レビュー
最初は違和感があるものの……

デジタルアウターミラーは使える?使えない?レクサスES 800km徹底試乗!

レクサスブランドへ、新型車の「ES」が追加された。海外ではすでに販売されているESの日本投入は、今回が初めてとなる。

サイドミラーにカメラが使われていることなどで話題となった、レクサス 新型「ES」

サイドミラーにカメラが使われていることなどで話題となった、レクサス 新型「ES」

以前、トヨタ カローラ店で「ウインダム」というセダンが販売されていた。このウインダムは、海外ではレクサスESとして売られていたのだ。日本のウインダムは最終的に消滅したことから、今回はレクサスブランドでウインダムが復活したといってもいいだろう。

レクサス 新型「ES」に搭載されている「デジタルアウターミラー」

レクサス 新型「ES」に搭載されている「デジタルアウターミラー」

また、新型ESではサイドミラーにカメラを用いる「デジタルアウターミラー」が、量産車として世界で初めて採用されたことも話題となった。当記事ではミラーの使いやすさや、見やすさなどを含めて800kmほどの長距離テストへと連れ出してみたので、試乗レビューをお届けしよう。なお、開発担当者から話を聞くこともできたので、それも併せてお伝えしたい。

「乗り心地も走りも」二律双生を目指して開発された新型「ES」

ESは、LSとともに1989年のレクサスブランドの立ち上げ(海外)と同時に導入され、ベストセラーカーとして累計販売220万台を超えるレクサスのコアモデルへと成長した。ESは、「静粛性、乗り心地、室内空間の広さなど上質な快適性が高く評価され、レクサスならではの精巧なものづくりで信頼を得てきています」と話すのは、開発を担当したレクサスインターナショナルLIZ製品企画チーフエンジニアの榊原康裕さんだ。

先代(6代目・2013年)のレクサス「ES」。画像は北米モデル

先代(6代目・2013年)のレクサス「ES」。画像は北米モデル

いっぽう、「これまでのESユーザーからは、走りの面で乗り心地はいいのだが、自分で運転していてもう少しアクティブに、スポーティーに走りたいという意見がありました。それと、先代はエレガントでよかったのですが、特にサイドがプレーンな感じがするという意見もありました。綺麗なのですが、なんとなく物足りない、抑揚がない、プレーン、フラットという声が結構あったのです。ただし、広さや乗り心地、静粛性のようなものはすごく好評でした」。

そのうえで、先に発売されたLCやLSと同じように、「新世代のレクサスとして、デザインでも走りでも、ときめきを感じてもらいたいということです。乗り心地がよくて、走りもいい。室内が広いけれども、流麗なデザインでかっこいいという、エンジニアリング的には相反すること。この二律背反を、二律双生してこそ、新しい魅力が生まれるという思いで開発しました」とそのこだわりを教えてくれた。

もうひとつ、ESのポジショニングについて聞いてみると、「GSの入れ替えかという話も聞かれますが(笑)、決してそうは考えていません。現在、セダンのラインアップにはLS、GS、ISがありますが、そこへ新たに、FFで広くて快適というクルマが追加されたということです。GSではグランドツーリング的な方向性を与えていますから、お客様からすると選択肢が増えたという位置づけです。もちろん、GSも売り続けます」と明言した。

「デジタルアウターミラー」のメリットは

世界初採用のデジタルアウターミラーは、デジタルカメラ内蔵の小型ユニットによって、サイドミラーのように後方の映像を5インチのディスプレイへと表示してくれる。光学アウターミラー(通常の鏡面のドアミラー)と比べ、ドライバーの目線移動を少なくすることで負担が軽くなり、ゆがみのない視界を確保するという。また、通常のサイドミラーと比べてユニットを小型化することにより、斜め前方の視界が確保されている。

ウインカー作動時は、画角が広がることで死角を減少させる機能も搭載された。結果、右左折時は死角が少なく、スムーズに運転することができる。また、バック時にはリバース操作と連動して拡大するので、より広い画角で後方視界を確保できる。さらに、夜間などの暗い場所では明るさを自動で調整してくれる。

デジタルアウターミラーのモニターは、室内に左右一つずつ設置されている

デジタルアウターミラーのモニターは、室内に左右一つずつ設置されている

そのほか、デジタルアウターミラーは雨天時に雨の影響を受けにくいうえ、カメラにヒーターを内蔵しているので、霧などで水分がカメラレンズに付着した際でも除去してくれる。搭載されるディスプレイは室内に設置されているので、サイドウィンドウがぬれた状態でも視界を確保することができるなどのメリットもある。

デジタルアウターミラーの認可には苦労も

当初、新型ESにデジタルアウターミラーが搭載されることは決まっていなかったという

当初、新型ESにデジタルアウターミラーが搭載されることは決まっていなかったという

この世界初のデジタルアウターミラー、最初からESへ採用されることが決まっていたのだろうか。その点を榊原さんに聞いてみると、「企画当初は決まっていませんでした。法規自体でこのミラーが認められたのは、国連で2016年夏ごろ。そして、現在認められているのは日本や欧州ぐらいで、アメリカでは鏡がないとだめです。ESの立ち上がりが2017年の秋と決まっていましたので、そこへ間に合うかチャレンジしようということになったのです。当然、先行技術として開発していましたので、そこからこのESに合うようなデザインにしていったのです」と教えてくれた。

そして、裏話として「ディスプレイはとってつけた感があると指摘されますが、実際にそうなのです。この内装をデザインしたときには、考えていませんでしたから」とのことだった。ちなみに、デジタルアウターミラーの外観については「これも、最初はとんでもない形というか、格好悪くてありえないといって何度もやり直しをしたのです(笑)」。

