レビュー
新型CR-Vを峠で試乗、3列シートにも実際に座ってみました

ホンダ 新型「CR-V」ハイブリッドとターボの違いや3列シートの使い心地をチェック!

ホンダは、2018年8月30日にミドルサイズSUV「CR-V」の新型モデルを発売した。

日本では2016年にホンダ「CR-V」の販売は終了していたが、2018年に復活した

日本では2016年にホンダ「CR-V」の販売は終了していたが、2018年に復活した

CR-Vは、1995年から2016年まで日本で販売されていたものの、モデルチェンジのたびに拡大されたボディサイズや、2013年に発売されて好調なコンパクトSUV「ヴェゼル」の影響を受けたために受注が落ち込み、2016年には日本における販売を終了していた。だが、ボディサイズの小さなヴェゼルでは、ミニバンなどから乗り換えるユーザーが満足できるような車格ではなかった。そこでホンダは、海外では2016年にすでに発売していた5代目CR-Vを、2018年に日本市場へと導入した。

新型CR-Vが搭載するエンジンは、「1.5L直列4気筒VTECターボエンジン」と、2.0Lエンジンをベースにしたハイブリッド「SPORT HYBRID i-MMD」の2種類だ。ハイブリッドは、CR-Vでは初めてラインアップされる。1.5Lターボエンジンは2018年8月30日から販売を開始しているが、2.0Lハイブリッドは少し遅れて2018年11月1日に発売される。今回は、1.5Lターボと2.0Lハイブリッドの両方に試乗することができたので、それぞれの車種を乗り比べた違いや、ライバル車との比較などを交えてレポートしたい。

2.4L NAエンジン並みのトルクを発揮する「1.5Lターボ」

ホンダ 新型「CR-V」1.5Lターボエンジン搭載車の試乗イメージ

ホンダ 新型「CR-V」1.5Lターボエンジン搭載車の試乗イメージ

まずは、1.5Lターボエンジン搭載車に試乗した。この1.5Lターボエンジンの性格としては、1,500rpm以下では駆動力が落ち込む。ATが「CVT」なので低回転域をひんぱんに使うことはあまりないだろうが、本格的に加速を開始するのは2,000rpmを超えてからだ。たとえば、停止状態からアクセルペダルを深く踏み込んだときの発進加速などは鈍い。だが、2,000rpmを超えると速度上昇が活発になっていき、「24.5kg-m」の最大トルクが発揮されることで2.4LのNAエンジンに近いパワーを得ることができる。車重は1,500kgを超えるためにパワフルとまでは言えないが、アクセル操作には素直に反応して運転しやすい。

ホンダ 新型「CR-V」1.5Lターボエンジン搭載車の試乗イメージ

ホンダ 新型「CR-V」1.5Lターボエンジン搭載車の試乗イメージ

エンジンノイズは、高速道路などを2,000rpm前後で巡航中にアクセルペダルをゆるやかに踏み増すと、少しゴロゴロとした感触が伝わる。それでも遮音は入念に行われているので、ノイズは抑えられている。

モーターらしく直線的で滑らかな加速感が運転しやすい「2.0Lハイブリッド」

ホンダ 新型「CR-V」2.0Lハイブリッド搭載車の試乗イメージ

ホンダ 新型「CR-V」2.0Lハイブリッド搭載車の試乗イメージ

対する2.0Lハイブリッドは、発電機と駆動用モーターが別に備えられている。エンジンは主に発電機の作動に使われ、駆動はモーターが担当する。したがって、加速感は直線的で滑らかな印象だ。

2.0Lハイブリッドの動力性能は、3Lガソリンエンジンに匹敵する。アクセルを踏み込めばすぐに速度が上昇するので、運転しやすくパワフルな印象だ。

ホンダ 新型「CR-V」2.0Lハイブリッド搭載車の試乗イメージ

ホンダ 新型「CR-V」2.0Lハイブリッド搭載車の試乗イメージ

少し気になるのは、強い加速力を得るためにアクセルペダルを深く踏み込んだときだ。発電量を増やすためにエンジン回転がすぐに上昇し、それを追いかけるように速度が高まっていく。この感覚が、エンジン車に乗り慣れているとエンジン回転の上昇に合わせて速度が高まっていかないために、まるで駆動系が滑っているかのような違和感を覚えやすい。

