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自動車ジャーナリストもおすすめの国産マニュアル車を厳選!

200万円で買える!極上の国産マニュアル車(MT)たち

日本で3ペダルのマニュアルトランスミッション(MT)が主流だった時代は、ほとんどの車種にMTの設定があった。

画像は3代目(現行)スイフトスポーツの3ペダル

画像は3代目(現行)スイフトスポーツの3ペダル

2ペダルのトランスミッションは、古くからトルクコンバーターを用いたオートマチックトランスミッション(AT)が存在していたものの、当時は「イージードライブ」というメリットよりも、「値段が高い」「伝達効率が悪い(=燃費が悪い)」「フィーリングが悪い」「シフトアップ/ダウン制御がいまいち」など、ATを選択するデメリットのほうが多かった。だが、今は技術の進歩も相まって、これらのデメリットはほぼ解消していると言っていいだろう。

以前、同車種のMT車と2ペダルトランスミッション車の両方をプロドライバーに試乗してもらい、0-400mの加速テストを行ったことがある。そのときは、プロドライバーが乗っているにもかかわらず、何度計測してもMT車より2ペダルトランスミッション車のほうが、タイムが速かったことを覚えている。

さらにモータースポーツの世界でも、いまやトップカテゴリーはすべて2ペダルのトランスミッションを採用しているし、世界の名だたるスーパースポーツカーを見ても、ほとんどが2ペダルのトランスミッションを搭載していることなどからも、ATのほうが効率がいいのは間違いない。

MT車の運転は、やはり楽しいものなのだ

MT車の運転は、やはり楽しいものなのだ

だが、クルマの良し悪しは、速さや効率、正確さだけでは語ることができないのも事実だ。

筆者は、クルマの楽しさとはいかに“無駄”を楽しめるかということではないかと考えている。MT車は、みずからの操作がクルマの走りに直結する。運転が上手な方ならば、2ペダルのトランスミッション車のようにスムーズに走ることができるが、下手な方だとギクシャクした走りになってしまう。MT車は、ドライバーの技量次第で大きく化ける。ドライバーが「クルマと対話しながら走る」という楽しさは、MT車だけの特権と言えるのではないだろうか。

また、あまりMT車の運転が得意ではないという方も、安心してほしい。最近のMT車には、初心者でも安心して運転することのできる機能が用意されているからだ。たとえば、シフトダウン時にエンジン回転数を自動的に合わせてくれることで変速ショックを抑えてくれる「ブリッピング機能」や、発進時にエンストを防いでくれる「発進アシスト機能」、MT車でもっとも緊張するであろう坂道発進時に、ブレーキペダルから足を離しても踏力を保持する「ヒルホールド機能」などである。

今回は、ボディサイズや排気量が小さく、価格が手ごろなMT車を紹介したい。いまや絶滅危惧種とさえ言われるMT車ではあるが、幸運なことに日本車には手の届きやすい価格帯の、魅力的なMT車がラインアップされている。もちろん、これらのクルマは、筆者が実際に試乗したうえでおすすめするクルマたちだ。

スズキ「スイフトスポーツ」

スズキ「スイフトスポーツ」(3代目)のフロントエクステリア

スズキ「スイフトスポーツ」(3代目)のフロントエクステリア

スズキ「スイフトスポーツ」(3代目)のリアエクステリア

スズキ「スイフトスポーツ」(3代目)のリアエクステリア

まず、1台目のMT車は、スズキ「スイフトスポーツ」だ。世界戦略車として確立された2代目スイフト以降、スイフトスポーツは日本のコンパクトスポーツの雄的な存在として、国内外に知れ渡っている。

スズキ「スイフトスポーツ」(3代目)の走行イメージ

スズキ「スイフトスポーツ」(3代目)の走行イメージ

3代目となる現行スイフトスポーツは、初の直噴ターボを搭載した1.4Lエンジンに6速MTが組み合わせられている。エンジン特性は、先代の2代目は高回転指向で、低回転域はやや扱いづらかった。だが、3代目は2代目と異なり、低回転域から十分なトルクが発生するので、市街地などでも扱いやすい。

スズキ「スイフトスポーツ」(3代目)の走行イメージ

スズキ「スイフトスポーツ」(3代目)の走行イメージ

さらに踏み込んでいくと、太いトルクによってどのシフトに入っていても、どのエンジン回転数からでもグイグイと加速していく。その感覚は、1ランク上のスポーティーカーに乗っているかのようだ。

