レビュー
N-BOXベースの遊び心あふれる軽バンが登場!

ホンダ「N-VAN」発売/センターピラーレスに6速MT採用!

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日本のビジネスを支える商用車の中で、欠かせない存在なのが「軽バン(軽貨物車)」だ。軽バンのボディサイズは、軽自動車と同じなので配達などに使いやすく、広くて使い勝手のよい荷室空間を持つ。軽バンの販売台数は、軽自動車とともに堅調だ。

この軽バン市場に、ホンダ「N-VAN」が新たに加わった。

ホンダ「N-BOX」をベースに開発された新型軽バン「N-VAN」

ホンダ「N-BOX」をベースに開発された新型軽バン「N-VAN」

N-VANは、ホンダの軽自動車「N-BOX」をベースに開発されている。N-VANのエンジンには、658ccの直列3気筒エンジンが搭載されており、上級グレードにはターボエンジンも設定されている。駆動方式は、N-BOXと同じくFFの2WDと4WDだ。N-VANの4WDに使われるビスカスカップリングは、トルク容量をN-BOXの1.5倍に増やし、後輪の駆動力がすばやく立ち上がるようになっている。リア側のデファレンシャルギヤは、小型車用をベースに開発された。

ホンダ「N-VAN」にはS660ベースの6速MTが搭載されている

ホンダ「N-VAN」にはS660ベースの6速MTが搭載されている

N-VANのトランスミッションは、ATはCVTで、ターボエンジンを装着しないNA(自然吸気)エンジンには6速MT(マニュアルトランスミッション)も用意されている。MT車がラインアップされるのは、荷物を積んで走ることを前提とした軽バンの特徴でもある。

また、これまで軽バンに搭載されていたMTは5速が基本なので、6速MTを搭載するN-VANは珍しいと言える。この6速MTは、軽オープンスポーツカー「S660」のトランスミッションをベースに開発されており、6速化のメリットとしてギヤ比がワイド化されている。これにより、低速域はローギヤード化して発進加速を向上させ、高速域はハイギヤード化することで、エンジン回転を抑えて燃料消費量を少なくできるメリットがある。

N-VANの、グレードラインアップと価格については以下のとおりだ。

- N-VAN -

G・Honda SENSING:1,267,920円(FF)/1,377,000円(4WD)
L・Honda SENSING:1,341,360円(FF)/1,450,440円(4WD)


- N-VAN +STYLE FUN-

FUN・Honda SENSING:1,560,600円(FF)/1,691,280円(4WD)
FUN・ターボ Honda SENSING:1,668,600円(FF)/1,799,280円(4WD)


- N-VAN +STYLE COOL-

COOL・Honda SENSING:1,560,600円(FF)/1,691,280円(4WD)
COOL・ターボ Honda SENSING:1,668,600円(FF)/1,799,280円(4WD)

軽商用バンのN-VANだがスタイリッシュなモデルも設定

N-VANには、法人や個人事業主向けのベーシックな「G・Honda SENSING」や「L・Honda SENSING」に加えて、ワゴン感覚でスタイリッシュな外装を持つ「+STYLE FUN」「+STYLE COOL」と呼ばれるグレードが設定されている。

ホンダ「N-VAN +STYLE FUN」のフロントエクステリア

ホンダ「N-VAN +STYLE FUN」のフロントエクステリア

ホンダ「N-VAN +STYLE FUN」のリアエクステリア

ホンダ「N-VAN +STYLE FUN」のリアエクステリア

「+STYLE FUN」は、丸目のフルLEDヘッドライトやオートライトコントロール、スマートキー&プッシュエンジンスタートなどが標準装備され、外装にはフロントグリルにクロームメッキがあしらわれている。

ホンダ「N-VAN +STYLE COOL」のフロントエクステリア

ホンダ「N-VAN +STYLE COOL」のフロントエクステリア

ホンダ「N-VAN +STYLE COOL」のリアエクステリア

ホンダ「N-VAN +STYLE COOL」のリアエクステリア

「+STYLE COOL」は、後述するがロールーフ仕様でスタイリッシュないでたちとなっていることが特徴だ。ヘッドライトはハロゲンだがフロントフェイスにはクロームメッキが入り、さらにリヤゲートスポイラーなどが装着されていることでクールな印象を醸し出している。

