レビュー
車内のAC電源も使って快適な車中泊を目指してみた!

12月に車中泊! 寒さも感じずぐっすり就寝できたトヨタ「シエンタ」がイイ感じ


車中泊向きの自動車で1泊し、使い勝手や寝心地をチェックしている筆者。これまでスズキ「ハスラー」ホンダ「N-VAN」ダイハツ「ウェイク」という軽自動車で車中泊してきたが、今回はコンパクトサイズのミニバンであるトヨタ「シエンタ」で寝てみることにした!

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車中泊向けのシエンタ「FUNBASE」グレード

トヨタのミニバンの中では最小サイズとなるコンパクトな車体が特徴のシエンタは、一般的なミニバンより500mm近く短い全長ながら、3列シートの7人乗りを実現。ただ、この3列シート車はフルフラットにならないため、車中泊には不向き。そこで2018年のマイナーチェンジの際に追加されたのが、3列目を廃し、2列目のリアシートを前方に倒すことで、ラゲージスペースとつながったフラットなスペースを作り出せる2列シート5人乗りの「FUNBASE」グレードだ。このグレードの登場により、シエンタはいっきに車中泊向けの車種として期待できる存在となった。

サイズは4,260(全長)×1,695(全幅)×1,675(全高)mmと、ミニバンとしてはかなりコンパクトだ

サイズは4,260(全長)×1,695(全幅)×1,675(全高)mmと、ミニバンとしてはかなりコンパクトだ

パワーユニットは1.5Lの4気筒エンジンと、それにハイブリッドを組み合わせた2モデルがラインアップ。今回は、ハイブリッドのほうを使用する

2列シートなのでセカンドシートの足もとも広く、ゆったりと座れる

2列シートなのでセカンドシートの足もとも広く、ゆったりと座れる

3列目がないため、ラゲージスペースも結構広い。キャンプ道具などもたっぷり積み込める

3列目がないため、ラゲージスペースも結構広い。キャンプ道具などもたっぷり積み込める

ラゲージスペースの床は天地をひっくり返えせるようになっており、高さが変えられる。高さのあるもの積む際に役立つ

さらにラゲージスペースを拡大したい時は、セカンドシートを倒す。シートの肩部分にあるレバーを引くだけで倒せるので、操作は簡単だ

セカンドシートを倒してできるラゲージスペースは、テールゲートの開口部からフロントシートの背面まで2,065mmにもなる。サーフボードやロードバイクなどの長さがあるものも積むことが可能に

純正アクセサリーを使って快適な寝床を作る

セカンドシートを倒すと荷室長は2m以上となるので、大人が横になれる十分な広さがある。パッと見た感じ、床面もフラットで寝るのも問題なさそうだが、カタログスペックや写真で見ているのと実際の寝心地は異なるもの。そこで、まずはシンプルにシートを倒した状態で横になってみることにした。

シート背面とラゲッジスペースの間に溝はできているが、この程度なら気にならなそう

シート背面とラゲッジスペースの間に溝はできているが、この程度なら気にならなそう

身長175cmの筆者が横になれる長さはあるものの、まっすぐ横になるとシートの背面から頭がはみ出て、フロントシートとの隙間に落ちてしまうことが判明。カタログスペックの「荷室長」は、あくまでも収納できる荷物のサイズであって、そのスペース全面が床になっているわけではないのだ。もちろん、ひとりで車中泊する場合は、斜めになれば頭から足先まで床面がある状態で寝られる。

身長があと10cm低ければ(165cmくらい)、このようなシートの倒し方でも車中泊できるだろう

身長があと10cm低ければ(165cmくらい)、このようなシートの倒し方でも車中泊できるだろう

身体を斜めにせず、まっすぐ横になっても頭が床面から落ちないように、今度はセカンドシートをめいっぱい前に移動させてから倒してみた。これで頭が落ちる問題は解決したが、ラゲッジスペースとシートの間にそこそこの隙間が! 寝られないわけではないが、快適ではない。

セカンドシートを前に出してから倒せば頭の下に床はできるが、背中の下に隙間ができてしまう

セカンドシートを前に出してから倒せば頭の下に床はできるが、背中の下に隙間ができてしまう

このような隙間がある場合、クッション性のあるマットなどを敷いて対策する。ただし、シエンタのようにシート背面が寝床になるタイプは、すき間の有無関係なしにマットなどを敷かないと、まず寝られないだろう。市販のものを用意してもかまわないが、今回は「FUNBASE」グレードとともにラインアップされた車中泊向けの純正オプション「FUNBASEセット」(メーカー希望小売価格83,000円/税別)を使用することにした。さっそく、FUNBASEセットのフロアマットを敷いてみよう。

