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車名が「ヴィッツ」から「ヤリス」へ、プラットフォームも刷新

トヨタ 新型「ヤリス」はヴィッツと何が違う!?発売前に徹底解説!

トヨタのコンパクトカー「ヴィッツ」が、世界的な車名の「ヤリス(Yaris)」へと統一されて、9年ぶりにフルモデルチェンジを遂げる。

初代ヴィッツから数えると4代目となる、新型「ヤリス」が発売される

初代ヴィッツから数えると4代目となる、新型「ヤリス」が発売される

記事公開時点では、新型ヤリスの価格などは明らかにされていないが、トヨタでは2019年12月中旬頃に詳細を公開すると発表している。日本の発売日は、2020年2月中旬の予定だ。グレードラインアップについては、以下の通りとなる。

■トヨタ 新型「ヤリス」のグレードラインアップ
-1.5Lダイナミックフォースエンジン-
X [Direct Shift-CVT or 6速MT]
G [Direct Shift-CVT or 6速MT]
Z [Direct Shift-CVT or 6速MT]

-1.5Lハイブリッド-
HYBRID X [THSU]
HYBRID G [THSU]
HYBRID Z [THSU]

-1.0Lエンジン-
X [Super CVT-i]
X “M package” [Super CVT-i]
G [Super CVT-i]

新型ヤリスの開発者に、ヴィッツから車名を変更した理由をたずねると「新型ヤリスは、エンジンからプラットフォームまですべてを刷新して、世界に通用するクルマへと造り込まれているので、車名も海外と統一した」と言う。

ちなみに、トヨタの販売店へ新型ヤリスについて伺うと、2019年10月中旬時点では「ヤリスの詳細は、何も伝えられていない。予約受注の開始時期も、現時点では未定」とのことだった。となると、予約受注は11月中旬から12月初旬頃に開始される可能性が高い。

当記事では、記事掲載時点で公開されている新型ヤリスの情報に加えて、発売前に実車を触れる機会が得られた筆者による新型ヤリスの特徴や、ヴィッツとは何が異なるのかといった比較などを交えて解説していきたい。

新型ヤリスの主な特徴としては、「躍動感あるデザイン」「軽快で気持ちのいい走り」「最新の先進安全技術の採用」「世界トップクラスの低燃費」の4つだ。

トヨタ 新型「ヤリス」のフロントエクステリア

トヨタ 新型「ヤリス」のフロントエクステリア

トヨタ 新型「ヤリス」のリアエクステリア

トヨタ 新型「ヤリス」のリアエクステリア

まず、新型ヤリスの外観については、リヤゲートを寝かせてサイドウィンドウの後方を跳ね上げ、さらにはフェンダーを張り出させるような造形にすることで、ヴィッツよりもいっそう塊感を強調させるようなデザインが採用されている。

新型ヤリスの全長×全幅×全高は、3,940mm×1,695mm×1,500mm。このボディサイズは、ヴィッツ(3,945×1,695×1,500mm)とほぼ同じだ。ホイールベースは2,550mmと、ヴィッツの2,510mmに比べて40mm長い。最小回転半径は4.8〜5.1mと、ヴィッツの4.5〜5.6mの範囲内に収まる。新型ヤリスの小回り性能は、コンパクトカーとして満足できるはずだ。

トヨタ 新型「ヤリス」では、ヴィッツと比べてフロントウィンドウとAピラーの位置が最適化されていることから、前方視界が大きく改善されている

新型ヤリスは、前方視界が大きく改善されている。フロントピラーとフロントウィンドウの位置が、ヴィッツに比べて100mm以上も手前に引き寄せられた。それによって、斜め前方の視界が開けたことから右左折時にフロントピラーが邪魔になりにくくなっている。これならば、横断歩道を渡る歩行者なども見やすいだろう。

注意したいのは、後方視界だ。新型ヤリスの斜め後ろはヴィッツに比べて見にくく、真後ろのリヤウィンドウもやや小さいことが気になる。ボディがコンパクトで小回りが利くから運転はしやすいはずだが、購入検討ユーザーは念のために縦列駐車などを試しておきたいところだ。

トヨタ 新型「ヤリス」のインパネ

トヨタ 新型「ヤリス」のインパネ

インテリアは、インパネ周辺の質感が高いことが挙げられる。部分的ではあるが、柔らかいパッドが使われていて手触りがいい。また、エアコンスイッチを高い位置に装着するなど、操作性に配慮されている。ドライバー側から、左端のスイッチにも手が届きやすい。メーターは(意外にも)トヨタでは初の「双眼デジタルTFTメーター」が採用されている。

