2019年4月15日、パイオニアは同社のカーナビ・カーAVブランド「カロッツェリア」の2019年夏モデルを発表した。
当記事では、新たに発表されたカロッツェリアの製品群の中でも特に注目したい「楽ナビ」のフルモデルチェンジと、7機種が一斉に発表された「ドライブレコーダー」について紹介したい。
5年ぶりのフルモデルチェンジとなった「楽ナビ」。今回のモデルチェンジでは、高画質化と新インターフェイスの採用による使いやすさの向上が目玉となる。
上が旧「楽ナビ」、下が新「楽ナビ」の地図画面。試しにまったく同じ場所かつ同じ縮尺で表示させてみたが、地図画面は新「楽ナビ」のほうがかなりすっきりとしていて、明るくくっきりと表示されていて見やすい。旧「楽ナビ」も見にくくはないのだが、実際に比較してみると旧「楽ナビ」の画面は肉眼ではやや白っぽく映った
新しい楽ナビでは、従来より2.4倍も高解像(2,764,800画素)な「HDパネル」を採用している。さらに、高精細なHDパネルに合わせて、メニュー画面から地図画面まで、すべてをデザインし直すことでHDパネルの美しさを最大限に引き出しているという。
「楽ナビ」の画質チューニングにおける一例。旧「楽ナビ」では自車位置マークを拡大するとジャギーのようなものが見られたが、新「楽ナビ」では自車位置マークを拡大しても滑らかになっているなど、細部にまでこだわってデザインが作り込まれている
地図画面では、自車位置マークや信号機マーク、地図記号といった細部に至るまで徹底した画質チューニングを行うことで、カロッツェリア史上最高画質を実現している。
「表示モード設定」によって、多彩な機能を持つ「おすすめモード」か、シンプルな「カンタンモード」かを選ぶことができる
さらに、「新しい」楽ナビではインターフェイスも刷新された。インターフェイスでは、好みに合わせて「おすすめモード」と「カンタンモード」の2つのモードを選択することができる。
「おすすめモード」のメニュー画面。左がAVメニュー、右がナビメニューに分けられており、デザインと操作性を両立したメニュー画面となっている
おすすめモードは、フリックやドラッグなどフレキシブルな操作が可能なメニュー画面だ。よく使う機能をホームメニュー上にカスタマイズで配置できる「ショートカット機能」や、右の中央に現在再生しているAVメニューが表示されるなど、カロッツェリアならではのメニュー画面となっている。
「カンタンモード」のメニュー画面。シンプルな操作と視認性を重視した、「楽ナビ」ならではのメニュー画面だ
カンタンモードのメニュー画面はおすすめモードと異なり、タッチ操作だけで各メニューを選べる、わかりやすい配置になっている。さらに、カンタンモードでは地図表示の際におすすめモードよりも文字が拡大されて見やすくなっていたり、ガイド音声の音量がおすすめモードよりも少し大きくなるなどの配慮が施されている。
新「楽ナビ」で東名厚木付近を表示させると、開通したばかりの新東名高速道路 厚木南IC〜伊勢原JCT間(赤丸の部分)がしっかりと収録されていた
また新しい「楽ナビ」では、2019年3月17日に開通した新東名高速道路の厚木南IC〜伊勢原JCTや、同じく2019年3月17日に開通した新名神高速道路の新四日市JCT〜亀山西JCTなど、最新の高速道路地図についてもしっかりと収録されていることも見逃せない。
新「楽ナビ」のラインアップは、画面サイズによって8V型(ラージ)、7V型(200mmワイド)、7V型(180mm)と大きく3機種に分かれ、最新の地図データへの無料バージョンアップ(年2回)が3年のタイプ(型番の末尾が910)と1年のタイプ(末尾が末尾が710)によって機種の型番が変わる。メーカーが公表する予想実勢価格は以下のとおりだ。発売日は、2019年6月頃が予定されている。
【新「楽ナビ」商品ラインアップ】
※価格はメーカー公表の予想実勢価格(税別)
