レビュー
発売されたばかりのRAV4をハイブリッドとガソリンで乗り比べ

試乗でわかったトヨタ 新型「RAV4」買うならハイブリッド?ガソリン?

トヨタは、2019年4月10日に新型SUV「RAV4」の販売を開始した。

昨今のSUVブームなどを受け、5代目モデルが日本で復活したトヨタ「RAV4」

昨今のSUVブームなどを受け、5代目モデルが日本で復活したトヨタ「RAV4」

1994年に初代が発売されたRAV4は、2005年に発売された3代目RAVを最後に4代目は海外専売モデルとなっていたため、今回は5代目として日本市場に復活した形になる。

RAV4復活の理由をトヨタの開発者へたずねると、今はSUVの人気が好調なために車種の充実を図りたかったこと、そしてトヨタの日本におけるSUVラインアップには走破性にすぐれたSUVが足りなかったことがあげられるという。トヨタは、コンパクトでスポーティーなコンパクトSUVの「C-HR」、Lサイズで豪華な「ハリアー」という2車種のシティ派SUVがラインアップされているが、どちらも悪路の走破についてはほとんど考慮されていない。いっぽう、ライバル車を見ればスバル「フォレスター」や日産「エクストレイル」など、走破性にすぐれるSUVが高い人気を誇る。そこで、トヨタは悪路にも強いRAV4を日本市場に再び投入した。グレードや価格、主要スペックについては以下のとおりだ。

■トヨタ 新型「RAV4」のグレードと価格
※価格はすべて税込み
-2Lガソリン車-
X:2,608,200円[2WD]/2,835,000円[4WD]
G:3,202,200円[4WD]
G“Z package”:3,348,000円[4WD]
Adventure:3,137,400円[4WD]

-2.5Lハイブリッド車-
HYBRID X:3,202,200円[2WD]/3,450,600円[4WD]
HYBRID G:3,817,800円[4WD]

■トヨタ 新型「RAV4」の主要諸元
乗車定員:5名
全長×全幅×全高:4,600×1,855×1,685mm(X、G、HYBRID X、HYBRID G)/4,600×1,855×1,690mm(G“Z package”)/4,610×1,865×1,690mm(Adventure)
ホイールベース:2,690mm
最低地上高:195mm(X、G)/190mm(HYBRID X、HYBRID G)/200mm(G“Z package”、Adventure)
車両重量:1,500kg(X [2WD])1,570kg(X [4WD])/1,590kg(G)/1,620kg(G“Z package”)/1,630kg(Adventure)/1,620kg(HYBRID X [2WD])1,670kg(HYBRID X [4WD])/1,690kg(HYBRID G)
最高出力(2Lエンジン):126kW(171PS)/6,600rpm
最大トルク(2Lエンジン):207N・m(21.1kgf・m)/4,800rpm
最高出力(2.5Lハイブリッドエンジン):131kW(178PS)/5,700rpm
最大トルク(2.5Lハイブリッドエンジン):221N・m(22.5kgf・m)/3,600〜5,200rpm
最高出力(フロントモーター):88kW(120PS)
最高出力(リアモーター):40kW(54PS)
最大トルク(フロントモーター):202N・m(20.6kgf・m)
最大トルク(リアモーター):121N・m(12.3kgf・m)
ハイブリッド動力用主電池:ニッケル水素電池、6.5Ah
トランスミッション(2Lガソリン車):Direct Shift-CVT(ギヤ機構付自動無段変速機)トランスミッション(2.5Lハイブリッド車):電気式無段変速機

燃費(WLTCモード):
-2Lガソリン車-
X [2WD]:15.8km/L(総合)/11.9km/L(市街地)/16.1km/L(郊外)/18.1km/L(高速道路)
X [4WD]、G:15.2km/L(総合)/11.5km/L(市街地)/15.5km/L(郊外)/17.4km/L(高速道路)
:15.2km/L(総合)/11.5km/L(市街地)/15.5km/L(郊外)/17.4km/L(高速道路)
G“Z package”、Adventure:15.2km/L(総合)/11.5km/L(市街地)/15.3km/L(郊外)/17.5km/L(高速道路)

-2.5Lハイブリッド車-
HYBRID X [2WD]:21.4km/L(総合)/19.4km/L(市街地)/23.4km/L(郊外)/21.1km/L(高速道路)
HYBRID X [4WD]、G:20.6km/L(総合)/18.1km/L(市街地)/22.4km/L(郊外)/20.7km/L(高速道路)

走行状況に応じて、前後のトルク配分に加えて後輪トルクを左右独立で制御する、世界初の新4WDシステム「ダイナミックトルクベクタリングAWD」を搭載するなど、高い走破性を持つ新型「RAV4」

