レビュー
新型デリカD:5の改良内容はフルモデルチェンジ並み!

オフロードを走れるガチ最強ミニバン!新型「デリカD:5」試乗でその進化ぶりを体感

三菱車の中で堅実に売れているのが、ミニバンの「デリカD:5」だ。1968年に発売された初代デリカは、もともと商用のワンボックスバンだった。その後、2代目で乗用タイプの「デリカスターワゴン」が加わり、1982年に4WD仕様が設定されると人気車となった。2007年1月に発売された5代目の現行デリカD:5も、4WDモデルの人気が高い。

現行デリカD:5は発売から約12年が経過しているが、いまだ1か月に1,000台前後を受注しており、売れ行きは堅調だ。中古車市場でも人気があり、販売店では「購入から3年後なら、新車時の60%前後で下取りできる」と言う。そのためにデリカD:5を購入して、数年後にまた新車のデリカD:5へと乗り替えるユーザーも多い。

三菱「デリカD:5」にマイナーチェンジが施された。その改良内容は、外観の変更からエンジン、トランスミッションなどの走行性能、先進の安全装備まで多岐に渡る

そんなデリカD:5に、マイナーチェンジが施された。今回マイナーチェンジを受けるのは、クリーンディーゼルターボ搭載車のみだ。現在、デリカD:5の売れ筋はディーゼル車(駆動方式は4WDのみ)が9割を占めている。販売が1割のガソリンエンジン搭載車は、従来型を継続販売するのだ。デリカD:5は、ディーゼルターボ+4WDというパワートレインにこそ価値がある。

デリカD:5に搭載されている4WDシステム「AWC(オールホイールコントロール)」には、三菱がパリダカやWRCラリーなどで培ってきた4WD技術が搭載されている。4輪の接地加重や駆動、制動力が適切にコントロールされることで、車体の操縦性や安定性を向上させる技術だ。

また、新型デリカD:5では、最低地上高が185mmとSUV並みの地上高を誇っており、アプローチアングルは21°、ディパーチャーアングルは23°とラフロードを走行することが考慮されたグランドクリアランスが確保されている。

今回の試乗では、三菱 新型「デリカD:5」の悪路走破性も試すことができた

今回の試乗では、三菱 新型「デリカD:5」の悪路走破性も試すことができた

新型デリカD:5は、ミニバンでは唯一のディーゼル搭載車で、高い駆動力を持ち合わせており、4WDによる悪路走破性は国産ミニバンの中では間違いなくナンバーワンだ。

今回、そんな新型デリカD:5のプロトタイプ(試作車)を、クローズドコースでいち早く試乗することができたので、その実力をレポートしたい。

本題へ入る前に暫定ではあるが、筆者が独自調査した新型デリカD:5の価格は、以下のとおりだ。

■三菱 デリカD:5のグレードラインアップと価格

-標準ボディ-
M(8人乗り):384万2,640円
G(7、8人乗り):394万2,000円
G-Power package(7、8人乗り):408万2,400円
P(7、8人乗り):421万6,320円
-URBAN GEAR-
URBAN GEAR G(7、8人乗り):406万7,280円
URBAN GEAR G-Power package(7、8人乗り):420万7,680円

新型「デリカD:5」の注目点はガラリと変わったフロントフェイス

三菱 新型「デリカD:5」。左が標準ボディで、右がURBAN GEAR

三菱 新型「デリカD:5」。左が標準ボディで、右がURBAN GEAR

新型デリカD:5の外観デザインは、標準ボディとURBAN GEARの2種類に分けられる。URBAN GEARは、標準ボディに比べてスタイリッシュで都会的なエクステリアを持つ。前後バンパーはエアロ形状となっており、車高が低くスポーティーな印象に仕上げられている。

三菱 新型「デリカD:5」フロントフェイスのアップ。画像は標準ボディ

三菱 新型「デリカD:5」フロントフェイスのアップ。画像は標準ボディ

三菱 新型「デリカD:5」フロントフェイスのアップ。画像はURBAN GEAR

三菱 新型「デリカD:5」フロントフェイスのアップ。画像はURBAN GEAR

マイチェン前の「デリカD:5」のエクステリア

マイチェン前の「デリカD:5」のエクステリア

新型デリカD:5の外観における最大の特徴は、フロントフェイスが大きく変更されていることだ。新型デリカD:5では、昨今のミニバンで流行りの大型メッキグリルが取り入れられ、マイチェン前のデリカD:5と比べるとかなり派手になった。

