レビュー
チャイルドシートの乗降性は?収納は?

“子育てパパ”が「N-BOXカスタム」と「スペーシアカスタム」を比較してみた

かつて「ファミリーカー」といえばセダンだったが、今は「ミニバン」や「スーパーハイト軽ワゴン」などにその役目は取って代わられた。5人以上の家族ならほとんどミニバン一択だが、4人以下のファミリーならコンパクトで取り回しがよく、コンパクトカーやSUVよりも空間効率にすぐれるスーパーハイト軽ワゴンはとても魅力的だ。

今回、0歳の子どもを持つ筆者が、パパ目線でホンダ「N-BOXカスタム」(左)とスズキ「スペーシアカスタム」(右)を比較してみた

2018年の普通車と軽自動車を合わせた新車販売台数ランキングを見てみると、1位がホンダ「N-BOX」、2位はスズキ「スペーシア」、3位は日産「デイズ」(ルークス含む)、4位はダイハツ「タント」と、普通車を差し置いてスーパーハイト軽ワゴンが上位に並んでいる。

では実際のところ、スーパーハイト軽ワゴンにはどんな魅力があるのだろうか? 日本で一番売れている車であるホンダ「N-BOX」と、2番目に売れているスズキ「スペーシア」を比較してみた。なお、筆者には0歳の子どもがおり、まさに今スーパーハイト軽ワゴンに魅力を感じているひとりである。

比較したのはN-BOXとスペーシアの最上級カスタムグレード

今回はセカンドカーではなく、ファミリーのファーストカーとして使うことを想定して、N-BOX、スペーシアともにターボエンジンを搭載する最上級グレードを比較対象とした。

N-BOX カスタムG・EXターボHonda SENSING FF 1,949,400円
スペーシアカスタム HYBRID XSターボ 2WD 1,787,400円

まずは、スタイリングから見ていこう。両車ともカスタムモデルのため、エアロパーツや15インチアルミホイールが備わる部分は共通だ。

ホンダ「N-BOXカスタム」のフロントイメージ

ホンダ「N-BOXカスタム」のフロントイメージ

ホンダ「N-BOXカスタム」のリアイメージ

ホンダ「N-BOXカスタム」のリアイメージ

N-BOX カスタムは、大きなグリルを採用するライバルたちが多い中、控えめなフロントマスクが印象的。ボディカラーが、有料色のプレミアムグラマラスブロンズ・パールであることもあり、上質な雰囲気だ。LEDヘッドライトには、シーケンシャルウィンカーを採用する。

スズキ「スペーシアカスタム」のフロントイメージ

スズキ「スペーシアカスタム」のフロントイメージ

スズキ「スペーシアカスタム」のリアイメージ

スズキ「スペーシアカスタム」のリアイメージ

カスタムではないスペーシアがかわいらしさをアピールしている分、スペーシアカスタムは幅広のメッキフレームを持つ大きなグリルで、カスタムモデルらしさを強調している。こちらもヘッドライトはLEDだ。

サイドビューもN-BOXカスタムはシンプルで、セダンの落ち着きを軽ワゴンに凝縮したような雰囲気。スペーシアカスタムは、スーツケースをイメージしたというだけあって、ウインドウをぐるりと囲むドアフレームやドアやフェンダーに凹形状を設けるなど、個性を主張する。デザインは好みがはっきり分かれそうだ。

まるでステップワゴンのような「N-BOX カスタム」、充実した収納スペースを持つ「スペーシアカスタム」

ホンダ「N-BOXカスタム」のインパネ

ホンダ「N-BOXカスタム」のインパネ

インテリアのデザインや雰囲気も、両車で異なる主張を感じる。N-BOX カスタムはステップワゴンのインパネをそのまま軽自動車サイズに縮小したようなデザイン。メーターも上級車顔負けのデザインを採用する。

スズキ「スペーシアカスタム」のインパネ

スズキ「スペーシアカスタム」のインパネ

スペーシアカスタムは外観同様、道具っぽさを感じさせるもの。助手席前にふたつきのアッパーボックスがあったり、その下に引き出し式の収納があったり、軽自動車を得意としてきたメーカーだけあって、収納類の充実が光る。拡散モード/スポットモードが切り替えられる丸型のエアコンルーバーもユニークなところ。頭上には、後席へエアコンの風を送るサーキュレーターもついているし、細かい使い勝手がよく考えられている印象だ。後席に座る家族思いの装備だといえる。

両車のスライドドア開口部をチェック!

リアシートにチャイルドシートを設置して、子どもを乗せ降ろしする必要があるため、ホンダ「N-BOX」とスズキ「スペーシアカスタム」の開口部をチェックしてみた

子育てパパとしてもっとも気になるのは、リヤシートまわりの使い勝手。特に今回、気にしたのが、スライドドアの開口部とアクセス性だ。チャイルドシートに子どもを乗せ降ろしするとき、開口部は大きいほうがうれしい。

両車の開口部の狭い部分を計測してみると、N-BOXカスタムの方が広かった

両車の開口部の狭い部分を計測してみると、N-BOXカスタムの方が広かった

その点で見ると、優位だったのはN-BOX カスタムで、開口部のもっとも狭いところでも約60cm(実測、以下同じ)。スペーシアカスタムは、カタログでは60cmの開口部をうたっているものの、狭い部分で図ると53cmほどしかなく、少々狭い印象。

