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2018年はクラウンやセレナ e-power、CR-Vなどの新型が登場

2017年に売れた“ヒット車”と、2018年に発売する“話題のクルマ”たち

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高額商品であるクルマは憧れの存在にもなり得るが、同時に日常的な移動手段としても使われるから、その売れ行きは世相を反映する。30年前のバブル経済期には、好景気に相応しい高価格帯の日産「シーマ」、トヨタ「セルシオ」などが好調に売れた。

また、クルマは先進技術の塊で、交通事故、環境汚染、二酸化炭素の排出といった大きな欠点もあわせ持つ。ユーザー個人だけでなく社会のニーズにも対応する必要があり、言わば社会性も兼ね備えた商品だ。加えて、基幹産業だから経済に与える影響も大きい。ありがちな表現で恐縮だが、まさしくクルマは世相を映す鏡と言えるだろう。

そこで、当記事では2017年にヒットしたクルマをカテゴリ別に振り返るとともに、2018年に発売が予定されている期待の新型車の情報をお届けしたい。なお、2017年にヒットしたクルマについては、発売が2016年下半期に発売されたクルマも一部ではあるが含まれているので、あらかじめご了承いただきたい。

2017年にヒットしたクルマ 軽自動車編
ホンダ「N-BOX」/スズキ「ワゴンR」

ホンダ「N-BOX」(2017年9月11日/フルモデルチェンジ)

ホンダ「N-BOX」

ホンダ「N-BOX」

ホンダ「N-BOX」は、2011年に発売された初代が人気となり、2017年にフルモデルチェンジされた新型モデルも販売は目下絶好調だ。直近の2017年11月における国内販売は最多を記録しており、1か月に2万台以上が登録されている。

新型N-BOXは、軽自動車でナンバーワンとなる車内の広さを誇る。さらに、シートの座り心地や荷室アレンジ、走行安定性、乗り心地など先代のネガの多くが解消された。

また、緊急自動ブレーキは小型/普通車を中心として採用が進められている「ホンダセンシング」へと進化している。歩行者と衝突しそうな時には、緊急自動ブレーキの作動に加えて、ハンドルによる回避操作の支援も可能だ。加えて、車間距離を自動制御できるクルーズコントロールが装着されるなど、軽自動車のユーザーニーズを幅広く網羅したために人気へと結びついた。

日本国内の普通車は海外向けの車種が増えたため、ユーザーの関心は軽自動車やコンパクトカーに集まり、ダウンサイジングをさらに加速させている。こういった市場動向も、新型N-BOXにとっては追い風となった。

スズキ「ワゴンR」(2017年2月1日/フルモデルチェンジ)

スズキ「ワゴンR」

スズキ「ワゴンR」

スズキ「ワゴンR」は、2017年2月に新型モデルへとフルモデルチェンジされた。新型ワゴンRは個性こそやや欠けるものの、その性能は全般的に高められている。

ワゴンRは、先代から徹底的なまでの軽量化が施されており、新型モデルではさらにプラットフォームを刷新。背の高い軽自動車でありながら、売れ筋グレードの車重は800kg以下に収められている。さらに、マイルドハイブリッドが搭載されたことで、JC08モード燃費は33.4km/Lにも達した。これは、背の高い軽自動車では最もすぐれている値だ。ボディが軽いから運転感覚も軽快で、アイドリングストップ後の再始動も静かなことなど、快適性も良好だ。

新型ワゴンRは、全高が1,600mmを超えるので車内が広く、大人4名が快適に乗車できる。後席は背もたれを倒すとフラットな荷室になり、前後スライドも含めて左右独立式だ。全高が1,700mm以下のスライドドアを備えない軽自動車の中では、シートアレンジが最も充実しているといえるだろう。

そして、新型ワゴンRの価格は、スライドドアを備えたスズキ「スペーシア」やホンダ「N-BOX」に比べて、15〜20万円ほど安い。

このように、各機能が合理的だから、軽自動車を選ぶ時にはまずワゴンRを選択肢のひとつとして入れておきたい。そこで車内の広さや乗降性に不満があったら、さらに天井の高いスペーシアやN-BOXなどを検討するといいだろう。

2017年にヒットしたクルマ コンパクトカー編
ホンダ「フィット」/トヨタ「アクア」/トヨタ「ルーミー」「タンク」

ホンダ「フィット」(2017年6月30日/マイナーチェンジ)

ホンダ「フィット」

ホンダ「フィット」

ホンダ「フィット」の現行モデルは2013年に発売されているが、2017年に大幅なマイナーチェンジが施された。

2013年に現行モデルが発売された直後、ハイブリッドに搭載される7速DCT(2組のクラッチを使う有段AT)のリコールに悩まされて、フィットは販売が滞った。だが、フィットはもともと、燃料タンクを前席の下に搭載して後席と荷室の広さに余裕を持たせるなど、実用性の高いコンパクトカーであったうえに、マイナーチェンジで安全装備を充実させることで販売台数を盛り返している。

また、別の事情として、日産の完成検査問題でライバル車の「ノートe-POWER」のイメージが下がって納期遅延が生じたから、フィットに需要が移行したという面もある。フィットとノートには、皮肉な連鎖が生じている。

