レビュー
ステルヴィオ初のディーゼルはガソリンよりも安価なプライスに

“過激”なステアフィールは健在!買い得なアルファロメオ「ステルヴィオ」ターボディーゼルに試乗

FCAジャパンは、イタリアの自動車ブランド「アルファロメオ」初のSUV「ステルヴィオ」のディーゼルモデルを、2019年4月6日に発売した。

日本市場へ初投入となる、新型2.2L直4ディーゼルターボエンジンを搭載したアルファロメオ「ステルヴィオ 2.2 ターボディーゼル Q4」。ステルヴィオとしては、初のディーゼルエンジン搭載モデルだ

アルファロメオにディーゼルエンジンというのは、イメージが一致しない方もおられるかもしれない。しかし、同社は意外と古くからディーゼルモデルを欧州各国に投入しており、また、その走りにも定評があると言う。今回、ステルヴィオディーゼルの試乗会に参加して、その片鱗を味わってきた。

■アルファロメオ「ステルヴィオ」のグレードラインアップと価格
※価格はすべて税込み
-2.2L ターボディーゼルエンジン搭載車-
2.2 TURBO DIESEL Q4(今回の試乗車):6,170,000円

-2.0L ガソリンターボエンジン搭載車-
2.0 TURBO Q4:6,550,000円
2.0 TURBO Q4 SPORT PACKAGE:6,910,000円
2.0 TURBO Q4 LUXURY PACKAGE:6,910,000円

魅力ある車種を矢継ぎ早に投入するアルファロメオ

アルファロメオ「ジュリエッタ」

アルファロメオ「ジュリエッタ」

試乗へと入る前に、現在の日本でのアルファロメオの状況を見てみよう。2018年、アルファロメオはハッチバックの「ジュリエッタ」を大幅にマイナーチェンジし、240ps の1.8リッターターボエンジンを全グレードに搭載。価格も見直され、400万円を下回る意欲的なスタートプライスで販売を開始した。また、スポーツカーの「4C」は2種類の限定車を発売。

アルファロメオ「ジュリア」

アルファロメオ「ジュリア」

さらに、2017年終盤に販売開始されたフラッグシップセダンの「ジュリア」は、2018年の日本における販売台数は驚くことにアウディ「A4」を超え、ジャガー「XE」の2倍を記録したと、FCAジャパン社長のポンタス・ヘグストロム氏はコメントしている。

2017年のロサンゼルスオートショーで世界初公開された、アルファロメオ初のSUV「ステルヴィオ」(画像は、同年の2017年に開催されたジュネーブモーターショーで撮影されたものです)

そして、SUVモデルの「ステルヴィオ」は、2017年のロサンゼルスオートショーでワールドプレミアされ、2018年にデビュー。世界最高のドライビングロードと称される“ステルヴィオ峠”の名を冠しているだけあり、「その命名理由は、ハンドルを握ればすぐに納得いただけるでしょう。高性能な四輪駆動モデルであり、それでいて何よりもアルファロメオらしい、純粋なスポーツカーです」とポンタス氏は紹介する。なお、ステルヴィオは日本カー・オブ・ザ・イヤーの10ベストカーにも選出されている。

そういったモデルイヤーにも恵まれ、2018年のアルファロメオは日本において2,458台を販売。前年比でプラス40%を記録した。

また、アルファロメオはディーラーネットワーク網も充実してきている。現在、札幌から熊本まで47の拠点があり、そのうちの25店舗が昨年末までに新規、あるいは大規模な改修を終えているという。残る22店舗も、今年中に同様の改修が実施される予定だ。

実は深い関係にある「アルファロメオ」と「ディーゼルエンジン」

「コモンレール式ディーゼルエンジン」という言葉を聞いたことがあるだろうか? 現在、販売されているディーゼルエンジンでは主流のシステムなのだが、実は1997年にアルファロメオがかつて販売していたセダン「156 JTD」に搭載されたのが乗用車として初であった。1990年代に当時のフィアットグループが開発し、その後サプライヤーのボッシュに売却されたこのシステムは、燃料ポンプで送られた燃料が蓄圧装置を介してインジェクターで噴射されることで、エンジンのシリンダーそれぞれに最適な圧力とタイミングで燃料を噴射することができるというもの。高効率なだけでなく、エミッション対策にも有効なシステムで、「アルファロメオ156」への実用化以来、瞬く間に各社のディーゼルエンジンに採用され、一気に普及したのだ。

