レビュー
インプレッサやフォレスターとは異なる魅力を発見!

スバル「XV」試乗/インプレッサ譲りでSUVなのに“走りが楽しい”

昨年2017年にフルモデルチェンジを遂げたスバルのクロスオーバーSUV、「XV」。今回は、スバル最新のプラットフォーム「SGP」(スバル・グローバル・プラットフォーム)を、スバルのSUVとして初めて採用した新型XVを、改めて試乗して評価してみたい。

スバル「XV」の走行イメージ

スバル「XV」の走行イメージ

XVは、スバルの5ドアハッチバック「インプレッサスポーツ」がベースモデルとなっている。車両型式はインプレッサスポーツ、XVともに基本的に同じだ。たとえば2リッター水平対向4気筒エンジンを搭載した4WDであれば、「スバルDBA-GT7」になる。

スバル「XV」には、1.6リッターと2リッターエンジンの2種類が用意されている。画像は1.6リッターエンジン搭載車

スバル「XV」には、1.6リッターと2リッターエンジンの2種類が用意されている。画像は1.6リッターエンジン搭載車

XVのエンジンは、水平対向4気筒の1.6リッターと2リッターの2種類がラインアップされており、駆動方式は、AWD(4WD)のみだ。

スバル「XV」のサイドイメージ。最低地上高は、インプレッサスポーツよりも70mm引き上げられて、200mmとなった。全高は、立体駐車場に入る1,550mm

スバル「XV」のサイドイメージ。最低地上高は、インプレッサスポーツよりも70mm引き上げられて、200mmとなった。全高は、立体駐車場に入る1,550mm

XVとインプレッサスポーツとの違いとして、まず最初にあげられるのが最低地上高だ。インプレッサスポーツの最低地上高は「130mm」だが、XVは「200mm」へと大きく引き上げられており、悪路における走破性はインプレッサスポーツよりも高い。さらに、全高は1,550mmに抑えられているので、立体駐車場も利用することができる。

外観では、ホイールハウスやサイドシルなどに「サイドクラッディング」と呼ばれる樹脂製の加飾パーツが装着されている。これにより、全幅はインプレッサスポーツよりも25mmワイド化されて、1,800mmとなった。

今回、XVを以下の項目において5段階で採点して、評価したい。

・運転のしやすさ(取りまわし性/視界)
・内装(質感/スイッチの操作性とメーターの視認性)
・居住性&荷室(前後席の居住性/荷室の広さと使い勝手)
・走行性能(動力性能/走行安定性)
・乗り心地
・安全&快適装備
・価格
・総合評価
※上記項目について、それぞれ1〜5点の5段階で採点、評価

※当記事では、2017年12月に撮影した画像を使用しています。

スバル XVの運転のしやすさ(取りまわし性/視界)

スバル「XV」のフロントイメージ

スバル「XV」のフロントイメージ

スバル「XV」のリアイメージ

スバル「XV」のリアイメージ

XVのボディサイズは、全長が4,465mm、全幅が1,800mmと、5ドアハッチバックとしてはやや大きい。最小回転半径は5.4mと、インプレッサスポーツの5.3mに比べれば、少し小回りがきかない。

だが、全幅が1,800mmを超えて、最小回転半径も5.5mに達するようなSUVが多い中、XVは運転しやすいSUVと言えるだろう。また、XVは視線の高さも適度なので、自然で素直に運転できる印象を受ける。さらに、SUVの中では周囲が見やすく、視線の高いSUVに比べるとボディ左側面の死角も小さい。

ひとつだけ、現行XVではサイドウィンドウの下端を少し大きめに持ち上げているために、先代よりも斜め後方の視界は悪化している。

評価:★★★★☆(4点)
コメント:5ドアハッチバックとしてはボディが少しワイドだが、SUVの中ではコンパクトで運転しやすい。視界も良好だ。

スバル XVの内装(質感/スイッチの操作性とメーターの視認性)

スバル「XV」のインパネ。インパネデザインはインプレッサと同じで、先代よりも質感が向上している

スバル「XV」のインパネ。インパネデザインはインプレッサと同じで、先代よりも質感が向上している

XVの内装デザインは、基本的にインプレッサスポーツと同じだ。先代XVと比べて、内装の質感は先代と比べると大きく向上している。さらに、上級グレードにはインパネやステアリングなどにオレンジステッチが施されるなど、より上質に仕上げられている。

シンプルながら、先代よりも見やすくなったスバル「XV」のメーター

シンプルながら、先代よりも見やすくなったスバル「XV」のメーター

メーターはサイズが大きく、シンプルですっきりとした見やすいデザインだ。スイッチ類も、エアコンの調節ダイヤルという点は先代と同様だが、使いやすいサイズと高さで、視認性や操作性もいい。

評価:★★★★☆(4点)
コメント:内装デザインそのものはオーソドックスなものの、先代と比較すると質感は大きく向上し、視認性や操作性にもすぐれている。

スバル XVの居住性&荷室(前後席の居住性/荷室の広さと使い勝手)

