レビュー
「走りがいい」と評判のエクリプスクロスをテスト試乗!

三菱「エクリプスクロス」試乗&燃費/走破性の高さはまさに三菱自の“集大成”

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三菱自動車の新型SUV、「エクリプスクロス」の評判がいい。三菱自動車が開発した新型車としては、OEMを除けば「eKスペース」以来だ。約4年ぶりの登場ということもあって、市場からは高い関心を集めている。

三菱「エクリプスクロス」イメージ

三菱「エクリプスクロス」イメージ

注目を得ているエクリプスクロスの中でも、特に評判がよいのは「操舵感」や「走行安定性」といったドライバビリティ(=運転感覚)についてだ。筆者は、エクリプスクロスを一般道や雪上路といったいくつかの道路条件下で試乗している。そこで、エクリプスクロスの実力について、ユーザーから高評価の走行性能を軸としてレビューしてみたい。

エクリプスクロスのグレード、価格および主なスペックは以下の通りだ。

-三菱「エクリプスクロス」のグレードラインアップと価格-
※価格はすべて税込

-2WD-
M/2,532,600円
G/2,706,480円
Gプラスパッケージ/2,879,280円

-4WD-
M/2,748,600円
G/2,922,480円
Gプラスパッケージ/3,095,280円

-三菱「エクリプスクロス」の主な仕様-

全長×全幅×全高:4,405×1,805×1,685mm
ホイールベース:2,670mm
エンジン:1.5L 直噴MIVECインタークーラー付ターボ
トランスミッション:INVECS-III 8速スポーツモードCVT
駆動方式:2WD/4WD
最高出力:110kW[150PS]/5,500rpm
最大トルク:240N・m[24.5kgf・m](2,000-3,500rpm)
JC08モード燃費:15.0km/L(2WD)/14.0km/L(4WD)

三菱「エクリプスクロス」の市街地走行イメージ

三菱「エクリプスクロス」の市街地走行イメージ

まず、カーブを曲がる手前で減速してステアリングを切り込むと、エクリプスクロスは操舵角に対して、とても忠実に回り込んでいく。

ステアリングの操舵に対して、忠実に反応しない車種というのは意外に多い。三菱自動車でいえば、先代「アウトランダー」などは、操舵に対する反応がやや機敏すぎた。よく曲がるものの、半面、下り坂のカーブなどでは後輪の接地性が削がれやすかった。

三菱自動車の開発者は、「先代アウトランダーが登場した2005年は、ブランドの再構築に乗り出した時期でもあって、意図的にスポーティーな設定にしていた」と振り返る。

その影響もあって、2012年に登場した現行「アウトランダー」は、後輪の接地性が高められて、車両の安定性を向上させている。それはよいのだが、今度は動きが少し緩慢になってしまった。足回りがゆったりと伸縮し、SUVらしいリラックスできるような乗り心地を得ているが、スポーティーとは言い難かった。先代と現行アウトランダーでは、走りの性格が大きく異なっていた。

だが、エクリプスクロスは、このアウトランダーにおけるスポーティーな感覚とSUVらしい乗り心地のバランスがうまく取れたクルマといえる。もちろん、エクリプスクロスとアウトランダーでは車種が異なるが、運転感覚には共通性が垣間見える。

三菱「エクリプスクロス」のフロントエクステリア

三菱「エクリプスクロス」のフロントエクステリア

三菱「エクリプスクロス」のリアエクステリア

三菱「エクリプスクロス」のリアエクステリア

エクリプスクロスのプラットフォームは、ホイールベースの値まで含めてアウトランダーや「RVR」と同じだが、エクリプスクロスのボディ剛性については他の2車種と比べて、より高められている。ねじれやすい前後ドアやリヤゲートの開口部、後輪のホイールハウスなどに構造用接着剤が使われることで結合剛性を向上させているほか、フロントのストラットタワーバーが3点留めにされるなどの補強も施された。これらボディ剛性の向上によって、エクリプスクロスはステアリング操舵に対して忠実に反応するクルマへと仕上がっている。

さらに、この忠実な操舵感は、カーブを旋回し始めてからも続く。アウトランダーに比べて、操舵角に対してクルマが正確に動くので、旋回軌跡を拡大させにくい。さらに、路面からの情報が適度にステアリングを通じて手のひらまで伝わってくるのもわかりやすい。

SUVによく曲がるハンドリングを与えると、先代アウトランダーのように後輪の安定性は低くなりやすいが、エクリプスクロスはしっかりと踏ん張る。たとえば、下り坂のカーブをコーナリングしているときに、危険を回避する目的でハンドルをさらに切り込みながらアクセルペダルを戻してみる。すると、後輪の横滑りは誘発するものの、挙動の変化は穏やかなのでコントロールしやすい。これは、前述の通りボディ剛性を強化した結果だ。