-8V型ラージ-
AVIC-RL910:115,000円前後
AVIC-RL710:95,000円前後
-7V型200mmワイド-
AVIC-RW910:95,000円前後
AVIC-RW710:75,000円前後
-7V型180mm-
AVIC-RZ910:95,000円前後
AVIC-RZ710:75,000円前後
なお、地図データのバージョンアップが3年分無料の「AVIC-RL910」「AVIC-RW910」「AVIC-RZ910」の3機種については、2019年9月30日までに申し込んだ場合、最大3年分の地図データバージョンアップが1年分延長され、最大4年分になる延長キャンペーンが適用される。
ドライブレコーダー市場では後発となるカロッツェリアだが、7機種もの新製品を一気に投入することによって巻き返しを図る
今年のカロッツェリアのラインアップでもうひとつ注目したいのが、ドライブレコーダーだ。今回、パイオニアでは7機種もの新たなドライブレコーダーを発売する。カロッツェリア初の2カメラタイプが3機種、1カメラタイプが4機種だ。
カロッツェリアのドライブレコーダーの特徴としては、暗闇での撮影に強いソニーのCMOSセンサー「STARVIS(スタービス)」が搭載されていることがあげられる。光が少ない場所でも明るめに撮影することが可能なので、夜間に他車のナンバープレートを認識したり、夜間の車上荒らしなどの不審者を録画することができる。今回発表された、各ドライブレコーダーの主な特徴と発売予定日、メーカー公表の実勢価格(税抜)については以下の通りだ。
2つのカメラをフロントウィンドウとリアウィンドウに取り付けることで、前方だけでなく後方のあおり運転なども同時に録画することができる、今人気の2カメラタイプのドライブレコーダー。
2つのカメラで、前方のほか車室内を録画することができるので、運転中の側方や後方、駐車中の車上荒らしなどにも対応するドライブレコーダー。
2つの小型カメラと液晶モニターが別体となったドライブレコーダー。小型カメラは防水、防塵仕様で車外に取り付けることも可能なので、これまでドライブレコーダーを取り付けることができなかったようなクルマなどでも、工夫次第で取り付けが可能になる。
カメラが前方から後方に180°可動するので、たとえば運転中は前方を録画して、駐車時には車内を撮影することで車上荒らしの監視や抑止につなげることができるドライブレコーダー。さらに、VREC-DZ600Cではクルマのバッテリーと繋げることによって、衝撃感知による24時間の駐車監視が可能となっている。
主な機能は前述のVREC-DZ600Cと同じだが、こちらはバッテリーと繋げずに内蔵バッテリーによる最大90分間の駐車監視に対応するドライブレコーダーだ。
薄型形状でカメラ部分が可動するので、視界のじゃまにならない位置にすっきりと取り付けることができる、エントリーモデル。
ドライブレコーダー本体そのものが3cm四方の小型形状となっており、視界をじゃませずに取り付けることが可能となっている。液晶画面を搭載していないので、映像の確認や設定などは、スマートフォンアプリとWi-Fiで接続して行う。
カロッツェリアはドライブレコーダーとしては後発のブランドになるため、どのような製品が発表されるかに以前から注目が集まっていたが、7機種を同時に発表したことには驚かされた。さらに、ひとつひとつのドライブレコーダーに、ユーザーの使い勝手をよく考慮したうえでの特徴をしっかりと持たせていることにも感心できる。
他社のドライブレコーダーも高画質化や使いやすさなど、かなり高いレベルにはあるものの、2019年の夏ボーナス商戦で大手が独占している高価格帯のドライブレコーダー市場でカロッツェリアがどこまでシェアを獲得できるかに注目だ。
PC、AV家電を中心に幅広く担当。クルマ好きのため、週末はフラフラと1000km超を運転する長距離ドライバーと化します。