レビュー
注目のスポーツグレード「RS」に試乗して実力を評価!

ホンダ 新型ジェイド“速”試乗/RSの魅力アップで販売不振の回復を狙う

2015年2月に「6人乗りの新型乗用車」として発売された、ホンダ「ジェイド」。だが、その売れ行きはかんばしくなかった。

発売時点での1か月の販売計画は3,000台に設定されていたが、2017年の月販平均は166台にとどまる。目標台数のわずか5.5%まで落ち込んだ。

2015年に発売された、初代 ホンダ「ジェイド」

2015年に発売された、初代 ホンダ「ジェイド」

失敗の原因は、ユーザーの期待から外れた製品になっていたことだ。ジェイドは3列目シートを備えるワイドボディの3ナンバー車だが、全高は1,550mmを下まわる。そのために、3列目シートの居住性は狭い。補助席といって差し支えないだろう。仮に大人6人でフル乗車した際の3列目の同乗者は窮屈で、移動は短距離に限られてしまう。

2列目シートは、頭上と足元空間は相応に確保されているが、座面の奥行き寸法が1列目シートに比べて55mm短い。そのために、座ると太もも部分のサポート性が悪かった。快適に座れるのは、1列目シートだけだ。

多人数乗用車といえば、広い室内で全員が快適に過ごせて、さらに荷物も詰めるミニバンが基本と考えるユーザーの期待には応えられなかった。

ジェイドは、実際にステアリングを握れば、低重心のボディによって走行安定性は高く、峠道をスポーティーに走っても実に楽しいクルマだ。だが、6人乗りの多人数乗用車にそのような走りのよさは求められず、ジェイドのすぐれた走行性能は理解されないまま販売の低迷をまねいた。

しかし、売れないからといってこのまま放置することはできない。ジェイドは中国でも販売されているが、日本で売れないと車両の開発費用を含めた収支が合わなくなる。そこで、2018年5月に大規模なマイナーチェンジが施された。

2018年にマイナーチェンジを受けた新型「ジェイド」では、RSが2列シート専用グレードとなり、ハイブリッドモデルが設定されている。また、1.5リッターガソリンターボエンジンに改良が施されたほか、安全面も大きく向上している

まず、従来のジェイドは3列シート車のみであったが、改良後は中国仕様と同様に2列シート車がラインアップに加えられた。そして、スポーティーな「RS」は2列シート車専用のグレードとして改められ、従来の1.5Lターボに加えてハイブリッドが設定された。駆動方式は、これまでと同様にFFのみで4WDはない。新型ジェイドのグレードと価格は、以下のとおりだ。

■新型ジェイドのグレード構成と価格


・1.5Lターボ
[2列シート] G Honda SENSING :2,398,680円
[2列シート] RS Honda SENSING:2,558,520円
[3列シート] X Honda SENSING :2,748,600円


・1.5Lハイブリッド
[2列シート] HYBRID RS Honda SENSING:2,898,720円
[3列シート] HYBRID X Honda SENSING :3,088,800円

上記のように、新型ジェイドは新たに設定された2列シート車が中心のラインアップとなっている。主役は、スポーティーグレードの「RS」だ。先代で埋もれていたジェイドの「走りの魅力」を掘り起こすことをねらっており、メーカーでは新型ジェイドの販売の約70%をRSグレードが担うと考えているという。

今回、試乗した新型ジェイドのグレードは、注目のRSの中で1.5Lターボエンジンを搭載する「RS Honda SENSING」だ。

今回、新型ジェイドを以下の項目において5段階で採点して、評価したい。

・運転のしやすさ(取りまわし性/視界)
・内装(質感/スイッチの操作性とメーターの視認性)
・居住性&荷室(前後席の居住性/荷室の広さと使い勝手)
・走行性能(動力性能/走行安定性)
・乗り心地
・安全&快適装備
・価格
・総合評価
※上記項目について、それぞれ1〜5点の5段階で採点、評価

ホンダ 新型ジェイドの運転のしやすさ(取りまわし性/視界)

新型「ジェイド」のフロントエクステリア

新型「ジェイド」のフロントエクステリア

新型「ジェイド」のリアエクステリア

新型「ジェイド」のリアエクステリア

ジェイドは、全長が4,660mm、全幅は1,775mmと少しワイドだ。前方はボンネットが見えず、斜め後方の視界はよくない。

新型「ジェイド」のRSモデルには、18インチタイヤが装着されている

新型「ジェイド」のRSモデルには、18インチタイヤが装着されている

最小回転半径は、16、17インチタイヤ装着車は5.5mだが、18インチタイヤを装着するRSは5.7mと、やや大回りだ。

評価:★★☆☆☆(2点)
コメント:新型ジェイドのボディは少し大柄で、小回り性能もいまひとつだ。

ホンダ 新型ジェイドの内装(質感/スイッチの操作性とメーターの視認性)

