レビュー
公道&サーキット実走レポ

実用車がスポーティーに!? 「DIREZZA」を普通のセダンに履かせてみた

自動車ライターのマリオ高野です。

このほど、愛車のタイヤ交換を実施して「スポーツタイヤがクルマの運動性能を高める効果」の大きさに感動しました。

廉価な実用車にスポーツタイプのタイヤ「DIREZZA DZ102(ディレッツァ ディーゼット102)」を装着したところ、まるでサスペンションがスポーツ仕立てになったかのように、愛車の走りが激変! 運転好き、走り好きのドライバーに「スポーツタイヤ装着のススメ」を伝えたいと思います!

乗り心地重視からスポーツタイプへ変更

筆者の愛車はスバル「インプレッサG4」の先代モデル。グレードは1.6iという廉価な実用車で、スバルのラインアップの中では、エントリーモデルに位置付けられたクルマです。最高出力は115馬力で、スポーツ性を強めたクルマではありません。にもかかわらず、低重心な水平対向エンジンを軸とした左右対称の四輪駆動システムなどにより、車体のバランスがよいことから、筆者はこのクルマで時々サーキット走行を楽しんでいます。

新車で購入してから15万kmほど走行し、これまでタイヤは省燃費志向の「ル・マンV」、プレミアム志向の「ヴューロVE303」と履き替えてきましたが、いずれも低燃費、かつ騒音が低いおかげで長距離移動での疲労感が少なくてすむなど、うたい文句通りの性能を実感。愛車との相性のよさも抜群にて、満足度はとても高いものがありました。

これらのタイヤについての詳細は、こちらをご参照ください。タイヤについての基本的なことも記述しています。

「ル・マンV」についてのリポート

「ヴューロVE303」についてのリポート

ル・マンVとヴューロVE303は、うたい文句通りの性能と乗り味が発揮されたことを実感。サーキット走行を行う頻度が高くなければ、またリピートしたくなるタイヤでした

いずれも本来はサーキット走行には不向きなタイヤなのに、たまにサーキット走行を実施しても、予想以上にしっかりした走りが楽しめることに感心しました。しかし、やはりタイヤにかかる負荷が極端に大きくなるサーキット走行を行う頻度が高くなると、通常の使用よりも摩耗や痛みが激しくなってしまうのが気になります。趣味のサーキット走行は今後も継続したいので、次のタイヤは、過酷な使用にも耐えられるスポーツタイプを検討してみました。

1年2か月/約3万キロを走破したヴューロVE303。度重なるサーキット走行での酷使により、トレッド面の外側のブロックの傷みが目立ち、サーキット走行での使用の限界を感じました。しかし、これだけ酷使しても全体的な摩耗は予想以上に少なく(6分山ほど残存)、この状態でも乗り味や燃費などが如実に低下するようなことはありませんでし

実用車にはミスマッチではないかという懸念

一般的に、スポーツタイプのタイヤはグリップ力が高く、クルマの運動性能を向上させる効果があるものの、それと引き換えに、音がうるさくなったり、乗り心地が悪くなったりするデメリットをともなうことが多いです。本気でタイムアップを狙うためのハイグリップタイヤでは、摩耗が著しく早くなることも。

また、本来はスポーツ走行向けではない実用車にスポーツタイヤを履かせるのは、一般的に相性としてはイマイチだと考えられます。猫に小判となるか、場合によってはクルマとタイヤの互いのネガ要素が引き立ってしまう恐れもあるでしょう。なので、自分の愛車にスポーツタイヤを履かせることには慎重だったのですが、今回は音や乗り心地などの快適性が多少下がることは割り切る覚悟でスポーツタイヤへの履き替えを決断。ダンロップの「DIREZZA DZ102(ディレッツァ ディーゼット102)」を選択しました。サイズはこれまでと同じ「205/55 R16」です。

前身モデルの「DIREZZA DZ101(ディレッツァ ディーゼット101)に対し、ドライブレーキ性能は3%、ウェットブレーキ性能は5%、耐摩耗性能は28%も向上させながら、騒音エネルギーは26%も低減。スポーツタイヤにも高次元の静粛性を実現したことが最大の特徴で、コンフォート性においては多くのユーザーから高く評価されています。同クラスのタイヤの中ではリーズナブルな価格設定なのもうれしいポイントです

ダンロップの「DIREZZA DZ102(ディレッツァ ディーゼット102)」は、スポーツタイヤながらコンフォート性能や耐摩耗性も重視した万能タイプ。ストリートからサーキット走行まで幅広く対応する設計ということで、前述したスポーツタイヤならではのネガな部分はあまり出ないものと期待しての選択です。

