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クラウンがいよいよフルモデルチェンジ!

トヨタ 新型「クラウン」6月下旬に発表、伝統のロイヤル&マジェスタは“廃止”

新型クラウンが、6月下旬の発表に向けてついに動き出した!

かつては「クルマの基本形状」であった、セダン。1990年代の前半までは、セダンが国内販売の主力であったが、2000年以降は販売台数が落ち込んでいく。その要因としては、セダンの商品開発が“海外指向”になったことが大きい。セダンのボディはワイド化の一途をたどり、デザインは日本人の好みから離れたものとなっていった。

国産メーカー各社は、日本で好調に売れるのは軽自動車やコンパクトカー、ミニバンと割り切り、セダンは海外向けを持ち込んで間に合わせるようになったことから、売れ行きを急速に下げていった。

トヨタ「クラウンコンセプト」東京モーターショー2017にて撮影

トヨタ「クラウンコンセプト」東京モーターショー2017にて撮影

だが、例外がある。それが、トヨタ「クラウン」だ。クラウンは3ナンバーサイズの上級セダンで、売れ筋の価格帯は450〜650万円にも達する。高額な車種にもかかわらず、2017年のクラウンの登録台数は、月平均で2,400台前後も登録されている。

この台数は、同じセダンである日産「スカイライン」の約10倍に達し、ミニバンのトヨタ「アルファード」にも迫る勢いだ。Lサイズセダンとしては、突出していると言えるだろう。

1955年に発売された、初代「トヨペット クラウン」

1955年に発売された、初代「トヨペット クラウン」

クラウンは、初代モデルが1955年に発売された国産乗用車としては最長寿モデルで、今は海外でも販売されているものの、国内市場を大切に考えて開発されている。そのため、クラウンの全幅はいまも1,800mmを超えていない。30年前に比べると100mm以上ワイドになったが、今の上級セダンの中ではスリムな部類に入るだろう。

トヨタ「クラウン」の内装、画像は「Hybrid ロイヤルサルーンG」のインパネ

トヨタ「クラウン」の内装、画像は「Hybrid ロイヤルサルーンG」のインパネ

内装も、日本のユーザーが好むような高級感を重視してデザインされ、足まわりなども日本の道路に合わせた快適なセッティングになっているのが、クラウンの魅力と言えるだろう。

販売会社のトヨタ店にとって、クラウンは伝統ある主力車種だから、購入後のサービスまで含めて入念な販売体制を敷いている。そういったことから、「セダンは不人気」「高価格車は売れない」といわれる昨今でも、クラウンは登録台数を落としていない。

トヨタ「クラウンコンセプト」東京モーターショー2017にて撮影

トヨタ「クラウンコンセプト」東京モーターショー2017にて撮影

そのクラウンが、2018年6月下旬にフルモデルチェンジを受けて、15代目へと刷新される。新型クラウンは、プロトタイプが2017年に開催された「東京モーターショー2017」で披露されたから、ご存じの方も多いだろう。

トヨタ店の店頭では、2018年4月下旬からクラウンの概要を明らかにして、顧客への説明をすでに開始している。さらに、2018年5月16日からはメーカーへの発注も始まる。試乗できるのは6月下旬の正式発表以降となるが、当記事ではトヨタ店の店頭で得られた情報をお伝えしたい。

新型クラウンのエクステリアは、ほぼ“東京モーターショー”のまま

トヨタ「クラウンコンセプト」東京モーターショー2017にて撮影

トヨタ「クラウンコンセプト」東京モーターショー2017にて撮影

新型クラウンの外観は、基本的には2017年の東京モーターショーで披露された通りだ。クラウンは、現行モデルでもフロントグリルを拡大させているが、新型クラウンではさらにグリルが強調されて精悍な印象になる。

そして、新型クラウンではラグジュアリー指向の「ロイヤルサルーン」、スポーティーな「アスリート」、ロングボディで上級グレードの「マジェスタ」という区分が廃止される。ラグジュアリーとスポーティーという性格付けの車種は残るが、従来のようなシリーズとしては残らない。