三菱「エクリプスクロス」のS-AWC切り替えスイッチ

三菱「エクリプスクロス」のS-AWC切り替えスイッチ

エクリプスクロスの4WD車に備わっている「S-AWC(SUPER ALL WHEEL CONTROL)」の機能も、すぐれた走行安定性に貢献している。

カーブを曲がる時には、走行状況に応じて旋回中の内側前輪を中心に電子制御でブレーキを作動させることで、車両を積極的に内側へ向けていく。また、4WDは電子制御カップリング式で、走行状況に応じて多板クラッチの締結力を制御することにより、後輪にも駆動力を配分する。エクリプスクロスでは、この4輪制御技術を熟成させている。

三菱「エクリプスクロス」の雪上走行イメージ

三菱「エクリプスクロス」の雪上走行イメージ

三菱「エクリプスクロス」の雪上走行イメージ

三菱「エクリプスクロス」の雪上走行イメージ

その結果、エクリプスクロスは特に滑りやすい雪道などにおいて運転しやすい。雪上路でカーブに入り、少しずつアクセルペダルを踏み増していくと、通常は前輪が外側に滑り始めて曲がりにくくなっていく。だが、エクリプスクロスは曲がることをあきらめない。S-AWCが内側の前輪を中心にブレーキをかけて、さらに後輪の駆動力配分を適度に増やすので、前輪の操舵角に応じた旋回状態を維持することができる。

三菱「エクリプスクロス」に装着されているタイヤ、トーヨー「プロクセス R44」(225/55R18)

三菱「エクリプスクロス」に装着されているタイヤ、トーヨー「プロクセス R44」(225/55R18)

エクリプスクロスの乗り心地は、やや硬い。だが、タイヤが路上を細かく跳ねるような嫌な動きは抑えられており、粗い印象は受けない。タイヤのグリップ性能を高めるために、トーヨー「プロクセス R44」(225/55R18)が装着されている割には、乗り心地は納得できるレベルに収めていると言える。

もし、読者の皆さんが乗り心地を確認するならば、市街地でも舗装が少し荒れたような道を、時速40〜45km程度で走ってみるとよいだろう。

最近は、燃費値を向上させるために、タイヤの指定空気圧を高めている車種が多い。だが、エクリプスクロスは「240kPa」と、乗り心地を損なわずにすぐれた走行安定性を両立させる空気圧に設定されている。

エクリプスクロスにおける、バランスの取れた走行性能、コーナリングでの忠実性、S-AWCによる走破性の高さは、三菱自動車の技術の集大成と言えるだろう。

三菱「エクリプスクロス」の雪上イメージ

三菱「エクリプスクロス」の雪上イメージ

エクリプスクロスのプラットフォームは、先代アウトランダーから採用されていて、早10年以上が経過している。そのため、軽量化の面では不利となる。

たとえば、エクリプスクロスの「Gプラスパッケージ」(4WD)は、車重が1,550kg。エクリプスクロスの全長は4,405mmなので、アウトランダーに比べて290mmも短いが、車重は10kgしか下回らない。

アウトランダーは2.4L NAエンジン、エクリプスクロスは1.5L ターボエンジンを搭載しており、動力性能は同程度。それを踏まえると、エクリプスクロスは新型車でありながら、車重と燃費(JC08モード燃費で「14km/L」)といったスペック値から、設計の古さを感じてしまう。

三菱「エクリプスクロス」の雪上走行イメージ

三菱「エクリプスクロス」の雪上走行イメージ

半面、三菱自動車としては使い慣れたプラットフォームなので、補強が必要な個所や手段、その効果などは十分に解析されているという。結果として、エクリプスクロスは理想的といえる操舵感と走行安定性を兼ね備えた。

三菱「エクリプスクロス」の雪上走行イメージ

三菱「エクリプスクロス」の雪上走行イメージ

エクリプスクロスに搭載されている1.5L ガソリンターボエンジンは、2.4L NAエンジンと同程度の駆動力を、幅広い回転域で発生させる。アクセルペダルを軽く踏んで、1,500〜2,000回転付近で走行している時は、ややゴロゴロとしたノイズが耳障りだが、2,000回転を超えれば気にならない。また、4,300回転付近から加速力が増すようなスポーティーな性格を持ちあわせており、エクリプスクロスというクルマの特徴によく合うエンジンと言える。

三菱「エクリプスクロス」の雪上走行イメージ

三菱「エクリプスクロス」の雪上走行イメージ

エクリプスクロスはこれまで述べた通り、走りの素性がとてもよく、重心が高いSUVならではの走る楽しさを感じさせてくれるクルマだ。そうなると、筆者としてはエクリプスクロスの楽しさをさらに昇華させた、三菱自動車ならではのエボリューションモデルがあってもいいように思える。低重心の三菱「ランサー・エボリューション」とは異なる、乗り心地まで進化させた「エクリプスクロス・エボリューション」が誕生すれば、三菱の考える走りの世界観を表現した、新たなSUVとして人気を博すに違いないだろう。