今回もダンロップタイヤを選んだ理由は、愛してやまない「スーパーGT」というレースに参戦するSUBARUのマシンが採用しているブランドであるということ。また、昔からダンロップは国内のモータースポーツ競技をサポートする意識が強いタイヤメーカーなので、「実戦で培った技術」が市販品にも注入される度合いが大きいことも、続けて選択したくなる要因です。

たとえば全日本ダートトライアル選手権では、競技車両の68.2%がダンロップを選択(ドライ用)しているなど、競技用タイヤのシェアが大きいことも惹かれるポイントのひとつ。さらには、市場価格がリーズナブルという点もユーザーとしては見逃せません。今回選んだ「DIREZZA DZ102(ディレッツァ ディーゼット102)」も、国産ブランドのスポーツタイヤとしては割安です(生産国はタイ)。

ちなみに、ダンロップの「DIREZZA」ブランドは、モータースポーツ競技でも高い戦闘力を発揮し、よい戦績を収めているので、そのイメージのよさも選択理由のひとつになりました。写真はダートトライアル競技用の「DIREZZA 95R」。今年の夏に登場した新作タイヤで、全日本ダートトライアル選手権でも高い戦闘力を発揮中!

クルマから伝わる感触が大きく変わる!

装着してからの印象ですが、装着後の第一印象から、クルマから伝わる感触が大きく変わったことに驚きました。まず、ステアリングの手応えが明らかに重くなり、サイズは大きくしていないのに、まるでタイヤの接地面が太く(広く)なったかのように感じられたのです。ステアリングは軽ければ軽いほどよい、というタイプのドライバーには好まれませんが、ステアリングの手応えが増すことを歓迎するドライバーにとっては好印象でしょう。

市街地を走ると、ハイグリップ感が高まったというより、クルマ全体の重厚感が増したような手応えにて、これまた好印象。路面の凹凸に対しては、トレッド面の厚みで衝撃や振動を吸収するような感触です。段差を乗り越える際の感覚は、音で現すとズシンという感じで、質量的な厚みと重さで路面からの入力を処理しているかのように感じられます。これまでのタイヤとはまったく異質の乗り心地に変わり、スポーツタイヤを履いたとの実感がただちに強まりました。

ステアリングのしっかり感が増したと同時に、タイヤ表面の転がり抵抗が明らかに増したことも実感。ちょっと大げさにいうと、エンジンブレーキの効きがよくなった?と感じるほどです。過去に履いていたル・マンVやヴューロVE303は、転がり抵抗が本当に少なかったのだと、あらためて実感するにいたりました。

スポーツタイヤは見た目のスポーツ性が増すのも、クルマ好きとしてはうれしいポイント。インチアップはしていないのに、愛車の雰囲気が見違える効果も!

高速走行時に車体がより安定する

タイヤを新調するときというのは、摩耗や劣化が進んだ状態から履き替える場合が多いので、基本的に感動が得やすいのは確かです。しかし、今回はタイヤから伝わる感触の方向性が激変したので、単なる新調効果を超えたレベルでの感動が得られたのでした。

乗り味の変化でもっとも驚いたのは、高速巡航時です。高速道路では、速度を上げるにつれて車体がドッシリと安定する感覚がさらに高まり、直進安定性が著しく向上。まるでサスペンションの構成部品を強化品に交換したときのような激変ぶりではありませんか!

これまでに装着・交換した強化パーツ(2L車用リヤスタビライザー/STIトレーリングリンクキット/リヤメンバー合体くん/KYB・SRダンパー)たちが、本来の性能や機能を発揮するようになったという感覚もあり、これも期待以上の効果でした。

本来なら、タイヤを交換するたびに「アライメント調整」を実施するのがベターなのですが、まるでリヤタイヤをトーイン側に調整(車体を上から見たときにタイヤの向きがハの字になる)したときのような直進安定性の向上ぶりだと感じます。おかげで、埼玉県から大分県までの往復2,500kmのロングドライブも誇張ヌキで楽勝。1日10数時間にも及ぶ道中、今の愛車で実施したロングドライブの中で一番安楽に過ごせました。スポーツタイヤに交換するだけで、これほどまでに直進性がよくなるとは! 

おまけに、静粛性もまったく問題なし。スポーツタイヤとしては高い静粛性を発揮するとうたう製品とはいえ、それまでに履いていたル・マンVとヴィーロVE303はかなり高いレベルの静粛性を誇っていたので、さすがにこれらと比較すると騒がしく感じるはずだと懸念していましたが、杞憂でした。おそらく、厳密に計測すれば騒音は増しているのでしょうが、耳で感じる部分においては、わずかに劣る程度です。どんな領域でもこれまでと同じオーディオの音量で過ごせたことも、静かさを実証するポイントのひとつでしょう。

燃費の悪化はやむなし!

