レビュー
スズキ初「1Lターボ&ハイブリッド」の実力を試す!

クロスビー“速”試乗&燃費/1Lターボ&ハイブリッドの動力性能は1.5L NA並!

最近は、居住性や積載性にすぐれ、走破性とカッコよさも兼ね備えているSUVの人気が高い。SUVの多くは、海外市場を重視して開発されているので、全幅がワイドな3ナンバー車が圧倒的に多い。いっぽう、ミニバンの標準グレードは5ナンバー車が中心だから、SUVに乗り替えると運転がしにくく感じることもある。ユーザーによってはSUVを諦めて、コンパクトカーを選ぶこともあるだろう。

その意味で注目されるのが、スズキの新型クロスオーバー「クロスビー(XBEE)」だ。

スズキ「クロスビー」

スズキ「クロスビー」

クロスビーの外観は、SUVらしさを濃厚に感じさせてくれる。また、クロスビーはSUVでありながら、ボディサイズは全長が3,760mm、全幅は1,670mmと、コンパクトで5ナンバーサイズに十分収まる。最低地上高は180mmを確保しているので、悪路の凸凹などを乗り越えやすい。

スズキ「クロスビー」(右)とスズキ「ハスラー」(左)

スズキ「クロスビー」(右)とスズキ「ハスラー」(左)

クロスビーのフロントマスクは、スズキの軽自動車「ハスラー」によく似ているが、実際にクロスビーを目の当たりにすると、意外にもハスラーの面影はほとんどない。クロスビーはフェンダーをワイドに張り出させるなど、小型車としてボリュームを持たせているからだ。

エンジンは、直列3気筒1リッターターボを搭載し、マイルドハイブリッドも併用する。ISG(モーター機能付発電機)が減速時を中心とした発電、アイドリングストップ後の再始動、エンジン駆動の支援(最長30秒間)を行う。

駆動方式は、FF(前輪駆動)の2WDと4WDが用意されている。JC08モード燃費は、2WDが「22km/L」、4WDは「20.6km/L」だ。特にすぐれた燃費値ではないが、動力性能に見合ってはいるだろう。

それでは、クロスビーを試乗してその実力をレビュー評価してみたい。試乗グレードは、上級グレードの「ハイブリッドMZ」(4WD)だ。

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【スズキ「クロスビー」のグレードラインアップと価格】
HYBRID MX/1,765,800円(2WD)・1,908,360円(4WD)
HYBRID MZ/2,003,400円(2WD)・2,145,960円(4WD)

【スズキ「クロスビー」主要スペック】
全長×全幅×全高:3,760×1,670×1,705mm/ホイールベース:2,435mm/最低地上高:180mm/車重:960kg(2WD)・1,000kg(4WD)/乗車定員:5名/最小回転半径:4.7m/JC08モード燃費:22.0km/L [2WD]・20.6km/L [4WD] /搭載エンジン:水冷4サイクル直列3気筒直噴ターボ/排気量:0.996L/最高出力(エンジン):73kW [99PS]/5,500rpm/最大トルク(エンジン):150N・m [15.3kg・m]/1,700-4,000rpm/最高出力(モーター):2.3kW [3.1PS]/1,000rpm/最大トルク(モーター):50N・m [5.1kg・m]/100rpm/トランスミッション:6AT/タイヤ:175/60R16 82H

コンパクトボディで視界もよく運転しやすい【運転のしやすさ(取りまわし性/視界)】

スズキ「クロスビー」のフロントイメージ

スズキ「クロスビー」のフロントイメージ

スズキ「クロスビー」のリアイメージ

スズキ「クロスビー」のリアイメージ

ボディサイズは、前述のように全長が3,760mm、全幅が1,670mmに収まるコンパクトサイズで、最小回転半径は4.7mだから小回りもきく。SUVデザインなので、コンパクトな車種としては珍しく、運転席に座るとボンネットが視野に入る。ヘッドランプを高い位置に装着しているから、フェンダーの左右が盛り上がり、ボディの幅やフロントサイドの位置もわかりやすい。

