レビュー
フルモデルチェンジで魅力が大幅にアップ!

スズキ 新型「スペーシア」「スペーシアカスタム」試乗/総合的にはライバルのホンダ「N-BOX」にも勝る!

いま軽自動車で人気なのが、全高が高い「軽トールワゴン」と呼ばれるタイプだ。軽トールワゴンは軽自動車全体のうち、実に41%を占めている。

2017年12月にフルモデルチェンジを受けて2代目となった、スズキ 新型「スペーシア」

2017年12月にフルモデルチェンジを受けて2代目となった、スズキ 新型「スペーシア」

そんな軽トールワゴンの中でも人気のスズキ「スペーシア」が、2017年12月にフルモデルチェンジを受けて、着実に販売台数を伸ばしている。

スペーシアは、ホンダ「N-BOX」やダイハツ「タント」など、ライバルの軽トールワゴンと同様に全高は1,700mmを上まわり、後席ドアはスライド式という特徴を持つ。

歴代「スペーシア」を画像で比較。左上が新型「スペーシア」、中央が先代「スペーシア」、右下が「パレット」

歴代「スペーシア」を画像で比較。左上が新型「スペーシア」、中央が先代「スペーシア」、右下が「パレット」

歴代「スペーシアカスタム」を画像で比較。左上が新型「スペーシアカスタム」、中央が先代「スペーシアカスタムZ」、右下が先代「スペーシアカスタム」

歴代「スペーシアカスタム」を画像で比較。左上が新型「スペーシアカスタム」、中央が先代「スペーシアカスタムZ」、右下が先代「スペーシアカスタム」

だが先代スペーシアは、やや背が低く外観の存在感が薄かった。そこで、新型スペーシアでは全高が50mm高められて1,785mmとなった。さらに、新型スペーシアに搭載されているプラットフォームは「アルト」から採用された新しいタイプで、ホイールベースが35mm伸びて2,460mmに達している。その結果、さまざまな寸法がN-BOXとほぼ等しくなった。

新型スペーシアは、デザイン面で巧みに個性を演出している。内外装はスーツケースをモチーフにデザインされ、ボディサイドには独特のラインがあしらわれた。

スズキ 新型「スペーシアカスタム」のフロントフェイスは、ホンダ「N-BOXカスタム」に似ている。画像はスズキ 新型「スペーシアカスタム」

スズキ 新型「スペーシアカスタム」のフロントフェイスは、ホンダ「N-BOXカスタム」に似ている。画像はスズキ 新型「スペーシアカスタム」

画像はホンダ「N-BOXカスタム」

画像はホンダ「N-BOXカスタム」

フロントマスクは、標準ボディは個性的だが、カスタムはN-BOXに似ているように見える。発売時期を考慮すれば真似をしたわけではないのだろうが、同じユーザー層を狙ったことで結果的に似通ってしまった。ほかの車種も含めて、エアロパーツを備えたカスタムの外観は画一化されやすい。

スペーシアの最大のライバルとなるのが、ホンダ「N-BOX」だ。N-BOXは、2017年には普通車と軽自動車を合わせた年間販売台数で1位を獲得している。今回は、絶好調のN-BOXの牙城を崩すことができるのかも視野に入れてガイドしたい。

>>「N-BOXより完成度が高い」「最高の1台」価格.comで新型スペーシアカスタムのレビューを見る

新型スペーシアのグレード、価格、スペックについては以下の通り。

【スズキ 新型スペーシア/新型スペーシアカスタムのグレードラインアップと価格】

−新型スペーシア−

HYBRID G:1,333,800円
HYBRID X:1,468,800円

−新型スペーシアカスタム−

HYBRID GS:1,576,800円
HYBRID XS:1,690,200円
HYBRID XSターボ:1,787,400円

※衝突被害軽減ブレーキ非装着車はメーカーオプションとなり、車両本体から-59,400円

【スズキ 新型スペーシアのスペック】
全長×全幅×全高:3,395×1,475×1,785mm/ホイールベース:2,460mm/最低地上高:150mm/車重:870kg(2WD)/最小回転半径:4.4m/JC08モード燃費:28.2km/L/最高出力(エンジン):38kW(52PS)/6,500rpm/最大トルク(エンジン):60N・m(6.1kg・m)/4,000rpm/最高出力(モーター):2.3 kW(3.1PS)/1,000rpm/最大トルク(モーター):50 N・m(5.1kg・m)/100rpm