ホンダ 新型「CR-V」2.0Lハイブリッドのエンジンルーム

ホンダ 新型「CR-V」2.0Lハイブリッドのエンジンルーム

これは、エンジンの高効率を追求した結果だ。新型CR-Vが搭載している「SPORT HYBRID i-MMD」は、前述のとおりエンジンは主に発電機の作動に使われる。エンジンが駆動を直接担当していないので、エンジン回転は走行状態に左右されにくい。そこで、効率の高い回転域を多用できるように、速度よりもエンジン回転が先に上昇するような設定となった。

つまり、燃費を向上させる制御なのだが、違和感が生じると運転の楽しさを妨げる。そこで、「アコード」など従来のSPORT HYBRID i-MMD搭載車に比べて、新型CR-Vではエンジン制御が自然な印象に改善されている。遮音性能もすぐれているので、慣れてしまえば通常の走行では気にならないが、初めのうちはっや違和感を覚えるかもしれない。購入する前には念のため販売店の試乗車などで試してみるいいだろう。安全に配慮したうえで、アクセルペダルを少し深めに踏めば、速度とエンジン回転数の関係はすぐにチェックできる。

「アジャイルハンドリングアシスト」によるコーナーリング性能の高さ

走行安定性は、1.5Lガソリン、2.0Lハイブリッドともに1,680mmの全高を意識させず、操舵に対する車両の動きはとても素直だ。後輪の接地性が高められていて、直進でもカーブでも安心感は高い。後輪をしっかりと安定させて、自然に曲がっていく。

新型「CR-V」は素直なハンドリングで、走行安定性も高い

新型「CR-V」は素直なハンドリングで、走行安定性も高い

カーブを曲がる時の挙動は、4WDのほうが2WDよりも車両を内側へ向けやすい。旋回軌跡を拡大させにくい印象があった。これは、「アジャイルハンドリングアシスト」と呼ばれる機能と、4WDとの相乗効果によるものだ。

新型「CR-V」に搭載されている「アジャイルハンドリングアシスト」によって、タイトなコーナーも曲がりやすい

アジャイルハンドリングアシストは、カーブを旋回中に4輪のブレーキを独立して効果的に制動させることで、車両の動きを安定させる。峠道などでは、おもにカーブの内側に位置する前輪を制動させることで曲がりやすくするが、このときに、外側の前輪とあわせて後輪も駆動している4WDでは、旋回を助ける効果が一層向上するからだ。

特に、2.0Lハイブリッドの4WDはボディが少し重い代わりに、後輪の上側付近に駆動用リチウムイオン電池が搭載されている。そのために重量配分のバランスがよく、ハンドルを内側に切り込みながらアクセルペダルを少し踏み増すと、操舵角に応じて車両が内側を向く。新型CR-Vは峠道を飛ばして走るようなクルマではないが、ハイブリッドの4WDはターボの2WDに比べてより曲がりやすい印象だ。

新型「CR-V」の全幅1,855mmは、日本の公道ではややワイドだ

新型「CR-V」の全幅1,855mmは、日本の公道ではややワイドだ

なお、混雑した街中や駐車場での取りまわし性については、ミドルサイズSUVの平均水準と言える。全長は4,605mmに収まるが、全幅は1,855mmとややワイドになる。最小回転半径は5.5mと平均的だ。ボンネットは視野に入るが、外観に丸みがあるからキッチリと見えるわけではない。側方や後方の視界も良好とは言えない。

