レビュー
走りの性能アップが図られた最上級グレードが追加

ホンダ 新型ヴェゼルターボ(1.5L VTECターボ)へ試乗!2L超えの加速とよく曲がる足回りが魅力

ホンダで人気のコンパクトSUV「ヴェゼル」へ、直列4気筒1.5L VTECターボエンジンを搭載したグレード「TOURING・Honda SENSING」が新たに加わった。

ホンダ「ヴェゼル」の追加グレードとして登場した「TOURING・Honda SENSING」。ヴェゼルでは初採用となる、1.5L VTECターボエンジンが搭載されていることや、ボディ剛性のアップ、専用パフォーマンスダンパーの装着、アジャイルハンドリングアシストの採用など、走りに関する性能アップが図られていることが特徴だ

この直列4気筒1.5L VTECターボエンジンは、「シビックセダン」に搭載されているエンジンと同じものだ。レギュラーガソリン仕様で、最高出力は127kW[172PS]/5,500rpm、最大トルクは220N・m[22.4kgf・m]/1,700-5,500rpmになる。動力性能は、同エンジンを搭載した「ステップワゴン」(110kW[150PS]/203N・m[20.7kgf・m])よりも少し高い。

■ホンダ「ヴェゼル」TOURING Honda SENSINGの主なスペック

駆動方式:FF
全長×全幅×全高:4,340×1,790×1,605mm
ホイールベース:2,610mm
搭載エンジン:直列4気筒1.5L VTECターボエンジン
最高出力:127kW[172PS]/5,500rpm
最大トルク:220N・m[22.4kgf・m]/1,700-5,500rpm
使用燃料:無鉛レギュラーガソリン
トランスミッション:CVT(無段変速オートマチック、トルクコンバーター付)
燃費:17.6km/L(JC08モード)

TOURING・Honda SENSINGの価格は、290万3,040円。これまで、ヴェゼルの最上級グレードであった「HYBRID RS・Honda SENSING」は281万円であったが、TOURING・Honda SENSINGはさらに高い価格となり、ヴェゼルの最上級グレードに位置する。

■ホンダ「ヴェゼル」の価格

-ガソリンターボ車(VTECターボ)[追加モデル]-
TOURING Honda SENSING:2,903,040円

※以下は既存グレードの価格 [参考]

-ガソリン車(i-VTEC)-
G Honda SENSING:2,075,000円(FF)/2,291,000円(4WD)
X Honda SENSING:2,165,000円(FF)/2,381,000円(4WD)
RS Honda SENSING:2,475,000円(FF)

-ハイブリッド車-
HYBRID Honda SENSING:2,460,000円(FF)/2,676,000円(4WD)
HYBRID X Honda SENSING:2,539,000円(FF)/2,755,000円(4WD)
HYBRID Z Honda SENSING:2,710,000円(FF)/2,926,000円(4WD)
RS Honda SENSING:2,810,000円(FF)
※価格はすべて税込

ヴェゼルターボがここまで高価格になった理由について、ホンダの開発者にたずねると、「TOURING・Honda SENSINGは、上質なヴェゼルを求めるお客様のニーズに応えて開発しました。そのために、エンジンは動力性能に余裕のある1.5Lターボを搭載し、ボディも剛性を高めた専用のものになります。足まわりやタイヤの設定もRS・Honda SENSINGとは異なり、しっとりした乗り味に仕上げています。内外装も、専用に造り込んでいます」と説明する。ボディ補強などは製造にも手間を要するから、ある程度価格が高くなるのは理解できるのだが、それでもTOURING・Honda SENSINGは割高と受け取られる。

TOURING・Honda SENSINGは、RS・Honda SENSINGに比べてルーフレールやシート生地の上級化など、18万円相当の装備が加わっている。さらに、6万円相当のボディ補強も施された。さらに、VTECターボの装着を10万円とすれば(ホンダ「ジェイド」の価格を見ると1.5Lターボは意外に安い)総額34万円だ。

ノーマルエンジンを積んだRS・Honda SENSINGの価格は247万5,000円だから、TOURING・Honda SENSINGの価格はこれに34万円を加えた279万5,000円あたりが妥当だが、実際の販売価格はこれより11万円ほど高い。

やや高価な、TOURING・Honda SENSINGだが、買い得かどうかはボディ補強やサスペンションのセッティング変更にともなった、走りと乗り心地の向上によって決まるだろう。今回、そんなTOURING・Honda SENSINGへ試乗したので、走行性能を中心にチェックしていきたい。

TOURING・Honda SENSINGは、走行性能を高めるための数々のチューニングによって操舵の正確さが増し、クルマと一体になって走る感覚が得られやすくなった

TOURING・Honda SENSINGでは、ボディ補強やサスのチューニングに加えて「パフォーマンスダンパー」と呼ばれる、乗り心地を損なわずにボディ剛性を高める効果のあるパーツがボディ前後に装着されている(RS・Honda SENSINGにもパフォーマンスダンパーは採用されているが、セッティングはそれぞれ異なる)。

また、ステアリングの操作量に応じてタイヤの切れ角を変化させる「VGR(可変ステアリングギアレシオ)」の設定を変更することで、コーナーリングでリニアな旋回性能が得られるような特性になった。