N-VANには助手席&後席がフルフラットになる「ダイブダウン」を採用

ホンダ「N-VAN」のフロント&リアシート

ホンダ「N-VAN」のフロント&リアシート

ホンダ「N-VAN」のフロント&リアシート、画像は助手席をダイブダウンさせた状態

ホンダ「N-VAN」のフロント&リアシート、画像は助手席をダイブダウンさせた状態

ホンダ「N-VAN」のフロント&リアシート、画像は助手席とリアシートともにダイブダウンさせた状態

ホンダ「N-VAN」のフロント&リアシート、画像は助手席とリアシートともにダイブダウンさせた状態

N-VANは、N-BOXにはない数々の便利な装備が採用されている。まず、N-VANの助手席と後席には、コンパクトに床下へ折りたためる「ダイブダウン」機能が採用されている。これによって、運転席以外をすべてフラットな荷室として使うことができる。

後席をたたんだ際の2名乗車時の荷室長は1,510mmで、さらに助手席を格納すると最大荷室長は2,635mmにも拡大される。助手席をたたむことで、荷室長が1m以上も伸びるので、長い荷物を積むときなどに重宝するだろう。

N-VANで最も特徴的な「センターピラーレス」による大開口

ホンダ「N-VAN」には軽バン初となるセンターピラーレスが採用されている

そして、N-VANで最も特徴的なのが、軽バンとしては初となる「センターピラーレス」が採用されていることだ。N-VANのドアは、フロントドアが横開きでリアドアはスライド式となっている。そして、助手席側のリアドアはセンターピラー(フロントシートとリアシートの間にある柱)がドアに内蔵されているために、1,580mmという広大な開口幅が得られている。

ホンダ「N-VAN」のセンターピラーレスによる開口部は広く、自らの身長よりも長い脚立なども、簡単に積み込むことができる

これだけの荷室長と開口幅があれば、大きな荷物や長尺物などを簡単に積み込むことができる。実際に、ホンダ広報部の小柄な女性に、自分の身長よりもはるかに大きな2mを超える脚立を持ってもらい、試しに横から積み込んでもらったのだが、何の苦労もなく一発で積み込むことができてしまったほどだ。

ホンダ「N-VAN」イメージ

ホンダ「N-VAN」イメージ

また、N-VANのボディはN-BOXがベースとなっているものの、前述のとおりセンターピラーレスを採用したことで、かなりの変更が加えられている。ボディサイドの下部には、前後方向にサイドシルが配置されており、リヤフロアも一新された。さらに、リアサスペンションもN-VAN専用に設計されている。

軽バンでは、1名乗車と2名+フル積載では、重量が400kg以上も変わる。さらに、横風への対応などもあって、ボディとサスペンションは大幅に見直された。

N-VANには、全高が1,945mmの「ハイルーフ仕様」と、1,850mmの「ロールーフ仕様」の2種類(数値はいずれも2WD)が設定されている。N-BOXの全高は1,790mmなので、N-VANのハイルーフ仕様は、N-BOXより全高が155mm高くなる。荷室高にも余裕があり、ハイルーフ仕様は1,365mm、ロールーフ仕様は1,260mmだ。

ホンダ「N-VAN」には多くのユーティリティーナットが装備されている

ホンダ「N-VAN」には多くのユーティリティーナットが装備されている

荷室には、ユーティリティーナットが装備されている。ハイルーフ仕様では、ボディ側面に20か所、天井まわりに6か所、リアゲートに2か所、ボルトをねじ込める穴があけられており、棚やネットを装着することができる。

ホンダ「N-VAN」の床面にはタイダウンフックが装備される

ホンダ「N-VAN」の床面にはタイダウンフックが装備される

さらに、床には荷物の固定に役立つ「タイダウンフック」が8か所装備されている。

ホンダ「N-VAN +STYLE FUN」の外観イメージ

ホンダ「N-VAN +STYLE FUN」の外観イメージ

N-VANのJC08モード燃費は、NA(自然吸気)エンジンが「23.8km/L」、ターボエンジンが「23.6km/L」(いずれも2WD/AT)と0.2km/Lしか変わらない。ボディが重くて背が高いN-VANは、エンジンの負荷が大きいために動力性能が高いターボエンジンとの相性がよいからだ。ちなみに、参考までとしてN-BOXの燃費はNAエンジンが「27km/L」、ターボエンジンが「25.6km/L」だ。

