レビュー
アウトドアユースで重宝する走破性と設計を装備

SUVの中でもバツグンの寝心地! スバル「フォレスター」で夏と冬に車中泊してみた


車中泊に向いている自動車で実際に寝て、寝心地などをチェックしている筆者。これまで軽自動車3台、ミニバン1台に車中泊してきたが、今回はアウトドアユーザーに人気の高いスバルのSUV「フォレスター」を選んでみた。夏と冬の両方の季節で車中泊したので、参考にしてほしい。

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フラットな床面で寝られるSUV

広いユーティリティスペースをウリとするSUVは、車内で寝るスペースも確保されていると思われがちだが、実は車中泊に向いている車種はあまり多くない。ラゲージスペースはあくまでも荷物を積むスペースとして設計されているため、シートを倒しても段差が生じ、快適に眠れるとはいいがたいモデルが少なくないのだ。そんな中で、車中泊に適していると言えるのが「フォレスター」。リアシートを倒すと荷室とフラットになった空間が出現する。車体前方に向かって高くなる傾斜がついた状態にはなるが、SUVでは床面に段差や隙間ができずフラットになること自体がめずらしい。とはいえ、これはフォレスターが車中泊を想定していたからではない。スムーズに荷物を出し入れできるように、もともと引っかかりをできるだけなくす設計が、近年は車中泊にも便利に使われているのだ。

今回試乗したのは、2018年6月にフルモデルチェンジした5代目フォレスター。車体サイズは4625(全長)×1815(全幅)×1,715〜1,730(全高)mm

通常の状態でもラゲージスペースは広々。荷室高は884mmあり、荷室開口部最大幅も1,300mmと広いので、たっぷり積めるだけでなく、出し入れもしやすい

荷物を出し入れしやすい設計といえば、リアゲートの縁にも段差がないところ!

荷物を出し入れしやすい設計といえば、リアゲートの縁にも段差がないところ!

引っかかりを感じることなく荷物が積み下ろしできるので、ストレスがない

引っかかりを感じることなく荷物が積み下ろしできるので、ストレスがない

リアシートを倒すとラゲージスペースが拡大。最大幅1,585mm、フロア長1,547mmのスペースができるので、ロードバイクやスノーボードなどの長さのあるものも積みやすい

少々傾斜はついているが、リアシートの背面と荷室がつながっている部分に段差はない

少々傾斜はついているが、リアシートの背面と荷室がつながっている部分に段差はない

近年は、車体後方のタイヤハウスの近くに凹みを設け、フラットなスペースを広くしている車種が増えているが、フォレスターはわりと早い時期からこのような設計を採用している。荷物を積むだけの用途からすると無駄に見えるスペースだが、車中泊してみると、とても重要だと実感することに!(くわしくは車中泊のシーンで紹介)

もちろん、2つあるリアシートの片方だけを倒すことも可能

もちろん、2つあるリアシートの片方だけを倒すことも可能

なお、リアシートを倒すレバーは荷室に装備されている。リアゲート側から操作できるのは今時のSUVではめずらしくないが、フォレスターは10年以上前からこの機能を搭載。フォレスターのこだわりのポイントでもある

ちなみに、車中泊を試している間に5代目フォレスターが一部改良された(2019年7月)。後席への荷物の置き忘れを知らせるリアシートリマインダーが追加されただけなので、基本的な要素は同じとなるので安心してほしい。

車中泊での快適さはどれほど?

さっそく、車中泊してみよう。荷室長は1,856mmあるので、身長175cmの筆者は車体に対してまっすぐ横になれるはずだ!

体や足を曲げることなく、まっすぐ横になれた。一見、問題なさそうだが……

横から見ると、床面から頭が落ちてしまっている! これでは、快適に寝ることはできない

横から見ると、床面から頭が落ちてしまっている! これでは、快適に寝ることはできない

実は、荷室の長さを示すスペックには、フロントシート背面までの長さを指す「荷室長」と床面の長さを記した「荷室フロア長」がある。フォレスターの場合、荷室長は1,856mmで、荷室フロア長さは1,547mm。つまり、上の写真で頭落ちている隙間を省いた床面を測定した荷室フロア長をチェックしておかないと、横になれるサイズが正しくわからないのだ。しかし、多くのSUVには荷室フロア長が記載されていない。その点、フォレスターは荷室フロア長をしっかりと明示しており、実際に寝られるスペースがわかりやすくて好感が持てる。