内装は、さらなる質感向上に期待したい

新型「CR-V」は、300万円クラスのSUVとしては内装の質感がややチープな印象を受ける

新型「CR-V」は、300万円クラスのSUVとしては内装の質感がややチープな印象を受ける

内装は、インパネ周りの質感に注意したい。インパネにはステッチ風の処理が施されるが、これはイミテーションだ。同様の手法は、コンパクトミニバンのトヨタ「シエンタ」などにも使われているが、ミドルサイズミニバンの日産「セレナ」には本物のステッチが施されている。価格が300万円を超えるCR-Vとしては、少しチープな印象だ。木目調パネルは色彩が少しボヤけた印象で、ソフトパッドは使用個所があまり多くない。ヴェゼルよりも上級のSUVで高価なことを考えると、質感はもう少し高めてほしいところだ。

1列目、2列目シートはサイズに余裕があって快適

新型「CR-V」の1列目シートは、電動調節の「ランバーサポート」の効果もあって、体をしっかりと支えてくれる

フロントシートの座り心地は、少し硬めだがボリューム感があって快適だ。サイズに余裕があり、肩まわりのサポート性がすぐれていて腰の部分をしっかりと支えてくれる。さらに、運転席には電動式のランバーサポートも装着されている。腰の部分の張り出しが前後に35mm調節できて、さらに80mmの上下調節も可能なので体格に合わせやすい。

新型「CR-V」の2列目シートは座り心地がよく、膝先の空間にも余裕がある

新型「CR-V」の2列目シートは座り心地がよく、膝先の空間にも余裕がある

リアシートもサイズに余裕があって、座り心地がいい。身長170cmの大人4名が乗車した場合、リアシートに座る乗員の膝先空間は握りコブシ2つ半。これは、Lサイズセダン並みだ。さらに、頭上にも握りコブシがひとつ収まるため、大人4名が乗車して快適に移動できる。

注目の3列目シートは広くはないが工夫されていて座りやすい

新型「CR-V」の1.5Lターボエンジン搭載車では、2列5人乗り仕様と(画像の)3列7人乗り仕様を選ぶことができる。ちなみに、2.0Lハイブリッドは全グレード2列5人乗り仕様だ

新型CR-Vの1.5Lガソリンエンジン搭載車には、2列シート5人乗り仕様のほかに、3列シート7人乗り仕様がラインアップされている。新型CR-Vの3列シート7人乗り仕様では、2列目シートをスライドさせることができたり、2列目シートをたたむことで3列目シートに座ることができる。

画像は3列目シートに人が座れるように、2列目シートを前方へとスライドさせた状態。それでも、膝は前方のシートには当たらず、少し余裕がある。

3列目シートに人が座れるようにするために、2列目シートを前にスライドさせてみる。そのときの2列目シートの膝先空間は、身長170cmの大人が座って握りコブシひとつ分だからやや狭いが、実際に座ってみると意外に窮屈には感じない。2列目シートに座ったときの足が、1列目シートの下側にスッと収まるからだ。フロントシートに多くの電動機能を備えながら、その下側にこれだけの空間を確保しているクルマというのも珍しい。

3列目シートに座った状態。画像ではかなり狭そうだが、足の収まりはいいので片道1時間以内の移動くらいならば耐えられそうだ

そして、その状態で3列目シートに座ってみると、膝先空間は握りコブシ半分程度だ。3列目シートで注目されるのは、燃料タンクの形状を工夫して、3列目シートの床を少し掘り込んだことだ。これにより、SUVの3列目シートとしてはめずらしく、乗員の足が2列目シートの下側に収まる。3列目シートは、座面のボリュームも相応に確保されている。とはいえ、あくまでもSUVの3列目だから床と座面の間隔が乏しく、座ると腰が落ち込んで膝が大きく持ち上がる。大人6名が移動するなら長時間は難しいものの、一応の実用性は備わっている。

ちなみに、3列シートSUVの売れ筋モデルであるマツダ「CX-8」では、同じように計った場合、3列目シートの膝先空間にはコブシひとつ半もの余裕がある。だが、CR-Vの全長が4,605mmであるのに対し、CX-8は4,900mmとボディサイズはかなりの大きさになるので、そのあたりはかんがみる必要があるだろう。

