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なぜ軽自動車は絶大な人気を誇るのか!?

日本で軽自動車が売れている「5つの理由」

日本で人気の自動車カテゴリーと言えば「軽自動車」があげられる。2018年1〜9月に日本で販売された新車のうち、軽自動車は36%にも達しており、全体の3分の1強を占める存在だ。

乗用車全体の受注台数のうち、3分の1を占める「軽自動車」は人気のカテゴリーだ。

乗用車全体の受注台数のうち、3分の1を占める「軽自動車」は人気のカテゴリーだ。

しかし、そもそも軽自動車はなぜここまで売れているのだろうか。税金が安いから? それとも魅力的な車種が増えたから? 当記事では、軽自動車がここまで売れている理由を改めて考えてみたい。

■軽自動車が売れている理由(1):税金が安い

今も昔も変わらない、軽自動車のメリットとしてあげられるのが「税金の安さ」だ。軽自動車は、ボディサイズやエンジン排気量が制限される代わりに、税額が安く抑えられている。

もっともわかりやすいのが、毎年4月に納める「軽自動車税」だ。軽自動車税は2015年に増税されているが、それでも普通車に比べると圧倒的に安い。税額は、2015年4月1日以降に初度登録された軽乗用車であれば年額10,800円。増税前となる、2015年3月31日以前に初度届け出された軽自動車ならば、7,200円で済む。

いっぽう、小型・普通車が毎年支払う「自動車税」は、排気量が1リッター以下で29,500円、1.5リッター以下が34,500円、2リッター以下が39,500円と、軽自動車に比べて高い。最近主流の1.5〜2リッターあたりの普通車であれば、自動車税の中では比較的安くなるものの、それでも年間30,000〜40,000円の負担になる。毎年かかる税金が小型・普通車に比べて1/3以下で済む軽自動車の経済的アドバンテージは大きいだろう。

1世帯で4台のクルマを所有した場合、1.2〜1.5リッターの小型車なら自動車税だけでも総額で年間138,000円もの金額を支払うことになる。だが、軽自動車なら4台所有していても軽自動車税は40,000円程度に収まる。軽自動車と小型車では、自動車税だけでおよそ10万円もの差が生じるのだ。

さらに、軽自動車は「自動車重量税」も安く抑えられる。小型・普通車の重量税は車重によって税額が定められているが、軽自動車は一律だ。軽自動車が支払う重量税(2年分)は6,600円。これが、車重1.5トン以下のコンパクトカーなどでは24,600円、2トン以下のセダンやSUVなどになると32,800円になる。(※いずれもエコカー減免の適用がない場合)

軽自動車は、自動車税、自動車重量税が普通車に比べて圧倒的に安い。それを理由に、軽自動車を購入する人も多いはずだ。

ちなみに、軽自動車は1人に1台の割合で車両を所有する地域での販売が好調だ。佐賀県、鳥取県、長野県などでは1世帯に1台以上の軽自動車を所有しており、軽自動車がライフラインとして機能している。そのため、軽自動車税のこれ以上の増税は許されないだろう。

軽自動車が売れている理由(2):価格が安い

軽自動車が人気である理由のひとつとして、クルマの車両価格が全般的に高くなったこともあげられる。1990年頃には、2リッターエンジンを搭載するセダンは180〜200万円前後で購入することができたが、今は220〜250万円と高くなった。安全装備や環境性能の向上などによって、クルマの価格が上昇しているのだ。

だが、日本の労働者の平均年収は1990年代の終盤をピークに下がり続け、今でも20年前の水準には戻っていない。つまり、クルマの価格は高くなったものの給与は逆に下がったことで、小さくて価格の安いクルマを選ぶユーザーが増えたとも言える。

高い車高にスライドドアを備えた「軽ハイトワゴン」は、軽自動車のなかでも人気のモデルだ。

高い車高にスライドドアを備えた「軽ハイトワゴン」は、軽自動車のなかでも人気のモデルだ。

今の軽自動車は、背の高い車種が売れ筋で、特に全高が1,700mmを上まわりスライドドアを備えた軽自動車が好調だ。これらのクルマの価格は140〜180万円と小型車と同等ではあるが、内装の質感や安全装備も小型車と同クラスで、居住性や積載性においては小型車を上まわっている。さらに、前述のとおり税金は軽自動車のほうがはるかに安い。

