レビュー
市街地では使い切れないパワーを手に入れた1.8Lディーゼル

1.8Lへ排気量アップ!パワフルな新型「CX-3」ディーゼルに試乗

2018年5月31日、マツダのコンパクトSUV「CX-3」に大幅な改良が施された。大きなトピックとしては、新開発の1.8Lクリーンディーゼルエンジン「SKYACTIV-D 1.8」が搭載されたことだ。改良前のCX-3へ搭載されていたクリーンディーゼルエンジンは1.5Lだったので、300ccの拡大となる。

マツダ「CX-3」のエクステリアイメージ

マツダ「CX-3」のエクステリアイメージ

また、SKYACTIV-D 1.8は排気量のアップだけでなく、燃料噴射装置やターボチャージャー、ピストンに至るまで改良が施され、パワーだけでなく燃費などの環境性能に至るまで向上している。

[参考:マツダ「CX-3」大幅改良/新型はマツダ初の1.8リッターディーゼル搭載!]

さらに、走行安定性や乗り心地のバランスも見直された。足まわりのコイルスプリングは最適化され、ショックアブソーバーは大径化された。スタビライザーは細くなり、マイナーチェンジにもかかわらず、タイヤまで新たに開発された。そのほか、内装もパーキングブレーキがレバー式から電動式に変更されるなどの変更が施されている。

グレードラインアップと価格については、以下の通りとなる。

-1.8L クリーンディーゼルエンジン搭載モデル-
XD:[2WD] 2,436,480円(6AT/6MT)/[4WD] 2,662,480円(6AT/6MT)
XD PROACTIVE:[2WD] 2,630,880円(6AT/6MT)/[4WD] 2,856,880円(6AT/6MT)
XD PROACTIVE PROACTIVE S Package:[2WD] 2,728,080円(6AT/6MT)/[4WD] 2,954,080円(6AT/6MT)
XD L Package:[2WD] 2,836,080円(6AT/6MT)/[4WD] 3,062,080円(6AT/6MT)
XD Exclusive Mods:[2WD] 2,868,480円(6AT)/[4WD] 3,094,480円(6AT)


-2.0L ガソリンエンジン搭載モデル-
20S:[2WD] 2,127,600円(6AT/6MT)/[4WD] 2,353,600円(6AT)
20S PROACTIVE:[2WD] 2,332,800円(6AT/6MT)/[4WD] 2,558,800円(6AT)
20S PROACTIVE S Package:[2WD] 2,430,000円(6AT/6MT)/[4WD] 2,656,000円(6AT)
20S L Pakage:2,566,080円(6AT/6MT)/[4WD] 2,792,080円(6AT)
20S Exclusive Mods:[2WD] 2,598,480円(6AT)/[4WD] 2,824,480円(6AT)

今回、エンジンからサスペンションまで走りのパーツが刷新されたCX-3の大幅改良モデルへ試乗して、以下の項目を5段階で採点して評価したい。

運転のしやすさ(視界と取りまわし性)

マツダ「CX-3」のフロントエクステリア

マツダ「CX-3」のフロントエクステリア

マツダ「CX-3」のリアエクステリア

マツダ「CX-3」のリアエクステリア

CX-3は、ボディがコンパクトなので取りまわしがしやすい。最小回転半径は5.3mと、小回りも利く。

マツダ「CX-3」の斜め前方は、死角が少なく良好だ

マツダ「CX-3」の斜め前方は、死角が少なく良好だ

前方視界は、フロントのAピラーが後ろに寄せられているために良好で、サイドミラーがドアに取り付けられているので斜め前方の死角も少ない。また、サイドミラーやバックミラーそのものも大きく、視認性は高い。

さらに、CX-3では「i-ACTIVSENSE」と呼ばれる安全技術が採用されており、側方や後方からの車両接近を検知して警告してくれたり(BSM)、バックの際にドライバーから見えない死角へ車両が接近してくるのを警告してくれたり(RCTA)といった先進技術が数多く搭載されている。これらの安全運転支援技術などを踏まえると、CX-3は運転のしやすいコンパクトSUVと言えるだろう。

マツダ「CX-3」は、デザイン優先のため、斜め後方の視界は見づらい

マツダ「CX-3」は、デザイン優先のため、斜め後方の視界は見づらい

ただひとつだけ、エクステリアデザインを重視しているために、斜め後方の視界だけが見づらい。できれば、試乗して縦列駐車や車庫入れを試してほしいところだ。

評価:★★★★☆(4点)
コメント:CX-3のコンパクトなボディサイズは、運転がしやすい。さらに、「i-ACTIVSENSE」には多くの運転支援システムが搭載されているので、それらを総合すると運転のしやすいコンパクトSUVと言えるだろう。

内装(質感/操作性/視認性)