3列目シートの快適性は、たとえばコンパクトミニバンであるホンダ「フリード」が100点、マツダ「CX-8」が85点とした場合、新型CR-Vは70点くらいに相当するだろう。

価格設定はやや高めだが“運転の楽しさ”など加味して検討を

ホンダ 新型「CR-V」のエクステリアイメージ

ホンダ 新型「CR-V」のエクステリアイメージ

これまで述べたとおり、新型CR-Vの走行性能と居住性については相応に満足できる。だが、価格は高めだ。もっとも安い、1.5Lターボエンジンを搭載する「EX」(2WD/5人乗り)でも3,230,280円になる。

新型CR-Vでは、カーナビなどが標準装着されるものの価格は高めで、トヨタ「ハリアー」に近い印象になる。ただし、内装の質などを考えると直接ライバルとなるのは、マツダ「CX-5」やスバル「フォレスター」だろう。

ライバル車の価格を見てみると、CX-5に2.5Lのガソリンエンジンを搭載した「25S・Lパッケージ」は、本革シートなどが装着されて3,018,600円だ。モニター画面も備わり、ディーラーオプションのSDカードプラス(48,600円)を挿入すれば、カーナビとしても機能する。

また、2.5Lエンジンを搭載したフォレスターは、後方の車両を検知する機能などを備えた「プレミアム」が3,024,000円だ。しかも、フォレスターでは駆動方式がAWD(4WD)になる。

仮に新型CR-Vが25万円値下げすれば、2WD・EX(5人乗り)が300万円以下になってライバルとの価格競争でも有利になるだろう。また、3列目シートも、EXが191,160円、本革を使うEXマスターピースは223,560円の価格上昇になる。SUVに設定される3列目シートの相場は7〜15万円だから、新型CR-Vの3列目シートは相場から見るとやや高めになる。だが、新型CR-Vは前述のように3列目シートの居住性を向上させる工夫が盛り込まれている。そのあたりはプラスの価値と考えていい。

新型CR-Vは、初期受注でターボの55%(新型CR-V全体で見ると16%)を、3列シートの7人乗りが占めているという。この高い比率からも、3列目シート仕様が一定の人気を得ていることがうかがえる。

ちなみに、1.5Lターボと2.0Lハイブリッドの比率は55:45とおよそ半分で、EXとEXマスタービースの比率は38:62だ。最も多く売れている仕様は、ハイブリッドマスターピースで29%になる。2WDと4WDの比率は56:44だ。どの車種でも、初期受注は上級グレードの比率が高まるから、時間が経過するとEXがもう少し増えてくるだろう。

ハイブリッドの価格は、ターボに比べて55万円ほど高い。価格競争の厳しいミニバン市場ホンダ「ステップワゴン」の47万円を上まわる。ハイブリッドがターボとの価格差を燃料代の差額で取り戻せるのは、12〜13万kmを走った頃だ。少し距離が長いが、ハイブリッドは動力性能でもターボを上まわり、加速も滑らかになる。走りの質も含めて考えたい。

新型CR-Vは、とくに初代や2代目を知っているユーザーからすれば、高価なクルマとなったという印象を受けるだろう。だが、手頃なサイズのSUVはいまやヴェゼルが担い、CR-Vは1クラス上のSUVになった。価格はやや高いものの、実際に試乗して運転感覚も含めて判断してほしい。SUVでは、運転の楽しさも大切な魅力になるからだ。

ホンダ 新型「CR-V」によるグランピングのイメージ。こういったSUVならではの使い方が、新型CR-Vには似合う

ホンダ 新型「CR-V」によるグランピングのイメージ。こういったSUVならではの使い方が、新型CR-Vには似合う

渡辺陽一郎

渡辺陽一郎

「読者の皆様に怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も大切と考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を心掛けるモータージャーナリスト

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