新製品レポート
デジタルアウターミラーの価格は21万6千円

レクサスESに搭載された世界初「デジタルアウターミラー」そのメリットとデメリット

2018年10月24日、トヨタが展開している高級車ブランド「レクサス」は、同社の新型セダン「ES」を日本国内で発売開始した。

サイドミラーがカメラになった、世界初の「デジタルアウターミラー」など話題の技術を搭載して登場したレクサス「ES」

レクサスESは、かつてトヨタ「ウィンダム」という車名で日本国内で販売されていたこともあったが、2005年にレクサスの日本国内への導入に合わせて販売を終了。だが、レクサスESの7代目のフルモデルチェンジに合わせて、日本国内に改めてレクサスブランドとして導入された。

レクサスESの特徴は、FFのプラットフォームに2.5リッター直4ハイブリッドを搭載していることだ。かつて、レクサスで販売していた「HS」と似た組み合わせになる。レクサスESのベースは、現行のトヨタ「カムリ」と共通だ。だが、レクサスESでは内外装や足まわり、遮音性などがカムリよりも向上している。

■レクサス「ES」のグレードラインアップと価格
ES300h:5,800,000円
ES300h “version L”:6,290,000円
ES300h “FSPORT”:6,980,000円

■レクサス「ES」の主なスペック
駆動方式:前輪駆動(FF)
全長×全幅×全高:4,975×1,865×1,445mm
ホイールベース:2,870mm
最低地上高:145mm
最小回転半径:5.8m(ES300h)/5.9m(ES300h versionL・FSPORT)
車両重量:1,680kg(ES300h)/1,730kg(ES300h versionL)/1,720kg(FSPORT)
エンジン:2.5リッター直列4気筒エンジン
最高出力(エンジン):131kW(178PS)/5,700rpm
最大トルク(エンジン):221N・m(22.5kgf・m)/3,600〜5,200rpm
最高出力(モーター):88kW(120PS)
最大トルク(モーター):202 N・m(20.6kgf・m)
燃費(JC08):23.4km/L
燃費(WLTC総合):20.6km/L
燃費(WLTC 市街地):16.6km/L
燃費(WLTC 郊外):22.7km/L
燃費(WLTC 高速道路):21.4km/L
トランスミッション:電気式無段変速機

量産車世界初の「デジタルアウターミラー」そのメリットは

量産車では世界初の装備となる「デジタルアウターミラー」。写真は一般的なサイドミラーの位置に取り付けられた「アウターカメラ」で、サイドミラーと同じく左右に一つずつ取り付けられている

さらに、レクサスESでは注目を集める新装備も搭載された。サイドミラーがカメラになっている、量産車として世界初の「デジタルアウターミラー」だ。デジタルアウターミラーは、カメラで撮影された映像をインパネの左右にある5インチディスプレイに映し出してくれる。

デジタルアウターミラーは、雨(左)や夜間(右)のような状況でも視認性がいいことがメリットのひとつだ

デジタルアウターミラーは、雨(左)や夜間(右)のような状況でも視認性がいいことがメリットのひとつだ

デジタルアウターミラーのメリットとしては、さまざまな条件における視認性がすぐれていることがあげられる。アウターカメラにはヒーターが内蔵されていて、くもりなどが抑えられており、ディスプレイも車内にあるので常に良好な映像で後方を見ることができる。たとえば、雨でもアウターカメラに水滴がつきにくい形状になっていることや、夜間で外が暗い状況でも、露出を変更することで明るくできるといったメリットがある。さらに、後続車のヘッドランプが映り込む眩惑も抑えられる。

デジタルアウターミラーは、ウインカーと連動することで表示エリアを自動で拡大させることが可能だ。左はウインカーを作動させていない状況で、右はウインカーを作動させている状況。通常のドアミラーでは見えないエリア(斜め後方の死角など)を拡大表示することで、安全に車線変更ができるようになっている

デジタルアウターミラーは、バックにも連動している。左は通常の状態で、右はバックに入れた状態。クルマの挙動と操作感覚が一致するように、画面比率を維持したまま、できるだけ広い範囲を表示する

2つ目のメリットは、デジタルアウターミラーが通常のサイドミラーよりも広い範囲を映せることだ。たとえば、車線変更やバックなどの際には、カメラのズームアウトと同様の機能で、可視範囲が拡大される。いわゆる、一般的なデジタルカメラにできることが可能なので、夜間の明るさや拡大など、通常のサイドミラーに比べて調節範囲が広い。

デジタルアウターミラーを装着したレクサス「ES」のイメージ

デジタルアウターミラーを装着したレクサス「ES」のイメージ

3つ目は、視界の確保だ。デジタルアウターミラーにも方向指示器が装着されるのでミラー部分はそれなりに張り出しているが、通常のサイドミラーよりかなり小さいので、斜め前方の視界が見やすい。

デジタルアウターミラーのデメリットは「焦点移動」

通常のサイドミラーでは焦点が遠方に合っているが、デジタルアウターミラーでは焦点をディスプレイに合わせるために、たとえば前方からディスプレイへと焦点を移動するのに時間がかかってしまう