まっすぐには寝にくいので、車体に対して斜めになるのがベスト。なので、快適に車中泊するなら大人ひとりが定員となる

車体に対して斜めに寝転ぶと、タイヤハウスまわりの凹みに足がちょうど収まった。このスペースがなければ、足と壁の間に余裕はなかっただろう

ベストポジションが見つかったので、就寝の準備。車中泊した日は日中の気温が25℃を超え、夜間も15℃くらいだったので、タオルケットをかけるだけで十分そうだ。シートの背面が寝床となるため、クッション性のあるマットも忘れずに敷こう

実際に車中泊してみると、車体前方が高くなる傾斜がついているものの、ほとんど気にならず。というより、特に何も感じず眠れてしまった(笑)。リアシートを倒した床面に傾斜がつく点においては、ほとんどのSUVで同じ。フォレスターは床面に凸凹がないので、とにかく快適だ。そして、なにより足先まで真っ直ぐに伸ばせるのがいい。体を横に向けても足が壁に当たることもなく、少しなら足先をさらに伸ばすような動きもできる。タイヤハウス近くにある凹みのありがたさを実感した。荷物を積む分には、壁に凹みは必要ない。しかし、車中泊ではこのわずかなスペースの差がきいてくる。

寝転んだままドリンクホルダーにアクセスできるので、水分補給しやすい

寝転んだままドリンクホルダーにアクセスできるので、水分補給しやすい

ちょっと明かりが欲しい時に点けられるランプが、テールゲートの上にあるのも便利。ゲートを閉めたままでも点灯するので、車内灯として活躍してくれた

そして、車中泊をして迎えた朝。朝ごはんを車内で食べようと思ったのだが、残念ながらフォレスターにはテーブルになるようなものはない。寝床にした床面に食事を置いて食べようかな……と思ったところで、ひらめいた! ゲートを開けて、そこに座って食べればいいのだと。

ゲートのヘリがフラットで、荷物の出し入れがしやすいこの設計が、座った時にも効果を発揮。段差がないので、お尻も太ももにも不快感がない。天気がいい日なら、このようにして食べるのもなかなかいい!

雨が降っている時や寒い日は車内で食べるしかないので、どのような感じになるのか確かめてみたところ、それほど天井は高くないが、あぐらで座ればくつろぐことができた

ただし、床面には傾斜が付いているので高い位置で座ると、頭が天井に当たってしまった。筆者より身長の高い人は、リアシートを倒したまま車内で座ってくつろぐのは、ある程度制約されてしまうだろう

冬の車中泊体験についても紹介しておこう。実行したのは1月。気温は5°だったが、移動中にエアコンで車内をしっかりと暖めておいたおかげか、寒さで寝付けないことも、寒さで目が覚めることもなかった。朝、目覚めた時には後席の窓がかなりくもっていたので、外気との車内の温度差は結構あったと思われるが、この状況から、すぐれた断熱性能がうかがえる。とはいえ、窓をシェードなどでふさげば、さらに冷気をさえぎれ、窓のくもりも防止可能。外から車内を見えないようにもできるので、窓をさえぎるものは準備しておいたほうが快適だ。

さすがに寒いので、エアマットだけでなく寝袋も使用。なお、夏に試した車体とグレードが異なるため、内装は違うが、こちらも5代目フォレスターだ

タイヤハウス近くにある凹みは、ただフラットなスペースが広くなって快適!というだけではないことを冬場に実感。足が壁に当たらないので、壁から足元に冷たさが伝わってこないのだ

余談だが、車中泊を終え帰路につくため、リアシートをもとの状態に戻そうとした時、便利な機構を発見したので伝えておきたい!

右側のリアシート上部に取っ手のようなものが! 後部座席のシートベルトを通すためのループなのだが、リアシートを起こす際に役立った

アウトドアユースにありがたい走破性と設計

車中泊に適している自動車だとはいえ、車内で寝ることを目的に出かける人は少ない。基本的には、何かしらの目的地ややりたいことをかなえるために出かけるはずだ。その点、フォレスターは未舗装路や雪道などを走らなければたどりつけないような使い方をする人にうってつけ。近年のSUVの中には4WDではないモデルも存在するが、スバルは伝統的に4輪駆動にこだわっており、フォレスターも全モデルが4輪駆動。重心位置が低い水平対向型エンジンと4WDの組み合わせた「シンメトリカルAWD」は、悪路での走破性に定評があり、アウトドアユーザーに人気がある。