三菱「エクリプスクロス」フロントイメージ

三菱「エクリプスクロス」フロントイメージ

また、三菱自動車は前述のエボリューションモデルのような積極的な開発姿勢を見せなければ、ブランドイメージを元に戻し(まだ高める段階には至っていない)、エクリプスクロスを始めとする三菱自動車のラインアップを堅調に販売していくことは難しいのではと思える。三菱自動車のブランドイメージは、それほどまでに傷ついているのだから。

三菱「エクリプスクロス」実燃費テスト

三菱 エクリプスクロスの実燃費テストを編集部員Sが実施したので、その結果をお伝えしたい。

実燃費テストの走行パターンは、「市街地」「郊外路」「高速道路」の3種類でそれぞれ計測。走行ルートは、「市街地」が新宿から八王子までの渋滞の激しい約30kmのルート。「郊外路」は、八王子から高尾山を過ぎ、相模湖から道志みちにはいって奥相模湖付近から折り返す、信号が少なく快走路からワインディングまで変化に富む約50kmのルート。「高速道路」は、相模湖ICから新宿までの約60kmのルートとなる。

今回、燃費テストに使用したエクリプスクロスのグレードは、4WDの「Gプラスパッケージ」で、JC08モード燃費は「14.0km/L」。テスト実施日は、2018年04月24日(火)。当日の天気は曇り時々雨で、気温は24℃であった。ちなみに今回、エコモードについてはオフ、アイドリングストップはオンにしてテスト計測している。

三菱 エクリプスクロス 実燃費テスト/市街地編

三菱「エクリプスクロス」市街地における実燃費結果:「11.5km/L」

三菱「エクリプスクロス」市街地における実燃費結果:「11.5km/L」

市街地を法定速度で走行していて気になるのが、18インチタイヤ、トーヨー「プロクセス R44」が発するロードノイズだ。最近のミドル〜コンパクトクラスのクロスオーバーSUVは、静粛性が大きく向上しているということもあって、エクリプスクロスのタイヤによる騒音がよけい気になってしまう。また、新宿付近の国道20号は、決して路面の舗装状態は悪くないはずなのだが、微振動がステアリングを通して身体へ伝わってくることが気になった。

だが走行安定性においては、ストレートからコーナリングまで、たとえ市街地における低速走行であっても、しっかりとした安定感が十分に伝わってくる。

実燃費については、新宿から調布までの20号線は混雑しているものの、大きな渋滞には見舞われず、中間地点での実燃費は「11.9km/L」となった。その後、調布から八王子に至るまでにやや燃費は下がり、結果としては「11.5km/L」となった。市街地では、全般を通して丁寧な運転を心がけた。

エクリプスクロスはアクセルレスポンスがよいので、積極的に前走車についていくなど、運転の仕方によってはもう少し燃費値が下がりそうだ。

三菱 エクリプスクロス 実燃費テスト/郊外路編

三菱「エクリプスクロス」郊外路における実燃費結果:「12.7km/L」

三菱「エクリプスクロス」郊外路における実燃費結果:「12.7km/L」

郊外路は、信号の少ない平坦路とワインディングを走行するルートだ。平坦路での実燃費は「13.3km/L」となった。

ワインディングの登りでは、低速トルクのあるエクリプスクロスは、1,500rpmの低回転域でも、そこからアクセルをわずかに踏み込めば力強く坂道を登っていく。

ステアリングの適度な重さやコーナリング時の安定感、そして1.5Lながらパワフルなエンジンは、ワインディングにおいてはまさに水を得た魚のようにスイスイと駆け上がっていく。山道では、市街地以上に楽しいクルマへと変貌する。

実燃費については、ワインディングを登ったあたりで「11.5km/L」まで落ちたものの、下りで回復し、平坦路と合わせた実燃費結果は「12.7km/L」となった。

三菱 エクリプスクロス 実燃費テスト/高速道路編

三菱「エクリプスクロス」郊外路における実燃費結果:「14.5km/L」

三菱「エクリプスクロス」郊外路における実燃費結果:「14.5km/L」

高速道路を走行中に気になったのが、やはり他のシチュエーションと同様、タイヤについてだ。首都高などの路面の段差でタイヤがドタバタとしてクルマが跳ねてしまう。

三菱「エクリプスクロス」は、リアデザインをみると後方視界は悪そうだが、実際にはとても見やすい。

三菱「エクリプスクロス」は、リアデザインをみると後方視界は悪そうだが、実際にはとても見やすい。

だが、気になったのはそれくらいで、大きなフロントガラスやサイドミラーは視界がよく、後方視界も凝ったデザインながら見切りがとてもよいので、高速道路含めてとてもラクに運転することができた。

高速道路では、相模湖ICから都内まで大きな渋滞はなかったために実燃費は大きく伸び、結果は「14.5km/L」となった。

三菱 エクリプスクロス 実燃費結果

三菱 エクリプスクロス 総合実燃費:13.1km/L

市街地の実燃費:11.5km/L
郊外路の実燃費:12.7km/L
高速道路の実燃費:14.5km/L
カタログ燃費(JC08モード):14.0km/L

渡辺陽一郎

渡辺陽一郎

「読者の皆様に怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も大切と考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を心掛けるモータージャーナリスト

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