したがって、「軽自動車なのだから安くなければ」という過去の先入観さえ持たなければ、200万円以下の軽自動車は魅力があって割安に感じることだろう。

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軽自動車が売れている理由(3):日本で乗ることを考えて作られている

かつての日本では、運転しやすく価格の安い5ナンバーセダンが販売の主力だった。ところが、いまや5ナンバーセダンは4車種を残すのみ(2018年10月現在)。国産セダンの大半は海外向けに開発されており、ボディサイズの大きい3ナンバー車となった。その結果、セダンは国内での売れ行きを下げた。

いま、国内市場を見据えて積極的に開発されている国産車は、ミニバンと一部の小型車、そして軽自動車に限られる。

その中でも、軽自動車はミニバンや小型車と違って日本国内向けに作られているので、あらゆる面で日本の道路事情にマッチしているのだ。

ボディサイズに制限がある軽自動車は、日本の道路事情にマッチしている。

ボディサイズに制限がある軽自動車は、日本の道路事情にマッチしている。

その中でももっとも特筆すべきなのが、小回りの効くボディサイズだ。軽自動車はボディサイズに制限があり、全長3,400mm以下、全幅1,480mm以下、全高2,000mm以下に定められている。特に1,480mm以下の全幅は、狭い路地などが多い日本にはぴったりで、クルマに慣れていないユーザーでも運転しやすく感じるはずだ。普通車は海外事情に合わせて車幅が拡大傾向にある中、軽自動車が担う役割は大きい。

軽自動車が売れている理由(4):車内が広くて走行性能も高い

軽自動車のボディサイズやエンジン排気量は小さいが、実は数回の規格改訂で徐々に拡大している。その結果、居住性や走行性能は昔に比べて向上した。

ホンダ「N-BOX」やスズキ「スペーシア」などのスーパーハイトワゴンはリアシートや荷室が広く、使い勝手は抜群にいい。

特に全高が1,600mmを上まわる軽自動車は、車内が普通車よりも広い車種も多い。たとえば、ホンダ「N-BOX」やスズキ「スペーシア」のリアシートの広さは相当なもので、長距離を快適に移動できる。さらに、後席をたためば自転車のような大きなものも積めてしまう。また、最近の軽自動車であればシートの座り心地や車内の質感などもかなり高い。乗り心地と走行安定性も上質だ。

軽自動車は660ccという小排気量ではあるが、一般道や高速道路などを普通に走行するぶんには必要十分なパワーを発揮する。

660ccという小排気量のエンジンを搭載する軽自動車はパワー不足に陥りやすいと思われがちだが、最近の軽自動車は車体の軽量化やエンジン改良などさまざまな対策が施されているので、NA(自然吸気)エンジンであってもストレスなく運転することができる。

また、高速道路を普通車と同じように走りたい、長距離を楽に移動したいというのであれば、ターボ車を選べば解決するだろう。昨今の軽ターボ車は、最大トルクが1.5〜1.7倍に増えているにもかかわらず燃費数値の悪化は10%以下と優秀だ。

ちなみに、余談だが軽自動車は高速道路の料金も安い。普通車の8割の金額で乗ることができる。さらに、以前は軽自動車の最高速度は80km/hに制限されていたが、平成12年10月1日以降は普通車と同じ100km/hで走行することができるようになった。

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また、最新の軽自動車は、緊急自動ブレーキを作動できる安全装備がさらに進化して、歩行者を検知できるタイプも増えているなど、安全装備の面でも普通車との機能差が少なくなってきている。

軽自動車が売れている理由(5):ディーラーの販売が積極的

軽自動車は、機能や装備の割に価格が安く抑えられているので、1台あたりの粗利が少ない。そうなると、エンジンやプラットフォームを共通化した複数の軽自動車を開発して、かつ大量に販売する必要が生じる。必然的に、販売促進をしなければならない商品でもある。

また、今の軽自動車は小型車よりも商品力にすぐれており、数年後のリセールバリューも高い。そうなると、セールスマンは顧客に対して軽自動車を推奨しやすい。たとえば購入から3年を経た時に「今なら90万円で下取りできますよ。新車に乗り替えませんか?」と提案できるからだ。小型車の場合は同じ条件でも60万円くらいだから、車検を取って乗り続けることになりがちだ。

軽自動車は小型車よりも高値で売りやすく、ユーザーだけでなく販売店のメリットにもなるから、セールスマンも力を入れて販売するわけだ。

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渡辺陽一郎

渡辺陽一郎

「読者の皆様に怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も大切と考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を心掛けるモータージャーナリスト

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