居住性も内装デザインと同様、基本的にインプレッサスポーツと同じだ。全長が4,500mm以下、全高が1,550mmのボディにしては、室内は広い。これは、ホイールベースが2,670mmと長いためでもある。

スバル「XV」のフロントシート。サイズに余裕があり、サポートもしっかりとしている

スバル「XV」のフロントシート。サイズに余裕があり、サポートもしっかりとしている

フロントシートは、サイズに余裕があって快適だ。乗員の肩まわりまでしっかりとサポートする。座り心地は少しやわらかく、乗員の体が若干沈んだところで支える。背もたれは腰を包むような形状だから、座り心地が柔軟でも運転姿勢は乱れにくい。長距離を快適に移動できる。

スバル「XV」のリアシート。柔軟性には欠けるが、広くて快適だ

スバル「XV」のリアシート。柔軟性には欠けるが、広くて快適だ

リアシートは、フロントシートに比べると柔軟性が乏しいが、底突き感はないので、おおむね快適に座ることができる。たとえば、身長170cmの大人4名が乗車した場合、リアシートに座る乗員の膝先空間は握りコブシ2つ半ほどの余裕があるので、ゆったりと座れるだろう。前後方向の広さは、Lサイズセダン並みだ。さらに、リアシートに座る乗員の足がフロントシートの下に収まりやすい。また、頭上にもある程度のスペースが確保されているなど、立体駐車場が使えるSUVでありながら、大人4名が快適に乗車することができる。

インプレッサがベースとなっているので、最低地上高が70mm高められながらも乗降時には腰の移動量が抑えられ、スムーズに乗り降りできる。SUVにはシートと床の位置が高すぎてよじ登る姿勢になるような車種もあるが、XVは高さが適度で乗降性がいい。

スバル「XV」のラゲッジルーム。左はリアシートを上げた状態で、右はリアシートをたたんだ状態

スバル「XV」のラゲッジルーム。左はリアシートを上げた状態で、右はリアシートをたたんだ状態

XVのラゲッジルームは、背の高いSUVやワゴンに比べると狭い。自転車などの大きな荷物は積みにくいが、最大荷室幅は1,356mm、リアシートを倒せば荷室奥行が820mm、荷室高は777mmと、実用的に十分な荷室容量へと拡大する。

リヤゲートの角度が少し寝ているので、背の高い角張った荷物を積む時は不利だが、リヤゲートのヒンジが前寄りに装着されているため、開閉時の後方に向けた張り出し量は少ない。縦列駐車をしているような状態で、リヤゲートを開閉する時の使い勝手はよいだろう。

評価:★★★★☆(4点)
コメント:小柄なボディサイズにしては、余裕のある快適な居住空間を持ち合わせている。ラゲッジルームの使い勝手にもすぐれており、実用性は高い。

スバル XVの走行性能(動力性能/走行安定性)

スバル「XV」の走行イメージ

スバル「XV」の走行イメージ

XVのエンジンは、水平対向4気筒の1.6リッターと2リッターの2種類が用意されている。1.6リッターは、実用回転域の駆動力が比較的高くて扱いやすいのだが、XVは車重が1,400kgを上まわる。そのため、平坦な市街地を走るなら不足はないが、高速道路を使った長距離移動となると、1.6リッターでは動力性能が足りない。

そうなると、推奨エンジンは2リッターだ。2リッターも、パワフルと言えるほどではないのだが、幅広い回転域で駆動力が高いので運転しやすい。3,500rpm付近から加速が活発になり、5,000rpm付近までは良好な吹け上がりを見せる。2リッターエンジンの性格としては実用指向ではあるが、運転しやすくエンジンを回す楽しさも相応に味わえる。

しかも、2リッターエンジンは直噴式なので、燃費がいい。JC08モード燃費は、1.6リッターの「1.6i-Lアイサイト」は「16.2km/L」、2リッターの「2.0i-Lアイサイト」は「16.4km/L」と、2リッターのほうがすぐれている。

最高出力は、1.6リッターが「85kW(115PS)」で、2リッターは「113kW(154PS)」。最大トルクは、1.6リッターが「148N・m(15.1kgf・m)」で2リッターが「196N・m(20.0kgf・m)」。2リッターの性能は、1.6リッターのおよそ1.3倍だ。だが前述のとおり、燃費は逆に2リッターが少し勝っている。この点も踏まえて、エンジンは2リッターを推奨したい。

スバル「XV」の走行イメージ

スバル「XV」の走行イメージ

走行安定性は、全高が1,550mmに抑えられていることもあって良好だ。峠道などを走る時には操舵に対する反応が正確で、クルマの向きが機敏に変わる。そして、カーブを曲がり始めると、後輪の踏ん張り感が適度に立ち上がり、安心してコーナーリングすることができる。この挙動変化は、同じプラットフォームを採用する「インプレッサスポーツ」「インプレッサG4」に近く、最低地上高を70mm高めながらも、腰高な印象になっていないところがいい。