カメラなのにサイドミラーのような形状をしている理由は

しかしカメラであれば、あえてこれほど飛び出させる必要はなかったはずだ。榊原さんは、「デジタルアウターミラーのカメラは外側についていますが、これはパノラミックビューモニター(クルマを上から俯瞰してみるもの)のカメラも、この仕様のまま対応したいからです(パノラミックビューモニターは、車両幅より外にカメラがなければ俯瞰映像が作れない)。また、ドアミラーで車幅を確認している方もいるでしょうから、まずはこれまで同様、横に出た形としています」とその理由を話す。

小型のサイドミラーのような形状をしている理由は、今後「パノラミックビューモニター」に対応したいことからなのだそう

さらに、法規自体がまだ確立されていないので、ひとつひとつ設計者なり法規の関係者が当局と交渉をしてというのは大変だったようだ。「ウインカーを出すと広角になるというのも、これも勝ち取ったものです。実は広角にしてはいけないという法律もあるので、ESもデフォルトではできないようにしなければいけませんでした。したがって、一回一回お客様がセットしないと変わりません。本来、通常のドアミラーと同じようにというのが法規の思想なのです。しかし、これからはいろいろな会社が交渉して変わっていくでしょうし、今も毎年少しずつ変わっていると聞いています」と苦労を教えてくれた。

最後に、デジタルアウターミラーに関して榊原さんは、「全然慣れないという人もいるでしょうから、実際に試乗して、納得して頂いてから購入してもらうようにしています。気に入らないから元に戻してといっても、すぐにはできませんから」とコメントした。

慣れるまでは「おっかなびっくり」のデジタルアウターミラー

本来であればESの印象から述べ始めるものだが、今回は、注目度の高いデジタルアウターミラーの印象から始めよう。

その第1印象は、「距離感がつかめない」ということだった。正直、これは使い物にならないなと。それでも、はっきりとモノが見えることのメリットは十分に感じられた。ウインカーを点灯すると広角になるように設定すると、たしかに車線変更時などは広角になり、より周囲が見えるようになることは分かったが、そこに映っているクルマがどの程度離れているか、あるいは近づいているのかがまったく分からないのだ。乗り出して早々、困ったことになってしまった。

上は通常時の映像で、下はウインカーを点灯させたり、ギアをバックに入れるなどによって広角になった映像

上は通常時の映像で、下はウインカーを点灯させたり、ギアをバックに入れるなどによって広角になった映像

それでも、いろいろ試しながら都内を走り回ると徐々に慣れ始めたのだ。もしあなたが、バックビューモニター付きのクルマを運転したことがあるなら、この気持ちがわかってもらえるかもしれない。最初はどこまで寄せればいいのか、その距離感がなかなかつかめなかったが、一度慣れてしまうとぴったりと後ろに寄せられるようになるものだ。どうやら、それと同じことがこのデジタルアウターミラーにもいえそうだ。

カメラならではの夜間時の見やすさは大きなメリット

そこで、さらに走り込んでいくうちに、ウインカーをつけて広角になった時に緑の枠線で通常のミラー表示部分とそれ以外がわかるようになっていることの意味に気付いた。つまり、緑の内側で普段判断していること、そして、それ以外が通常見えていない部分であることの識別がつくようになったのだ。そこにプラスして、ブラインドスポットモニターのモニター内の警告を併用すれば、ほぼ問題なく相手との距離を把握しクリアできるようになった。

夜間時に明るくて見やすいというのは、デジタルアウターミラーのメリットのひとつだ

夜間時に明るくて見やすいというのは、デジタルアウターミラーのメリットのひとつだ

もうひとつ、大きなメリットとして夜間の見やすさがある。わずかでも明かりがあれば、車種までは判断できなくても、およそどの程度の大きさのクルマがいるのか、また、センターラインはどの位置にあるのか程度は簡単に見ることができ、明るい街灯などがあればなおさらはっきりとカラーで見ることが可能だ。

また夜間、後続のトラックなどのヘッドライトがドアミラーに反射して、まぶしい思いをしたドライバーも多いことだろう。そういったことも、このデジタルアウターミラーではないことも、夜間ドライブのストレスの低減につながる。

今の新車の多くがLEDを使用しているので、そういったクルマが夜間モニターに映るとちらちらと点滅するような写り方をしてしまうので、少々うっとうしく感じた。しかし、それ以外は慣れれば通常の使い方が出来るように思われ、夜間を考えると、そのメリットは大きいだろう。価格が21万円となると少々考えてしまうが、積極的にデジタルアウターミラーを導入したことは、大いに評価したい。なお、デジタルアウターミラーのオプションを検討中の方は、榊原さんも話しているようにかならず試乗して、自分の目で確認してからにしてほしい。あとから交換というのはなかなか難しいものだし、何よりも安全性に関わるものだからだ。

デジタルルームミラーは、後続車両が離れているにもかかわらず(上画像)、かなり接近しているように映ってしまう(下画像)

そして、ESにはもうひとつのデジタルミラーが採用されている。それはインナーミラー、いわゆるルームミラーだ。これは、バックビューモニターカメラと併用しているためか、カメラ位置が低く、後続車がどの程度接近しているのか、あるいは、信号停止時にかなり離れていてもローアングルの映像なので、かなり接近しているように見えてしまう。これはぜひ、別のカメラなどで対応してほしい。本来の後退時の安全を確認するカメラとは目的が大きく違うので、それに合わせたカメラ位置や性能が求められるはずだからだ。

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