RAV4は、価格やボディサイズを考慮すればC-HRとハリアーのちょうど中間に収まる3兄弟のように見えるが、オフロード指向が強く、性格はほかの2車とはまったく異なる。

なお、トヨタには「ランドクルーザー」などFR(後輪駆動)ベースの本格的なオフロードSUVも存在するが、ボディが重く空間効率も下がり、価格は高い。FF(前輪駆動)ベースのRAV4やC-HRとはクルマ造りがまったく異なる。

新型「RAV4」では、運転席からボンネットが見えてインパネも低く抑えられており、前方視界は良好だ。また、リアクォーターガラスが拡大されていることから、斜め後方の視界もさほど見づらくはない

RAV4のボディサイズは、全長が4,600mm(Adventureは4,610mm)、全幅は1,855mm(Adventureは1,865mm)。視界のいいボディとまでは言えないが、前方はボンネットが視野に入り、左右を少し持ち上げているから車幅やボディの先端位置もわかりやすい。後方は、C-HRほど見にくくはない。ボディ側面の後端にある三角窓がうまく機能している。

最小回転半径は、18インチタイヤ装着車が5.5m、19インチタイヤ装着車は5.7mとやや大きい。

新型「RAV4」のインパネは、他社のライバルSUVと比べると質感の高さがうかがえる

新型「RAV4」のインパネは、他社のライバルSUVと比べると質感の高さがうかがえる

RAV4の内装は上質だ。試乗車は、2LガソリンエンジンのAdventureと2.5LハイブリッドのHYBRID G(駆動方式はどちらも4WD)だったのだが、インパネやシートには本物のステッチ(縫い目)が入る。ソフトパッドも使われており、ステッチが模造のホンダ「CR-V」と比べても質感は高い。

新型「RAV4」のフロントシートは、サイズに余裕があって座り心地も快適だ

新型「RAV4」のフロントシートは、サイズに余裕があって座り心地も快適だ

フロントシートはシートサイズに余裕があり、肩まわりのサポート性がいい。背もたれの下側と座面のうしろがしっかりと造り込まれていて、座り心地は快適だ。また、リアシートもなかなか快適だ。シートサイズに余裕があって、頭上と足元空間は十分な広さがある。頭上空間も広く、ゆったりと座ることができる。ただし、リアシートには改善すべき点もある。背もたれは、もう少しボリューム感が欲しい。2段階のリクライニングが可能だが、角度が立ち過ぎか、もしくは寝すぎてしまう。中間を加えて、3段階にしたほうがいいだろう。

新型「RAV4」のリアシートは、ノーマルエンジンでは問題ないのだが、ハイブリッドは床下にバッテリーが設置されている関係から床から座面までの距離が低く、膝が持ち上がってしまうのが難点

リアシートの座面の造りは、ノーマルエンジンとハイブリッドで異なる。ハイブリッドは駆動用電池が後席の下に設置されているので、座面の沈み込みが少し足りないように感じる。特にRAV4は、床と座面の間隔が少し狭いために腰が落ち込んでしまい、膝が持ち上がるような座り方になってしまう。ハイブリッドを購入検討する際には、一度リアシートに座って確認してみてほしい。

新型「RAV4」2Lガソリンエンジンを搭載した「Adventure」グレードの試乗イメージ

新型「RAV4」2Lガソリンエンジンを搭載した「Adventure」グレードの試乗イメージ

2Lガソリンエンジンは直噴式を採用したこともあって、排気量の割に実用回転域の駆動力は2.2L並みに高い。1,600〜2,000rpmの低回転域でもそれなりに余裕があって、4,500rpmを超える高回転域では速度上昇が活発になる。RAV4は、車重が1,600kg前後とやや重いこともあってパワフルとまでは言えないが、車格を思わせないような軽快感がともなう。

また、2Lガソリンエンジンはエンジンが回る感覚が滑らかだ。車重に対する排気量が小さいから、アクセルペダルを深く踏み込むような場面もあるものの、それでも大きなノイズや振動は出ない。

新型「RAV4」2.5Lハイブリッドを搭載した「HYBRID G」グレードの試乗イメージ

新型「RAV4」2.5Lハイブリッドを搭載した「HYBRID G」グレードの試乗イメージ

対する2.5Lハイブリッドは、2Lガソリンエンジンに比べて動力性能がかなり高く、3Lガソリンエンジンに匹敵するほどだ。アクセルペダルの踏み込み量に対して、早めに高出力を発揮するような設定によって、パワフルな走りを演出しているような印象を受ける。ハイブリッドのモーターは反応が素早く、アクセルペダルを踏み増すと瞬時に駆動力が高まるというメリットもある。

