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人気ミニバンへ新たにラインアップされたハイブリッドモデルを比較!

セレナe-POWER vs ステップワゴン スパーダHV/人気ミニバンのハイブリッドモデルを徹底比較

2018年上半期(1〜6月)の販売ランキングで、日産「セレナ」がミニバン部門で1位となった。

日産「セレナ e-POWER」(左)とホンダ「ステップワゴン スパーダハイブリッド」(右)

日産「セレナ e-POWER」(左)とホンダ「ステップワゴン スパーダハイブリッド」(右)

セレナの人気の高さは、かなりのものだ。セレナが人気である理由のひとつとして、ミドルクラスミニバンの中では、居住性が最もすぐれていることがあげられる。特に、3列目シートの頭上と足元空間には十分な余裕があって、ライバル車に差を付けている。

ふたつめの理由は、2018年3月にセレナへ「e-POWER」モデルが追加されたことだ。e-POWERでは、エンジンは発電専用となり、その発電された電気でモーターを駆動することによってクルマを走らせるという仕組みとなっている。

e-POWERのメリットとしては、モーターならではの力強くリニアな加速フィールと、中低速域での燃費のよさ、静粛性の高さなどがあげられる。e-POWERが搭載されている車種は、現状「セレナ」と「ノート」の2車種のみだが、セレナではe-POWERモデルがおよそ5割、ノートではe-POWERモデルが6割を超えるほどの人気を誇っている。

参考記事:セレナ e-POWER“速”試乗/Mクラスミニバン燃費No.1!走行性能も格段に向上

そして、セレナ e-POWERのライバル車としてあげられるのが、ホンダ「ステップワゴン スパーダハイブリッド」だ。

ホンダ「ステップワゴン スパーダハイブリッド」(左)と日産「セレナ e-POWER」(右)

ホンダ「ステップワゴン スパーダハイブリッド」(左)と日産「セレナ e-POWER」(右)

ステップワゴン スパーダハイブリッドは、2017年9月のマイナーチェンジのときに、ステップワゴン初のハイブリッドモデルとしてラインアップされた。ステップワゴン スパーダハイブリッドは、セレナ e-POWERと同じくエンジンは主に発電機として使われ、モーターがタイヤを駆動する仕組みだ。

ステップワゴン スパーダハイブリッドには、「スポーツハイブリッド i-MMD」と呼ばれるハイブリッドシステムが搭載されている。走行用と発電用の2つのモーターを搭載することなどによって、低燃費性能と高い走行性能を実現しているのが特徴だ。

また、ミドルサイズのハイルーフミニバンであるなど、ステップワゴン スパーダハイブリッドの性格はセレナe-POWERとよく似ている。

参考記事:ホンダ 新型ステップワゴン 試乗記/追加のハイブリッドモデルは静か、速い、そして低燃費!

そこで今回、セレナe-POWERとステップワゴン スパーダハイブリッドの2車種を比較しつつ、以下の項目ごとにそれぞれ5点満点で採点してみたい。

「内装&居住空間」
「シートアレンジ&ラゲッジスペース」
「走行性能」
「乗り心地」
「安全装備」
「総合評価」
※上記項目について、それぞれ1〜5点の5段階で採点、評価

セレナ e-POWER vs ステップワゴンスパーダハイブリッド/内装&居住空間比較

日産「セレナ e-POWER」のインパネ

日産「セレナ e-POWER」のインパネ

ホンダ「ステップワゴン スパーダハイブリッド」のインパネ

ホンダ「ステップワゴン スパーダハイブリッド」のインパネ

インパネは、両車ともに凝った作りになっていて、開放感がある。また、どちらもインパネ上部にふたの付いたアッパーボックスが備えられていたり、デジタルメーターがドライバー側の高い位置に装着されていたり、センターコンソール中央にシフトノブが配置されるなど、おおまかなレイアウトは似通っている。メーター表示は、どちらも大きくてシンプルなので見やすい。

