特別企画
売れているからこそ重要!軽自動車の「安全装備」

劇的に進化している軽自動車の“安全性能”人気の5車種を比較

かつての軽自動車は、税金や価格が安い代わりに安全装備が不足していると言われていたが、状況は一変した。今や軽自動車は、安全装備に関して先進的なカテゴリーに位置付けられていると言える。

ホンダ 新型「N-WGN」の衝突軽減ブレーキには、軽自動車初となる横断中の自転車検知機能が搭載されている

ホンダ 新型「N-WGN」の衝突軽減ブレーキには、軽自動車初となる横断中の自転車検知機能が搭載されている

たとえば、2019年7月18日にフルモデルチェンジされたホンダ 新型「N-WGN」の緊急自動ブレーキは、クルマや歩行者に加えて横断する自転車も検知するようになった。自転車の検知は、軽自動車としては初だ。

従来ならば、たとえばホンダで言えば「レジェンド」のような上級車種から先に最新の安全装備を普及させていたはずだ。だが、日本で販売台数の多い軽自動車から新しい安全装備を普及させるという考え方は、さらなる事故の防止や減少に効果があるはずだ。

日産 新型「デイズ」に搭載された緊急通報装置「SOSコール」。緊急のときはボタンを押すだけでコールセンターとつながって助けを呼ぶことができる。また、エアバッグが展開すると自動でコールセンターにつなげてくれる

2019年3月に発売された、日産の軽自動車「デイズ」の新型モデルには「SOSコール」の機能が備えられている。緊急事態が発生した際には、乗員がスイッチを操作することによってオペレーターを呼び出したり、エアバッグが展開したときなどには自動でコールセンターとつながり、オペレーターが車内の乗員へ呼びかけてくれる。そして、万が一乗員からの応答が無く、緊急事態が発生していると判断されたときには、オペレーターが消防や警察へ通報してくれるというものだ。

このように、近年の軽自動車の安全性能はかなりの進化を遂げている。そこで、軽自動車の安全装備について、売れている人気の軽自動車5車種で比較してみよう。

■緊急自動ブレーキの検知対象

ホンダ「N-WGN」:車両/歩行者/自転車
ホンダ「N-BOX」:車両/歩行者
ダイハツ「タント」:車両/歩行者
日産「デイズ」:車両/歩行者
スズキ「スペーシア」:車両/歩行者

ダイハツ 新型「タント」に搭載されている「衝突回避支援ブレーキ機能」は、車両だけでなく歩行者も検知する

上記のように、軽自動車の緊急自動ブレーキについては、車両だけでなく歩行者の検知もいまや一般的になっていることがわかる。そして、N-WGNだけが自転車を検知することができる。今後、同様の機能はN-BOXでも改良によって採用され、ホンダ車のセールスポイントになることから、ほかのメーカーも追従するだろう。

軽自動車は、ボディサイズやエンジンの排気量に制約があり、機能や価格もライバル同士で似通っているから、ユーザーは軽自動車選びの際に優劣を比べて判断することが多い。そこで、他車に劣っている機能があると売れ行きに影響を与えるため、今後はスズキ、ダイハツ、日産などが急いで自転車検知機能を採用してくることは明らかだ。

■緊急自動ブレーキの作動上限速度

ホンダ「N-WGN」:[車両] 時速100km/[歩行者] 時速100km/[自転車] 時速100km
ホンダ「N-BOX」:[車両] 時速100km/[歩行者] 時速100km
ダイハツ「タント」:[車両] 時速80km/[歩行者] 時速50km
日産「デイズ」:[車両] 時速80km/[歩行者] 時速60km
スズキ「スペーシア」:[車両] 時速100km/[歩行者] 時速60km

緊急自動ブレーキの作動上限速度にも、それぞれ違いが見られる。ホンダは、センサーにミリ波レーダーと単眼カメラを使っていることもあって、時速100kmまで対応している。高速道路上での安全を考えると、車両に対しては作動上限を時速100km以上に高めてほしいと思う。

■車線逸脱警報と車線を維持する操舵制御

ホンダ「N-WGN」:警報あり/操舵制御あり
ホンダ「N-BOX」:警報あり/操舵制御あり
ダイハツ「タント」:警報あり/操舵制御あり
日産「デイズ」:警報あり/操舵制御あり
スズキ「スペーシア」:警報あり/操舵制御なし

車線を逸脱した際の安全確保も、大切な機能だ。スペーシアを除く4車種は、車線を逸脱したときに電動パワーステアリングやブレーキを自動制御して、元の車線に戻す力を加えてくれる機能が搭載されている。

■誤発進や急加速を抑制する「誤発進抑制制御」

ホンダ「N-WGN」:前方・後方/ブレーキ制御なし
ホンダ「N-BOX」:前方・後方/ブレーキ制御なし
ダイハツ「タント」:前方・後方/ブレーキ制御あり
日産「デイズ」:前方・後方/ブレーキ制御あり
スズキ「スペーシア」:前方・後方/ブレーキ制御あり