一般的に、ハイブリッドは燃費性能にすぐれたパワーユニットという印象があるが、RAV4のハイブリッドは動力性能を重視している。

RAV4に搭載されるハイブリッドシステムは、トヨタ「カムリ」と同じ「A25A-FXS型」だが、遮音の仕方が異なるためかRAV4ではノイズが少し気になる。ハイブリッドは走行中にエンジンの始動と停止(モーターのみの走行)を繰り返すから、ノイズが大きいとわずらわしく感じるかもしれない。

RAV4は、走行安定性にすぐれている。試乗した2Lガソリンエンジンを搭載したAdventureはボディが軽く、19インチタイヤはグリップ性能が高い。さらに、後輪には「ダイナミックトルクベクタリングAWD」が装着されている。これは、外側のホイールにも高い駆動力を与えてくれるので、カーブを曲がるときに旋回軌跡を拡大させにくい。制御の仕方も自然で違和感が抑えられているので、峠道を走るのにも適しているだろう。その代わり、40km/h以下で市街地を走ると、乗り心地が少し硬く感じる。

新型「RAV4」2.5Lハイブリッドを搭載した「HYBRID G」グレードの試乗イメージ

新型「RAV4」2.5Lハイブリッドを搭載した「HYBRID G」グレードの試乗イメージ

ハイブリッドGは、2Lガソリンエンジン搭載モデルに比べて車重が60〜100kgほど重く、タイヤは18インチを装着している。そのため、下り坂のカーブで危険を回避するときなど、Adventureに比べて後輪の接地性が若干損なわれやすい。半面、ハイブリッドの乗り心地は穏やかで快適だ。前述した余裕のある動力性能、ハイブリッドの低燃費と相まって、高速道路の長距離移動に適している。

今回、RAV4のために世界に先駆けて開発された「ダイナミックトルクベクタリングAWD」をラフロードで試す機会も得られた

今回の試乗では、悪路を走る機会もあった。RAV4はランドクルーザーのような本格的なオフロードSUVではないが、悪路性能も日本で使うには十分な実用性を備えている。

「ダイナミックトルクベクタリングAWD」は、前後トルクだけでなく後輪トルクを左右独立で制御することによって、荒れた道であってもドライバーが思うようなラインを安定した車両姿勢で駆け抜けることができる

特に、2Lの「ダイナミックトルクベクタリングAWD」装着車は、悪路をスポーティーに走ってもうよく曲がり、アクセルペダルを戻す操作をしても挙動を乱しにくい。また、ハイブリッドも意外にしっかりと曲がる。開発者にたずねると「エンジンを2.5Lにしたことで、後輪のモーター出力を高めることができた」という。

RAV4では、ガソリンエンジンは2L、ハイブリッドは2.5Lと排気量が異なる。その理由は、ハイブリッドをパワフルにして後輪のモーターにも十分な駆動力を与えることにあった。

RAV4は、悪路走破性をセールスポイントにするために、グレード構成は4WDが中心となっている。エンジンは前述のように2Lのガソリンエンジンと2.5Lのハイブリッドがあり、装備に若干の違いはあるが、価格はハイブリッドのほうが61万5,600円高い。一般的に、ガソリンエンジンとハイブリッドの価格差は30〜50万円なので、RAV4は差額が大きい。ハイブリッドは相対的に割高だ。

そうなると、もっとも買い得なグレードはガソリンエンジンの「X [4WD]」(283万5,000円)だ。Xに、後方の車両を検知できる安全装備の「リヤクロストラフィックオートブレーキ&ブラインドスポットモニター」(66,960円)や、「バックカメラ」(27,000円)などを装着するといいだろう。

「Adventure [4WD]」(313万7,400円)は、X [4WD]に比べて30万2,400円高いのだが、「ダイナミックトルクベクタリングAWD」や「19インチアルミホイール」(Xは17インチ)、運転席の電動調節機能などが備わる。ダイナミックトルクベクタリングAWDの単価は9万円くらいだ。購入を検討している方には、この2グレードをおすすめしたい。

ハイブリッドは排気量が2.5Lになることもあって価格が高く、Adventureのようなオフロード指向のグレードもないので選びにくい。2Lはエンジンの回転感覚が滑らかで、後席の座り心地も快適なので、選ぶメリットも多い。

新型RAV4は、ボディはやや大きいものの、SUVらしい野性味とすぐれた走行安定性、割安な価格を両立させたバランスのいいSUVと言える。ラゲッジルームやリアシートにも余裕があってファミリーカーとしても使いやすく、価格もC-HRとハリアーの中間に位置しているので、幅広いユーザーに適することだろう。

渡辺陽一郎

渡辺陽一郎

「読者の皆様に怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も大切と考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を心掛けるモータージャーナリスト

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