レビュー
新型スープラと新型Z4、兄弟車ながら乗り味はまったく異なる

発売直前のトヨタ 新型「スープラ」とBMW 新型「Z4」、3L直6エンジン同士で乗り比べ!

今話題のクルマのひとつといえば、トヨタから発売される新型スポーツカーの「スープラ」だ。

デトロイトモーターショー2019で世界初披露されたトヨタ 新型「スープラ」が、いよいよ日本で発売される

デトロイトモーターショー2019で世界初披露されたトヨタ 新型「スープラ」が、いよいよ日本で発売される

筆者が独自に入手した情報によると、新型スープラは2019年3月上旬にはすでに予約受注を開始しており、2019年5月17日に発表予定となっている。新型スープラの価格は、以下のとおりだ。

■トヨタ 新型「スープラ」のグレードラインアップと価格
-3L直列6気筒ターボエンジン搭載グレード-
RZ:690万円
-2L直列4気筒ターボエンジン搭載グレード-
SZ-R:590万円
SZ :490万円

新型スープラは、FR(後輪駆動)を採用する2人乗りのスポーツカーだが、ボディは意外と大きい。新型スープラのボディサイズを、ライバル車の日産「フェアレディZ」やトヨタ「86」と比較してみよう。
※当記事の画像は北米仕様の新型スープラの画像になりますので、日本仕様とは一部異なります。

■トヨタ 新型「スープラ」とライバル車とのボディサイズ比較
-トヨタ 新型「スープラ」-
全長×全幅×全高:4,380×1,865×1,290mm(SZ-R、SZ)・1,295mm(RZ)
ホイールベース:2,470mm

-日産「フェアレディZ」-
全長×全幅×全高:4,260×1,845×1,315mm
ホイールベース:2,550mm

-トヨタ「86」-
全長×全幅×全高:4,240×1,775×1,320mm(アンテナ含む。ルーフ高は1,285mm)
ホイールベース:2,570mm

トヨタ 新型「スープラ」の全長や全幅は、ライバル車と比べて長く、幅広い

トヨタ 新型「スープラ」の全長や全幅は、ライバル車と比べて長く、幅広い

新型スープラの全長は4,380mmと、日産「フェアレディZ」(全長4,260mm)やトヨタ「86」(全長4,240mm)に比べて100mm以上長い。新型スープラの全幅は1,865mmなので、フェアレディZよりも20mmほどワイドだ。それでも、全幅が1,900mmに達するような昨今のスポーツカー事情を踏まえると、新型スープラの全幅は平均的とも言える。

トヨタ 新型「スープラ」のホイールベースは、ライバル車と比べても短い

トヨタ 新型「スープラ」のホイールベースは、ライバル車と比べても短い

ホイールベースは2,470mmと、フェアレディZの2,550mmに比べて80mm、86より100mm短い。つまり、新型スープラは全長が長い割にホイールベースは短い。ボディを横方向から見ると、前後のオーバーハングが相対的に長いスタイルになった。

新型スープラは、今のカーデザインの流行に反している。昨今のスポーツカーは、ホイールベースを伸ばしてオーバーハングを短く抑える傾向が多い。4輪をボディの四隅に配置してオーバーハングを短くすれば、カーブを曲がったり車線を変えるときに慣性の影響を受けにくく、安定性を高めやすいからだ。

また、クルマの居住空間は前後輪の間に位置するため、ホイールベースを長くすれば居住性を向上させやすい。車内の広さが重要なセダン、コンパクトカー、軽自動車、ミニバンなどでは、ホイールベースを伸ばす傾向が特に強い。

クラシックな雰囲気すら感じられる、トヨタ 新型「スープラ」のエクステリア

クラシックな雰囲気すら感じられる、トヨタ 新型「スープラ」のエクステリア

新型スープラは、ショートホイールベース、ロングオーバーハングだから、外観にクラシックな雰囲気すら感じる。一時代前の、アメリカ車のプロポーションにも近い。

ホイールベースを短く抑えた理由は、機敏な運転感覚を実現させるためだ。前後輪の間隔が短ければ、車両の向きを変えやすい。特に曲がりくねった峠道などは、ホイールベースが短いと運転しやすい。