アルファロメオ「ステルヴィオ」に搭載された、新開発の2.2リッターディーゼルターボエンジン。SUVながら0-100km/h加速6.6秒というスポーティーな加速性能と、WLTCモード燃費16.0km/Lという高い経済性を両立している

今回、投入された2.2リッター直列4気筒ディーゼルターボユニットは、ステルヴィオとジュリアに搭載されている。それぞれ基本設計は共有しつつも、各モデルの特性に合わせて最適なチューニングが施されているという。ステルヴィオは最高出力210ps、最大トルク470Nmを発生。0-100km/h加速タイムは6.6秒を記録する。ジュリア搭載のスポーツディーゼルエンジンは、最高出力190ps、最大トルク450Nmで、0-100km/h 加速タイムは7.2秒だ。

燃費は、実用燃費に近いWLTCモード計測でステルヴィオが16.0km/L、ジュリアは17.2km/Lを達成。同クラスのガソリンモデルに比べ、最大約45%の燃費向上を実現している。
アルファロメオといえば、走りも重要だ。このエンジンはアルファロメオのディーゼルエンジンでは初となる、アルミ製エンジンブロックや中空カムシャフトが採用されており、155kgと軽量なユニットに仕上げられている。その結果、クイックかつ収まりのいい、アルファロメオらしい軽快なハンドリングの実現に大きく寄与している。

価格は冒頭でも記載のとおり、「2.2 TURBO DIESEL Q4」が617万円と、ステルヴィオのスタンダードグレードの655万円より、さらに安い値付けとなっているのも魅力のひとつだ。

SUV市場にディーゼルは必要

アルファロメオでは、日本における堅調なビジネスをさらに拡大させたいという狙いから、今回の新開発ディーゼルエンジンの導入、および意欲的なプライスに設定したという

現在、環境規制の観点からも、ディーゼルに関しては特に欧州において逆風が吹き始めている。そのような中、なぜFCAジャパンはアルファロメオのディーゼルを投入したのか。FCAジャパンマーケティング本部プロダクトマネージャーの平野智さんは、「現在輸入SUV市場は50%ぐらいのディーゼル比率がありますので、昨年ステルヴィオを入れた我々としては台数を伸ばすチャンスがあると考えたのです」と説明。したがって、「このディーゼルが、メイングレードになる可能性もあると考えています。これまではアルファロメオのキャラクターからすると、エンジンを回せるガソリンエンジンのほうがマッチするという考え方もありました。しかし、ディーゼルでも十分にアルファロメオらしさが出せること、また、価格的にもガソリンエンジンよりもアドバンテージがあり、そこにプラスして減税などを踏まえると、その多くを占める可能性が十分あると思います」とコメント。

つまり、堅調に伸びているアルファロメオビジネスに、新たにSUVのディーゼルを投入することで、このブランドをより市場へ浸透させ、さらに台数を期待できると踏んだのだ。スタンダードよりも安い価格設定であることも、そのことを十分に裏付けている。

ディーゼルでも走りは“アルファらしさ”を感じる

では、ステルヴィオのディーゼルエンジン搭載モデルで走り出してみよう。なお、今回は試乗会ということもあり、2時間程度の試乗の印象となることをあらかじめお断りしておきたい。

アルファロメオ「ステルヴィオ 2.2ターボディーゼル Q4」の試乗イメージ

アルファロメオ「ステルヴィオ 2.2ターボディーゼル Q4」の試乗イメージ

まず、乗り始めた瞬間に感じたのは2つ。とても軽快であり、それほどばね下の重さを感じないこと。そして、ステアリングレスポンスの鋭さだった。

混んだ街中を抜け、高速道路にたどり着きアクセルペダルをより踏みこむと、その印象はより顕著となった。SUVなので、もっと鈍重なイメージを持ってしまいがちだが、決してそんなことはない。まるで、よくできたスポーツサルーンのようにきびきびと走らせることができるのだ。

アルファロメオ「ステルヴィオ 2.2ターボディーゼル Q4」の試乗イメージ

アルファロメオ「ステルヴィオ 2.2ターボディーゼル Q4」の試乗イメージ

高速道路を降り、少しだけワインディングロードを走ることもできたのだが、まさにハンドリングマシン。重心の高さなどまったく気になることはなく、狙ったとおりのラインをピタッと走らせることができる。以前、ステルヴィオのガソリンモデルにも試乗したことがあるのだが、ディーゼルはガソリンモデルとほぼ同様の印象だ。