トヨタ「クラウンコンセプト」東京モーターショー2017にて撮影

トヨタ「クラウンコンセプト」東京モーターショー2017にて撮影

トヨタ「クラウンマジェスタ」

トヨタ「クラウンマジェスタ」

また、従来はマジェスタがロングボディであったが、新型クラウンではひとつのタイプに統合される。新型クラウンのボディサイズは、全長が4,910mm、全幅が1,800mm、全高が1,455mmだ。ホイールベースは2,920mmになる。

従来のクラウンの全長は、ロイヤルとアスリートが4,895mm、マジェスタは4,970mmであった。ホイールベースはロイヤルとアスリートが2,850mm、マジェスタは2,925mmだ。全幅は1,800mmで等しく、全高も大差はない。

つまり、新型クラウンの全長はロイヤル&アスリートよりは長く、マジェスタに比べると短い。ただし、ホイールベースはマジェスタと同等だから、新型ではオーバーハング(ボディがホイールから前後に張り出した部分)が切り詰められる。

【新型クラウンと現行クラウンのボディサイズ比較】
※数値は左から全長×全幅×全高/ホイールベース

新型クラウン:
4,910mm×1,800mm×1,455mm/2,920mm

現行クラウンアスリート:
4,895mm×1,800mm×1,450(1,465)mm/2,850mm

現行クラウンロイヤル:
4,895mm×1,800mm×1,460(1,475)mm/2,850mm

現行クラウンマジェスタ:
4,970mm×1,800mm×1,460(1,475)mm/2,925mm

トヨタ「クラウンコンセプト」東京モーターショー2017にて撮影

トヨタ「クラウンコンセプト」東京モーターショー2017にて撮影

このボディサイズの変化によって、新型クラウンでは外観に引き締まり感が与えられている。リアウィンドウを寝かせて、サイドウィンドウが3分割される「6ライトスタイル」に仕上げられていることも特徴だ。外観を、5ドアクーペ風に見せている。

レクサス「LS」

レクサス「LS」

なお、新型クラウンはプラットフォームが大幅に刷新される。新プラットフォームの基本部分は、レクサス「LS」や「LC」と共通だ。今までトヨタ車のプラットフォームを使ってレクサス車を開発することはあったが、逆のパターンは珍しい。

以前、レクサスの開発者から「トヨタブランド車にはレクサスのプラットフォームは使わせない」といった言葉も聞かされていたが、状況が変わってきた印象を受ける。

新型クラウンでは、3種類のエンジンをラインアップ

新型クラウンのエンジンは、2リッター直列4気筒ターボ、2.5リッター直列4気筒ハイブリッド、3.5リッターV型6気筒ハイブリッドの3種類が用意される。

このうち、2リッター直列4気筒ターボは現行クラウンにも搭載されている8AR-FTS型となる。最高出力は245馬力、最大トルクは35.7kg-mで、10馬力ほどパワーアップされるものの、大きな変更はない。

トヨタ「カムリ」に搭載されている、低燃費と動力性能を両立させた2.5リッター直列4気筒エンジン「A25A-FXS」とモーター

2.5リッター直列4気筒ハイブリッドは、現行「カムリ」から搭載が開始された設計の新しいA25A-FXS型だ。動力性能自体はこれまでと同程度だが、最大熱効率は41%と高く、すぐれた実燃費性能の向上が期待されている。

レクサス「LS」ハイブリッドモデルに搭載されている「マルチステージハイブリッドシステム」。エンジンは、3.5リッターV型6気筒の「8GR-FXS」を搭載。システム最高出力は264kW(359PS)に達する

そして、最も注目したいのが3.5リッターV型6気筒ハイブリッドだ。8GR-FXS型で、レクサスLSやLCと同じ新タイプのエンジンを搭載する。エンジンとモーターの動力性能を合計したシステム最高出力はレクサスLSでは359psに達しており、新型クラウンも同等の性能を発揮するものと思われる。高い動力性能に有段ギヤを組み合わせているので、その走りには期待が持てる。

新型クラウンのグレードや価格は!?