新型「ジェイド」のインパネ

新型「ジェイド」のインパネ

インパネは、エアコンスイッチが比較的高い位置に装着されていて操作性が高いことや、質感のよさなどは先代と変わらない。

新型ジェイドのデジタルメーター

新型ジェイドのデジタルメーター

メーターも先代と同様に、運転席側のやや奥まった位置にデジタルメーターが装着されている。メーターのデジタル表示は、人によって好みが分かれるところではあるものの、メーターを確認する際には視線移動が少なく、視認性は良好だ。

評価:★★★★☆(4点)
コメント:インパネは開放感のある形状となっており、細部の質感が高い。スイッチの操作性やデジタルメーターの視認性も、満足できるものとなっている。

ホンダ 新型ジェイドの居住性&荷室(前後席の居住性/荷室の広さと使い勝手)

新型ジェイドのフロントシート

新型ジェイドのフロントシート

新型ジェイドのフロントシートは、座面や背もたれの高さに余裕がある。座り心地はしなやかで、背もたれが左右に張り出しているので、安定した姿勢で運転できる。また、腰も張り出したサポートによってしっかりと支えてくれるので、長距離移動も快適だ。

新型ジェイドの2列シート車のリアシートは、フロントシートよりも快適と感じるほどの座り心地となっている

新型ジェイドの2列シート車のリアシートは、フロントシートよりも快適と感じるほどの座り心地となっている

ジェイドの3列シート車は、リアシートの座面が短くて座り心地が硬く、3列目シートは頭上と足元の空間がとても狭いことから、ユーザーからの評価を著しく下げた。

だが、2列シート車のリアシートは、3列シート車のリアシートに比べて、とても快適だ。2列シート車のリアシートは、前後のスライド機構などを省いて座面を固定させている。そのために、座り心地はふっくらと柔軟に仕上げられており、座った印象はフロントシートよりも快適なのではと感じるほどだ。座面の奥行きや背もたれの高さも十分で、とてもリラックスして座ることができる。

ジェイドのリアシートには、アームレストと反転テーブルが格納されている

ジェイドのリアシートには、アームレストと反転テーブルが格納されている

背もたれの中央部分を前側に倒すとアームレストになり、座面の前側を反転させればドリンクホルダーと小さなテーブルが現れて、快適にくつろぐことができる。ちなみに、反転テーブルは1999年に発売されたホンダ「アヴァンシア」へ採用された機構に似ている。

新型「ジェイド」のリヤゲートは、後方にスペースがなくとも上方に開くことができるので、縦列駐車の際や車両後方の壁が近いときにも開けることができて便利だ

ラゲッジルームは、はリヤゲートの使い勝手にすぐれている。ヒンジが前寄りに装着されていて「く」の字型に開くから、リヤゲートが後方へ張り出しにくい。たとえば、縦列駐車をしているような状態でも、リヤゲートの開閉がしやすいのが特徴だ。

評価:★★★★☆(4点)
コメント:2列シート車の1、2列目シートはとても快適で、ラゲッジルームも広く使いやすい。2列シート車は、3列シート車に比べてわかりやすい魅力を持っている。

ホンダ 新型ジェイドの走行性能(動力性能/走行安定性)

新型「ジェイド」RSモデルに搭載されている1.5L直4ターボエンジンは、RS専用のセッティングとして、高回転域の加速フィーリングの向上や、制動時にエンジン回転を上げる制御などの改良が施されている

改良が施されたジェイドRSの1.5L直4ターボエンジンは、1,400rpm以下では駆動力が落ち込みやすいが、1,500rpmを超えれば扱いやすく、幅広い回転域で2L NAエンジンにも匹敵するほどの動力性能を発揮する。さらに、4,500rpm付近からは回転上昇がより活発になって、スポーティーな運転を楽しめる。

新型「ジェイド」RSモデルの走行イメージ

新型「ジェイド」RSモデルの走行イメージ

走行安定性は、初代ジェイドと同様に新型もすぐれている。「N-BOX」などの軽自動車も含めて、最近のホンダ車は安定性と乗り心地のバランスがよくなったが、その先駆けがジェイドと言えるだろう。

新型「ジェイド」RSモデルの走行イメージ

新型「ジェイド」RSモデルの走行イメージ

新型ジェイドは、初代の走行安定性をさらに向上させており、ステアリングに対してクルマの向きが正確に変わる。峠道を走った際も、旋回軌跡を拡大させず、確実に回り込んでいく。後輪も落ち着いており、万が一横滑りしたときにも挙動の変化が穏やかだから、運転がしやすい。スポーティーな運転感覚と走行安定性を両立させている。