フロアマットは丸められるので、車中泊に出かける際もかさばりにくい

フロアマットは丸められるので、車中泊に出かける際もかさばりにくい

丸めて収納していたので若干反っているが、寝てしまえば問題ない。専用のフロアマットをもうひとつ用意すれば、2枚分ぴったり敷ける

FUNBASEセットにはフロアマットのほか、ラゲッジスペースを有効的に使えるようにするユーティリティフック(4個)、システムバー(2本)、ラゲージマルチネット、ラゲージアッパーボード、ラゲージアッパーボックスもセットとなっている。せっかくなので、FUNBASEセットのアイテムを使い、快適性の高い車中泊にしてみよう。

まずは、ユーティリティフックとシステムバー、ラゲージアッパーボックスを使って棚を作る。普通の自動車で車中泊する際、ひとりなら困ることは少ないが、2人以上になると荷室に積んできた荷物はどこに置くのかという問題が発生するもの。そんな荷物を置いておける場所を、寝床の上に作れるのがこの組み合わせだ。

ユーティリティホールを外し(オレンジの○の部分を塞いでいるパーツ)、ユーティリティフックを取り付ける。固定にはドライバーが必要

ラゲージアッパーボックスにシステムバーを通す

ラゲージアッパーボックスにシステムバーを通す

システムバーをユーティリティフックに取り付ければ、棚が完成だ

システムバーをユーティリティフックに取り付ければ、棚が完成だ

こんな感じで棚が設置されるので、足を伸ばして横になることができる

こんな感じで棚が設置されるので、足を伸ばして横になることができる

棚は約20cmの深さがあり、結構いろいろなものを入れておける。耐荷重は5kg

棚は約20cmの深さがあり、結構いろいろなものを入れておける。耐荷重は5kg

ラゲージアッパーボックスを設置した状態で、セカンドシートを起こすことも可能。なお、ラゲージアッパーボックスに荷物を入れたまま走行する場合は、ラゲージマルチネットをかぶせて固定することが推奨されている

このような棚に加え、標準装備されている収納スペースを活用すれば、ある程度の荷物を積み込んでおいてもゆったりと車中泊できるだろう。

もっとも大きな収納スペースは荷室下。ハイブリッド車は写真のような感じだが、ガソリン車はハイブリッド車ではふさがれている向かって左側の部分にも収納できるようになっている

インパネに、グローブボックス以外の収納スペースが多いのもポイント

インパネに、グローブボックス以外の収納スペースが多いのもポイント

ちょっとおもしろいのが、インパネ上部の小物入れの扉に空いた穴。手をかけて扉を開ける際にも利用するが、このスペースから財布などを差し込むと……

扉を閉めたまま中に財布が入る。ちょっとしたことではあるが、有料道路などで支払いを済ませたあと、いちいち扉を開けずにサッと収納できるのは便利

寝心地はどれほど? 車中泊スタート!

収納スペースと寝床の確保ができたところで、車中泊スタート。目的地に明るいうちに到着したので、車内でくつろげるように、FUNBASEセットに含まれるラゲージアッパーボードをラゲージアッパーボックスの上に置き、テーブルのようにしてみた。

ラゲージアッパーボードは、固定する必要はなく、ただ載せるだけでいい。それほど重くないので、女性でも簡単に設置できる

テーブルっぽいものが完成。飲み物を置いておけるので、これはあったほうが便利

テーブルっぽいものが完成。飲み物を置いておけるので、これはあったほうが便利

この状態でも問題なく横になれるので、このまま就寝する。トライしたのは12月半ばだったので、寝袋も用意した。

撮影の都合上、明るいうちに撮っているが、ガチで1泊している。下に敷いた厚みのあるマットのおかげで、背中部分のすき間も気にならず、寝心地もなかなかいい

時期的に心配だったのは寒さ。雪山などで過ごせるほど高性能な寝袋ではなかったが、移動中にカーエアコンをガンガン入れて車内を暖めておいたおかげで、なんの問題もなくスムーズに寝入ってしまった。実は今回、いざという時にエアコンを使っても、エンジンがかかるまでの時間を最小限にするためにハイブリッド車を選んだのだが(都内では駐車中のアイドリングが条例で禁止されている)、実際は、エアコンは使わず朝まで熟睡。ただ、目覚めた時は車内の空気も冷え切っていた。それ相応の寝袋を用意したり、窓の断熱シェードなどを使うと寒さが緩和できるだろう。