デジタルアウターミラーの注意点だが、最も大きな欠点はドライバーの目の「焦点移動」が、通常のサイドミラーに比べて大きいことだ。一般的に、サイドミラーで遠くを見るときは、目の焦点も遠方に合っている。だが、デジタルアウターミラーはディスプレイを見るために目の焦点距離が通常のサイドミラーとは異なってかなり近い。たとえば、前方からデジタルアウターミラーへと焦点を移動した場合、焦点が合うのに時間がかかるため、情報を得られるタイミングも遅くなってしまう。

このことは、車内のルームミラーが低く装着されたセダンなどを運転することを思い浮かべるとわかりやすいだろう。セダンに乗って運転しているとき、前方を見ながらもルームミラーも一緒に視界に入っていて焦点が合っているので、ドライバーは後方をすぐにチェックできる状況にある。そのために、もしうしろで異常などが発生すれば、ルームミラーを通して即座に後方を確認できるのだ。ところが、デジタルアウターミラーでは目の焦点を遠方ではなく車内のモニター画面に合わせているから、焦点移動が生じて視認性が悪い。

鏡は、視覚にとって遠方を直接見るのと同じなので、対象物までの距離が把握しやすい。だが、モニター画面では鏡に比べて距離感覚がわかりづらいのだ。

画像はレクサス「ES300h バージョンL」のデジタルアウターミラー装着車

画像はレクサス「ES300h バージョンL」のデジタルアウターミラー装着車

また、デジタルアウターミラーは価格も高い。デジタルアウターミラーはバージョンLにオプション設定されており、価格は21万6,000円。さらに、デジタルインナーミラー(ルームミラー)はバージョンLとFスポーツに用意されていて、価格は10万8,000円。もし、サイドミラーとルームミラーの両方をカメラにした場合、32万4,000円になる。

デジタルアウターミラーはかなり高価な装備と言えるが、レクサスESのような高級車では最新のメカニズムや装備が得られることも大きなメリットのひとつだ。したがって、バージョンLを購入するユーザーはデジタルアウターミラーの装着を希望する人も多いと思うが、販売店の試乗車などに乗って視認性を入念に確認したほうがいい。装着車が納車された後で「やっぱり、普通のミラーにしておけばよかった」と後悔しても遅いからだ。見えにくいのに、無理して使えば危険も生じるから、購入前には入念に確認しておきたい。

全長、全幅がレクサス「GS」よりも大きいレクサス「ES」

全長、全幅がレクサス「GS」よりも大きいレクサス「ES」

レクサスESは、全長が4,975mm、全幅が1,865mmと、Lサイズセダンの中でも大きな部類に入る。レクサス「GS」が全長4,880mm、全幅1,840mmなので、レクサスESはレクサスGSよりもさらに大きい。

最小回転半径は、18インチタイヤを装着するバージョンLと19インチタイヤのFスポーツが5.9m、17インチタイヤの標準グレードでも5.8mなので、小回りはあまりきかない。レクサスGSはFRなので、5.3mに収まるから、レクサスESの取りまわし性はレクサスGSに比べると悪い。

ボディが大きいレクサス「ES」は、後席もかなり広く快適だ

ボディが大きいレクサス「ES」は、後席もかなり広く快適だ

居住性は、とても快適と言える。レクサスESはボディが大柄で、ホイールベースも2,870mmと長いため、後席の足元空間はかなり広い。全高は1,445mmなので、後席に座ると腰が少し落ち込むものの、不自然な印象はない。後席の座面にはハイブリッドの駆動用電池が収まっているが、座り心地は適度に柔軟だ。後席は乗降時に頭を少し下げる姿勢になるが、乗降性に支障はなく4名乗車に適している。

ハイブリッドシステムは、カムリと同じタイプが使われている。動力性能の数値は等しく、車両重量はESが100kg少々重いため、ギヤ比が見直されている。

レクサスESの燃費は、JC08モードが「23.4km/L」で、実際の走行により近いWLTCモードは「20.6km/L」だ。この燃費値は、カムリのJC08モード燃費「28.4km/L」に比べると悪いが、世代の古い2.5Lハイブリッドを搭載するレクサス GS300h「23.2km/L」と同程度になる。

レクサスESの価格は、ハイブリッドシステムやプラットフォームを共通化しているカムリに比べると、装備やGリンクなどのサービス対価を差し引いて、ESが約100万円高い。この金額が、レクサスとして内装や乗り心地の質を向上させた対価になる。生産を終えたレクサス「HS250h」は、2.4Lのハイブリッドシステムを搭載して、価格は434万7,000円から570万5,000円であった。これと比べてもESは高めだ。ESを選ぶか否かは、Lサイズのボディと広い室内に、どの程度の価値を見いだすかによって決まるだろう。

レクサスの最上級モデルである「LS」は、現行型へのフルモデルチェンジによってボディが拡大した。全長は5,235mm、全幅も1,900mmに達するため、日本では扱いにくいボディサイズとなった。そのような理由から、新型LSの日本国内における市場性が下がったことで、レクサスESの人気が高まる可能性もあるだろう。だがデジタルアウターミラーは、前述のとおりメリットだけでなくデメリットもあるので、購入の際には試乗車を実際に走らせるなど、入念にチェックしてほしい。

渡辺陽一郎

渡辺陽一郎

「読者の皆様に怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も大切と考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を心掛けるモータージャーナリスト

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