日産「セレナ e-POWER」には、D型のステアリングが採用されている

日産「セレナ e-POWER」には、D型のステアリングが採用されている

セレナ e-POWERとステップワゴン スパーダハイブリッドで異なるのは、ステアリング形状だ。セレナe-POWERはスポーツカーのようなD字型のステアリングが採用されている。このD字型ステアリングは、デザインは個性的なのだが、たとえば駐車時などステアリングを大きく切るような場面では扱いにくいことがある。

日産「セレナ e-POWER」の1列目シート

日産「セレナ e-POWER」の1列目シート

ホンダ「ステップワゴン スパーダハイブリッド」の1列目シート

ホンダ「ステップワゴン スパーダハイブリッド」の1列目シート

日産「セレナ e-POWER」の2列目シート

日産「セレナ e-POWER」の2列目シート

ホンダ「ステップワゴン スパーダハイブリッド」の2列目シート

ホンダ「ステップワゴン スパーダハイブリッド」の2列目シート

1列目、2列目シートの座り心地は、どちらも同程度だ。ただし、駆動用リチウムイオン電池を1列目シートの下に設置しているというのはどちらも同じなのだが、セレナe-POWERは、そのリチウムイオン電池のせいか2列目シートに座った乗員の足が1列目シートの下に収まりにくい。

日産「セレナ e-POWER」の3列目シート

日産「セレナ e-POWER」の3列目シート

3列目シートは、セレナe-POWERはスライド機能を備えた「XV」や「ハイウェイスターV」グレードを選べば快適だ。スライド機能によって足元空間を広く取れるうえに、座面の奥行寸法が480mmあるので大腿部までしっかりとサポートしてくれる。

ホンダ「ステップワゴン スパーダハイブリッド」の3列目シート

ホンダ「ステップワゴン スパーダハイブリッド」の3列目シート

対するステップワゴン スパーダハイブリッドは、座面の奥行が415mmとかなり短く、セレナe-POWERに比べて座面などのボリューム感も不足している。大人が長時間、快適に乗るというシチュエーションには適さないだろう。

【評価】
セレナe-POWER:★★★★★(5点)
ステップワゴン スパーダHV:★★★★☆(4点)

【コメント】
売れ筋のミドルクラスミニバンだけあって、居住性はどちらもすぐれている。そのうえで比較してみると、セレナ e-POWERの3列目シートがとても快適だ。

セレナ e-POWER vs ステップワゴンスパーダハイブリッド/シートアレンジ&ラゲッジスペース比較

セレナe-POWERでは、2列目シートを左右にスライドさせる機能が装備されている。2列目シートを中央に寄せると、スライドドア付近のスペースを広く確保できる。さらに、前述した3列目シートにスライド機能を備えて快適なことも、セレナe-POWERの特徴のひとつだ。

セレナe-POWERの3列目シートの収納は、左右に跳ね上げて固定するタイプだ

セレナe-POWERの3列目シートの収納は、左右に跳ね上げて固定するタイプだ

ステップワゴン スパーダハイブリッドの3列目シートは、床下に格納することができるのでラゲッジルームを広く使うことができる

3列目シートをたたむときには、セレナe-POWERは3列目シートを左右に持ち上げるが、ステップワゴン スパーダハイブリッドは床下に格納することができる。3列目シートを格納すれば、ラゲッジルームを広く使うことのできるステップワゴン スパーダハイブリッドは、積載性がいい。

セレナe-POWER(左)は、リアハッチの上部だけを開けて、荷物を出し入れすることができる。ステップワゴン スパーダハイブリッド(右)は、「わくわくゲート」という名称で左半分だけを開けることができ、荷物だけでなく後部から人の乗り降りも可能となっている

リアハッチは、セレナe-POWERでは上側だけを開閉できるので、縦列駐車をしているときでも荷物の出し入れがしやすい。ステップワゴンハイブリッドも、左側だけを左右方向に開閉できる。3列目の左側を格納しておけば、乗員がリアゲートから出入りすることも可能だ。