マツダ「CX-3」のインパネは、マツダらしく統一感があって上質だ

マツダ「CX-3」のインパネは、マツダらしく統一感があって上質だ

CX-3の内装、特にインパネ周りはコンパクトSUVとしては上質だ。なぜなら、マツダ車は「デミオ」から「アテンザ」まで、全体的に高級感のある統一されたインパネデザインが採用されているからだ。エアコンスイッチは比較的高い位置に配置され、ナビやオーディオの操作はシフト付近に集約されるなどの工夫が施されていて、操作しやすい。メーターも、ほかのマツダ車と同じようなシンプルデザインで見やすい。

マツダ「CX-3」ではパーキングブレーキが電動式になった。電動ブレーキのスイッチはセンターコンソール上に設置されている

また、今回のCX-3の改良では、パーキングブレーキが電動式になり、スイッチ操作によってパーキングブレーキをかけることができるようになった。さらに、パーキングブレーキの電動化にともなって、アームレストが新設されているなど、快適性も少し向上している。

評価:★★★★☆(4点)
コメント:CX-3含め、マツダ車の内装は総じて上質だ。ボタンなどの配置や操作性はわかりやすく、メーターもシンプルながら見やすい。

居住性と荷室

マツダ「CX-3」の前席はサポート性がよく、コーナーなどでも姿勢は乱れにくい

マツダ「CX-3」の前席はサポート性がよく、コーナーなどでも姿勢は乱れにくい

フロントシートは、座り心地は少し硬めだがサイズに余裕があって、肩まわりまで含めてサポート性がいい。スポーティーな運転をしても着座姿勢が乱れず、安定しているので長距離移動にも適している。

CX-3は、後席の狭さがウィークポイントだ。身長170cmの大人4名が乗車して、後席に座る乗員の膝先空間は、握りコブシ1つ半にとどまる。ホンダ「ヴェゼル」では2つ半と広く、比べるとCX-3は少し狭い。

マツダ「CX-3」の後席は決して狭くはないのだが、エクステリアデザイン優先でリアウィンドウがあまり開かず、外があまり見えないために圧迫感を覚える

マツダ「CX-3」の後席の座面は、座り心地がいい。視界が改善されれば、後席の乗り心地も快適になるだろう

マツダ「CX-3」の後席の座面は、座り心地がいい。視界が改善されれば、後席の乗り心地も快適になるだろう

また、CX-3ではリアサイドをスタイリッシュに仕上げた結果、後席に座るとリアウィンドウから見える外の視界が狭いために、少し圧迫感が生じる。だが、座面そのものの柔軟性は十分にあるので、座り心地自体はいい。前席の下に足が収まりやすいので、長距離でも苦痛ということはないだろう。

マツダ「CX-3」のラゲッジルーム

マツダ「CX-3」のラゲッジルーム

CX-3は、荷室もあまり広くない。リヤゲートを少し寝かせているので、背の高い荷物が積みにくいという難点もある。

評価:★★☆☆☆(2点)
コメント:前席は快適だが、後席が狭い。荷室の容量もいまひとつだ。SUVにはミニバンに似たニーズがあり、ユーザーは後席の快適性や荷室の広さを重視する。CX-3は、その期待に応えられないのがつらい。

走行性能(動力性能と走行安定性)

マツダ「CX-3」1.8Lクリーンディーゼルエンジン(SKYACTIV-D 1.8)

マツダ「CX-3」1.8Lクリーンディーゼルエンジン(SKYACTIV-D 1.8)

刷新されたSKYACTIV-D 1.8の最高出力は、116PS(4,000rpm)、最大トルクは27.5kg-m(1,600〜2,600rpm)。改良前に比べて、スペック上は最高出力が11PS増えただけだが、その運転感覚は改良前後でかなり異なる。改良前の1.5Lクリーンディーゼルエンジンも静かではあったが、改良後はさらに洗練されており、吹け上がりは滑らかで加速感は気持ちがいい。

マツダ「CX-3」クリーンディーゼルエンジン搭載モデルの試乗イメージ

マツダ「CX-3」クリーンディーゼルエンジン搭載モデルの試乗イメージ

フル加速すると、4,800rpm付近まで回ったところで6速ATがシフトアップする。ディーゼルエンジンながら、性格的にはガソリンエンジンに近いような、高回転域での伸びを味わえる。2.7Lのガソリンエンジンに匹敵するほどの駆動力を発揮し、かなりパワフルなので市街地では回しきれないほどだ。

1,500rpmを下回ると、ターボの過給領域をはずれて駆動力が落ち込む。したがって、高速道路を巡航中、エンジン回転が下がった状態でアクセルペダルをゆるく踏み増したときなどは、車両の動きが少し緩慢に感じるが、市街地では扱いやすい。

いっぽう、2Lガソリンエンジンは、最高出力が150PS(6,000rpm)、最大トルクは19.9kg-m(2,800回転)と、低回転域で高いトルクを発揮する。粘り強さがあって運転しやすい。ガソリンエンジンならではの、高回転まで吹け上がる感覚が魅力的だ。4,200rpmを超えてから、伸びのよさを味わえる。しかし、直噴式でもあることから、エンジン音は少々粗く感じた。特に、前述のディーゼルエンジンが静かなこともあって、ガソリンエンジンはエンジン音が大きく感じる。