スズキ「クロスビー」のサイドイメージ

スズキ「クロスビー」のサイドイメージ

注意したいのは、サイドウィンドウの下端がハスラーなどに比べて25mmほど高く感じられること。Lサイズセダンなどに比べれば側方は見やすいが、コンパクトカーとしてはクルマに潜り込んだ感覚になるので、注意したい。

評価:★★★★☆(4点)
コメント:ボディはコンパクトで運転しやすいが、サイドウィンドウの下端が少し高く、側方視界はいまひとつ。

個性的なインパネだが操作性はいい【内装(質感/スイッチの操作性とメーターの視認性)】

スズキ「クロスビー」のインパネ

スズキ「クロスビー」のインパネ

スズキ「クロスビー」のエアコンスイッチ

スズキ「クロスビー」のエアコンスイッチ

インパネデザインは、水平基調だ。エアコンスイッチは横長に配置され、ATレバーの左側に装着されている。そのために、左端のスイッチは少し遠いのだが、操作性自体に不満は感じない。視認性についても良好だ。

内装の色彩は、インパネの上側が乳白色で、下側とシートは黒になるからコントラストが強い。なお、この乳白色のパネルは、ディーラーオプションでブラックやグレー、あるいはイエローなどに変更できる。軽快感を重視してデザインされているが、質感も相応に高く不満はない。

評価:★★★☆☆(3点)
コメント:軽快感を重視した少し個性的なデザインだが、質感や操作性に不満はない。

コンパクトボディにもかかわらずリアシートの広さはLサイズセダン並【居住性&荷室(前後席の居住性/荷室の広さと使い勝手)】

スズキ「クロスビー」のフロントシート

スズキ「クロスビー」のフロントシート

クロスビーのフロントシートは、セパレートタイプが採用されている。背もたれの高さと座面の長さに余裕を持たせ、座り心地も適度に柔軟で快適だ。

スズキ「クロスビー」のリアシート

スズキ「クロスビー」のリアシート

リアシートは、フロントシートに比べると背もたれの高さが少し低いが、コンパクトに格納できる機能を備えながら柔軟性は不足していない。床と座面の間隔が少し短く膝が持ち上がるが、窮屈には感じない。

クロスビーは、全長を短く抑えながらもリアシートの足元空間が広い。身長170cmの大人4名が乗車して、リアシートに座った同乗者の膝先には、握りコブシ2つ半もの余裕がある。これは、実にLサイズセダン並みの広さだ。頭上にもコブシひとつが収まる余裕があるので、大人4名がゆったりと座れる。

また、後席にチャイルドシートを装着した時は、足元空間が広いために子供を座らせる作業がしやすい。このすぐれた空間効率は、ハスラーやスペーシアなど、軽自動車の開発を通じてスズキが得てきたものだ。

スズキ「クロスビー」のラゲッジルーム。画像はリアシートを倒した状態

スズキ「クロスビー」のラゲッジルーム。画像はリアシートを倒した状態

荷室は床が高く、路面から800mmに達する。約500mmに抑えたスペーシアに比べると、ハスラーは重い荷物を積みにくい。外観をSUVらしく仕上げるために、バンパーを高く設定したので、荷室の床も持ち上がった。

その代わり、床下の収納ボックスは深く掘り込まれている。ボードを外すとベビーカーを立てて積むことも可能だから、スペースを節約できる。後席の背もたれを倒すと広い荷室になり、荷室床面には汚れを落としやすい処理を施した。シートも溌水加工となっている。

評価:★★★★☆(4点)
コメント:ボディサイズの割に、居住空間は広くて快適。荷室は床が高いので、注意したい。

1.5L並の動力性能と6ATの機敏な変速が魅力【走行性能(動力性能/走行安定性)】

クロスビーのエンジンは、前述のように直列3気筒1リッターターボを搭載する。最高出力は99馬力(5,500回転)、最大トルクは15.3kg-m(1,700〜4,000回転)。自然吸気のノーマルエンジンに当てはめると、1.5リッター相当だ。