【評価】
セレナe-POWER:★★★★★(5点)
ステップワゴンスパーダHV:★★★★☆(4点)

【コメント】
ステップワゴン スパーダハイブリッドのわくわくゲートはユニークだが、実際の使い勝手としては、リアハッチ上部が開くセレナe-POWERのほうが勝る。シートアレンジも、セレナe-POWERのほうが多彩だ。

セレナ e-POWER vs ステップワゴンスパーダハイブリッド/走行性能比較

セレナe-POWER(左)とステップワゴン スパーダハイブリッド(右)のエンジンルーム

セレナe-POWER(左)とステップワゴン スパーダハイブリッド(右)のエンジンルーム

両車ともに、走行するための基本的な駆動はエンジンではなくモーターが担当する。ステップワゴン スパーダハイブリッドは、高速道路などの巡航時にエンジンの動力を直接タイヤに伝えて燃費を向上させるモードがあるが、ほとんどはモーター駆動だ。

モーターは、エンジンに比べてアクセル操作に対する反応が早い。この2車の車重は1,700〜1,800kgに達するが、どちらも動力性能には余裕がある。

ステップワゴン スパーダハイブリッドの走行イメージ

ステップワゴン スパーダハイブリッドの走行イメージ

そのうえで比べると、ステップワゴン スパーダハイブリッドが力強い。ステップワゴン スパーダハイブリッドの動力性能をガソリンエンジンに置き換えれば、3Lクラスに相当するだろう。ノーマルのステップワゴンの1.5Lターボと比べても、明らかにパワフルだ。滑らかで静粛性も高く、動力性能が高いだけでなく上質感も味わうことができる。

セレナe-POWERの走行イメージ

セレナe-POWERの走行イメージ

セレナe-POWERの動力性能は、2.3Lクラスだ。ステップワゴン スパーダハイブリッドほど力強くはないが、2Lの「セレナSハイブリッド」に比べれば余裕がある。

セレナe-POWERでは、「Sモード」や「エコモード」を選ぶと、アクセルペダルを戻した直後から強い減速力が生じる。モーターが発電する回生充電を、積極的に行うためだ。また、Sモードやエコモードでは、減速エネルギーを使って効率よく充電することができて、なおかつアクセル操作だけで速度を自由に調節できる。市街地では、ブレーキペダルをほとんど踏まずに走れるほどだ。

ステップワゴン スパーダハイブリッドの走行イメージ

ステップワゴン スパーダハイブリッドの走行イメージ

走行安定性は、ステップワゴン スパーダハイブリッドが勝る。操舵角に応じて忠実に曲がり、少しスポーティーに走っても旋回軌跡は外側へとふくらみにくい。さまざまな場面で高い安定性を感じる走りを味わえる。

セレナe-POWERの走行イメージ

セレナe-POWERの走行イメージ

セレナe-POWERは、Sハイブリッドに比べれば操舵に対する反応が正確になった。小さな舵角から正確に反応するが、ステップワゴン スパーダハイブリッドに比べると車両の動きがやや腰高だ。セレナe-POWERは、ステップワゴン スパーダハイブリッドに比べて床が70mmほど高く、全高も25mm上回るから、走行安定性では不利だ。

【評価】
セレナe-POWER:★★☆☆☆(2点)
ステップワゴンスパーダHV:★★★★☆(4点)

【コメント】
動力性能は、ステップワゴン スパーダハイブリッドに余裕がある。走行安定性も、低重心なステップワゴン スパーダハイブリッドがすぐれており、走行性能の評価では2車に大きな違いが生じている。

