レビュー
低速のギクシャク感が大幅に緩和した2018年スポーツスター

アウトローな見た目と強力なトルク! 所有欲を刺激するハーレー「フォーティーエイト スペシャル」


筆者は職業柄、週1台のペースでさまざまなメーカーのバイクを試乗しているのだが、それらを目にした人たち(ライダーのみならず、バイクに乗らない人たちも含め)から、見た目のよさでもっとも評判が高かったのが、ハーレーダビッドソンの「フォーティーエイト」だ。今回は、2018年モデルのハンドルやタンクグラフィックを変更したバリエーションモデル「フォーティーエイト スペシャル」の走行性能を確かめてみた。

カスタムテイストあふれるスポーツスター

ハーレーにはいくつのもモデルがラインアップされており、大きく、ストリート、スポーツスター、ソフテイル、ツーリング、CVO、トライクの6カテゴリーに分けることができる。今回紹介する「フォーティーエイト スペシャル」はスポーツスターカテゴリーに名前を連ねる1台。このカテゴリーには883ccと1,200ccという2種類のエンジンを搭載する全7モデルが存在するが、タイヤのインチ数やサスペンションの長さ、ガソリンタンク形状が異なるもののフレームはすべて共通だ。その中でもフォーティーエイト スペシャルは、ユーザーが手を入れカスタマイズしたような印象が強い。そう思わせる理由のひとつが、ガソリンタンク。1,200ccという排気量の大きなバイクともなれば燃費も決してよいとはいえないものの、ガソリンタンクの容量は7.9Lと小さめ。この排気量で7.9Lしかガソリンが入れられないのはある意味おどろきだが、一般的な常識に縛られない装備を採用しているあたりがカスタマイズされたような印象を感じるゆえんだ。

サイズは全長2,165mmで、ホイールベースが1,495mmとなっている

サイズは全長2,165mmで、ホイールベースが1,495mmとなっている

ガソリンタンクにはベースのブラックに6本の異なるカラーのラインが入っている。最終工程のクリア塗装が厚めなためか段差がわかりにくく、パッと見はすべて塗装で行っているようにも見えるだろう。ハーレーは塗装の質感に対するこだわりが強く、タンクグラフィックからも意識の高さがうかがえる

エンジンは1,200ccエボリューションエンジン。エンジンをかけるとプルプルと震えるのもハーレーならではだ(下の動画参照)。空冷エンジンなので夏場は非常に熱いが、インジェクションチューンで多少燃調を濃くすれば改善されるだろう

フォーティーエイト スペシャルを除く6車種のスポーツスターが39mmのフロントフォークなのに対し、フォーティーエイト スペシャルは49mm。さらに、フロントタイヤサイズ幅は130mm。スーパースポーツバイクでも120mmが一般的なので、迫力がある

タイヤはミシュランに作らせた専用のもので、グリップ力よりライフが重視されている印象だ。タイヤのいたるところに“隠れ”ハーレーエンブレムが施されている

リアサスペンションは、スポーツスターのラインアップの中でもっとも短い280mm。当然ストローク量も少なくなるため、乗り心地はほかのモデルと比べるとハードになる

メーターはアナログとデジタルの複合。デジタルのほうにギアポジションやエンジンの回転数、時間やトリップメーターなどを表示できる

一体型のウインカーとストップランプを採用しているのも特徴的。国産車では見かけたことはないが車検は問題なく通る

ウインカーのスイッチが左右で異なるのはハーレーの特徴。正直、国産車のように左スイッチボックスで左右操作できるようにしてほしいと感じるが、ウインカーのオートキャンセル機能が標準なのはありがたい

総走行距離200km!たっぷりと走行してみた

筆者は、雨の日も酷暑の中も毎日片道25kmの距離をバイクで通勤している。たっぷり4日間、フォーティーエイト スペシャルに乗ったリアルな所感をお伝えしよう。

サイドカバーが張り出しているので多少股が開き気味になり、真下にはマフラーがあるので足をつく位置は少し外側になるが、シート高が705mmとかなり低いので、身長165cmの筆者でもほぼ両足がべったりとつく。車重は256kgもあるが足つき性がバツグンなため、不安は一切ない

走り出すと、さすがに1,200ccエンジンを搭載しているのでトルクはバツグン。クラッチをゆっくりと離すだけでスルスルと車体を前に押し出し始める。エンジンのセッティングとしては低回転でトルクのピークが来る感じなので、高回転まで回して走るスポーツバイクのような乗り方はフォーティーエイト スペシャルには似合わない。使っても3,500rpmくらいまでが調度いいだろう。

ステップ位置は、足を前に投げ出す形になるフォワードコントロール。より排気量の大きなハーレーでフォワードコントロールを採用している車両に乗ると、ステップの位置が遠く、足がピーンと伸びきってしまうが、フォーティーエイト スペシャルなら膝が少し曲がるくらい余裕がある

前後サスペンションが短く、16インチタイヤを採用していることもあり、バンク角は浅め。街中で運転する分には問題ないが、交差点などでちょっと強めにバンクさせると簡単にステップをこすってしまうため、曲がりくねった山道を走るようなシチュエーションは苦手だろう。ただ、操作性はなかなかいい。当初は随分アップハンドルだなと思ったが、実際に乗ってみると調度よい位置にあり、コントロールしやすかった。

車体は大きいが、バランスがよく比較的扱いやすい

なお、今回の試乗での燃費は17.07km/L。多少高速道路も走ったが、ほとんどが街中だったので燃費はあまり伸びなかったものの、計算上の連続航行距離は135kmということになる。フォーティーエイト スペシャルにはガソリンが少なくなると点灯する警告灯があるのだが、100km程度走行したあたりで点灯した。

まとめ

筆者は、フォーティーエイト スペシャルと同じスポーツスターカテゴリーに属する2008年式のハーレ−「XL1200R」に乗っているのだが、正直、憧れていたハーレーの乗り味とは大きく違っていた。燃料噴射をアナログなキャブレターからコンピューター制御のインジェクションに変更したばかりのモデルだったためか、コンピューターのセッティングが悪く、低速走行時のギクシャク感がかなりあり、サスペンションの動きもいまひとつで乗り心地はいいとは言いがたかったのだ。もちろん、そんなマシンをカスタマイズして自分の理想の車両に仕上げていくのもハーレーの楽しさのひとつではあるが……。

左側にあるのが筆者所有の、ハーレ−「XL1200R」

左側にあるのが筆者所有の、ハーレ−「XL1200R」

そんな日頃乗っているXL1200Rが発売されてから10年後、2018年に登場したフォーティーエイト スペシャルは、もはや別物で、筆者が思い描いていたハーレーの乗り味であった。インジェクションのセッティングはブラッシュアップされ、本来、Vツインエンジンが苦手な低速時のギクシャク感も劇的に緩和されている。サスペンションも見た目重視のローダウンサスペンションのわりには違和感のない仕上がりとなり、マフラーも見た目だけではなく排気音も若干りりしく、走り出しのトルク感も増した。自分好みにカスタマイズしてこそハーレーというファンも多いが、最新のハーレーはノーマルの状態である程度完成している。気になる点がまったくないわけではないが、乗り換えようかと浮気心が芽生えてしまったほどだ。

どこかアウトローな印象のフォーティーエイト スペシャルは夜が似合う。ついつい、いつもの帰り道からそれて寄り道してしまうほど、画になるヤツだ

相京雅行

相京雅行

下町のバイクパーツメーカー「ワールドウォーク」に勤務。新車のインプレッションからメーカー担当者のインタビューまで幅広く行っています。趣味はバイクとアウトドア。2児の父親。

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