トヨタ「アクア」(2017年6月19日/マイナーチェンジ)

トヨタ「アクア」

トヨタ「アクア」

トヨタ「アクア」は、発売からすでに6年が経過しているが、今でも堅調に売れている。5ナンバーサイズのボディは混雑した街中や駐車場でも運転しやすく、立体駐車場も使いやすい。ハイブリッド専用車だから、すぐれた環境性能を周囲にアピールしやすく、改良を受けて緊急自動ブレーキを作動できる安全装備も採用した。

価格は200万円を下まわり、後席と荷室は狭めながら、トヨタの販売網との相乗効果によってその人気は衰えない。

トヨタ「ルーミー」「タンク」(2016年11月9日/新型車)

トヨタ「ルーミー」

トヨタ「ルーミー」

2014年にスズキ「ハスラー」が大ヒットして、スズキとダイハツの軽自動車をめぐる競争が激化した。新車販売されるクルマの約35%が軽自動車になり、コンパクトカーから軽自動車への代替えも進んだ。

小型/普通車が中心のトヨタとしては、「パッソ」の売れ行きが伸び悩んで「ヴィッツ」も古くなり、コンパクトカーの品ぞろえを充実させねばならない。

そこでトヨタの傘下に入るダイハツが、トヨタ「ルーミー」「タンク」、ダイハツ「トール」スバル「ジャスティ」の姉妹車を、わずか2年で造り上げた。開発期間が短かったので、ソリオの後に発売されながら、走行性能や安全装備では「ソリオ」よりも見劣りする点が多いことは否めない。しかし、自転車を積んだ時などに荷室の汚れを落としやすいシートを備えるなど工夫を凝らして、収納設備も充実させている。

ルーミーとタンクを合計すると、取り扱い店舗はトヨタ全店の4,900店舗と、販売網も充実して売れ行きを伸ばしている。

2017年にヒットしたクルマ ミニバン編
トヨタ「ヴォクシー」/日産「セレナ」

トヨタ「ヴォクシー」(2017年7月3日/マイナーチェンジ)

トヨタ「ヴォクシー」

トヨタ「ヴォクシー」

全高が1,800mmを超え、スライドドアを備えるミニバンの人気車種といえばトヨタ「ヴォクシー」だ。3列目シートも含めて居住性にすぐれており、新型モデルは床の位置を85mmほど下げたので、乗降性も大幅に向上した。

エアロパーツを装着したZSグレードは3ナンバー車になるが、標準タイプは5ナンバーサイズに収まる。そのために車内が広く、なおかつ運転のしやすいミニバンとして人気が高い。マイナーチェンジで緊急自動ブレーキを作動できる安全装備も加わったこともあり、その人気を維持している。

日産「セレナ」(2016年8月24日/フルモデルチェンジ)

日産「セレナ」

日産「セレナ」

日産「セレナ」は、完成検査問題によって売れ行きを下げたものの、それまでは好調な販売を記録してきた。2016年にフルモデルチェンジを受けたので、設計は新しい。エアロパーツを装着したハイウェイスターは3ナンバーサイズになるが、標準タイプは5ナンバーサイズに収まる。運転のしやすいサイズで車内が広く、3列目シートにスライド機能を装着した車種であれば、5ナンバーサイズを基本としたミニバンの中では最も快適な居住性を誇る。

また、緊急自動ブレーキを作動できる安全装備を装着しており、この機能を利用して「プロパイロット」と呼ばれる運転支援の機能も装着できる。車間距離と操舵がサポートされるので、長距離を快適に移動できる。訴求力の強い特徴を身に付けて、売れ行きを伸ばした。

2017年にヒットしたクルマ SUV編
トヨタ「C-HR」/スバル「XV」

トヨタ「C-HR」(2016年12月14日/新型車)

トヨタ「C-HR」

トヨタ「C-HR」

新型「プリウス」と同じプラットフォームを使用する、設計の新しいSUV。安全性を大きく左右する後方視界が劣悪なのは深刻な欠点だが、外観が個性的で内装も上質に仕上げられており、走行安定性もすぐれている。歩行者を検知できる緊急自動ブレーキの採用なども、メリットのひとつだ。

エンジンと駆動方式は、1.2リッターターボに4WD、1.8リッターハイブリッドに2WDが組み合わせられている。そのために、ターボモデルの価格が高く、ハイブリッドの価格と近い。今後の課題としては、1.2リッターターボの2WDを設けて、価格を230万円前後に設定したグレードを用意することだろう。

スバル「XV」(2017年5月24日/フルモデルチェンジ)

スバル「XV」

スバル「XV」

ミドルサイズハッチバックの「インプレッサスポーツ」をベースに、外装パーツを装着して最低地上高を200mmまで持ち上げ、SUVに仕上げたのがスバル「XV」だ。

ベースがインプレッサスポーツだから、前後席ともに居住性に余裕があり、荷物も積みやすい。また、最低地上高に余裕を持たせながら、全高を1,550mmに設定したから立体駐車場の利便性もよい。重心もSUVとしては低めに設定されており、走行安定性もすぐれている。さらに、スバルならではといえる先進的で高水準な安全運転支援システム「アイサイト」が備わり、歩行者保護エアバッグも装備されることは魅力的だ。機能をバランスよく高め、価格もSUVでは割安なこともあって高い人気を得ている。