ロングドライブ中、豪雨に見舞われる場面も多々ありましたが、公道でのウェットグリップについては不満はありません。高速走行中、相当な雨量の中でもハイドロプレーン状態に陥ることもなく、安定感を損なわずに走り続けられました。サーキット走行時のウェットグリップについては確認できなかったので、また別の機会で報告できればと思います。

燃費については、さすがに悪化しました。ル・マンVやヴューロVE303と比べると、高速巡行ではリッターあたり1〜1.5kmほど低下。街乗りでは1.5〜2kmほど悪化する傾向です。しかし、燃費を意識したエコランを実施(80km/h程度で高速巡行)すると、なんとかリッターあたり18kmをキープすることもできたので、個人的には気にするほどの悪化ではないと安心しました。これだけ走りがよくなるのであれば、まったく許容できる範囲です。

高速走行時の直進安定性の向上は感動レベル! 愛車が抱えていた「横風に弱い」という難点が軽減されたのも想定外の美点。グリップ力の確かさを実感しました。掛け値なしに、1日1,200km級のロングドライブがいつもより短く感じられたので、高速巡行をする機会が多い人に強くオススメできます!

サーキット走行では、にわかに感激するような劇的な変化はなかったものの、走りこむほどにジワジワとよさが伝わる印象です。「コーナリング時のグリップ感が著しく強くなった!」、 あるいは「限界が高くなった!」などという感覚はそれほど得られませんでしたが、同じサーキットを走っても去年よりラップタイムが約1秒も縮まったので、以前に比べてグリップ力が向上したのは間違いありません。どちらかというと、コーナリングでの横グリップよりも、加減速での前後グリップのほうが濃くなっているという手応えでしょうか。

また、市街地での印象と同じく、ステアリングのズッシリ感は増しながら、操舵に対する反応が鋭くなったとの印象や、ハンドリングが鋭敏になったという感覚は意外と乏しいのですが、狙ったラインをトレースしやすくなったことと、リヤタイヤの追従性が高まったことは強く感じられます。結果として、今まで怖さを感じていたコーナーでも安心して攻められるようになり、タイムアップに繋げやすくなりました。

ハイグリップ感はそれほどでもありませんが、扱いやすさは特筆レベル。すべての領域で安定感が増し、クルマの挙動がわかりやすくなるという効果が得られました。日常的な走りとサーキット走行を高いレベルで両立できることを実感

周回を重ねたときの熱ダレ感については、期待通りのタフさといえます。1周1km未満のミニサーキットであれば、真夏並みの高気温の中で15分間走り続けても、グリップ力が低下する感覚は現れませんでした。タイムアタックをし続けるとそれなりに表面が溶けて摩耗しますが、多少摩耗した後も走行フィールが劣化する様子はなし。

装着後、10日ほどの期間で3000数百キロ走り、2回のサーキット走行イベントに参加するなど、それなりに過酷な使い方をしても、高速走行時の直進性のよさなどが減退する感触はなかったので、やはりタフさは期待通りといえるでしょう。

サーキットでは「グイグイ曲がる!」という感動はそれほどありませんが、すべての場面で安心感が確実に増しました。さらに、以前から愛用しているBBSの鍛造アルミホイール「RI-A」の強さを感じ取れるようになるという新たな発見も。これも剛性の高いスポーツタイヤのメリットでしょう

サーキット走行で酷使すると、比較的やわらかいトレッド面の中心部分が先に摩耗しますが、ウェット性能を高める「ブレーキスロット」などのトレッドパターンの特徴的な部分は健在。今後もさらなる酷使にどこまで耐えられるかチェックします

タイヤ交換だけで走りがよくなった!

総じて「廉価な実用車にスポーツタイヤを履かせる効果と変化の大きさ」に感動の連続でした。走行距離が15万kmを超え、ぼちぼちサスペンションのリフレッシュや強化計画を検討していたのですが、タイヤだけであまりにも走りがよくなったので、その必要性を感じなくなったのも経済的なメリットといえるでしょう。
「タイヤを新調することで得られる感動」の大きさをあらためて思い知りました。

実用車に乗りながら「愛車の走りをスポーティーにしたい!」と希望する運転好きの皆さんには、スポーツタイヤへの交換を強くオススメします!

マリオ高野

マリオ高野

1973年大阪生まれの自動車ライター。免許取得後に偶然買ったスバル車によりクルマの楽しさに目覚め、新車セールスマンや輸入車ディーラーでの車両回送員、自動車工場での期間工、自動車雑誌の編集部員などを経てフリーライターに。2台の愛車はいずれもスバル・インプレッサのMT車。

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