なお、このメッキグリルは、標準ボディがハニカム(蜂の巣)タイプで、URBAN GEARは水平ですっきりとした形状が採用されている。

三菱 新型「デリカD:5」のLEDヘッドライトのアップ。縦型ヘッドライトは、三菱では初採用となる

三菱 新型「デリカD:5」のLEDヘッドライトのアップ。縦型ヘッドライトは、三菱では初採用となる

さらに新型デリカD:5では、LEDタイプのヘッドライトが縦に装着されているというのも変わっている。これは、三菱のデザインアイデンティティー「ダイナミックシールド」をデリカD:5に採用するための手法で、縦型LEDヘッドライトは三菱で初の試みとなるそうだ。ちなみに、外側がロービーム(5灯)、内側はハイビーム(4灯)となっている。今後、三菱の新型車にはこの縦型のヘッドライトが順次採用されていくと言う。

三菱 新型「デリカD:5」のフロントイメージ

三菱 新型「デリカD:5」のフロントイメージ

三菱 新型「デリカD:5」のリアイメージ

三菱 新型「デリカD:5」のリアイメージ

ボディサイズや足まわりの設定は、標準ボディ、URBAN GEARともに共通だ。全長は4,800mm、全幅は1,795mmと日産「セレナ」やトヨタ「ヴォクシー」に比べてボディが大きく、最小回転半径は5.6mと小回りもやや利かない。だが、トヨタ「アルファード」「ヴェルファイア」や日産「エルグランド」などのLサイズミニバンに比べれば、ボディはコンパクトで視界もよく、運転しやすい。

三菱 新型「デリカD:5」URBAN GEARの走行イメージ

三菱 新型「デリカD:5」URBAN GEARの走行イメージ

動力性能は、2.2Lクリーンディーゼルエンジンが改良を受け、最大トルクが2kg-m高められて38.7kg-mとなった。この値は、ガソリンエンジンなら3.5リッターに匹敵するトルクを2,000rpmで発生させるものだ。1,300rpmあたりの低回転から余裕があり、1,700rpmを超えると速度が勢いよく上昇していく。さらに、2,000〜3,500rpmの実用回転域ではアクセル操作に対する反応が機敏になり、ディーゼルエンジンならではの力強い走りを味わうことができる。エンジンノイズや振動は以前よりも小さく抑えられ、運転感覚は上質なものとなっている。

ATにも改良が施され、従来の6速ATから新開発の8速ATへと多段化されている。加速が必要なときに高回転域を保ちやすく、ハイパワーなディーゼルエンジンがより扱いやすくなった。さらに走りの効率も向上しており、JC08モード燃費は従来の「13.0km/L」から「13.6km/L」へとアップしている。

三菱 新型「デリカD:5」URBAN GEARの走行イメージ

三菱 新型「デリカD:5」URBAN GEARの走行イメージ

さらに、今回のマイチェンではプラットフォームやサスペンションにも変更が施されている。動力性能を向上させたことなどによって、プラットフォームの前側が大幅に造り替えられた。ショックアブソーバーもチューニングされており、それらの効果によって走行安定性が高められている。

三菱 新型「デリカD:5」URBAN GEARの走行イメージ。ドライバーは自動車ジャーナリストの渡辺陽一郎氏

三菱 新型「デリカD:5」URBAN GEARの走行イメージ。ドライバーは自動車ジャーナリストの渡辺陽一郎氏

操舵に対する反応は、マイチェン前に比べて“曖昧さ”が払拭されており、正確になった。カーブを旋回すると、前輪外側のタイヤがこれまで以上に踏ん張り、車体をしっかりと曲げてくれる。また、後輪の接地性もすぐれていて、従来に比べて挙動変化が滑らかなので安心感が高い。全高が1,875mmと高く、車重が1,900kgを超えるミニバンにもかかわらず、その走りはとてもバランスがいい。乗り心地は少し硬いが粗さは抑えられており、マイチェン前のタイヤとホイールの重さを意識させるような乗り味が払拭されている。