スズキ「クロスビー」試乗イメージ

スズキ「クロスビー」試乗イメージ

ターボの過給効果は、比較的低い回転域から発生する。1,500回転付近でも駆動力の落ち込みが少ないために、低回転域でもスムーズで運転がしやすい。また、4,000回転を超えた中〜高回転域の加速も車格以上に力強く、スポーティーだ。登坂路でも力不足を感じることはない。

トランスミッションは、トルクコンバーターを使った有段の6速ATを採用しており、機敏な変速感覚も魅力的だ。アクセル操作によって、速度の細かな調節もしやすい。

スズキ「クロスビー」試乗イメージ

スズキ「クロスビー」試乗イメージ

操舵に対する反応は正確で、峠道などではボディを内側に向けやすい。ただし、よく曲がる半面、下りカーブで減速を強いられた時など危険を回避する状況では、後輪の接地性がいま一歩だ。よく曲がる特徴を生かすために、もう少し踏ん張り感を強めたい。

評価:★★★☆☆(3点)
コメント:動力性能には比較的余裕があり、6速ATの制御も良好だ。操舵感は適度に機敏だが、後輪の接地性がいま一歩だ。

コンパクトカーとしては満足できる乗り心地【乗り心地】

スズキ「クロスビー」試乗イメージ

スズキ「クロスビー」試乗イメージ

路面の荒れた市街地を制限速度域で走ると、少し硬く感じるが、粗い乗り心地ではない。全長が3,800mmを下まわるコンパクトな車種としては、快適性は高い部類に入る。

ターボの装着によって実用回転域の駆動力を高めているので、登坂路でもアクセルペダルを深く踏み込む機会が少なく、ノイズも抑えられる。

評価:★★★☆☆(3点)
コメント:市街地では少し硬めに感じるが、ボディがコンパクトな車種では粗さが抑えられており、満足できる。

歩行者も検知する緊急自動ブレーキなど安全装備は充実【安全&快適装備】

スズキ「クロスビー」市街地イメージ

スズキ「クロスビー」市街地イメージ

緊急自動ブレーキは、「デュアルセンサーブレーキサポート」が採用されている。単眼カメラと赤外線レーザーをセンサーに使って、歩行者に対しても緊急自動ブレーキを作動させられる。

スズキ「クロスビー」市街地イメージ

スズキ「クロスビー」市街地イメージ

また、ボディの後方に向ける音波センサーを装着しており、徐行しながら後退している時でも、緊急自動ブレーキを作動できる。このほか、「サイド&カーテンエアバッグ」も標準装着され、安全装備は全般的に充実している。

このほか、ハイブリッドMZでは、外装パーツとして「LEDヘッドランプ」や「LEDフォグランプ」「16インチアルミホイール」などを標準装着した。内装では、「キーレスプッシュスタート」「フルオートエアコン」が標準装着され、装備の充実度は全般的に高い。

評価:★★★★☆(4点)
コメント:クロスビーの緊急自動ブレーキは歩行者も検知して機能が高く、快適装備も充実している。

コンパクトカーとしてやや高めだがその中でも4WDは割安【価格の割安感】

スズキ「クロスビー」市街地イメージ

スズキ「クロスビー」市街地イメージ

クロスビーで売れ筋になるグレードは、上級の「ハイブリッドMX」だ。価格は前輪駆動の2WDが200万3,400円、4WDが214万5,960円になる。

ボディがコンパクトな割に高めだが、先の項目で述べたように安全、快適装備を充実させたから、一概に割高ともいえない。同じプラットフォームを使う「ソリオ」ほどのお買い得感ではないものの、納得できる範囲に収まる。

また、4WDと2WDの価格差は14万2,560円。4WDは、悪路の走破力を高めるグリップコントロールなどの制御が搭載されていることを考えると、比較的割安だ。

評価:★★★☆☆(3点)
コメント:コンパクトカーに比べると割高感をともなうが、機能や装備内容を考えると納得できる範囲に収まる。

日本の市街地における使いやすさが考えられているコンパクトSUV【総合評価】

スズキ「クロスビー」市街地イメージ

スズキ「クロスビー」市街地イメージ

クロスビーは、ボディがコンパクトでも車内が広いので、ファミリーカーとして使いやすい。空間効率にすぐれた実用的なコンパクトカーが欲しいが、外観のカッコよさも重視したいというユーザーに適している。