評価:★★★★☆(4点)
コメント:動力性能に余裕があり、2L NAエンジンにも匹敵する1.5Lターボエンジンを搭載している。操舵感と走行安定性にすぐれており、スポーティーな走りを安心して満喫することができる。

ホンダ 新型ジェイドの乗り心地

新型「ジェイド」RSモデルの走行イメージ

新型「ジェイド」RSモデルの走行イメージ

新型ジェイドRSのタイヤサイズは18インチ(225/45R18)と大きいために、乗り心地は少し硬めだ。だが、足まわりが柔軟に伸縮するので、粗さは抑えられている。

足まわりの取り付け剛性を高めて、適正な作動で滑らかに伸縮させることにより、走行安定性が向上している。新型ジェイドは、走りのよさと快適な乗り心地を両立できる。

ロードノイズはおおむね静かだが、2,000rpm以下では少しゴロゴロとした印象を受ける。

評価:★★★☆☆(3点)
コメント:乗り心地はやや硬めで、低速域ではロードノイズが気になるが、粗さは抑えられている。新型ジェイドは、走りのよさと乗り心地のバランスがうまく取れているクルマだ。

ホンダ 新型ジェイドの安全&快適装備

新型「ジェイド」には全車「Honda SENSING」が採用されている

新型「ジェイド」には全車「Honda SENSING」が採用されている

新型ジェイドでは、ミリ波レーダーと赤外線レーザーをセンサーに使う「Honda SENSING」を全グレードに標準装備している。歩行者を検知して緊急自動ブレーキを作動させることができ、状況に応じてパワーステアリングの制御も行う。また、車間距離を自動制御できるクルーズコントロールなども装着した。

評価:★★★★☆(4点)
コメント:安全装備、運転支援の機能ともに、新型モデルとして満足できる装備だ。

ホンダ 新型ジェイドの価格の割安感

ジェイドのライバル車であるスバル「レヴォーグ」

ジェイドのライバル車であるスバル「レヴォーグ」

新型ジェイドのライバル車と、価格を比較してみよう。スバルのミドルサイズワゴン「レヴォーグ」で、1.6Lターボエンジンと4WDを搭載した「1.6GT EyeSight」の価格は2,862,000円。対して、1.5Lターボエンジンを搭載した2WDの「ジェイド RS Honda SENSING」は2,558,520円なので、エンジンと駆動方式を考えれば、おおむね妥当な価格と言える。

マイナーチェンジを受けた新型ジェイドの月販目標は、デビュー時の3,000台とは裏腹に500台と少ない台数が設定されているが、必ず達成しなければならない目標だ。そのため、ライバル車の動向も見据えて割安な価格に設定された。

ちなみに、マイナーチェンジ前は3列シート車のRSで253万円だった。ただし、Honda SENSINGがオプションでホイールも17インチと小さかったので、新型ジェイドは実質的に、若干値下げしていると考えてよいだろう。

評価:★★★☆☆(3点)
コメント:新型ジェイドは、人気の回復を図るために実質的に価格を値下げしている。

ホンダ 新型ジェイドの総合評価

新型「ジェイド」RSモデルのイメージ

新型「ジェイド」RSモデルのイメージ

新型ジェイドは、4名で快適な移動を楽しみたいユーザーには最適だ。リアシートの快適性は、マツダ「アクセラスポーツ」やトヨタ「カローラスポーツ」に勝り、スバル「レヴォーグ」や「インプレッサスポーツ」と同等か、あるいは少し上回っているほどだ。

走行安定性は、同クラスとしては平均的ではあるが高いレベルにある。1.5Lターボエンジンの動力性能は、2Lクラスに匹敵するほどの余裕がある。

新型ジェイドは、マイナーチェンジ前と比べて個性がより明確になって魅力が高まり、選択肢がわかりやすくなった。

3列シートの設定があるがために、ミニバンとの比較で評価が著しく下がったクルマではあるが、家族4人全員が楽しくドライブするクルマとしては、高い魅力を備えていると言えるだろう。

評価:★★★☆☆(3点)

新型ジェイドの採点結果

運転のしやすさ(取りまわし性/視界):★★☆☆☆(2点)
内装(質感/スイッチの操作性とメーターの視認性):★★★★☆(4点)
居住性&荷室(前後席の居住性/荷室の使い勝手):★★★★☆(4点)
走行性能(動力性能/走行安定性):★★★★☆(4点)
乗り心地:★★★☆☆(3点)
安全&快適装備:★★★★☆(4点)
価格:★★★☆☆(3点)
総合評価:★★★☆☆(3点)

渡辺陽一郎

渡辺陽一郎

「読者の皆様に怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も大切と考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を心掛けるモータージャーナリスト

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