【スズキ 新型スペーシアカスタムのスペック】
全長×全幅×全高:3,395×1,475×1,785mm/ホイールベース:2,460mm/最低地上高:150mm/車重:900 kg [2WD・HYBRIDターボ] 890kg [2WD・HYBRID] /最小回転半径:4.6 m/JC08モード燃費:25.6 km/L [2WD・HYBRIDターボ] 28.2km/L [2WD・HYBRID] /最高出力(エンジン):47kW(64PS)/6,000rpm [2WD・HYBRIDターボ] 38kW(52PS)/6,500rpm [2WD・HYBRID] /最大トルク(エンジン):98N・m(10.0kg・m)/3,000rpm [2WD・HYBRIDターボ] 60N・m(6.1kg・m)/4,000rpm [2WD・HYBRID] /最高出力(モーター):2.3 kW(3.1PS)/1,000rpm/最大トルク(モーター):50 N・m(5.1kg・m)/100rpm

スズキ 新型「スペーシア」の運転のしやすさ(取りまわし性/視界)

スズキ 新型「スペーシア」のフロントイメージ

スズキ 新型「スペーシア」のフロントイメージ

スズキ 新型「スペーシア」のリアイメージ。標準ボディのスペーシアは、スーツケースをモチーフにデザインされており、全体的にポップな印象だ

スズキ 新型「スペーシア」のリアイメージ。標準ボディのスペーシアは、スーツケースをモチーフにデザインされており、全体的にポップな印象だ

スズキ 新型「スペーシアカスタム」のフロントイメージ

スズキ 新型「スペーシアカスタム」のフロントイメージ

スズキ 新型「スペーシアカスタム」のリアイメージ。スペーシアカスタムは、標準ボディとは印象が異なり、いかにもカスタムらしい硬派なイメージを受ける

新型スペーシアは水平基調のボディを持つために、運転席に座るとボンネットが少し見える。これは今の軽自動車では珍しく、車幅やボディ先端の位置がわかりやすい。最小回転半径は、14インチタイヤ装着車であれば4.4mに収まり(15インチは4.6m)、取りまわし性にすぐれている。

ただし、サイドウィンドウの下端が少し高く、小柄なドライバーはクルマに潜り込んだ感覚になりやすいので、試乗時に縦列駐車などを試しておくと安心だろう。

評価:★★★★★(5点)
コメント:前後左右ともにウィンドウの下端が高めだが、ボディの四隅はわかりやすい。取りまわし性にもすぐれており、運転がしやすい。

スズキ 新型「スペーシア」の内装(質感/スイッチの操作性とメーターの視認性)

スズキ 新型「スペーシア」のインパネ

スズキ 新型「スペーシア」のインパネ

スズキ 新型「スペーシア」の助手席側正面にある「インパネアッパーボックス」「インパネボックス」「インパネドリンクホルダー」

新型スペーシアのインパネは、設計の新しい軽自動車らしく上質に造り込まれている。助手席の前側には、「インパネアッパーボックス」が備わる。インパネアッパーボックスのフタには、スーツケースのようなデザインが施されているのが特徴的だ。さらに、ボックスティッシュが収まる引き出し式の「インパネボックス」と、同じく引き出し式の「インパネドリンクホルダー」も装備されている。

メーターは適度なサイズで見やすく、エアコンのスイッチは高い位置に装着されていて、操作性がいい。

スズキ初の装備として新型スペーシアに搭載される「スリムサーキュレーター」。車内の空気を循環させることで車内温度を均一に保つ装備だ

売れ筋グレードの「HYBRID X」の天井には、新たに「スリムサーキュレーター」が備わる。スリムサーキュレーターは、インパネから吹き出すエアコンの風を扇風機のように後席へと送ることで、前後席の温度差を無くして室内全体を適温にする役割を果たす。

評価:★★★★☆(4点)
コメント:内装の造りは軽自動車としては上質で、快適装備も充実している。

スズキ 新型「スペーシア」の居住性&荷室(前後席の居住性/荷室の広さと使い勝手)

スズキ 新型「スペーシア」のフロントシート

スズキ 新型「スペーシア」のフロントシート

新型スペーシアのフロントシートはサイズに余裕があり、体が少し沈んだところで、しっかりと支えてくれる。座面から床までに距離があり、長身のドライバーは座りやすいが、小柄なドライバーは大腿部を押された印象になりやすい。

スズキ 新型「スペーシア」のリアシート

スズキ 新型「スペーシア」のリアシート

リアシートは、足元空間が広い。身長170cmの大人4名が乗車して、リアシートに座る乗員の膝先には握りコブシ3つ半もの余裕がある。N-BOXはさらに広いのだが、これだけのスペースがあれば居住性に大差はないだろう。リアシートの座り心地は、体が座面に適度に沈んで快適だ。