スズキ「スペーシア」に採用されている、後方の障害物を検知してブレーキをかけてくれる「後退時ブレーキサポート」は、2017年12月に軽自動車初の機能として搭載されたものだ

ペダルの踏み間違いによる誤発進抑制機能も、いまや必須の安全装備となった。前後の誤発進制御機能は5車種すべてが対応しており、誤発進を検知したときにはエンジン出力を絞るタイプと、ブレーキまで作動させるタイプの2つに分けられる。

■ACC(アダプティブクルーズコントロール)

ホンダ「N-WGN」:全車速追従型/操舵支援あり
ホンダ「N-BOX」:時速30km以上/操舵支援あり
ダイハツ「タント」:全車速追従型/操舵支援あり
日産「デイズ」:全車速追従型/操舵支援あり
スズキ「スペーシア」:運転支援機能は採用していない

日産 新型「デイズ」には軽自動車初の「プロパイロット」が搭載されている。プロパイロットは、アクセル、ブレーキ、ステアリングを自動で操作してくれることで、高速道路での疲れを軽減させてくれる

アクセルとブレーキを制御して、一定の車間距離を維持しながら先行車に追従する「ACC(アダプティブクルーズコントロール)」は、N-WGN、タント、デイズが全車速追従型だ。さらに、N-WGNとデイズは電動パーキングブレーキなので、追従停車時間が長引いたときにはパーキングブレーキを自動作動させて停車を続けられる。しかし、タントのパーキングブレーキは足踏み式のため、2秒を経過すると発進してしまう。N-BOXは速度の設定が時速30km以上で、時速25km未満になるとクルーズコントロールの作動がキャンセルされてしまう。安全性を考えると、N-WGNとデイズのタイプが望ましいだろう。スペーシアは運転支援機能自体が用意されていないので、早期の搭載が望まれるところだ。

■サイド&カーテンエアバッグの装備状況

ホンダ「N-WGN」:全グレードに標準装備
ホンダ「N-BOX」:主力グレードに標準装備
ダイハツ「タント」:全グレードに標準装備
日産「デイズ」:全グレードに標準装備
スズキ「スペーシア」:全グレードに標準装備(サイドエアバッグ)、ハイブリッドXSターボに装備(サイド&カーテンエアバッグ)

※運転席&助手席エアバッグは全車標準装備

ホンダ「N-BOX」のエアバッグ展開イメージ

ホンダ「N-BOX」のエアバッグ展開イメージ

衝突時に乗員を守ってくれる「エアバッグ」は、運転席と助手席エアバッグについては5車種すべてが全グレードに標準装備している。差が出るのは、「サイド&カーテンエアバッグ」だ。設計が新しい車種は全グレードに標準装備しているものの、N-BOXでは一部のグレードがメーカーオプションとなっている。また、スペーシアでは全グレードにサイドエアバッグが標準装備されているが、カーテンエアバッグはスペーシアカスタムの最上級グレードである「ハイブリッドXSターボ」にのみ装備される。

ダイハツ 新型「タントカスタム」には、ハイビーム中に前方の車両の眩惑を抑えてくれる「ADB(アダプティブドライビングビーム)」が搭載されている。軽自動車への搭載は初で、普通車でも上級グレードにしか装備されないような機能だ

このほか、5車種すべてで対向車を検知してハイビームとロービームを自動的に切り替えてくれる「オートハイビーム」が採用されているが、タントカスタムではLEDヘッドランプを部分的に遮光することで、ハイビーム状態を維持しながら相手車両の眩惑を抑えてくれる「ADB(アダプティブドライビングビーム)」が採用されている。これは軽自動車では初採用となる装備で、小型車や普通車でもそれほど装備されていない、タントカスタムならではの装備と言えるだろう。

画像は、ホンダ「N-BOX」と「インサイト」を用いた衝突実験の様子

画像は、ホンダ「N-BOX」と「インサイト」を用いた衝突実験の様子

競争が激しい軽自動車では、設計が新しい車種ほど安全装備が充実している。安全装備と運転支援機能の順位を付けると、1位がN-WGN、2位と3位はタントとデイズが同ランクで、4位がN-BOX、5位がスペーシアになる。

2017年9月に発売されたN-BOXや、同年12月に発売されたスペーシアは、当時は軽自動車として豊富で先進的な安全装備を備えていたことで話題となっていた。それが、わずか1年半の間にほかの軽自動車に先んじられたということからも、軽自動車の安全装備がここ数年の間にどれだけ急激に進んでいるのかがわかるだろう。

最新の軽自動車は、安全装備という難しい機能を、求めやすい価格を維持しながら標準装備するようになったことも、小型車、普通車に勝る魅力のひとつだ。軽自動車の安全に関わる進化は、今後も加速していくことだろう。

渡辺陽一郎

渡辺陽一郎

「読者の皆様に怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も大切と考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を心掛けるモータージャーナリスト

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