それら、走りの質を高めるためのパーツの装着やチューニングなどが施されることによって、TOURING・Honda SENSINGは、RS・Honda SENSINGよりも操舵に対するクルマの反応がさらに正確になっている。小さな操舵角から、進行方向が確実に変わる。クルマがドライバーの操作に対して忠実に動くので、運転していて楽しさを覚える。コーナーへの進入や、車線変更の際にステアリングを切り込んだときの反応も機敏だ。この操舵感は、SUVというよりはミドルサイズのハッチバックに近いようなキレのよさだろう。

ヴェゼルは、もともとコーナーを曲がる際の安定性も高かったが、TOURING・Honda SENSINGはボディ剛性のアップやサスのチューニングに加えて「アジャイルハンドリングアシスト」が採用されることなどで、安定性がさらに高まっている

峠道などでコーナーを曲がるときの印象も、外側に位置する前輪がしっかりと踏ん張り、旋回軌跡はふくらみにくい。軽快感があって、ドライバーがクルマと一体になって走る感覚が得られる。比較的よく曲がる性格を与えながら、後輪の接地性もすぐれていて、安定感が高いのも特徴的だ。下り坂のコーナーを曲がっている最中に、ブレーキペダルを踏むような状況でも挙動を乱しにくい。さらに、ボディが傾くときの挙動変化も穏やかだ。

もともと、ヴェゼルはボディの傾き方が比較的ゆっくりと進み、唐突にフラッと傾くようなことがないような性格を持ってはいたが、TOURING・Honda SENSINGはボディ補強やサスペンション設定の見直しによって、この傾向をさらに強めた。

さらに、TOURING・Honda SENSINGには、ヴェゼルで唯一「アジャイルハンドリングアシスト」と呼ばれる制御システムが採用されている。コーナーを曲がるときには、必要に応じて内側のブレーキを電子制御で自動的に作動させることで、クルマの向きを変わりやすくしている。この作動にともなう違和感はなく、峠道などは走りやすい。

また、曲がるときだけでなく直進安定性もすぐれているから、高速道路などを走る際も安心で、疲労が抑えられる。

TOURING・Honda SENSINGに搭載されている「1.5L VTECターボエンジン」は、力強いトルクに加えてJC08モードで「17.6km/L」という燃費の高さを両立させている、効率のいいエンジンだ

1.5L VTECターボエンジンは、低回転域から余裕ある駆動力を発揮する。1,500rpm以下では駆動力が下がるが、CVTの作動によってこの回転域はほとんど使われない。2,000〜4,000rpmの実用域で踏み込めば、2L NAエンジンをも上まわる加速力を味わえるのが魅力だ。また、4,500rpmを超えればさらに加速が増し、熟成された足まわりと相まってスポーティーな走りを味わうことができる。

TOURING・Honda SENSINGは、RS・Honda SENSINGなどと比べると、やや乗り心地の硬さを感じる

TOURING・Honda SENSINGは、RS・Honda SENSINGなどと比べると、やや乗り心地の硬さを感じる

これまで述べた通り、TOURING・Honda SENSINGは走行性能がかなり向上しているのだが、乗り心地については少し硬い。バタバタした粗さは抑えられているが、市街地を低速で走ると路上の凹凸が伝わりやすいのだ。タイヤサイズは18インチ(225/50R18)で、タイヤ銘柄は「MICHELIN PRIMACY 3」だ。指定空気圧は、前輪が220kPa、後輪は210kPaとさほど高くはない。

ホンダ「ヴェゼル」TOURING・Honda SENSINGのインテリア。インパネの細かな箇所にも質感の高さが見てとれる

ホンダ「ヴェゼル」TOURING・Honda SENSINGのインテリア。インパネの細かな箇所にも質感の高さが見てとれる

TOURING・Honda SENSINGは、内装が上質なのも特徴のひとつだ。インパネには部分的にやわらかいパッドが使われ、ステッチ(縫い目)も模造ではなく、実際に糸を使って縫われている。ステッチが模造になる「CR-V」に比べると、内装の質感はヴェゼル TOURING・Honda SENSINGのほうが上回る。後席の居住性も、CR-Vと肩を並べるほど快適だ。

ホンダ「ヴェゼル」TOURING・Honda SENSINGは、価格は高いものの、走りのよさはヴェゼルの他グレードでは味わうことができない

ヴェゼルのグレード選びについて、実用性や割安感を求めるのなら、「X・Honda SENSING」や「RS・Honda SENSING」を選ぶほうがいいだろう。2WDでノーマルエンジンを搭載したベーシックなX・Honda SENSINGは、価格が216万5,000円と安い。TOURING・Honda SENSINGは、他グレードに比べるとやはり割高だ。

だが、これまで述べたとおり、走りを重視するユーザーであったり、上質な内外装を求める方には、TOURING・Honda SENSINGが適しているだろう。

ヴェゼルは、発売後も2015年、2016年、2018年と逐次改良が施されてきた。ヴェゼルの初期モデル(2014年頃)を購入したユーザーが、TOURING・Honda SENSINGに乗り替えれば、フルモデルチェンジを受けたかような商品力の向上を感じ取れるはずだ。それほど、ヴェゼルは5年の間に飛躍的な進化を遂げている。

TOURING・Honda SENSINGは、そんなヴェゼルの進化の頂点に位置している。機会があればディーラーの試乗などで、1.5L VTECターボエンジンのパワーと一体感が味わえる走安性の高さをぜひ味わってみてほしい。

渡辺陽一郎

渡辺陽一郎

「読者の皆様に怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も大切と考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を心掛けるモータージャーナリスト

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