トヨタ 新型「スープラ」は、BMWと共同開発による車両のため、BMW 新型「Z4」とプラットフォームなどにおいて共通部分を持っている

ちなみに、新型スープラはBMWと業務提携を行って開発されているために、新型「Z4」と基本部分は共通だ。新型Z4の全幅とホイールベースは、新型スープラと同じ数値で、全長は新型Z4のほうが45mm短い4,335mmとなる。両車のエクステリアデザインは大きく異なり、新型Z4はBMWらしい伝統的なフロントマスクを備えている。また、新型Z4は今のところ電動開閉式のソフトトップのみで、新型スープラはハードトップのクーペだから、ボディの上側もまったく異なる。

トヨタ 新型「スープラ」のインテリア。画像は北米仕様のために左ハンドルだが、日本仕様は右ハンドルになる

新型スープラの内装は、ATレバーが装着されるセンターコンソールの位置が高く、FR(後輪駆動)のスポーツカーらしい囲まれ感がともなう。シートは、サイドサポートが大きく張り出して、体をしっかりとホールドする。新型スープラのようなスポーツカーでは、パーツの交換をしないでサーキット走行を楽しむことも想定され、シートは着座姿勢を乱さないことに重点が置かれている。

トヨタ 新型「スープラ」のATレバーの形状は、BMWそのものだ

トヨタ 新型「スープラ」のATレバーの形状は、BMWそのものだ

インパネのデザインは水平基調で、中央部分はドライバー側に若干傾けた。基本的な形状は新型Z4と同じだが、似ている印象は受けない。ただし、手首を捻るように操作するATレバーの形状はそっくりだ。独特の操作方法だから、BMWを意識させる。

また、新型スープラは日本車なのに、方向指示器のレバーが左側に装着されている(一般的な日本車は右側に装着)。開発者は「多額の費用を要するから、右側に移さなかった」と説明しているが、それはスープラがBMW「Z4」をベースに造られた(スープラがベースではない)ことを示す。

新型「スープラ」に搭載されるエンジンは、すべてBMW製

新型スープラに搭載されているエンジンは、すべてBMW製だ。かつてのスープラには、トヨタの主力エンジンである3L直6の「2JZ」などが搭載されていたが、新型スープラでは4気筒も含め、すべてBMW製のエンジンが搭載されている。

トヨタ 新型「スープラ」には、3L直6ターボエンジンのほか、2種類の2L直4ターボエンジンがラインアップされている

新型スープラの動力性能は、「RZ」に搭載されている3L直6ターボエンジンでは、最高出力が340PS(5,000〜6,500rpm)、最大トルクは51kg-m(1,600〜4,500rpm)。この値は、新型Z4の「M40i」グレードとほぼ同じになる。

いっぽう、2L直4ターボには、2種類のエンジンが用意されている。「SZ」は、最高出力が197PS(4,500〜6,500rpm)、最大トルクが32.6kg-m(1,450〜4,200rpm)で、「SZ-R」は258PS(5,000〜6,500rpm)・40.8kg-m(1,550〜4,400rpm)に高められている。SZは、実用回転域の駆動力を重視した設定で、最高出力は2Lターボながら200PSを下まわるが、最大トルクは低回転域から余裕を持たせている。

「SZ」は、新型Z4の2L直4ターボを搭載した「sドライブ 20i」とほぼ同等の性能だ。なお「SZ-R」に相当する2L直4ターボの高性能版については、今のところ新型Z4には用意されていない。

同じエンジン、プラットフォームを使っていながら、まったく異なる2台

筆者は、すでに新型スープラ、新型Z4のどちらにも試乗している。そこで、両車のドライブフィールの違いについて比較してみよう。新型スープラはRZのプロトタイプ、新型Z4はM40iと、どちらも3L直6ターボエンジン搭載車に試乗したが、その印象はかなり異なるものだった。

BMW 新型「Z4」は、BMWらしい安定感のある走りが特徴的だ

BMW 新型「Z4」は、BMWらしい安定感のある走りが特徴的だ

新型Z4は、スポーツカーである以前にBMWとして、操舵感と走行安定性がバランスよく仕上げられている。操舵角に対して忠実に曲がるが、特に機敏な印象には仕上げてられていない。そのために、たとえば下り坂のカーブで危険を回避するようなときも、安心して対処できる。

トヨタ 新型「スープラ」は、機敏に曲がるコーナーリングが特徴のひとつだ

トヨタ 新型「スープラ」は、機敏に曲がるコーナーリングが特徴のひとつだ

そんな新型Z4に比べて、新型スープラでは2,500mmを下まわる短いホイールベースを生かして、クルマが機敏に曲がるような性格を持たせている。ボディ剛性が高く、トレッドもワイドだから安定感が不足しているといったことはないが、前後輪のグリップバランスは前輪寄りに感じる。つまり、ホイールベースの短い外観と同様に、曲がる性能を重視するクラシックな考え方に基づいている。