評価:★★★★★(5点)
コメント:XVは、5ドアハッチバックの「インプレッサスポーツ」をベースに開発されたので、SUVの中では重心が低く、走行安定性にすぐれている。2リッターエンジン搭載車であれば、動力性能も満足できる。

スバル XVの乗り心地

スバル「XV」の走行イメージ

スバル「XV」の走行イメージ

XVは、SUVの中では走行安定性は高いが、市街地などを低速で走ると、乗り心地が少し硬めに感じられる。これは、「インプレッサスポーツ」「インプレッサG4」と比べても硬い印象を受ける。だが、段差を乗り越えた時の突き上げ感や、タイヤが路上を細かく跳ねる粗さは抑えられている。

評価:★★★☆☆(3点)
コメント:乗り心地は、やや硬めなので気をつけたい。足まわりがゆったりと伸縮する、SUVらしい乗り味ではない。5ドアハッチバックのインプレッサスポーツに、さらにスポーティーさを加えたような乗り心地だ。

スバル XVの安全&快適装備

スバル「XV」には、全車標準で「アイサイト ver.3」が搭載されている。先行車のほかに、歩行者や自転車も検知することができる

XVは、スバルの先進運転支援技術「アイサイト ver.3」を、すべてのグレードに標準装備している。緊急自動ブレーキは、車両だけでなく歩行者や自転車も検知することが可能だ。

また、運転支援の機能としては、車間距離を自動制御する全車速追従型の「クルーズコントロール」、時速60km以上で車線の中央を走れるように操舵を支援する「アクティブレーンキープ」など、豊富に備わっている。

さらに、オプションの「アドバンスドセイフティパッケージ」を装備すれば、ドライバーの死角に入る後方の並走車両などを知らせる機能、ハイ/ロービームの切り換え機能なども備わる。アドバンスドセイフティパッケージのオプション価格は、5万4,000円と割安だ。

スバル「XV」には、新たに歩行者保護エアバッグも標準装備されている

スバル「XV」には、新たに歩行者保護エアバッグも標準装備されている

このほか、歩行者保護エアバッグも標準装備されている。歩行者との前面衝突を検知すると、エアバッグが展開して、歩行者がピラーやフロントウィンドウにぶつかるのを防いでくれる。

評価:★★★★★(5点)
コメント:XVの安全装備における豊富さは、スバルならではといえる。緊急自動ブレーキの高い性能に加えて、運転支援機能も豊富な「アイサイト ver.3」が全グレードに標準装備されている。

スバル XVの価格の割安感

スバル「XV」のエクステリアイメージ

スバル「XV」のエクステリアイメージ

XVの推奨グレードは、2リッターエンジンを搭載した「2.0i-Lアイサイト」だ。価格は248万4,000円で、スバル「フォレスター」の「2.0i-Lアイサイト」(268万9,200円)や、日産「エクストレイル」の「20X」(275万5,080円)などと比べても安い。

また、インプレッサスポーツと価格を比べると、10万8,000円の上乗せとはなるものの、最低地上高が200mmに高まり、サイドクラッディングなどが装着される。XVは、機能や装備の割に価格が安く抑えられた、スバルの戦略的な車種として位置付けられていると言える。

評価:★★★★☆(4点)
コメント:XVは、走行性能や居住性、安全装備などトータルですぐれているが、価格は割安に抑えられていると言える。

スバル XVの総合評価

スバル「XV」イメージ

スバル「XV」イメージ

XVは、インプレッサスポーツがベースとなっているので、フォレスターのような本格的なクロスオーバーSUVに比べると、一見インパクトが弱いように感じる。

だが、舗装路での走行性能にすぐれているうえに、悪路での走破性を高める電子制御システム「X-MODE」も備えている。さらに、居住性は前後席ともに快適で、ラゲッジルームも使いやすい。スバルならではの安全装備も充実しており、価格は割安に抑えられている。

乗り心地の硬さだけが少し気になるものの、運転が楽しく、日常生活の中で安心してオールマイティに使える。インプレッサやフォレスターとは異なる魅力をもつ、買い得感の高いクロスオーバーSUVに仕上げられていると言えるだろう。

総合評価:★★★★☆(4点)

スバル XVの採点結果

運転のしやすさ(取りまわし性/視界):★★★★☆(4点)
内装(質感/スイッチの操作性とメーターの視認性):★★★★☆(4点)
居住性&荷室(前後席の居住性/荷室の使い勝手):★★★★☆(4点)
走行性能(動力性能/走行安定性):★★★★★(5点)
乗り心地:★★★☆☆(3点)
安全&快適装備:★★★★★(5点)
価格:★★★★☆(4点)
総合評価:★★★★☆(4点)

渡辺陽一郎

渡辺陽一郎

「読者の皆様に怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も大切と考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を心掛けるモータージャーナリスト

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