セレナ e-POWER vs ステップワゴンスパーダハイブリッド/乗り心地比較

セレナe-POWERの走行イメージ

セレナe-POWERの走行イメージ

セレナe-POWERの乗り心地は、タイヤが跳ねるような粗さはないものの、硬めで路上の細かな凹凸を伝えやすい。もう少し、乗り心地を向上させる余地はあるだろう。タイヤサイズは15インチ(195/65R15)で、指定空気圧は前後輪ともに280kPaと高い。ボディが高重心で重いために足まわりがやや硬めに設定されており、乗り心地で不利な条件が重なった。

ステップワゴン スパーダハイブリッドの走行イメージ

ステップワゴン スパーダハイブリッドの走行イメージ

ステップワゴン スパーダハイブリッドは、セレナe-POWERに比べると乗り心地がしなやかだ。路面の荒れた場所を時速40km前後で走ると少し硬めに感じるが、段差の乗り越えはマイルドだ。タイヤサイズは16インチ(205/60R16)で、指定空気圧は前後輪ともに240kPaだから、セレナe-POWERに比べると乗り心地で不利な要素は少ない。

【評価】
セレナe-POWER:★★★☆☆(3点)
ステップワゴン スパーダHV:★★★★☆(4点)

【コメント】
セレナe-POWERの乗り心地は、セレナSハイブリッドよりは快適だが、市街地では硬さを感じさせる。ステップワゴン スパーダハイブリッドの乗り心地は、マイルドで快適だ。

セレナ e-POWER vs ステップワゴンスパーダハイブリッド/安全装備比較

セレナe-POWER(左)とステップワゴン スパーダハイブリッド(右)

セレナe-POWER(左)とステップワゴン スパーダハイブリッド(右)

セレナe-POWERに装備されている緊急自動ブレーキ「インテリジェントエマージェンシーブレーキ」は、単眼カメラをセンサーとして使っている。前方のクルマに対しては時速80km、歩行者は時速60kmを上限に、緊急自動ブレーキが作動する。

対するステップワゴン スパーダハイブリッドの緊急自動ブレーキ「衝突軽減ブレーキ(CMBS)」では、ミリ波レーダーと単眼カメラをセンサーに使っている。緊急自動ブレーキの作動上限速度は、車両に対しては時速100km以上に対応しており、歩行者については時速80kmで作動する。

このほか、2車ともに車間距離を自動制御できるクルーズコントロールや操舵の支援など、安全運転支援機能は豊富に揃っている。

【評価】
セレナe-POWER:★★★☆☆(3点)
ステップワゴンHV:★★★★☆(4点)

【コメント】
運転支援機能は両車ともに豊富だが、緊急自動ブレーキを作動できる安全装備の性能は、ステップワゴン スパーダハイブリッドが少し勝る。

セレナ e-POWER vs ステップワゴンスパーダハイブリッド/総合評価

セレナe-POWER(左)とステップワゴン スパーダハイブリッド(右)

セレナe-POWER(左)とステップワゴン スパーダハイブリッド(右)

「セレナe-POWER ハイウェイスターV」の価格は340万4,160円、「ステップワゴン スパーダハイブリッドGホンダセンシング」の価格は335万160円と、互いの価格は近い。ミドルサイズミニバンは競争が激しいために、機能や装備、価格のバランスは同程度に設定されているためだ。また、JC08モード燃費は、セレナe-POWERが「26.2km/L」、ステップワゴン スパーダハイブリッドが「25km/L」と、燃費値も近い。

総合評価としては、居住性やシートアレンジの実用性といった機能面においては、セレナe-POWERが勝っている。だが、走りの質や乗り心地、緊急自動ブレーキを作動できる速度域を含めた安全性能など、クルマとしての基本性能においてステップワゴン スパーダハイブリッドがセレナe-POWERを上回っているという結論としたい。

【総合評価】
セレナe-POWER:★★★☆☆(3点)
ステップワゴンスパーダHV:★★★★☆(4点)

渡辺陽一郎

渡辺陽一郎

「読者の皆様に怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も大切と考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を心掛けるモータージャーナリスト

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