ホンダ「N-VAN +STYLE COOL」の外観イメージ

ホンダ「N-VAN +STYLE COOL」の外観イメージ

安全装備はN-BOXと同様に「Honda SENSING」が採用されている。ミリ波レーダーと単眼カメラをセンサーに使い、歩行者も検知して緊急自動ブレーキを作動できる。一時停止や速度規制の標識を認識して、マルチインフォメーションディスプレイに表示することも可能だ。

CVT装着車には、車間距離を自動制御できるクルーズコントロール、パワーステアリングを制御する車線維持支援システムなども採用された。軽バンに限らず、商用車全体で見ても安全装備と運転支援機能はすぐれた部類に入るだろう。

マイナスをプラスに変える、いかにもホンダらしいクルマ作りが光る

ホンダ「N-VAN +STYLE COOL」の外観イメージ

ホンダ「N-VAN +STYLE COOL」の外観イメージ

N-VANの前身となる軽バン、ホンダ「アクティバン」は1999年の発売なので、今では設計が古い。だが、アクティバンはエンジンが前後車軸の間に搭載されたMR(ミッドシップ・リアドライブ)なので、滑りやすい路面の坂道発進などにおいても駆動力にすぐれていた。

対するN-VANの駆動方式は、FF(フロントエンジン・フロントドライブ)だ。荷物を積載するシチュエーションの多い商用車では、後輪の荷重が増えるため、雪道などにおける坂道発進などの際には、FFでは駆動力を十分に伝えることが難しい。そこでN-VANは、4WDに力を入れて、ビスカスカップリングや後輪側のデファレンシャルギヤを強化した。

N-VANの4WDの価格は、2WDと比べて10万9,080円の上乗せとなる。N-BOXの2WDと4WDの価格差は13万680円なので、N-VANのほうが安い。つまりN-VANは、軽商用車としてはFFという駆動方式に心配を抱えるため、強化された4WDを割安な価格で提供しているということになる。

ホンダ「N-VAN」の最大積載容量は350kg、段ボール箱で71個積載することができる

ホンダ「N-VAN」の最大積載容量は350kg、段ボール箱で71個積載することができる

もうひとつ、N-VANで心配な点として荷室容量が挙げられる。アクティバンは、エンジンをボディ後部に搭載しているのでボンネットが短く、そのぶん室内長を拡大できた。そのために、2名乗車時の室内長はカタログ数値で1,725mmに及ぶ。対するN-VANは、1,510mmなので約200mm短い。N-VANでは、助手席をたたむといった工夫などが凝らされているものの、アクティバンに載せられても、N-VANには載せられない荷物も出てくるだろう。

それならば、スズキ「エブリイ」やダイハツ「ハイゼットバン」のように、従来のMRレイアウトでフルモデルチェンジすべきだったともいえるが、それはコスト面で折り合わない。なぜなら、エブリイはマツダ「スクラム」や日産「NV100クリッパー」、三菱「ミニキャブバン」としてOEM供給されており、4メーカーで取り扱っているからだ。エブリイの販売台数はOEM車まで含めると、2017年度には1か月平均で約1万2,000台となる。この販売台数は、スズキ「ワゴンR」やダイハツ「タント」をも上まわっている。同じくハイゼットバンも、スバル「サンバーバン」やトヨタ「ピクシスバン」として、3メーカーで販売されている。

軽商用車は薄利多売を代表する車種とも言えるので、エブリイバンやハイゼットバンのように大量に販売しないと成り立たない。この分野に、OEM関係を持たないホンダが入り込むことは不可能だ。そのために、N-VANはN-BOXをベースに開発された。

言い方を変えると窮余の策とも言えるが、軽バンは堅調な販売が見込める車種なので、手抜きはできない。そこでホンダは、低床設計などN-BOXをベースにするという強みを生かして、助手席格納やセンターピラーレスなど、新たな使い方を提案してきた。これは、マイナス面をもプラスに変えていくという、いかにもホンダらしいクルマ作りで好感が持てる。

さきほど発売されたスズキ「ジムニー」もしかり、日本でもっとも誇れる自動車カテゴリーは、やはり軽自動車のようだ。海外を向いて開発される普通車は、日本では軽自動車に太刀打ちできない。

ホンダ「N-VAN」にはモンキー125をそのまま積載することも可能だ

ホンダ「N-VAN」にはモンキー125をそのまま積載することも可能だ

渡辺陽一郎

渡辺陽一郎

「読者の皆様に怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も大切と考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を心掛けるモータージャーナリスト

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