ちなみに悪路も走行してみたのだが、デリカD:5の走破力はミニバンとは思えないほどに高い。4WDの「ロックモード」を選ぶと、前後輪に駆動力を配分する多板クラッチの締結力が強まり、伝達効率が向上する。それでも空転が生じたときは、そのホイールだけに自動的にブレーキを作動させ、空転を抑える仕組みだ。この制御が、以前に比べて綿密になっている。

新型「デリカD:5」は、居住性の高さも魅力のひとつ

新型デリカD:5を、ライバルのミニバン(ディーゼルのミニバンは他社にないので、ハイブリッドミニバン)と比較してみよう。

トヨタ「アルファード」「ヴェルファイア」(以下、アルヴェル)のハイブリッドと新型デリカD:5を比べると、内装の質感や乗り心地、静粛性においてはアルヴェルのほうが秀でている。だが、居住性については新型デリカD:5も健闘している。

三菱 新型「デリカD:5」(URBAN GEAR)の3列目シートは広く、座り心地も快適だ

三菱 新型「デリカD:5」(URBAN GEAR)の3列目シートは広く、座り心地も快適だ

アルヴェルは車内は広いが、3列目シートは床と座面の間隔が不足して座り心地がいまひとつ。3列目シートを含めた居住性は、アルヴェルと新型デリカD:5はイーブンだ。

悪路走破性の高さは「デリカD:5」ならではだ

悪路走破性の高さは「デリカD:5」ならではだ

また、走行性能や4WDの走破力においては、新型デリカD:5のほうが上回っている。価格は、40万円ほど新型デリカD:5のほうが安い。SUVのような走破性を備えたミニバンが欲しいユーザーにとっては、新型デリカD:5は十分な魅力を備えている。

日産「セレナ e-POWER」と価格を比べると、新型デリカD:5のほうが約70万円高い。だが、駆動方式はセレナが2WDで、新型デリカD:5は4WDだ。この駆動方式の金額を補正すると、実質差額は約45万円に縮まる。セレナ e-POWERも機能が充実しているので割安と言えるが、3列目シートを含めた居住性は新型デリカD:5が勝る。ディーゼルエンジンの動力性能、しっかりした操舵感や足まわりなど、新型デリカD:5には価格差に見合うだけの価値が備わっている。

このようにライバル車と比較すると、新型デリカD:5は4WDを軸とした機能や装備がニーズに合えば、選ぶ価値はかなり高い。

前モデルからの値上げも改良に見合ったもので納得できる

では、新型デリカD:5を従来型と比べたらどうだろうか。従来型のグレード「D-Power package」は353万4,840円、新型デリカD:5のグレード「G-Power package」は408万2,400円だから、54万7,560円値上げしている。

ただし、マイチェン後の新型デリカD:5では、緊急自動ブレーキを作動できる安全装備やカーテンエアバッグ、マルチLEDヘッドライト、パーキングブレーキの電動機能、リヤゲートの電動開閉機能などが標準装備となっている。さらに、エンジンやATも進化した。それらを考慮すると、新型デリカD:5は従来型から約55万円値上げされているものの、価格に見合った価値を身につけていると言えるだろう。

最後に、もし販売店などで試乗車を運転する際には、まず乗降性を確かめてみよう。デリカD:5は悪路走破性を高めるために、ミニバンの中でもとくに床面が高いからだ。車内は快適で内装の質感も向上しているが、助手席の前側に装備されていたアッパーボックスは省かれた。ステアリングのチルト(上下調節)は可能だが、テレスコピック(前後調節)は備わらない。3列目シートを持ち上げるのにもやや体力を要する。こういった基本設計も加味して確認したい。

新型デリカD:5は、動力性能や走行安定性、乗り心地がフルモデルチェンジ並みの進化を遂げており、これまでのデリカD:5のよさをさらに引き上げつつ、質感や安全装備の向上によってこれまでにはなかった、新たな魅力が備わったと言えるだろう。

渡辺陽一郎

渡辺陽一郎

「読者の皆様に怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も大切と考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を心掛けるモータージャーナリスト

記事で紹介した製品・サービスなどの詳細をチェック
関連記事
価格.comマガジン「動画」まとめページ
ページトップへ戻る