先に述べたとおり、ラインアップの注目としてはロイヤルの廃止があげられる。ロイヤルは、1974年に発売された5代目のセダンボディにロイヤルサルーンが採用されて以来(2、4ドアハードトップの最上級はスーパーサルーンであった)、ラグジュアリーなクラウンの代表として40年以上にわたって親しまれてきた。これを廃止するのは衝撃的だろう。

トヨタ「クラウンコンセプト」東京モーターショー2017にて撮影

トヨタ「クラウンコンセプト」東京モーターショー2017にて撮影

新型クラウンのグレード展開としては、標準の「S」グレード以外に、スポーティーなグレードとして2017年の東京モーターショーにも出品されていた「RS」が、新たにラインアップされる。

内外装がスポーティーに仕上げられたRSには、中心的なグレードとなる「RS」、マイコンプリセットドライビングポジションシステムなどの先進装備を搭載した上級の「RSアドバンス」、そしてベーシックな「RS-B」の3グレードが展開される。

そのうち、上級のRSアドバンスは、2リッターターボ、2.5リッター、3.5リッターハイブリッドとすべてのエンジンを選択できることが特徴のひとつだ。RSは2リッターターボと2.5リッターハイブリッドが選択でき、RS-Bは2リッターターボのみのエンジンラインアップとなる。

だが、RSアドバンスに標準装備される多くは、オプションでRSにも装備することができる。そのために、もし2リッターターボか2.5リッターハイブリッドを検討するならば、RSグレードを選んで上級装備をオプションで加えてもいいだろう。

いっぽう、標準グレードの「S」グレードは、3種類のエンジンすべてに用意される。2リッターターボと2.5リッターハイブリッドには、ブラインドスポットモニターなどを備えた「S・Cパッケージ」、さらにマイコンプリセットドライビングポジションシステムなどを備えた「G」という仕様も用意される。

価格は未定だが、販売店によると「2リッターターボと2.5リッターハイブリッドの価格は、メカニズムや装備が同等のグレードであれば、30〜40万円の値上げになる」という。従来の2リッターターボを搭載したクラウンアスリートS-Tが458万4,600円なので、新型クラウンで同エンジンを積む「RS」は490〜500万円あたりになるだろう。2.5リッターハイブリッドの価格は、現行クラウンを参考にすれば、2リッターターボの40万円アップほどになる。

3.5リッターハイブリッドは、販売店では「高コストなハイブリッドシステムを搭載しているので、価格は従来のマジェスタと同程度」という。となると、3.5リッターハイブリッド Sが640万円あたりと予想される。

いまの日本において、新型クラウンは“価値”のある1台だ

トヨタ「クラウンコンセプト」東京モーターショー2017にて撮影

トヨタ「クラウンコンセプト」東京モーターショー2017にて撮影

新型クラウンの価格は総じて高いが、プラットフォームや3.5リッターハイブリッドのユニットをレクサスLSと共通化したことは注目される。

しかも、レクサスLSは全長が5,235mm、全幅が1,900mmと大柄で、クラウンユーザーからは「自宅マンションの車庫に収まらない」という苦情も聞かれる。価格は新型クラウンと同じ3.5リッターハイブリッドを搭載するLS500hが1,120万円だ。

LSのボディサイズが大きすぎて価格も高いとなると、レクサスGSも選択の対象に入るが、発売は2012年1月に遡る。クラウンやレクサスLSに比べて、プラットフォームや3.5リッターハイブリッドの世代が古い。価格は3.5リッターハイブリッドのGS450hが742万8,000円だから、クラウンのほうが100万円前後は安い。

この状況を考えると、今後はレクサスLS、あるいはGSからクラウンに乗り替えるユーザーが増えるかも知れない。LSが海外指向を強めたことで、1,800mmの全幅を含め、日本を主力市場として開発されたクラウンの価値がさらに際立ってきた。

今の上級セダン市場の状態を見ると、2005年にレクサスを国内で開業したものの、依然としてメルセデスベンツやBMWに押されている。そこでいよいよ、クラウンが迎え撃つことになったわけだ。海外は別にして、日本ではレクサスよりもトヨタのブランド力が強く、その象徴がクラウンになる。

結局のところ、国内市場のリーダーとなるクルマはトヨタ「クラウン」だ。新型の登場は、日本のセダンが備える価値を見直す機会にもなるだろう。ユーザーももちろんだが、メーカーや自動車業界にもよい影響を与えるに違いない。

渡辺陽一郎

渡辺陽一郎

「読者の皆様に怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も大切と考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を心掛けるモータージャーナリスト

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