スバルが得意とする水平対向型の4気筒エンジン。2.5Lのガソリンエンジンと、2.0Lのエンジンにモーターを組み合わせたマイルドハイブリッドの「e-Boxer」が存在する

5代目フォレスターの試乗会で、筆者も悪路を運転したことがある。凹凸の激しい未舗装路や雪道など、普通の乗用車は当然ながら、SUVでも少し躊躇してしまう道も難なく走ることができた。アウトドアが趣味で、車中泊をするスタイルの人にとってはフォレスターの走破力は心強いはずだ。

ぬかるんですべりやすい路面も、激しい凸凹も問題なし! 筆者でも、写真のような道を走り抜けることができた

豪雪地帯での試乗も、スタッドレスタイヤでまったく不安なところもなく走行できた

豪雪地帯での試乗も、スタッドレスタイヤでまったく不安なところもなく走行できた

悪路では、4輪の駆動力やブレーキなどをコントロールしてくれる「X-MODE」を選ぶと安心。X-MODEには、雪道や砂利道といったすべりやすい道で役立つ「SNOW・DIRT」モードと、タイヤが埋まりそうな深雪やぬかるみなどに適した「DEEP SNOW・MUD」モードが用意されており、スイッチで簡単に切り替えられる

どんな道でも走っていけそうなフォレスターには、キャンプやスノースポーツをはじめとするアウトドアシーンで役立ちそうな設計が細部にも採用されていた。ステップに汚れが付かない工夫やドアの開き具合など、アウトドアでの使い勝手を考えて作られている。

リアドアは90°近くまで開く。乗り降りしやすいのはもちろんだが、ダボッとしたウェアを着ている時や荷物を身に着けたまま後部席からモノを取る時にも開口部が広いのはありがたい

普通の自動車でぬかるんだ道を走った場合、ステップの下のほうに泥などの汚れが付く。フォレスターはドアを閉めるとこの部分がドアでおおわれる設計となっているため、汚れが付かないのもポイントだ

ステップ下部が汚れてしまうと、自動車に乗り込む際に靴や服が汚れてしまうこともある。フォレスターの場合、ステップは汚れない代わりにガードするドアの外側に汚れが付くので、衣服などが汚れにくい

ルーフキャリアが標準で備えられている。耐久性は高いので、ルーフボックスだけでなく、ルーフテントを装備することも可能だ

ルーフの荷物を積み下ろしする際も、ステップの幅が広いので立ちやすいのも◎

まとめ

同じ車種で夏と冬に車中泊を試したのは初めての経験であったが、どちらもぐっすりと朝まで眠れ、翌日に体が痛くなったり、疲れが残ることもなかった。標準装備だけでこれだけ快適なのだから、シェードなどで車中泊仕様をレベルアップしていけば、もっと心地よく就寝できるだろう。ただ、残念なことに足を伸ばして寝るなら大人ひとりが限界。しかし、フォレスターにはルーフキャリアが付いている。就寝人数を増やしたければ、ルーフテントを設置するのも賢い手だ。

また、車中泊とは直接関係ないが、2つのカメラで前方を監視する予防安全機能「EyeSight(アイサイト)」を装備しているのも、フォレスターの魅力だ。高速移動の際、前車を追従しながらアクセルやブレーキ、ハンドル操作をアシストし、レーンから外れないようにしてくれる「ツーリングアシスト」や、居眠りやよそ見を注意喚起する機能も備えているので、雪道や荒れた道を走ったり、長距離移動するなら安心して選べる1台だろう。

フロントウィンドウに装備されたステレオカメラはEyeSightの象徴的な装備

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カメラを使って前走車を追走してくれるツーリングアシストは、長距離移動時の疲れを低減してくれる

カメラを使って前走車を追走してくれるツーリングアシストは、長距離移動時の疲れを低減してくれる

なお、フォレスターのハイブリッド車はマイルドハイブリッドなので、搭載しているバッテリー容量は少ない。そのため、家電製品を使える100Vコンセントは装備されていないが、USBポートは備えられているので、スマートフォンなどの充電は可能。運転席と助手席に間にあるほか、センターコンソールのリアシート側にもUSBポートがあるので後部席の人も充電しながら移動できる

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増谷茂樹

増谷茂樹

カメラなどのデジタル・ガジェットと、クルマ・バイク・自転車などの乗り物を中心に、雑誌やWebで記事を執筆。EVなど電気で動く乗り物が好き。

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