スズキ 新型「スペーシア」のラゲッジルーム

スズキ 新型「スペーシア」のラゲッジルーム

リアシートをたたむと広いラゲッジルームとなるが、新型スペーシアでは格納方法に特徴がある。先代スペーシアは、N-BOXやタントと同じく床面へ落とし込むようにたたむ方式だったが、新型スペーシアは背もたれを前に倒すと座面も連動して下がる。ワゴンRなどと同じワンタッチ格納方式なので使いやすい。

その代わり、たたんだラゲッジルームの床に少し傾斜ができる。自転車などの大きな荷物は積みやすいが、使い勝手は確認しておきたい。路面からリヤゲートを開いたラゲッジルーム下端までの高さは510mmだ。N-BOXの470mmよりは高いが、タントの595mmよりはかなり低く、重い荷物なども積みやすいだろう。

評価:★★★★☆(4点)
コメント:N-BOXやタントと異なり、ワンタッチでたためるラゲッジルームは使いやすい。ただし、少し傾斜ができるのでディーラーなどで事前に確認しておくとよいだろう。

スズキ 新型「スペーシア」の走行性能(動力性能/走行安定性)

エンジンは「マイルドハイブリッド」と呼ばれるタイプで、モーター機能付き発電機が減速時を中心とした発電、アイドリングストップ後の再始動、エンジン駆動の支援を行う。停車中にATレバーをDレンジに入れてブレーキペダルをゆるめると、モーター駆動のみで発進することができる。なお、アイドリングストップ後の再始動音は静かだ。

スズキ 新型「スペーシア」の市街地試乗イメージ

スズキ 新型「スペーシア」の市街地試乗イメージ

ターボを装着しないノーマルエンジンの動力性能は、市街地では不満を感じないが、登坂路では少し力不足だ。新型スペーシアの車重は、背が高い割には軽いものの、それでも870kgに達する。エンジンは、実用回転域の駆動力が高められていて扱いやすいが、動力性能の割にボディは重い。

スズキ 新型「スペーシア」の市街地試乗イメージ

スズキ 新型「スペーシア」の市街地試乗イメージ

そのため、ノーマルエンジンの動力性能に不満を感じたら、スペーシアカスタムに用意されるターボモデルも検討するとよいだろう。ややターボの特性が強めで、エンジン回転の上昇にともなってパワーが増してくる印象はあるが、それでも動力性能はノーマルエンジンを格段に上まわる。特に、最大トルクはノーマルエンジンの6.1kg-m(4,000回転)に対し、ターボは164%の10kg-m(3,000回転)だ。これは、1リッターノーマルエンジンと同等の値となる。

いっぽう、JC08モード燃費は、ノーマルエンジンの売れ筋グレードが「28.2km/L」、ターボは「25.6km/L」と、およそ9%しか悪化しない。これらを考慮するとターボは高効率といえるので、積極的に選びたいところだ。

走行安定性は、背の高い軽自動車とあって後輪の安定性が重視されている。峠道などでは少し曲がりにくく感じるが、運転操作の難しい状態には陥りにくい。また車重が900kg以下に収まるから(4WDを除く)、カーブを曲がる時でもボディの重さはあまり意識せずに済むだろう。

評価:★★★☆☆(3点)
コメント:ノーマルエンジンの動力性能は少し足りないが、全高が1,800mm近い軽自動車として安定性は高い。ターボエンジンの効率がよいので、価格が割安な標準ボディにも設定してほしい。

スズキ 新型「スペーシア」の乗り心地

スズキ 新型「スペーシア」の市街地試乗イメージ

スズキ 新型「スペーシア」の市街地試乗イメージ

乗り心地は、軽自動車としては悪くないが、上下方向に少し揺すられる印象がある。販売店の試乗車を使った市街地の試乗で確認したい。

評価:★★★☆☆(3点)
コメント:最近の軽自動車やコンパクトカーは、燃費性能の向上と引き替えに乗り心地が悪化しやすい。

スズキ 新型「スペーシア」の安全&快適装備

スズキ 新型「スペーシア」に搭載されている「デュアルセンサーブレーキサポート」

スズキ 新型「スペーシア」に搭載されている「デュアルセンサーブレーキサポート」

新型スペーシアでは、「デュアルセンサーブレーキサポート」が全車に標準装備されている。単眼カメラと赤外線レーザーを併用して、歩行者に対しては時速60km、車両に対しては時速100kmを上限に緊急自動ブレーキを作動させる。