アルファロメオ「ステルヴィオ」のステアフィールは、良くも悪くも「過激」だ

アルファロメオ「ステルヴィオ」のステアフィールは、良くも悪くも「過激」だ

しかし、その印象は諸刃の剣ともいえる。高速道路の車線変更でもほんのわずかにステアリングを切るだけですっと終わらせてしまうほどなので、慣れないドライバーやそういった期待を持たないドライバーにとっては、このハンドリングは“過敏”以外の何物でもない。そのあたりは十分に理解して検討することをおすすめする。

今回搭載されたディーゼルエンジンには、アイドルストップが搭載されている。エンジン再始動時には少々ショックがともなうので、オルタネーターなどを使って再始動するタイプと比較すると時代を感じてしまう。

ディーゼルエンジンは、渋滞などの極低速域ではややぎくしゃく感がともなう

ディーゼルエンジンは、渋滞などの極低速域ではややぎくしゃく感がともなう

また低速域、特に渋滞時にアクセルに対する反応が過敏なので、ギクシャクした動きをしがちで、アクセルコントロールに気を使ってしまった。大きなトルクがあるので、アクセルレスポンスの初期応答性を落としても、決してアンダーパワーには感じられないはずなので、もう少しゆるやかなアクセルレスポンスに期待したい。

また、これは個体差の可能性もあるのだが、20km/hから30km/hくらいからアクセルをわずかに踏みこむと“かつん”という軽いショックとともにつながり、全閉すると再び同様のショックがともなったことを付け加えておく。

遮音性はとても高く、ロードノイズやエンジン音などもほとんど聞こえないので、車内の居心地は非常に快適だ

遮音性はとても高く、ロードノイズやエンジン音などもほとんど聞こえないので、車内の居心地は非常に快適だ

ロードノイズなどの遮音性は高く、路面のいかんを問わず比較的静かで、前述のとおり快適な乗り心地を提供してくれる。ステアリングフィールも路面からのフィードバックも適度にあり、非常に乗りやすかった。ちなみに高速道路で、100km/hではおよそ1,500rpmというエンジン回転数だった。

パドルシフトは、ウィンカーレバーとの距離が近いので、意図せずに触れてしまうことがあった

パドルシフトは、ウィンカーレバーとの距離が近いので、意図せずに触れてしまうことがあった

また、パドルシフトも装備されているので、よりスポーティーな走りが可能だ。そのクリック感や質感は非常に高く、操作した時のよろこびを感じる。また、その材質はアルミ製と思われ、触感も非常に高い。

いっぽう、その配置には疑問が残る。ウィンカーの位置とパドルシフトの位置が近く、かつ出ている幅が揃ってしまっているので、ウィンカーを操作しようとしたときにパドルシフトに手が当たってしまうことがままあるのだ。これは早急に位置関係を改善してもらいたい。

ドアミラーの位置が悪いためか、歩行者が死角に入ってしまうことが多くあった。これについては早急に改善してほしいと感じる

また、ドアミラーの位置が非常に悪く、右左折時に完全に歩行者が死角に入ってしまうことがあったので、この位置についても見直してほしいと感じた。

アルファロメオ「ステルヴィオ」にラインアップされているガソリンエンジンとディーゼルエンジンは、それぞれ個性がはっきりとしていて選びやすいように思える

アルファロメオがSUVを登場させたとき、「アルファまでSUVなのか」と思ったことは否定しない。しかし、実際にステルヴィオを走らせてみると、十分にアルファらしさ、言い換えれば、運転する、操るよろこびにあふれたものだった。そして、その印象はディーゼルになっても変わらない。たしかに、ハンドリングはセンシティブで過敏にも感じられるが、もしそれが好ましくないなら、ほかのモデルを考えればいい。そのくらい割り切って開発されたのがこのステルヴィオなのだ。

また、ガソリンモデルとディーゼルモデルを比較すると、SUVとはいえ走りを存分に楽しみたいなら、ガソリンモデルをおすすめしたい。やはり、回転を上げて走る際のレスポンスなどはガソリンモデルのほうがすぐれているからだ。しかし、市街地や高速道路をメインとして走る方にはディーゼルモデルをおすすめしたい。その余裕あるトルクは、そういったシーンではひときわ際立ってくるからである。

今回、新たに追加されたディーゼルモデルは、ガソリンモデルに引けを取らないほど個性的なキャラクターを持ち合わせていた。それぞれのよさがあるので、もし購入を検討する際には、どちらも試乗してみることをおすすめしたい。

内田俊一

内田俊一

日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。自動車関連のマーケティングリサーチ会社に18年間在籍し、先行開発、ユーザー調査に携わる。その後独立し、これまでの経験を活かし試乗記のほか、デザイン、マーケティング等の視点を中心に執筆。

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