マツダ「CX-3」クリーンディーゼルエンジン搭載モデルの試乗イメージ

マツダ「CX-3」クリーンディーゼルエンジン搭載モデルの試乗イメージ

走行安定性は、以前と変わらずよく曲がる印象で、峠道などは走りやすいだろう。その代わり、カーブを曲がっている最中にアクセルペダルを戻すような操作を強いられると、若干ではあるが相対的に後輪の接地性がそがれやすく思えた。乗り心地に配慮して、サスペンションをゆったりと伸縮させていることが影響しているのかもしれない。

ディーゼルエンジンとガソリンエンジンを比べると、運転感覚はガソリンエンジンのほうが総じて軽快だ。車重は、ボディの前側を中心に40kgほど軽く、操舵に対して機敏に向きを変えてくれる。ディーゼルエンジンは、パワフルな動力性能を求めるユーザーに向いている。

評価:★★★★☆(4点)
コメント:ディーゼルはコンパクトSUVとしては軽快感が希薄だが、その割にはよく曲がって峠道などを走りやすい。今日のクルマでは、後輪の安定性よりも回頭性を重視した部類に入る。もう少し後輪の接地性を高めたい。

乗り心地

マツダ「CX-3」クリーンディーゼルエンジン搭載モデルの試乗イメージ

マツダ「CX-3」クリーンディーゼルエンジン搭載モデルの試乗イメージ

改良前に比べて、改良後は足まわりがゆったりと伸縮するようになり、新開発のタイヤも相まって路面の凹凸をうまく吸収してくれる。ホイールベースの短さを意識させるような前後方向の揺れも抑えられており、乗り心地の快適性は向上している。足まわりは、もう少し滑らかに動かす余地はあるものの、角の立ったような硬さは改善されている。

評価:★★★★☆(4点)
コメント:路面の凹凸が伝わってくるなど改善の余地はあるものの、大きめの段差を乗り越えたときの突き上げ感などは抑えられている。足まわりのゆったりした伸縮は、SUVらしさにも通じている。

安全&快適装備

価格の安い2Lの「20S」、ディーゼルの「XD」を除くと、ミリ波レーダーと単眼カメラを併用する緊急自動ブレーキ「アドバンストSCBS(スマート・シティ・ブレーキ・サポート)」が標準装備される。車両や歩行者に対して時速80kmを上限に作動する。さらに、改良前に比べて夜間走行における歩行者の検知性能が向上した。

また、車間距離を自動制御できるレーダークルーズコントロールの下限速度を時速30kmから0km(停車状態)にまで引き下げた。先行車が停車すると自車も止まり、その後も停車状態を維持できる。

評価:★★★★★(5点)
コメント:安全性と運転支援機能の両方が大幅に進化して、価値が高められている。360度ビューモニターもオプション設定されている(4万3,200円)。

価格の割安感

CX-3はSUVということもあって、駆動方式は基本的に4WDを推奨したい。エンジンは、ガソリンエンジン搭載車が割安な価格でラインアップに追加されているものの、CX-3の個性を味わうならクリーンディーゼルターボだろう。ベストグレードは、4WD・XDプロアクティブ(285万6,880円)としたい。

ライバル車のホンダ「ヴェゼルハイブリッド(4WD)」で言えば、「X Honda SENSING(275万5,000円)」と、「Z Honda SENSING(292万6,000円)」の中間的な価格帯になる。クリーンディーゼルターボが予算を超えるときは、ガソリンエンジンを搭載する「4WD・20Sプロアクティブ」(255万8,800円)を選ぼう。

評価:★★★☆☆(3点)
コメント:ガソリンエンジン搭載車は割安だが、予算が許せば個性的なクリーンディーゼルエンジン搭載車を選びたい。価格は、ヴェゼルハイブリッドの4WDと同等だ。

総合評価

マツダ「CX-3」左がクリーンディーゼルエンジン搭載モデル、右がガソリンエンジン搭載モデル

マツダ「CX-3」左がクリーンディーゼルエンジン搭載モデル、右がガソリンエンジン搭載モデル

コンパクトSUVでは、以前から一貫してホンダ「ヴェゼル」の人気が高い。ヴェゼルは運転しやすいサイズながら後席や荷室が広く、利便性が高い。実用的なところが人気を得ている理由だ。

その点、CX-3は後席や荷室が狭く、低価格のデミオよりも若干広い程度だ。車両の性格は、実用性が高いとは言いづらい。1〜2名で乗車するユーザーに適しているクルマだ。

スペシャルティクーペのような、快適な乗り心地や上質な内外装が求められるニーズを踏まえると、足まわりやインパネのデザインを刷新させた今回のCX-3の大幅改良は、一定のユーザーからの共感は得られるはずだ。今後は、乗り心地のさらなる改良などで進化を続けていってほしい。CX-3はヴェゼルと違って一般受けこそしないが、今日のマツダのクルマ造りがうまく表現されているクルマだからだ。

総合評価:★★★☆☆(3点)

渡辺陽一郎

渡辺陽一郎

「読者の皆様に怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も大切と考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を心掛けるモータージャーナリスト

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