新型スープラは、現代のスポーツカーで安定性も高いが、試乗するとそのドライバビリティは旧来のスープラが思い起こされて、とても懐かしい気分になった。同じクルマながら、新型Z4に試乗してもこのような情緒は感じられなかった。

BMW 新型「Z4」には、全グレードにオープンボディが採用されている

BMW 新型「Z4」には、全グレードにオープンボディが採用されている

新型スープラと新型Z4の比較では、ルーフ形状の違いも運転感覚に大きく影響する。新型Z4は、オープンボディとしては剛性が高く、フロントピラーが路面の振動を受けて細かく震えることはないが、クローズドボディに比べると不可避的にねじれが生じやすい。安定性を高めやすいのはクローズドボディの新型スープラだ。したがって、新型スープラの機敏な操舵感を、新型Z4のオープンボディに与えたら、走りのバランスを保つのは難しいだろう。

BMW 新型Z4と異なり、クローズドボディを採用するトヨタ 新型「スープラ」

BMW 新型Z4と異なり、クローズドボディを採用するトヨタ 新型「スープラ」

新型スープラは、高剛性のクローズドボディと短いホイールベースを生かして、切れのいい動きでコーナーリングできる、旧来の思想を受け継いだスポーツカーだ。そのため、ドライバーを楽しませる傾向が強い。対する新型Z4は、爽快なオープンドライブが楽しいスポーツカーだが、運転感覚はバランスタイプだ。峠道だけでなく、高速道路を長距離移動するような使われ方も視野に入れている。あくまでも、BMWというブランドの考え方を優先させていると言える。エンジンやプラットフォームは共通でも、両車の魅力はかなり異なる。

新型スープラ、新型Z4ともに、3L直6ターボの動力性能は4.5〜5L並み

3L直6ターボの動力性能は、新型スープラ、新型Z4ともに十分なパワーがある。実用回転域の駆動力は高く、4,000rpmを超えたときの吹け上がりもいい。ノーマルエンジンに当てはめると、4.5〜5L並みの性能で、エンジン回転の上昇につれて急激にパワーがかかるようなターボのクセは抑えられており、運転しやすい。

BMW 新型「Z4」のタコメーター(右)は、針が時計と逆回りに上昇していく(左回り)動きになっている

BMW 新型「Z4」のタコメーター(右)は、針が時計と逆回りに上昇していく(左回り)動きになっている

ひとつ注意したいのは、新型Z4のタコメーターについて。右下から左上に向けて、左回りに針が動く通常のタコメーターとは、逆の表示方法となっている。欧州車には、いくつか左回りのタコメーターが見られるが、視認性はよくない。オーディオのボリュームや水道の蛇口なども含めて、大半の表示や操作は、左から右に向けて大きくなる右回りになるからだ。

新型スープラの3L直6ターボは、発売前に2019年モデルが「完売」

トヨタ 新型「スープラ」は、発売前からすでにRZの2019年モデルが完売していると言うことが少し残念だ

トヨタ 新型「スープラ」は、発売前からすでにRZの2019年モデルが完売していると言うことが少し残念だ

新型Z4の価格は、3L直6ターボのM40iが835万円、2Lターボは566〜665万円になる。ルーフ形状、装備や、前述したようなメカニズムの違いがあるから一概に価格だけで比較はできないものの、全般的には新型スープラのほうが安い。

ただし、2L直4ターボは、新型Z4も電動開閉ソフトトップを備えて566万円から選べるため、ユーザーによっては新型スープラよりも買い得に感じるかもしれない。

最後に、トヨタ販売店によれば「新型スープラのRZグレードは(発売前の時点で)2019年の国内販売枠を使い切って終了した。購入するなら、2020年モデルになってしまう。2L直4ターボのSZとSZ-Rは、2019年4月下旬時点で、受注を受け付けている。納期は12月頃」という。

BMW 新型Z4は、「ちょうど受注を開始したところだから、今なら各グレードともに通常の納期で購入できる。ただし新型車だから注文が多く入りつつある。今後、納期が長引く可能性もある」とのこと。新型スープラは、日本車にもかかわらず総じて購入しにくく、新型Z4のほうが手に入りやすいという、皮肉な状態になってしまっている。

渡辺陽一郎

渡辺陽一郎

「読者の皆様に怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も大切と考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を心掛けるモータージャーナリスト

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