また、ミドルサイズのSUVを検討しているユーザーも、クロスビーをチェックしてみれば「これで十分」と感じることがあるかもしれない。

走行安定性には改善の余地が若干あり、ミドルサイズのSUVに比べると乗り心地は少し低いが、日本の道路環境でも使いやすいSUVに仕上げた。クロスビーは、幅広いユーザーが、便利で安全なカーライフを楽しむことができるクルマと言えそうだ。

総合評価:★★★★☆(4点)

スズキ「クロスビー」の採点結果

運転のしやすさ(取りまわし性/視界):★★★★☆(4点)
内装(質感/スイッチの操作性とメーターの視認性):★★★☆☆(3点)
居住性&荷室(前後席の居住性/荷室の使い勝手):★★★★☆(4点)
走行性能(動力性能/走行安定性):★★★☆☆(3点)
乗り心地:★★☆☆☆(3点)
安全&快適装備:★★★★☆(4点)
価格:★★★☆☆(3点)
総合評価:★★★★☆(4点)

スズキ「クロスビー」実燃費“プチ”テスト

今回、スズキ クロスビーの試乗会場となった千葉県 幕張近郊で、わずかな時間ではあるが燃費を計測してみたので、編集部員Sがその結果をお伝えしたい。

実燃費を計測したスズキ「クロスビー HYBRID MZ(2WD)」

実燃費を計測したスズキ「クロスビー HYBRID MZ(2WD)」

テストしたグレードは、上級モデル「HYBRID MZ」の2WD。前述までの試乗記はHYBRID MZの4WDグレードであったが、燃費計測ということで2WDグレードをチョイスした。HYBRID MZ(2WD)のカタログに載るJC08モード燃費は「22.0km/L」だ。また、クロスビーでは、時速9km/h以下になると作動する「アイドリングストップ」が全車標準装備されている。

実燃費を計測したスズキ「クロスビー HYBRID MZ(2WD)」

実燃費を計測したスズキ「クロスビー HYBRID MZ(2WD)」

燃費計測ルートは、まず幕張メッセ近辺の海岸沿いを稲毛公園方面へと向かう。そこから、京葉線稲毛海岸駅へと向かい、14号で幕張メッセへ戻るという反時計回りのルートを、数周繰り返した。

道路状況は、渋滞とまではいかないまでも一般車やトラックなどで常に混雑しており、目の前には常に車がいる。特に、行きの海岸沿いから稲毛駅へ向かう道は混んでおり、進んでいても30km/hにも満たず、たびたび信号で停止する。逆に帰りの14号は比較的スムーズに流れており、制限速度付近まで快適にスピードを上げて巡航でき、信号にもほとんど引っかからないという状況だった。

スズキ「クロスビー」実燃費計測結果:16.6km/L

スズキ「クロスビー」実燃費計測結果:16.6km/L

クロスビーの実燃費結果は、「16.6km/L」となった。クロスビーは、加速時にモーターによってエンジンをアシストしてくれる。このモーターアシストは、1,500回転以下からの低い回転数から踏み込んでも、エンジントルクが上がったかのようにスムーズにアシストしてくれて、乗っていると軽快なアシスト感がとても心地いい。

また、6速ATとの組み合わせによって、2,000回転まで回さなくても、混雑している市街地では十分に走行することができた。

元々のカタログ燃費が「22.0km/L」のために、「16.6km/L」の実燃費値は妥当な値だと考えられる。また、14号を走行するときに周囲のクルマのスピードにある程度合わせていため若干ハイペースとなったこともあり、燃費に気をつけた運転を心がければ、市街地での燃費値はもっと上がるのではと思われる。

>>ユーザー評価は意外と“辛口”!? 価格.comで「クロスビー」のユーザー評価・レビューを見る

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渡辺陽一郎

渡辺陽一郎

「読者の皆様に怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も大切と考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を心掛けるモータージャーナリスト

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