ラゲッジスペースにはエンジンを切った状態でも点灯させられるランプが装備されているので、夜間、役立った

ラゲッジスペースにはエンジンを切った状態でも点灯させられるランプが装備されているので、夜間、役立った

ドアポケットにドリンクホルダーがあり、就寝中に飲むためにドリンクを置いておけるのも◎

ドアポケットにドリンクホルダーがあり、就寝中に飲むためにドリンクを置いておけるのも◎

就寝前から朝起きるまでは寒さを感じず、ぐっすり眠ることができたが、朝はやはり冷える。そこで、電気ケトルでお湯を沸かし、温かいコーヒーを飲むことにした。「シエンタ FUNBASE」には、トータル1,500Wまでの出力に対応した100Vコンセントが2つ装備されている。エンジンをオンにしておかないとAC電源は使えないが、ハイブリッド車は、バッテリーから給電し、バッテリーが減るとエンジンがかかって充電するというようになっているため、ガソリン車よりも静かに過ごせるのがいい。

コンセントは運転席と助手席に間にひとつと、ラゲッジスペース後方にひとつの計2つ

コンセントは運転席と助手席に間にひとつと、ラゲッジスペース後方にひとつの計2つ

エンジンをかけ、「AC100V」をオンにするとコンセントが使えるようになる

エンジンをかけ、「AC100V」をオンにするとコンセントが使えるようになる

筆者所有の電気ケトルの消費電力は900W。問題なく沸かせる!

筆者所有の電気ケトルの消費電力は900W。問題なく沸かせる!

コップ1杯分のお湯を沸かすだけなので、1分もかからずに沸騰。コーヒーをドリップして、朝からゆったりとした時間を過ごす。というより、コンビニなどに買いにいかなくても温かいものが飲めたのはうれしい。寒さがかなり緩和された

電気ケトルが問題なく使えたので、トースターでパンも焼いてみることにした。使ったのは、「BALMUDA The Toaster」。消費電力は1,300Wなので、使えるはずだ

ドキドキしながらトースターの中をのぞいていたが、問題なく焼けていく

ドキドキしながらトースターの中をのぞいていたが、問題なく焼けていく

加熱し過ぎたのか、ちょっと焦げてしまったが、チーズトーストが完成。車内のコンセントでトースターを使ったことはなかったので、無事に最後まで焼けたことに感動した

実は、このトースターは価格.comマガジンの編集者さんに借りたもの。BALMUDA The Toasterで焼いたチーズトーストはおいしいというウワサを聞いたことがあるものの、食べるのは初となる。そして、食べてびっくり! まわりはサクサクなのに、中がしっとりしていて、筆者が家で食べているトーストとは別物だ。これはウマい

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まとめ

これまでレビューしてきた軽自動車に比べると、シエンタの車内はかなり広い。セカンドシートを倒すだけで大人2人が寝られるスペースが確保できるのだから、ミニバンは車中泊に向いていると言える。それでいて、車体はコンパクト。運転しやすく、普段使いの勝手もいいのは魅力的だ。

今回試乗したハイブリッド車の燃費は平均18.4km/Lと、かなり良好

今回試乗したハイブリッド車の燃費は平均18.4km/Lと、かなり良好

フロントウィンドウのカメラとレーザーレーダーで前方を監視し、自動ブレーキや前車に追従する安全機能「Toyota Safety Sense」も装備されている

さて、肝心の車中泊の感想だが……、はっきり言って快適だ。試したのは12月と寒い時期だったが、予想していたより寒さを感じることはなく、寒さで睡眠が阻害されることもなかった。倒したシートとラゲッジの間にすき間はできるが、マットを使えばフラットな状態で横になれ、連泊しても体に疲れは残らないほどの寝心地だったので、不満はない。また、ハイブリッド車であれば、AC電源を使ってもエンジン音がずっと響くことがないのもいい。実は、筆者は今まで、電化製品を車内で使ったことがなかったが、電気ケトルとトースターだけで幸福感が大きく変わった。ちょっとした工夫で、車中泊の快適さは向上させることができる。そんなところも、おもしろい。

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増谷茂樹

増谷茂樹

カメラなどのデジタル・ガジェットと、クルマ・バイク・自転車などの乗り物を中心に、雑誌やWebで記事を執筆。EVなど電気で動く乗り物が好き。

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