2018年に発売が期待されるクルマ

トヨタ「クラウン」(2018年夏頃 発売予定)

トヨタ「クラウン」

トヨタ「クラウン」

東京モーターショー2017で初披露され、2018年夏に発売が予定されているのが、トヨタ 新型「クラウン」だ。

先代モデルと比べて、全長が15mm、全幅が70mm拡大する新型クラウンは、TNGA(Toyota New Global Architecture)に基づきプラットフォームを刷新。ドイツのニュルブルクリンクで走行テストを実施しており、走行性能を中心に磨きがかけられているという。2018年夏、間違いなく話題となる1台だ。

三菱「エクリプスクロス」(2018年3月発売予定)

三菱「エクリプスクロス」

三菱「エクリプスクロス」

すでに欧州では先行して販売が開始されており、日本においては2018年3月に正式な発売を予定している、三菱の新型SUV「エクリプスクロス」。TV CMも開始されているので、すでにご覧になった読者諸兄も多いことだろう。

エクリプスクロスのボディサイズは、三菱「RVR」と「アウトランダー」のちょうど中間に位置する、ミドルサイズのクロスオーバーだ。正式に公開されている情報では、日本仕様では1.5L直噴ターボにCVTが組み合わせられる。駆動方式は、電子制御4WDが採用されている。スタイリッシュな外観は前評判もよく、それに加えて走行性能の高さが話題となれば、注目の1台となるだろう。

日産「セレナ e-power」(2018年春 発売予定)

日産「セレナ e-power」

日産「セレナ e-power」

2018年春に発売予定でありながら、いまだ多くの情報が出てこない新型車が日産「セレナ e-power」だ。

セレナ e-powerで気になるのは、動力性能と燃費性能の2点だ。いまのところ正式な情報がないために予想となってしまうが、車重のあるミニバンであるセレナ e-powerが「ノート e-power」よりも動力性能を高めてくるとなれば、新型リーフと同じ駆動用モーターに2リッターエンジンを組み合わせる可能性がある。そうなると、ライバルのホンダ「ステップワゴンスパーダハイブリッド」に近い3リッタークラスの走行性能と、25km/Lを超える燃費を手に入れることになるだろう。

ホンダ「CR-V」(2018年発売予定)

ホンダ「CR-V」

ホンダ「CR-V」

海外で展開されているホンダの世界戦略車「CR-V」が、2018年に日本でも発売される。

新型CR-Vのボディサイズは、マツダ「CX-5」や三菱「アウトランダー」に近い。その外観は近年のホンダ車らしいマスクで、ボディを張り出すことでボリューム感を演出している。

新型CR-Vの注目は、2リッターハイブリッドモデルのラインアップだろう。搭載されるハイブリッドシステムは「スポーツハイブリッドi-MMD」なので燃費はヴェゼルハイブリッドを超え、ステップワゴンスパーダ ハイブリッドに近い値になるはずだ。動力性能も申し分ないので、あとはライバル車と価格面で対抗できれば、CR-Vが国内SUV市場に存在感を打ち出すことは十分に可能だろう。

まとめ

国内販売比率が35%に達し、いまだ人気カテゴリーである軽自動車は2017年に多くの新型車が発売された。ホンダ「N-BOX」、スズキ「ワゴンR」、ダイハツ「ミライース」、年末にはスズキ「スペーシア」もフルモデルチェンジした。

小型/普通車も刷新されたものの、売れ筋はスズキ「スイフト」程度であった。トヨタ「カムリ」、レクサス「LS」「LC」、ホンダ「シビック」なども発売されたのだが、いずれも海外向けの車種で、長期間にわたって安定して売れる車種とは言い難いだろう。

ここ数年、日本の自動車メーカーにおける新型車が少ない。これは冒頭で述べた通り、国産メーカーの置かれた状況や考え方が反映されているからだ。今の国産メーカーは、その多くが世界販売台数の80%以上を海外で売っていて(ダイハツだけは海外比率が40%前後に収まるが)、日本は“優先順位の低い市場”になったためだ。

しかも、開発コストを削減するためにフルモデルチェンジの周期が長期化しており、現行モデルが発売されてから6年を経過する車種も増えた。したがって、新型車の登場がますます減っている。

2018年は、紹介した車種以外にはトヨタ「センチュリー」や、米国では夏にホンダ「インサイト」の新型モデルが登場予定となっている。さらに、発表時期は未定だが、スズキ「ジムニー」、レクサス「UX」、マツダ「アクセラ」、ダイハツ「タント」などのフルモデルチェンジも噂されている。

2018年、魅力ある新型車がより多く登場することを期待したい。

渡辺陽一郎

渡辺陽一郎

「読者の皆様に怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も大切と考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を心掛けるモータージャーナリスト

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