万ドットのファインダー

倍率約0.7倍/約236万ドットのファインダー

ニコン「Z 6II」 チルトモニターと高品位なファインダーを採用

「Z 6II」の操作性は、フラッグシップモデル「Z 9」やハイエンドモデル「Z 8」 に比べると少し簡素ですが、ボタン・ダイヤルは、その実、とてもよく考えられており、必要なものが必要な場所に具合よく配置されています。クラス以上の本格的な操作性を持つカメラだと思います。ボディ上面の情報表示パネルの存在はそれを物語っている証しだと言えるでしょう。

ただし、サイズは約134(幅)×100.5(高さ)×69.5(奥行)mmで、重量は約705g(バッテリー、メモリーカードを含む)と若干重め。フルサイズミラーレスに軽さを求める人には不向きかもしれませんが、小型であっても高い堅牢性を確保させるニコンらしいまじめさとも受け取れます。

的確な位置にボタン・ダイヤル類を配置。上面には情報表示パネルが備わっています

的確な位置にボタン・ダイヤル類を配置。上面には情報表示パネルが備わっています

背面モニターにはチルト式の3.2型液晶(約210万ドット)を採用。今回比較する4機モデルの中で最も大きく高精細なモニターです。高品位な映像を表示することができます。

注目したいのは4モデルの中で唯一のチルト式だということ。バリアングル式とチルト式のどちらが使いやすいかは意見の分かれるところですが、横位置での静止画撮影で抜群に使いやすいのがチルト式です。もしかしたら、これもニコンならではのこだわりなのかもしれません。

チルト式の3.2型液晶(約210万ドット)を採用

チルト式の3.2型液晶(約210万ドット)を採用

ファインダーは倍率約0.8倍/約369万ドットと、抜きんでたハイスペックで視認性は非常に良好です。表示が大きいというだけでなく、品質が高いのがポイントで、階調性にすぐれ映像に落ち着きがあるため、ファインダーの中で被写体を的確にとらえることができます。ファインダー周辺の歪みもよく抑えられています。

倍率約0.8倍/約369万ドットのファインダー

倍率約0.8倍/約369万ドットのファインダー

コンパクトデジタルカメラで「Z 6II」のファインダー内を撮影してみました。非常に高品質な映像を大きな画面で見ることができます

コンパクトデジタルカメラで「Z 6II」のファインダー内を撮影してみました。非常に高品質な映像を大きな画面で見ることができます

パナソニック「LUMIX S5II」 前モデルの充実した操作性を踏襲

「LUMIX S5II」のボタン・ダイヤル類の配列は、基本的に前モデル「LUMIX S5」を踏襲しています。前モデルは、大型のボタンやダイヤルを使ったスタンダードクラス以上の凝った仕様でしたので、それを受け継いだ「LUMIX S5II」の操作性も大変良好です。

ただ、ボディは相応に大きく、サイズは約134.3(幅)×102.3(高さ)×90.1(奥行)mmで、重量は約740g(バッテリー、メモリーカードを含む)。カメラを構えたときに、ややドッシリとしたものを感じるかもしれません。

前モデルの充実した操作性を継承。上面には2種類の大きな操作ダイヤルが備わっています

前モデルの充実した操作性を継承。上面には2種類の大きな操作ダイヤルが備わっています

背面モニターはバリアングル式の3.0型液晶を採用。ドット数は約184万ドットで「Z 6II」にはわずかに及ばないものの、同クラスのフルサイズミラーレスの中では十分に良好な映像を確認することができます。

バリアングル式の3.0型液晶(約184万ドット)を採用

バリアングル式の3.0型液晶(約184万ドット)を採用

ファインダーは倍率約0.78倍/約368万ドットと、これまた「Z 6II」にほんのわずかだけ及ばないものの、視認性は大変に高く、被写体を大きくきれいに表示できます。前モデルと比べてみると、ファインダーの見やすさが大きく向上していることがよくわかります。

倍率約0.78倍/約368万ドットのファインダー

倍率約0.78倍/約368万ドットのファインダー

わかりやすい操作性の「EOS R8」。「Z 6II」はモニター・ファインダーが高品位

一眼カメラの操作性は、使用者の「慣れ」や「好み」が大きく影響するため、一概にどれがすぐれているとは決めがたいです。しかし、そのなかでもキヤノン「EOS R8」は、小型・軽量化を優先しながら、少ないスペースを有効に活用してわかりやすい操作性を実現していると思いました。

また、モニターやファインダーの視認性は、撮影における快適性の重要なファクターですが、その点、妥協することなくクラス以上の高品質なものを備えたニコン「Z 6II」は「さすが」と感心してしまいました。同様のことはパナソニック「LUMIX S5II」にも言えます。

2ページ目で「画質」「AF性能・連写性能」「動画撮影機能」をレビューします。

記事で紹介した製品・サービスなどの詳細をチェック
関連記事
プレゼント
価格.comマガジン プレゼントマンデー
SPECIAL
ページトップへ戻る