トヨタ 新型「ヤリス」のフロントシート

トヨタ 新型「ヤリス」のフロントシート

フロントシートは刷新されており、背もたれの高さと座面の長さは十分に確保されている。体重が加わる背もたれの下側と座面の後ろの部分がしっかりと造り込まれており、着座姿勢を安定させている。長距離を移動するときも快適だ。

ドライバーズシートは、ペダル配置が最適化された。前述した40mmのホイールベースの拡大は、前輪を前方へと押し出すことに費やされており、タイヤが収まるホイールハウスとペダルの間隔が広がった。それによって、ペダルを右側へと寄せて最適化させることができたため、ヴィッツよりも自然な姿勢で運転することができる。ペダルの踏み間違いを防ぐという意味でも、このペダル配置は効果的だろう。

トヨタ 新型「ヤリス」のリアシート

トヨタ 新型「ヤリス」のリアシート

リアシートは、ヴィッツに比べて狭くなった。身長170cmの大人4名が乗車した際、リアシートの膝先空間はヴィッツでは握りコブシ2つ分だが、新型ヤリスは1つ半に減る。さらに、前後席に座る乗員同士の間隔も37mm減少している。そして、床と座面の間隔はフロントシートで21mm、リアシートで32mm、ヴィッツに比べて縮まっているから、結果としてリアシートは膝が持ち上がる姿勢になりやすい。また、リアシートはドアの開口部が狭く乗り降りもしにくい。

このように、新型ヤリスのインテリアはヴィッツと比べると、フロントシートを優先させたパーソナル性の強いコンパクトカーとなっている。

トヨタ 新型「ヤリス」に搭載される「直列3気筒1.5Lダイナミックフォースエンジン」と「Direct Shift-CVT」

トヨタ 新型「ヤリス」に搭載される「直列3気筒1.5Lダイナミックフォースエンジン」と「Direct Shift-CVT」

新型ヤリスに搭載されるエンジンは、新開発の「直列3気筒1.5Lダイナミックフォースエンジン」「新世代1.5Lハイブリッドシステム」に加えて、改良が施された「直列3気筒1.0Lエンジン」の3種類だ。トランスミッションは、ノーマルエンジンの1.5Lにはスムーズでダイレクトな加速を実現する新開発のCVT「Direct Shift-CVT」が搭載されており、1.0Lには改良された新型のスモールCVTが採用されている。また、1.5Lでは6速MTを選ぶこともできる。駆動方式は、2WDと4WD(1.5L、ハイブリッドのみ)が設定されている。

最高出力や燃費などの値は、記事掲載時点では明らかにされていない。新型ヤリスの開発者は「新開発の1.5Lは、現行型の1.3Lに比べて動力性能と燃費のどちらもすぐれている。新型ヤリスに搭載される、改良を受けた1.0Lと比べても、おそらく1.5Lの方がすぐれた実燃費を発揮するだろう」と言う。

つまり、1.5Lは新開発だけあって動力性能と燃費のバランスがいい。そして、その1.5Lエンジンが搭載されたハイブリッド仕様は、さらにすぐれた加速や燃費性能を発揮するというわけだ。1.0Lは、どちらかというと価格の安さが特徴的になるだろう。新型ヤリスの車重は、1.0Lと1.5Lのノーマルエンジンが950〜990kg、ハイブリッドは1,050〜1,090kg(いずれも2WD)と、ヴィッツに比べて装備を充実させながら20〜30kg軽くなっているのも魅力的だ。

気になるのは、1.5Lと1.0Lのノーマルエンジンには「アイドリングストップ」機能が装着されないこと。開発者は、「エンジンの停止や再始動が煩わしく感じるお客様もいる」と話すが、アイドリングストップが一般的になった昨今では、信号待ちのアイドリングに罪悪感を抱くユーザーもいるだろう。

また、今はモーターの機能を併せ持つ発電機を搭載することで、アイドリングストップ後の再始動が静かなコンパクトカーや軽自動車も発売されている。たとえ標準装備でなくとも、オプションでアイドリングストップ機能は用意すべきだろう。開発者は「アイドリングストップの装着は容易に対応できる」ということなので、早めに選べるようにしてほしい。