クラッチは軽すぎるきらいがあるが、シフトフィーリングはほどよく、ストロークはやや大きめながらもカッチリとしている。確実にシフトが決まるのは、うれしいポイントだ。

スズキ「スイフトスポーツ」のグレードラインアップと価格
※価格は、いずれも税込

6MT:1,836,000円
6AT:1,906,200円

ホンダ「S660」

ホンダ「S660」のフロントエクステリア(画像はModulo X)

ホンダ「S660」のフロントエクステリア(画像はModulo X)

ホンダ「S660」のリアエクステリア(画像はModulo X)

ホンダ「S660」のリアエクステリア(画像はModulo X)

2台目は、ホンダ「S660」。世界最小のミッドシップスポーツカーであるS660は、黄色ナンバーがついていなければ、軽自動車であることを感じさせないドライバビリティーの高さを見せてくれる。

ホンダ「S660」の走行イメージ(画像はModulo X)

ホンダ「S660」の走行イメージ(画像はModulo X)

ホンダ「S660」の走行イメージ(画像はModulo X)

ホンダ「S660」の走行イメージ(画像はModulo X)

軽自動車という制約上、660ccのエンジンを積み、64psという最高出力は決して速くはない。だが、軽自動車という制約があるがゆえに、普通に市街地を走っていても、ちょっとしたコーナーを曲がるだけでS660の持つ軽快さやバランスのよさ、刺激的な走りの一端を味わうことができる。これは、大排気量車では決して味わうことのできないメリットだ。

さらに、軽自動車で初採用の6速MTは手首だけで操作可能で、コクコクと気持ちよく入るシフトフィールは、現在日本で発売されているMT車の中でもトップクラスと言っていいだろう。

ホンダ「N-VAN」の走行イメージ

ホンダ「N-VAN」の走行イメージ

ちなみに、S660の6MTは先日登場した商用車、ホンダ「N-VAN」にも搭載されている。こちらはNA(自然吸気)エンジンとの組み合わせだが、限られたエンジンパワーを、マニュアルシフトを駆使しながら上手に走らせる感覚は、かつてのホンダ「ビート」を思い起こさせた。N-VANは4ナンバーという制約があるので、誰しもにおすすめはできないのだが、隠れた逸品と言える。

ホンダ「S660」のグレードラインアップと価格
※価格は、いずれも税込

β:1,980,720円(6MT/CVT)
α:2,185,920円(6MT/CVT)
Modulo X:2,850,120円(6MT/CVT)

スズキ「アルトワークス」

スズキ「アルトワークス」のフロントエクステリア

スズキ「アルトワークス」のフロントエクステリア

そして3台目は、スズキ「アルトワークス」だ。FF駆動のハッチバック車をベースにしたスポーツハッチながら、車重670kgという超軽量設計で絶対性能ではS660を超える部分をも持ち合わせている。

スズキ「アルトワークス」に搭載されている5速MTシフトノブ

スズキ「アルトワークス」に搭載されている5速MTシフトノブ

アルトワークスに搭載されている5速MTは、短いストロークでソリッドな手ごたえを伝えてくるような操作性を重視したシフトフィールで、どこか懐かしさを感じる感触だ。そういった意味では、現行アルトワークスは80〜90年代の走りの楽しさを突き詰めた「青春のホットハッチ」の現代的解釈とも言えるだろう。

スズキ「アルトワークス」のグレードラインアップと価格
※価格は、いずれも税込

2WD:1,509,840円(5MT・5AGS)
4WD:1,617,840円(5MT・5AGS)

そのほかにも、値段やボディサイズが許すならば、トヨタ「カローラスポーツ」やホンダ「シビックハッチバック」、マツダ「アクセラ」などのCセグメントハッチバックという選択肢もある。さらに、絶対性能よりも運転の気持ちよさを重視するマツダ「ロードスター」や、トヨタ「86」や同型のスバル「BRZ」、さらにはホンダ「シビック タイプR」やスバル「WRX STI」といった300ps超のハイパワーモデルもラインアップされるなど、MTの選択肢が以前より少し広がってきているのはうれしいところだ。

現代のクルマは、電動化や自動運転など、できる限り人が操作をしない方向へと徐々にシフトしてきている。だが、クルマの原点とも言える「クルマを自由に操る楽しさ」を誰しもが享受できるMT車は、決して失ってはいけない大事な機構ではないだろうか。今後、日本にもMT車がふたたび増えてくれることを願いたい。

山本シンヤ

山本シンヤ

自動車メーカー、チューニングメーカー、自動車雑誌の編集長などを経て独立。これまでの経験を活かし、造り手と使い手のかけ橋となるよう「自動車研究家」を名乗って執筆活動中。最先端技術やドライビングメカニズムなどを得意とする。

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