ホンダ「N-BOXカスタム」のリアシート

ホンダ「N-BOXカスタム」のリアシート

スズキ「スペーシアカスタム」のリアシート。リアシートを前方へスライドさせると、スペーシアカスタムのほうが手前に来るために外から子どもを直接乗せ降ろししやすい

ただし、リアシートのスライド位置を前方にしたとき、開口部により近い位置にシートがくるのはスペーシアカスタムのほうだ。中に乗ってから乗せ降ろしをするなら問題にならないが、外から直接乗せ降ろしをするなら、スペーシアカスタムのドアとシートの位置関係はメリットになる。

大人が座ったときのかけ心地は、N-BOXカスタムのほうがよかった。スペーシアカスタムのリアシートは平らな印象だったのに対し、N-BOX カスタムのリアシートは立体感があり、フロントシートに近い座り心地を得られたのだ。

なおN-BOXカスタムの助手席下にはシートベルトユニットが、スペーシアカスタムの助手席下にはバッテリーが格納されており、どちらも左後席に座ったときにつま先は助手席下に入らない。N-BOXカスタムはシートベルトユニットをシートに内蔵しないベンチシートも用意されているので、こちらもチェックしてみたいところだ。なお、シートバックテーブルは、スペーシアカスタムならではの装備だ。

後ろに奥さんと子どもが座ることを考えると、「シートバックテーブル」が備えられているスペーシアカスタムは後席の使い勝手がいい

荷室の広さは「N-BOX カスタム」だが、「スペーシアカスタム」も小技が光る

次は両車の荷室をチェックしてみよう

次は両車の荷室をチェックしてみよう

荷室は、スーパーハイト軽ワゴンだけにどちらも広く、形状もスクエアで使い勝手はよさそうだ。しかし、仔細に観察していくとそれぞれに特徴があり、N-BOXカスタムはスペーシアカスタムよりも奥行きが大きくとられていることがわかった。

ホンダ「N-BOXカスタム」のラゲッジルーム

ホンダ「N-BOXカスタム」のラゲッジルーム

スズキ「スペーシアカスタム」のラゲッジルーム。寸法を測ってみると、N-BOXカスタムのほうが少し奧行きは深いものの、どちらも使い勝手はよさそうだ

計測してみるとN-BOXカスタムが41〜60cm、スペーシアカスタムが30〜52cm。とはいえ、どちらも折りたたんだベビーカーを縦に収納できる寸法であることには変わりなく、実用上問題になることはないだろう。なお、ラゲッジルームに12Vソケットがついているのは、スペーシアだけだった。スペーシアカスタムは小技が光る。

重厚な走りの「N-BOX カスタム」、軽快な「スペーシアカスタム」

スペック的には大きくは変わらない両車だが、乗り味はかなり異なる

スペック的には大きくは変わらない両車だが、乗り味はかなり異なる

660cc 3気筒 ターボ+CVTのパワートレインから発生される最高出力は、両車とも47kW<64PS>/6,000rpmで同じ。最大トルクはN-BOXカスタムが104Nm<10.6kg・m>/2,600rpmで、スペーシアカスタムが98Nm<10.0kg・m>/3,000rpmと、スペックだけを見るとN-BOXカスタムが優位だが、スペーシアはISG(モーター機能付発電機)が加速をアシストするハイブリッドシステムを搭載する。

踏み込むほどに軽やかに加速する「スペーシアカスタム」

踏み込むほどに軽やかに加速する「スペーシアカスタム」

乗ってみると重厚なN-BOXカスタムに対して、軽快なスペーシアカスタムといった雰囲気。モーターアシストがある分、スペーシアカスタムの方が加速は軽やかな印象で、ステアリングにあるPWRボタンを押せば、さらに加速は鋭くなる。

スペーシアカスタムと異なり、どっしりと重厚な乗り心地の「N-BOXカスタム」

スペーシアカスタムと異なり、どっしりと重厚な乗り心地の「N-BOXカスタム」

乗り心地も、N-BOXカスタムはどっしり、スペーシアカスタムは軽快という言葉がしっくりきた。これは好みの問題だが、筆者が魅力的に思えたのは軽自動車であることを感じさせないしっとりした乗り心地のN-BOXカスタムのほうだ。スペーシアカスタムも決して悪くはないのだが、N-BOXカスタムのほうが走りは上質な印象が強い。

なお、走行距離やパターンが大きく異なるので明言はさけるが、車載の燃費計を見ているかぎり、ハイブリッドシステムを搭載するスペーシアカスタムの方が燃費はよさそうだった。

ホンダとスズキ、それぞれのメーカーの得意分野を凝縮させたような軽ワゴン

同じスーパーハイト軽ワゴンでも、キャラクターや細部の作り方がまったく違うことは興味深い。フルラインメーカーが作る軽自動車と、軽自動車メーカーが作る上級モデルという成り立ちがそうさせるのかもしれない。

日本でもっとも売れている2台のクルマだけあって、それぞれのメーカーの魅力が凝縮されているように感じた

日本でもっとも売れている2台のクルマだけあって、それぞれのメーカーの魅力が凝縮されているように感じた

筆者はN-BOXカスタムのしっかりしたシートや乗り心地に感銘を受けたが、子育てパパ目線では、豊富な収納やリヤサーキュレーターなど、日常の使い勝手を左右する装備が充実したスペーシアカスタムも魅力的で、まさに「甲乙つけがたし」といったところ。しかし、普通車からのダウンサイジングならば、N-BOXカスタムのほうがしっくりくるだろう。

木谷宗義

木谷宗義

車メディアとSNSの編集者。編集者として企業メディアやSNSのコンテンツ制作を手がける他、自身もライターとして年間約100本の記事を執筆する。自動車の歴史から機能解説、ドライブデートまでその幅は広いが、その主軸はひとりの自動車ユーザーとして「役に立つこと」。1981年、神奈川県生まれ。

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