トヨタ 新型「ヤリス」に搭載されている新開発TNGAプラットフォーム「GA-B」

トヨタ 新型「ヤリス」に搭載されている新開発TNGAプラットフォーム「GA-B」

新型ヤリスに搭載されているプラットフォームは、軽量で高剛性、低重心なコンパクトカー向けの新開発TNGAプラットフォーム「GA-B」が採用されている。このプラットフォームの採用により、ヴィッツに比べてねじり剛性が30%以上強化された。さらに、サスペンションも一新されているなど、走りの性能は大きく向上している。

現行ヴィッツは、2008年に発生したリーマンショックの影響を受けて、発売当初の乗り心地や走行安定性、操舵感はコスト低減を意識させるものであった。その後、複数回の改良が実施されて乗り心地や内装のつくりを改善させているのだが、それでもコンパクトカーとしての水準が高いとまでは言い切れない。

トヨタ 新型「ヤリス」は、新プラットフォームの採用などによって、走りの質も相当に高まっていそうだ

トヨタ 新型「ヤリス」は、新プラットフォームの採用などによって、走りの質も相当に高まっていそうだ

開発者は、「新型ヤリスでは、すぐれた走行安定性と乗り心地の両立、ドライバーの操作に忠実に反応する自然な運転感覚を目指した」と言う。ボディが前後左右に不用意に振られるのを抑え、修正操舵をせずに一定の舵角でコーナーを曲がれるようにする。このように基本性能が高められると、走行安定性に加えて乗り心地も向上するから、新型ヤリスの走りのよさには期待できそうだ。

新型ヤリスには、最新の運転支援機能「トヨタ セーフティセンス」が全車に標準装備されている。プリクラッシュセーフティは、トヨタ初搭載となる右折時の対向直進車や右左折時の歩行者を検知する機能が加わっている。さらに、エアバッグが展開したときに自動的にブレーキを作動させる機能も新たに採用された。衝突後にドライバーがブレーキペダルをしっかりと踏めず、車両が動いて二次的な事故を発生させる場合があるからだ。ヴィッツに比べて、新型ヤリスの安全性能は格段に高められている。

また、「レーダークルーズコントロール」や、道路の白線に沿ってステアリングの操舵を支援してくれる「レーントレーシングアシスト」なども採用されている。レーダークルーズコントロールは、全車速追従型ではなく時速30km以上で作動するタイプだが、それでも長距離を移動するときの快適性はかなり高められていると言えるだろう。

駐車支援システムも進化した。従来は、駐車場所を設定した後にステアリングのみを操作支援するものであったが、新型ヤリスではアクセルとブレーキも制御してくれる「Advanced Park(高度駐車支援システム)」が採用された。ドライバーが操作するのは、ATレバーの前進と後退だけだ。システムが作動しているときは、音波ソナーとカメラによって車両の周囲を監視しており、歩行者が入り込んだりすると警報を発して緊急自動ブレーキを作動させてくれる。Advanced Parkでは、自宅の車庫など白線が引かれていない場所でも駐車場所を映像で記憶することで、駐車支援システムを使うことができる。

そのほか、新型カローラなどに採用された「ディスプレイオーディオ」が、新型ヤリスにも全車標準装備されていて、スマートフォンを接続することでカーナビアプリを使うことができる。

トヨタ 新型「ヤリス」の外観イメージ(画像は欧州仕様)

トヨタ 新型「ヤリス」の外観イメージ(画像は欧州仕様)

新型ヤリスの価格は未定だが、各種装備が充実しているのでヴィッツよりも少し高めになるはずだ。1.0Lエンジンを搭載する中級グレードは130〜140万円、1.5Lエンジンを搭載する装備の充実した売れ筋グレードはおそらく165万円前後になるだろう。

ライバル同士の競争が激しいコンパクトカー市場は、機能や装備の割に車両価格が安く抑えられている。新型ヤリスは、前述のとおりリアシートは狭くなったものの、ドライバー優先で開発されており、室内は上質で走りや燃費もいい買い得なコンパクトカーになるだろう。目下のところ、ファミリーユーザーにはトヨタ「ルーミー」、パーソナルユーザーには新型ヤリスという選び方になるはずだ。また、今後のトヨタ車は背の高いコンパクトカーなども「GA-Bプラットフォーム」を使って新たに開発され、走行性能や乗り心地を向上させることになりそうだ。

なお、新型ヤリスは東京モーターショー2019の開催期間中、お台場のヴィーナスフォートに実車が展示されている。もし気になる方がおられたら、ぜひ見に行ってみてほしい。

渡辺陽一郎

渡辺陽一郎

「読者の皆様に怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も大切と考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を心掛けるモータージャーナリスト

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