さらに、後退時のブレーキサポートも新たに採用された。超音波センサーが後方に向けて装着され、たとえば徐行しながら後退している時でも、衝突の危険を検知すると緊急自動ブレーキが作動する。

このほか運転席、助手席エアバッグに加えて、フロントサイドエアバッグを全車に標準装備。また、カスタムのハイブリッドXSターボには、頭部を保護するカーテンエアバッグも標準装備されるが、カーテンエアバッグは幅広いグレードに装着してほしい。

評価:★★★★☆(4点)
コメント:後退時の緊急自動ブレーキも採用するなど、機能を充実させている。ただし、N-BOXのような運転支援の機能はない。

スズキ 新型「スペーシア」の価格の割安感

スズキ 新型「スペーシア」試乗会場の幕張にて撮影

スズキ 新型「スペーシア」試乗会場の幕張にて撮影

軽自動車は競争が激しいため、全高が1,700〜1,800mmのスライドドアを備えた車種は、標準ボディの買い得グレードが140〜150万円に設定されている。新型スペーシアの「HYBRID X」グレードは、後退時ブレーキサポートなどが装備されて、価格は146万8,800円だ。価格の割安感は、ホンダ「N-BOX」の「G・L HONDA SENSING」(149万9,040円)や、ダイハツ「タント」の「X“SA III”」(142万200円)などのライバル車と比べても同等だ。

スズキ 新型「スペーシアカスタム」試乗会場の幕張にて撮影

スズキ 新型「スペーシアカスタム」試乗会場の幕張にて撮影

また、新型スペーシアカスタムを購入するなら、最上級グレードの「HYBRID XSターボ」(1,787,400円)を検討したい。HYBRID XSターボは、ノーマルエンジンの「HYBRID XS」(1,690,200円)に比べて9万7,200円高いが、「カーテンエアバッグ」や「パドルシフト」、さらに車間距離の制御機能を備えない「クルーズコントロール」まで備わる。そうなると、ターボが実質4万円前後で装着されることになるからだ。

新型スペーシアカスタムでは、高効率なターボモデルが割安な価格で設定されていると言えるだろう。

評価:★★★★☆(4点)
コメント:新型スペーシアはライバル車と同様に、機能や装備の割に価格が安く抑えられている。また、新型スペーシアカスタムは最上級のターボモデルが割安だ。

スズキ 新型「スペーシア」の総合評価

スズキ 新型「スペーシア」の市街地イメージ

スズキ 新型「スペーシア」の市街地イメージ

新型スペーシアは、全高が1,700mmを超える軽トールワゴンとしてありがちな欠点を払拭させた。車重は870kgと、N-BOXやタントなどのライバル車よりも軽く、ノーマルエンジンのJC08モード燃費は「28.2km/L」と、3車種の中ではもっともすぐれている。

シートアレンジは複雑になりがちだが、新型スペーシアはワンタッチでフラットなラゲッジルームが得られるようにした。

だが、フロントシートやリアシートの乗り心地、安全装備や運転支援の機能は、N-BOXと比べて見劣りする。収納設備なども含めて、機能を総合的に判断すると新型スペーシアが充実しているが、乗り心地など快適性を左右するところはN-BOXが勝っているといえる。車間距離を自動制御できるクルーズコントロールなども同様だ。

そのため、購入検討の際には新型スペーシア、N-BOX、そしてタントの3車種を、ディーラーなど販売店で実際に乗り比べてみたほうがいいだろう。それぞれ、性格が全く異なる3台なので、乗り比べれば皆さんの求めている軽トールワゴンがきっと見つかるはずだ。

総合評価:★★★★☆(4点)

スズキ 新型「スペーシア」の採点結果

スズキ 新型「スペーシアカスタム」の市街地イメージ

スズキ 新型「スペーシアカスタム」の市街地イメージ

運転のしやすさ(取りまわし性/視界):★★★★★(5点)
内装(質感/スイッチの操作性とメーターの視認性):★★★★☆(4点)
居住性&荷室(前後席の居住性/荷室の使い勝手):★★★★☆(4点)
走行性能(動力性能/走行安定性):★★★☆☆(3点)
乗り心地:★★★☆☆(3点)
安全&快適装備:★★★★☆(4点)
価格:★★★★☆(4点)
総合評価:★★★★☆(4点)

>>「進化を感じる」「先進性に満足」価格.comで新型スペーシアのクチコミ・レビューを見る

渡辺陽一郎

渡辺陽一郎

「読者の皆様に怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も大切と考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を心掛けるモータージャーナリスト

紹介した製品の最新価格・クチコミをチェックする
関連記事
「価格.comマガジン」プレゼントマンデー
ページトップへ戻る